離職損失コスト

新入社員の教育方法を考える前に試算しておきたい8つの育成コスト

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RABLE(ラブル)では、「人手不足や優秀な従業員が不足して困っている。」というクライアントに対して、まず新人に対する教育コストを最初の課題として捉えることをおすすめしている。例え、アルバイトをメインとする会社であってもだ。

なぜなら、業種・規模に関係なく、教育投資コストを考えることは極めて重要であるからだ。企業経営も本質は突き詰めて考えていくと、「自社がこれから伸ばしていきたい方向へ、コストを集中的に投資し、低コストかつ収益性の高い組織作りを目指すという事に行きつく。

例え正社員が10人程度で、アルバイトメインの業種であっても、教育システムを整備することで、低コスト体質にする余地は十分にある。コスト改革に真剣に取り組むことで、何百万円のコストを削減し、何千万円の利益を生み出した事例は数多く存在する

従業員教育とコスト削減がつながっていると言われても、今一つピンとこない人は多いはずだ。

しかし、この記事を読めば、中小企業の皆様でも、無駄なコストがどこに存在し、その無駄なコストを、従業員教育によって、どのように解決していくのか、について具体的にイメージできるようになるはずだ。
特に当記事では、具体的なコストを算出する考え方を書いているので、ぜひ最後まで読んで頂くだけの価値ある内容となっている。あなたの会社の低コスト化を進める上での参考になれば幸いだ。

1. 研修コストの無駄を確認するための5つの質問

新人教育と聞けば真っ先に多くの人が思いつくことが、新人研修だろう。中小企業では、実施していない所もあるが、最近では、研修を実施している業者への外注や講師派遣の依頼などでそこまでコストをかけなくとも実行できるようになってきた。まずこの研修コストについて計算してみよう。

新入社員各種研修コスト

外部セミナーなどの外注で一番多いのが、ビジネスマナーなどの新人研修コストだ。自社で内製化していない限りは、外部の企業に頼っている企業が大半だろう。そして必ずこのコストを計算しておき、以下のことと照らし合わせて考えておくことが重要だ。

  • ビジネスマナー研修を導入したことで、「最近の新人は常識がない」や「最低限のマナーすら身につけていない」という現場の声が減ったか?
  • 新入社員の社会人意識が向上したか?それとも、変わらないのか?ということを、どのように公平な視点で評価するために数値化できるのか?
  • 継続してサービスを受けていれば、ビジネスマナー向上における目標数値を達成することは可能か?

このようにコストを数値化し、社内共有をすることで、職場社員の研修に対するコスト意識を植え付けることができる。その結果、「研修には価値があったのか?」という投資意識を持たせることが可能になる。

そのため、経営陣だけが把握するものではなく、現場責任者にもフィードバックする仕組みを作り上げることは極めて重要だ。

1.2 業務研修コスト

また新人社員を配属する前に、あなたの会社では、自社の業務についての基本知識を教える研修を構築、実施できているだろうか?「ウチはそこまで規模が大きくないし、そこまでする必要がない」と考える人がいるかもしれない。

しかし、後でも触れるが、新入社員を採用後に業務研修を行わず、現場に入れてしまうと、下に記載のような職場に大きな負担がかかることもあるので注意しておこう。

  • 現場責任者が新入社員に社会人としての基本的な態度を教育するための時間的なコストは、会社にとって大きな負担となる。
  • 即戦力とならない従業員への指導も現場責任者の業務となるので、スケジュール管理や精神的な負担も大きくなり、優秀な現場責任者の離職動機につながることがある。

あなたの会社では上記のコストをしっかりと試算しているだろうか?

じっくりと計算してみれば、たった1日の研修でも実施することで、現場の教育負担が軽減し、はるかにコストを削減できた。なんてことが実は多い。

研修コストと4月・5月の生産率低下コストを比較し、どちらがいいのかを選択できる数値根拠を用意して検討しなければ、はっきりとした答えは出せないのだ。

2. 営業コストの無駄を確認するための3つの視点

新人を入れる上で最も注意しなければいけないところは、やはり営業・顧客対応の職種だ。

ここで重要なポイントは、何ヶ月のトレーニング期間を設けるべきか?どれくらいのレベルまで作業できるように育成しなければいけないのか?教育の現場負担はどの程度か?など、その選択は慎重に考えなければいけない。

2.1 取りこぼしコスト

新人社員に営業を任せると言うのは、非常に判断が難しい。飛び込み営業であれ、問い合わせからの提案営業であれ、必ず取りこぼしが発生するからだ。営業のとりこぼしとは、「他の社員であれば契約できた可能性が高い案件」を意味する。

