リサーチベースドマネジメント

従業員の行動を評価すれば売上は上がる?失敗しない行動評価作成手順

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あなたは、従業員の行動を評価する仕組みを作ってみたいと考えたことはないだろうか?

しかし、実際に行動評価を作るのは難しい。

なぜなら、どのような行動を評価すべきか?という判断のための根拠が薄いからだ。

私たちのクライアントでも、「従業員の行動を評価できる方法は無いだろうか?」という課題の相談件数はかなりの割合を占めている。そこで、どの企業で話をさせていただいても興味を持っていただけるのが、行動評価の仕組みを作るためのデータ分析の方法であった。

簡単に言えば、「どのような指示を行えば、どの様な成果に結びつくのか?」、そして「どうすれば数値として可視化できるのか?」という成果と行動の関係性を明らかにする方法をお伝えさせて頂いている。

本日のブログ記事は、あなたの会社でも、どのような行動が成果に結びつくのか?という、行動評価と成果を数値で関連付けするためのデータ分析の基礎編をお伝えすることにしたい。

当記事は、具体的な分析方法は書いていないが、今後、詳しいやり方をお伝えしていくので、ぜひ、何度も読み返してみてほしい。

1.社員を上手く管理するためには目標数値が必要

売上を上げるためには、1人1人の社員の生産力や効率を高める事が絶対に必要だ。
しかし、どれほど熱心に指導や指示をしても、具体的な数的目標がなければ、社員たちは向上心を持って、より高いレベルに向かおうとはしない。

だからこそ、「今月は前年比の売上の120%を達成しよう」と言った売上目標や「今月の契約目標は1人○○件だ!!頑張ろう。」といった契約目標を掲げている会社が多い。

「具体的にどこのレベルに達すれば、自分の仕事を一定基準以上でこなすことができたのか?」という努力の基準値を決めてあげた方が、社員は意欲的に働くということは、多くのマネージャーが実感している事だろう。

1.1財務数値による目標設定例

売上や受注件数などの目標を財務数値と呼ぶが、その財務数値として代表的であるのが、以下のような数値だ。

基本的に売上は、【1年間の顧客数×1年間の1顧客平均単価】によって求められる。そのため、以下の数値のようなものを管理すべき目標数値に掲げ、「今月の達成度は何%であったか?」や「目標金額をどれだけ超えたか?どれだけ足りなかったか?」を目標にするのが一般的だ。

数値を持って経営をされていない場合や、これから数的目標を使った目標管理を検討されている場合であれば、以下の記事で詳しく数的な指標を使ったマネジメントノウハウを公開している。


数値を使った目標管理についての基礎知識がない、あるいはあまり自信がない方は、まず先に目を通してから当記事を読み進めるようにしてほしい。

1.2 数的目標だけでは現場管理をすることはできない

しかし、「現場に目指すべき目標を与えれば、目標の達成がされる。」なんてことは早々起こらない。

なぜなら、その目標を達成するための「どうやって?」という「行動の指示」部分が抜けているからだ。

そこで現場マネージャー、中間管理職の方たちは、その状況に見合った行動の指示・指導を行い、目標を達成するために、以下の3つの課題に取り組む。

さらに、部下に求める5つの視点【知識】【能力】【予測】【考え方】【姿勢】を加えて表にしてみよう。

種類 指示 指導 動機付け
知識 〇〇を考えて仕事しろ。 □□の知識を指導しなければ。 △△への興味を持たせよう
能力 〇〇をできるようになれ □□の仕方を教えなければ。 △△への向上心を持たせよう
予測 〇〇の見通しを持て。 □□の体験をさせておきたい △△にチャレンジさせよう
考え方 〇〇の視点を持つように □□の考え方を指導しよう △△について考えさせよう
姿勢 〇〇を心がけて仕事しろ □□の大切さを諭そう。 △△について意識させよう

