離職マネジメント

社員が辞めると売上が落ちる!離職マネジメントが人材戦略の成功の鍵

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あなたの会社では人材に関して、「社員を増やせば売上は上げられる!」という量を重視しているだろうか?それとも、社員を増やすのではなく、「人材育成の方が売上は上がる!」という質の方を重視しているだろうか?

どちらの考え方も正解だが、一般論として考えると、人を増やすことこその方が難しい。その理由は、採用しても、採用しても、辞めてしまう社員やアルバイトが存在するからだ。そういった状況では、採用に力を入れても辞める社員が多ければ社員は増えないし、人材育成にも取り組もうとしなくなる。

いずれにしても、社員を増やすことや人材育成の前に、「社員を辞めさせない」という離職マネジメントに取り組まなければ、自社の人材の層を高めることは出来ない。

そこで、本日の記事では、「社員が辞めると売上にどのような影響が出るのか?」という、離職マネジメントに取り組むべき理由を理解していただける内容となっている。

1.ビジネスの秘訣は人的資源を上手くマネジメントできるかどうか

今のビジネスの中心は、マーケティングやセールスであると思われがちだが、実際はそうではない。例え、広告・集客をある程度確保できたとしても、良質な従業員を確保できなければ、あなたのビジネスはすぐに天井を迎えてしまうことになる。

なぜなら、自社の生産力以上に契約・顧客数を取ることができないので、取りこぼしが増えてしまうからだ。そのため、「従業員の課題さえ解決できれば、売上を上げることが出来るのだが…」という悩みは実に多い。

以下の表は、中小企業庁が公表しているデータを引用したものだ。

参考URL:中小企業庁

このデータを見ると、人材に関して上手くいっていると回答した会社は4.6%と非常に少ない。更に下図のグラフを見てみれば、中小企業のほとんどで人材マネジメントの成果が出ない所かどうすればいいかもわかっていない方がほとんどだ。


上記のグラフを見てみても、外部機関に【人材育成への支援】を求めるケースが直近3年で急上昇していることがお分かりになるはずだ。

人手不足が自社ビジネスに与える影響は実に12個にも昇る。採用しても仕事が減らない!人手不足で赤字になる12の原因上記の記事で詳しく解説しているので、楽観視せず、真剣に人材戦略について考えて見て欲しい。

2.人手不足と売上の関係性

では私たちのクライアント企業のケースを例に、人手不足と売上の関係性を見ていこう。そうすれば、どれほど人材不足の解消をすることこそが自社の売上向上につながるかを実感してもらえるはずだ。

2-1 従業員1人当り売上高を見れば収益は予測できる

この会社は10店舗を経営している会社で従業員が30名、マネージャーが4名、そして社長の総勢35名の会社だ。大きくも小さくもない、ごく一般的な中小企業の会社をイメージしてほしい。

この会社では、アルバイト・パート社員を含めた従業員1人当りの平均売上を計算してみると、大体1人当たりの平均売上は40万円程度となった。

計算式は【従業員1人当り売上は、売上÷従業員数で算出】で出すことが出来る。

そこで、従業員を今後20人程追加で募集することを目指していた。もしその計画が上手くいけば以下の様に売上拡大を見込めるはずだった。

現在 増加見込 合計
従業員数 30人 20人 50人
従業員月間平均売上 40万
月間売上見込み 1200万 800万 2000万
年間売上見込み 1億4400万 9600万 2億4000万
売上成長比率 1.67%

2-2 売上目標が達成できなかったこの会社が直面した2つの課題

しかし、実際には上記の表の様にはならなかった。それは以下の2つの問題に直面していたからだ。

  1. 採用目標人数を達成することが出来なかった。
  2. 早期離職が多発し、人材を定着させることが出来なかった。

それをまとめると以下の図のようなものになる。

つまり、この会社での人材補充による売上向上効果は以下の結果を見込めるはずだった。

採用成功人数 従業員1人当り売上 月間売上増加
7人 40万 280万円

しかし、実際には採用に力を入れることばかりに捕らわれていたために、辞める社員を抑えるための離職マネジメントを行っていなかったのだ。

当記事は収益面と人材に関するテーマとなっているが、コスト面に着眼した記事も併せて読むようにしてほしい。
採用コスト削減|良い人材の採用率を上げるための面接コスト投資法
アルバイトの離職率ですら、改善できれば年間300万円の利益に!
新入社員の教育方法を考える前に試算しておきたい8つの育成コスト