例えば以下のような表の場合、新人社員に任せたために売上の低下が発生してしまう。

取りこぼし金額総額をいれてもいいかもしれません。

契約獲得率 年間獲得件数
新人社員 3.2% 18社
平均社員 6.7% 36社

上記のような顧客の取りこぼしリスクを試算して、慎重に決めなければ、売上を落とすリスクが非常に高い物となってしまう。

2.2 年間顧客単価低下コスト

また顧客の取りこぼしまではいかなくとも、年間トータルで考えて見れば、商品の売り込みや顧客単価を上げることが出来ないという事も考えられる。サービス業の場合であれば、顧客の年間のリピート回数・リピート率が低下するかもしれない。

教育コストをかけずに、新人を業務に回すと言うのは、かなりの損失を生み出す危険性も伴うのだ。そのリスクを多くの企業では把握しきれていない。

担当顧客リピート回数平均 担当顧客の平均単価
新人社員 8回/年間 12,000円
平均社員 11回/年間 46,000円

なぜならそのコストは伝票には乗らない潜在的なものであるからだ。だからこそ、「自社の業務の潜在的なコストにはどのようなものがあるだろうか?」と考えることは非常に重要だ。

2.3 クレーム対応コスト

またきちんと教育されていない社員がいることは、顧客からのクレームを発生させる危険性を増大させる。クレームが起きれば、他の先輩社員がそのフォローに回らないといけなくなるので、かなりの業務時間を取られる。

またディスカウントの発生や特別なサービスの提供など、顧客との関係も変化してしまう。すると、業種によっては、顧客に付け入る隙を与えることになり、ビジネスのコントロールが難しくなることだってある。

クレーム件数 1クレームあたり損失額
新人社員 4回/年間 32,000円
平均社員 0.5回/年間 8,000円

3. 生産力コストを削減するための徹底的なデータを作ろう

ご覧になられている方の中には「アルバイトの割合が60%を超えているので、私のビジネスでは関係ない」と思われる方がいるかもしれない。しかし、実はアルバイトであっても、あなたの会社は確実にコストを払っている。その理由を今からご説明していこう。

3.1 頭数としてのコスト

入社後初期のアルバイトは、当然、労働力として1人前の水準に達していない。よく訓練されたアルバイトの生産性を1として考えると、以下の表の場合、それぞれの教育期間によるコストはそれぞれ以下のようになる。(時給は800円で計算)

  • 入社1ヶ月の時給換算5倍【0.4×2.5人=1】:2.5人いて初めて1人分の労働力
  • 入社2ヶ月の時給換算7倍【0.6×1.7人≒1】:1.7人いて初めて1人分の労働力
  • 入社3か月の時給換算3倍【0.8×1.3人≒1】:1.3人いて初めて1人分の労働力
入社1ヶ月 入社2ヶ月 入社3ヵ月
平均労働力 0.4人分 0.6人分 0.8人分
労働力と比較した時給換算 2.5倍 1.7倍 1.3倍
会社が負担するコスト総額 2000円 1333円 1000円
新人教育コスト
=コスト総額-支払時給
1200円 533円 200円

新人のアルバイトがどれだけ仕事が出来なくとも、時給は定められた金額だけ払わなければいけない。上記の表の場合、入社1ヶ月のアルバイトに対して、1時間当たり1200円の教育コストを負担していることになる。

例えば、飲食店などをイメージして欲しいが、1人分の労働力にするために他の追加人員をいれないといけなくなる。そのため、通常なら5人で足りる職場に対して追加で1名をシフトに組み込まなければいけなくなる場合があるだろう。
これが人員の入れ替え時期に、人件費の割合が高騰する理由だ。

3.2 アイドリングコスト

新人アルバイトの教育コストに対して、追加で考えなければいけないのは、繁忙期や人手が足りない時に、新人に指導している時間がとれないこともあるだろう。

職場の多くの従業員が業務に追われるからだ。そうした状況になればなるほど、新人が何の仕事をすればよいかわからなくなり、待機時間や指示待ち時間がどんどん増えていく。これらのアイドリングコストは、上記の表で説明すると、コスト負担が長引く原因にもなるし、離職率が高まる理由にもなりやすい。

すると、1時間当たりの実質作業時間はますます減っていく。現場の指導が上手くいかない場合のアイドリングコストも考慮しなければ、現実に近いコストは出すことは出来ない。

3.3 ストップコスト

他にも、新人が仕事をすれば必ず何かしらのミスをする。そうすれば、「どの様なミスをしたのか?」、「いまどのような状況なのか?」を先輩社員が確認しなければいけなくなる。そうした状況が増えれば増える程、新人以外の社員も業務の手を止める結果となり、職場の生産性が低下する原因となる。

そのため、新人社員はどのようなミスをしやすいのか?ミスの発生頻度はそれぞれどの程度か?を把握しておけば、そのミスを防ぐ、指導・教育方法を前もって考えておくことができるはずだ。

そのため、新人アルバイトへの教育コストを支払った方が、コスト負担が軽減できる!と判断できるようになるだろう。

4. 見落としている企業多数!OJTコストの確認ポイント

上記で述べたことは、新人社員をいれることで、職場の生産性がどの程度落ちるかに関するコストについて説明してきた。しかし、生産性を下げる要素はそれだけではない。新人社員に指導する先輩社員の指導時間も教育コストに入れる必要がある。