部下に対して、上記の様な指示・指導・動機づけをすることによって、業務の質や効率が改善され、全社員の行動が改善され目標達成が初めて可能になる。

つまり、会社の利益を伸ばしていく上で、一番重要なのはミドルマネージャーの指示・育成力と言ったマネジメント能力に他ならない。

店舗経営ではそれが顕著で、「店長が変われば売上が変わる。」と言われるのはこのためだ。

1.2.1 目的とは違った課題が解決されることもある

多くのマネージャーたちは上記の様な目標達成を目指して、日々様々な行動に取り組む。

しかし、現実はそう狙い通りにいくものではない。以下のような指示と結果のズレが起こるのは日常茶飯事だ。

例えば、新規顧客の件数の増加を狙った例でマネジメントをしたケースを考えてみよう。

このように、「新規顧客を増やすことが急務だ!」とあなたが考えて、すべての部下に指示したとしよう。
果たして、あなたの指示通りに、新規顧客が上がることはあるだろうか?もしかすると、以下のように、指示した内容と結果にズレが発生していないだろうか?

上記の例では、マネージャーは、新規獲得が売上を上げるポイントだと考え、部下に対して、新規契約件数を上げるための指示や指導を繰り返した。

このような、指示と結果のズレが発生するパターンは3つとなる。

  • 目的は達成されなかったが、利益は向上した。
  • 目的は達成したが、利益は向上しなかった。
  • 目的が達成できず、利益も向上できなかった。

つまり、経験やマネージャーの感覚によるマネジメントでは、ほとんどの場合上手くいかない。たとえ、売上が上がったとしても、それは狙った結果ではなく、たまたまである場合かもしれない。

すると、「来月は結果が出るだろうか?」、「ずっと利益を出し続けることができるのだろうか?」という将来に対する不安を抱え続けることになってしまい、従業員の行動を評価するという方法の難しさを感じることになるだろう。

1.2.2 結果を出し続けているマネージャーでも言葉による体系化が難しい理由

では逆に狙った結果を出し続けているマネージャーであればどうだろうか?

そのような優秀な人材が自社にいるのであれば、その人のノウハウを体系化し、マニュアル化し、全マネージャーに共有することが出来るのではないだろうか?

しかし、多くの会社では、優秀な人材の感覚を頼りとし、マニュアル化することができないために、人財依存経営となってしまっている。

なぜ、そのような状況となってしまうのであろうか?

多くの企業をコンサルティングさせていただいた中で、私たちが感じることは、「日常的に状況に合った、様々な指示や指導をしているために、どれがその課題を解決するポイントだったのかわからない」と相談されることが実に多いということだ。

クライアント企業のエース社員と面談をしても、「状況によって指導や指示は変わりますし、成果を出すために絶対にコレが重要だ!なんて無いですよ。」という内容である場合がほとんどだ。

1.2.3 体系化に取り組むことで、初めて優秀な人材のマネジメント方法が見えてくる。

そこで、私たちは、目標となる経営課題を1つ選んでいただき、「その目標を達成するために、あなたはどのように指導していますか?」という質問をして以下の表を埋めてもらうように指導している。

この表を埋める段階になって、はじめて「自社のマネジメント成功法則を言語化する。」ということは容易ではない。と気づいてくれるのだ。

あなたも、一度、以下の経営課題からどれか1つをピックアップして、それを改善するために、必要な要素はどのようなものであるのか?と考えてみて欲しい。

経営課題
新規獲得・顧客単価・顧客満足度・リピーター率・原価・納期削減・生産効率・生産量・顧客維持率・顧客紹介件数 etc…

自社課題を解決するために従業員に対して必要な社員管理マネジメント

種類 指示 指導 動機付け
知識
能力
予測
考え方
姿勢

2.非財務指標によるマネジメントの限界

会社の売上を高め続けるためには数的指標を与えなければいけない。しかし、実際に現場をマネジメントするためには具体的な指示・指導でないといけない。

このことは「客観性を持つ数値目標を使って社員を管理しようとしているにもかかわらず、結局そのマネジメントの内容は、現場マネージャーの感覚に頼る」という矛盾をはらんでしまっている。