2-3 離職マネジメントが上手くいかなければ事業を拡大することはできない

人材マネジメントは、何も入社という“イン“だけではなく、当然、退社という”アウト“の関係も併せて注意しておくことが大切だ。

「最近、辞める社員がちらほらいるなぁ」と感じている時は要注意だ。実際に数をカウントしてみると、自分の実感以上に離職者がいるというというケースが非常に多い。

このクライアントでの離職人数を加味して作成した表が以下のものとなる。

人数 1人当り売上 月間売上 年間売上
採用実績 +13人 40万円 +520万円 +6240万円
早期離職 -6人 40万円 -240万円 -2880万円
離職人数 -8人 40万円 -320万円 -3840万円
合計 -1人 40万円 -40万円 -480万円

すると、採用している以上に離職者が出ていることが分かり、この会社では480万円の減収になる計算となった。


つまり、「この会社では採用している以上に、辞める社員の方が多い。」という結果になってしまったのだ。
あなたの会社では、どうだろうか?

今年度の入社社員が何人で、辞める社員が何人なのか?しっかりと把握しているだろうか?

意外に思われるかもしれないが、多くのマネージャーが感覚のみで「例年通りでこんなものじゃないの?」と正確に把握できていないケースが非常に多い。

数値を取ってみて初めて「え?本当なの!!」とびっくりされることがあまりにも多い。是非とも、一度自社の人材状況について確認するようにしてほしい。

人材の離職率・定着率についての考え方・計算方法については、以下の記事で詳しく解説している。
効果的な離職率の計算方法と経年変化がひと目でわかるグラフの作り方
入社日と退社日をエクセルに入力するだけ!定着率を自動計算する方法

2-4 人材戦略の成功のカギは離職マネジメントにあり!!

つまり、人手不足の根本の原因は、「採用しても人材が中々定着しない。」ことと「ある程度経験を積んだ社員が辞めてしまう、他社に流れてしまう」という離職マネジメントにある。

極論を言えば、家庭や健康面の事情を除き、辞める社員が1人もおらず、年間1人以上を採用できれば、人手不足に悩まされることはなくなる。

しかし、実際は人手不足に悩まされている会社がほとんどだ。それは以下の調査結果を見ても明らかだ。

若手人材の育成が進まない理由

参考URL:中小企業庁

この結果からは以下のようなことが読み取れる。

1. 良い人材の採用ができない(50.2%)
中小企業では戦力を補充するには1から人材を育てるしかない。

2.新人がすぐに退職してしまう(20.3%) 育成をしても他社へ転職してしまう(16.1%)
上記の理由を2つ合わせると36.4%も人材を育てても、人材が定着せず無駄なコストになっている。

3.若手の人材がいない(45.1%)
結果的に、社内に若手の人材が育っていないという状況が見える。

つまり、人材育成という課題を克服するためには、離職マネジメントが出来て初めて達成されるということがお分かりになるはずだ。

そういった視点から上記の表を読み取れば、以下のような流れが見えてくる。

  1. コストをかけても人材が定着しなければ、人材の投資効果は0になる。(45.1%)
  2. 人材が中々定着しないので、教育にコストがかけられなくなる。(23.9%)
  3. 慢性的な人手不足に陥り業務を回すことに追われ指導社員がいなくなる(40.1%)
  4. 若手社員が不足し(43.1%)、年々従業員が減り、売上が縮小する
  5. 人材育成できる状況にないので、即戦力を期待するが当然上手くいかない(50.2%)

つまり「人手不足に陥るきっかけである人材定着の課題」を解決する事こそが、売上向上をさせるために最優先で取り組むべき課題なのだ。

3.離職マネジメントに関する3つの思い込み

しかし、マーケティングやセールスとは異なり、組織力・人材育成という内部マネジメントになかなか取り組もうとする人は少ない。それにはマネージャーや経営幹部が3つの思い込みや責任転嫁をしているためだ。