4.1 確認コスト

新人に仕事のやり方を教えても、それで済むことはまずない。必ず誰かしらが任せた仕事が問題ないか確認しなければならない。このコストを軽視すれば、クレームの発生やサービス品質の低下を招く事にもなる。

確認コストの算出方法は、新人の仕事を確認する方法とチェックポイントの整理から始まる。1日の労働時間の中から、部下の仕事内容を確認している時間を割り出し、指導者の時給をかければわかる。

4.2 修正コスト

仕事ぶりを確認して問題があった場合は、必ず正しいやり方に修正し、指導しなければやらない。もちろん、大抵の場合、指導者が自分で手直しした方が速いのだが、新人がミスすることが目に見えていても、新人に作業させなければ、状況は一向に状況は良くならない。

確認コストと修正コストを同一にしてはいけない。基本的に、仕事に慣れていくと修正コストの削減が先行するからだ。つまり、修正コストが減っていくことで、部下の仕事が成長していることを確認できるだろう。

あなたの会社では、新人に指導することを諦め、ベテランの社員ばかりが動いているような状況に陥っていないだろうか?

5. 新人教育のどこに投資し、何を削減すればいいのか?

ここまで8つの教育コストについて述べてきた。しかし、コストの種類によっては、具体的な金額を計算できないものも当然存在する。そのような場合は、概算で出すか、あるいは別に計算しなくても良い。

最初の段階で重要なことは、コストを詳細な金額で出すのではなく、どの様なコストが存在しているのか?そしてそれぞれのコストをどのように捉え、職場の改善につなげていくのかのヒントを得ることにある。この章では、教育コストから、どのように改善に結び付けていくのかの考え方について解説する。

5.1 「コストを削減せよ!」という指示は、曖昧だから達成できない!

1つ目の考え方は、「コストを削減しよう。」と言う考え方だ。この指示を出すためには、改善したいコストの金額を出すことが必要になる。そうしなければ、どこにどれだけのコストがかかっていて、どの程度の削減目標を目指すのか?という事が明確にならない。

つまり、どのコストを削減するのか?ということと、削減目標を明確にしなければいけない。例えば、3時間かかっている作業を2時間で実行せよ。ということであったり、新人を含めて6名で現場を回している場合に、5人で回せるように考えて実行せよ。という内容だ。

エクセルよりもイラストでいきます!

5.2 「コストをかけて欲しい!」という部下からの要望に対応するには?

2つ目の考え方は、逆に「コストをかけろ」という考え方だ。特に4章で紹介したOJTにおける時間コストの投資などだ。「職場社員が1度教えただけで、新人に作業を任せ、品質低下やクレームの発生が起きている」という状況になっているならば、投資することが非常に効果的に働くだろう。

指導担当の従業員が、しっかり新人の作業を監督しているのか?指導の進捗はどの程度か?を意識させるために「しっかりとコストをかけて実行する。」という意思表示が重要だ。

特に「人件費の削減を徹底しろ。」と言う方針を取っていた会社ほど、新人教育にコストをかけず、「出来もしない仕事を新人に押し付け、顧客満足度が低下する」という事が起きやすい。コストはあり過ぎてもダメだが、かけなさ過ぎてもダメなのだ。

多くの企業では、部下から、「現場の問題を解決して欲しい!」という、コストを投資することに対しての依頼があるだろう。その際に、「どこに、どれほどの投資をすれば、どのような成果を期待できるのか?」を試算するのが上司としての役割だ。

自社にとって最適なコストはどの程度か?という最適化を常に考えるようにしてほしい。

まとめ

いかがだっただろうか?

具体的なコストを試算している企業はあまり存在しないだろうが、これらのコスト意識をしっかりと従業員に持たせることをあなたの会社でできているだろうか?

私たちが伝えたいことは、「コストを試算しよう」ということではない。

  • 職場の生産性が低い理由はどこにあるのか、時間・人数・金額におけるコストを出してみよう。
  • 従業員教育が上手くいかない理由は、どのような投資を渋っているのか?を明確にしてみよう。
  • 品質管理が上手くいかず、クレームが発生する原因は、どのような投資を怠っているか?を確認してみよう。

上記のように、「隠されたコストとしてどのようなものがあるのか?」に関する理解を深めることで、より効果的で具体的な対策を考えることができることを伝えたいのだ。

もちろん、金額ベースで試算していれば、削減目標を細かく設定でき、従業員にコスト意識を持たせやすいことは間違いない。

しかし、まず改善の第一歩として、どこにどれだけの作業コスト・時間コストがかかっているのか?という目星を持つことこそが重要だ。

是非とも、当記事を参考にして、あなたの会社がこれまで投資していなかったコストの発見につなげていただければ幸いだ。

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