そう考えて見てみれば、「多くの会社でマネジメントが上手くいかない!!」という悩みが多いのも至極当たり前のことだ。

なぜなら、数値を使った根拠のあるマネジメントをしているように見えて、実は「現場マネージャーによる主観的なマネジメント」をしているからである。

かのドラッカーも「測定できないものは責任を負うべきでない」という名言を残している。


ドラッカー名著集13 マネジメント[上]―課題、責任、実践

社会的な責任を引き受け、問題の解決に乗り出す前に、マネジメントたる者は、問題のどの部分を自らの強みに合ったものにすることができるかを検討しなければならない。測定可能な目標で表せる分野があるかを考えなければならない。
もしそのような分野があるならば、自らの社会的責任として、さらに検討してよい。しかし、そのような分野がないならば、問題がいかに重要であって緊急を要するとしても責任を負うことは抵抗しなければならない。
そのようなものを引き受けても、社会に害をなし、自らに害をなすだけである。成果をあげることはできず、したがって責任をもつことはできない。

ドラッカーの主張を簡単に要約すれば、「主観的な判断でマネジメントをするからこそ、成果を思い通りにコントロールできない」という事だ。
そこで最終的な結果ではなく、「現場管理の行動面を数値化しよう」という考え方が登場した。それが非財務データと言われる数値だ。

2.1 能力・行動・取り組み姿勢などの非財務指標の台頭

左の表は従業員の行動を結果に結びつけるための評価制度の作り方!の記事で詳しく解説している産労総合研究所が実施した【2016年 評価制度の運用に関する調査】の集計データだ。

上記の表では、数的目標による目標の達成率は9割程度の企業が採用している一方で、同時に、非財務データと呼ばれる能力評価や行動評価を8割以上の企業で活用されていることを示している。

つまり、大手だけでなく中小企業であっても、「数的目標だけでは上手く管理することが出来ない」という課題を認識しているといってよいだろう。

2.2 非財務データは人間の手によって生み出されるデータ

2000年以降になってから、非財務指標への注目は高まるばかりだが、非財務データの取り扱いは非常に難しい。なぜなら、上司評価をはじめとする他者による採点で数値が作られるからだ。従業員の行動を結果に結びつけるための評価制度の作り方!の記事では、以下の表についても解説している。

つまり、非財務指標は人間の手で生み出されるデータであることが多く、「データそのものが主観的になってしまう。」という課題がある。そのため、「能力評価や行動評価を取り入れたい。」という現場マネジメント改善へのニーズがある一方で、その運用は暗中模索という状況だ。

※脚注
Rableでは、非財務指標の作成において、上司評価ではなく、部下自身に業務心理・行動傾向に関するテストを受けさせるというBBD評価ツールを提供している。その精度は多くのクライアントから高評価を頂いている。
BBD評価に関しては、他の記事で詳しく解説していくので、是非楽しみにしておいてほしい。

2.3 非財務データの課題は改善しても利益に関係するかわからない

また非財務データは、売上や客数などの客観的な数値ではない。
だからこそ、「それを重視したところで本当に売上が上がるのか?」という批判にさらされることとなる。

多くの会社で、「意欲や行動評価、人物評価を財務よりも重視していきたいのだが、社内の批判を抑えられず、結局改革が進んでいない。」という声が多いのはそのためだ。

あなたの会社でも「財務数値を重視して、契約件数などの業務目標を与え、厳しく管理すべきだ。プレッシャーを与えなければ社員は動かない!!」という声は少なからず存在しているのではないだろうか?

3.財務数値と非財務数値を結びつける重回帰分析

定量的な財務数値という最終目標を与えるだけでは、現場に具体的な指示・指導マネジメントができない。しかし、非財務数値に偏重を置いてしまうと、最終的な結果を改善できるかが分からない。

ではどうすれば、公平な行動評価を実現することが可能であるのだろうか?

答えはシンプルだ。財務数値と非財務数値の関連性を見ればいい。その方法を重回帰分析と呼ぶ。これからその重回帰分析についての説明をしていこう。

3.1 重回帰分析とは?