3-1 給料を上げなければ採用は上手くいかないという思い込み

特に中小企業に多いのが「給料・時給を上げられないので人材不足は解決できない」という思い込みだ。もちろん、高い給料を上げることが出来れば、楽に採用・人材の囲い込みはある程度できる。

しかし、それは売上が伸び続けているのならまだしも、停滞・減少している中で出来る事では到底ない。下図のグラフは、給与や待遇を改善せずに、離職率を改善できる7つのポイントの記事で解説している退職理由のホンネとタテマエに関するものだ。

退職理由ホンネランキング
順位 理由 比率
1位 上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった。 23%
2位 労働時間・環境が不満だった。 14%
3位 同僚・先輩・後輩と上手くいかなかった。 13%
4位 給与が低かった。 12%
5位 仕事内容が面白くなかった。 9%
6位 社長がワンマンだった。 7%
7位 社風が合わなかった。 6%
8位 会社経営方針・経営状況が変化した。 6%
9位 キャリアアップしたかった。 6%
10位 昇進・評価が不満だった。 4%

この表を見ても明らかだが、給料が低いという事に不満を持ち、退職した人は割合として非常に低い。つまり、例え、中小企業であってもやり方次第で人材の囲い込みをすることは可能であることを示している。

3-2 離職原因は採用が上手くいっていないことが問題とする思い込み

また人材育成の問題を「自社に合う人材を採用できていない」・「面接が上手くいっていない」など採用活動が問題であると誤解している人が非常に多い。

以下の表は、日本アンガ-マネジメント協会が公表している退職に関する調査結果をまとめたものだ。

退職を回避できた理由はなんでしょうか?
(4年以降でも仕事を続けている人)
第1 同僚との良好な関係 31.9%
第2 その他 28.6%
第3 上司との良好な関係 14.3%
第4 給与面の改善 10.9%
第5 労働時間の改善 7.6%
第6 (上司からの)適切な叱られ方 6.7%

引用サイト:日本アンガ-マネジメント協会

この表を見れば、「人間関係が上手くいっていないと感じているか?」「上司のマネジメント方法に不満を持っているか?」の2つが大半を占めていることがおわかりになるはずだ。

3-3  離職はマネジメントの課題であると認識できていない

これまでのことをまとめると、離職は部下の能力やスキル、性格に問題が原因なのではなく、上司・マネージャーが部下のせいにして、人材マネジメントをしようとしていないことに原因があるのだ。

しかし、多くの会社では採用能力の低さが人手不足の本質であるという認識が強すぎ、離職マネジメントこそが、最初に取り組むべき重要な課題であると認識していない。

あなたの会社ではどうだろうか?誰かが辞める時、職場で愚痴や離職者にダメ出しするような言葉が蔓延していないだろうか?

あなたは誰かが辞める時、「あの時こうしてれば…」と離職を防ぐための反省が出来ているだろうか?

私たちは多くの経営者と話してきたが、離職率はやり方を間違えなければ、コストをかけずに人材をマネジメントできる、一番有効で本質的な経営課題だと言える。

だからこそ私たちは、人材定着という問題において、課題の根幹はどこで、誰の、どの様な感情を、どうやってコントロールすれば、離職率・定着率を何パーセントまで改善できそうか?という改善数値を掲げ取り組んでいる。

人材定着はマネジメント可能な経営テーマであることを認識するようにしてほしい。

まとめ:離職マネジメントは最もローリスクハイリターンの経営課題である。

離職マネジメントに成功すれば、あなたの会社の人的資源は積み上げ式になる。というのは、人材育成にコストを投じても、離職する社員がいないので、マイナスにはならないためだ。

つまり、離職マネジメントは非常に投資効果が高い。なぜなら、マーケティングやセールスは顧客相手だが、内部マネジメントは従業員を相手にするからだ。

だからこそ、適切な指示や指導をすればいう事を聞いてくれるし、少々の失敗をしても、きちんと説明すれば納得をしてくれる。

離職マネジメントにデメリットがあるとすれば、時間がかかるという点だ。

それゆえ、取り組んでいる企業は、まだまだ少ないのが現実だろう。

将来的に人手不足が加速するのは、誰の目にも明らかなので、あなたの会社でも他社に先行して離職マネジメントに取り組んでみてはいかがだろうか?

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