ここまで解説してきたように、現場では、「〇〇をする上で、□□の考え方が重要だ。」といった指導や「○○をしておいてくれ。」などの指示を目まぐるしくしているはずだ。
そのため、それぞれの課題に「どの指示や指導が効果的であったのか?」なんてことは誰にもわからない。

そこで、重回帰分析をかけることによって、それぞれの課題を改善する上で、「重要な指導・指示はどれなのか?」を絞り込むことができるようになる。

3.2 クライアントで実施した重回帰分析の例

この説明では具体的にイメージすることが難しいと思うので、実際にクライアントの事例を見ていこう。

このクライアントは創業から15年程度が経過しており、「社員がこうなれば売上はあがるはず」という目星がある程度ついていた。そこで、私たちがヒアリングを行い、優秀な社員に必要な【知識・意欲・経験・行動・スキル・態度・考え方】をピックアップし、全100項目のリストアップを行った。

その集計結果が以下のものだ。

3.2.1 改善したい課題に対応する重回帰分析を行う

このクライアントでは、リピーターの満足度やサービス力には自信があったが、集客や利益率が低いという課題を抱えていた。

そのため、新規顧客獲得率、優良顧客維持率、顧客単価、という3つの財務指標との関連性を見ることにした。その結果が以下のものだ。

詳しい解説はここでは省くが、黄色のセルを見て頂ければ、それぞれの財務数値を改善するために必要なマネジメントが変わることがご理解頂けるはずだ。

財務指標と非財務指標をこのように連動させることが出来れば、会社の利益を向上させる財務視点を抑えつつ、現場で具体的なマネジメントをするための非財務指標を運用していくことが初めて可能になる。

つまり、この会社の例であれば、ルールを守るという意識付けをすることが、マネージャーの指示や指導を忠実に従い、その結果として、職場全員の新規リピート率を底上げすることができていたという事実を数値を基に発見することができた。といえよう。

3.2 重回帰分析を基に課題別のマネジメントマニュアルを用意しよう

非財務指標であっても、重回帰分析という手法を使えば、定量的・数的な指標として運用することが可能になる。

そうすれば、社内マネジメントでも根拠と自信を持って、従業員に指示・指導ができる。

また、上記の様な財務数値別に重回帰分析をしておけば、以下のような指示が可能となる。

重回帰データに基づくマネジメントの実行

  • 新規顧客を獲得するためには、会社のルールに従った行動や考え方を身につけてくれ!!
  • 顧客定着率を高めるためには、業務手順の指導をしっかりと指導することが効果的だ!!
  • 顧客単価を上げるために、みんなで商品知識を高めるようにしていこう!!

上記の様な課題別に、マネジメントと成果の結びつきを明らかにすることができていれば、「どのような指示・指導をすればいいのか?」というマネージャーが現場マネジメントする上で大きな助けとなってくれるはずだ。

まとめ

いかがだっただろうか?今回は少し話が難しかったかもしれない。

しかし、本当に伝えたかったことは以下の3点だけだ。

財務数値だけでは、現場を管理する数値としては内容が薄く活用できない。

現場を管理することに効果的な非財務指標は主観的な数値になりやすい

財務数値と非財務数値の関連性を確認して、はじめて数値に基づく経営が可能になる

ここまでの内容は少し難しく感じられた方がいるかもしれないが、私たちの目標は中小企業にこそ、数値を使って従業員の行動をマネジメントする経営を実践して貰うことにある。

重回帰分析の手順に関しては、エクセルで簡単に実行できるノウハウも今後公開していく予定だ。

「頑張ったら、売上が上がればいいな。」ではなく、「売上を上げるために顧客数を増やすことが重要だ。そのためには、○○という行動をすれば良い。」という、徹底して現場改善に直結できる生きた数値を作り上げること。

そうして得られた数値を実際のマネジメントに活用していくことを目指してほしい。

「売上向上は、数値によって狙って向上させるもの」、そのリサーチベースドマネジメント手法を日本中に普及させていくことが我々の目標だ。

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