離職損失コスト

新卒1名採用に50万円も必要?コスト管理のための具体的な13の計算項目

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まずは、驚くほどの結果から見ていこう。

中小企業でも1人あたりの採用費が50万円にも上る!など、誰が信じられるだろうか?「ウチの会社は7万円ほど広告費を出せば、2・3人は問い合わせが来るんだ。だから、採用コストは7万円だよ。」などと思っておられるのではないだろうか?

例えば、以下のデータは、マイナビが公表している2017年卒企業新卒内定状況調査結果だ。


マイナビが公表している2017年卒企業新卒内定状況調査結果
この表を見てもらえれば、中小企業であっても、採用費の総額平均がなんと500万円もかかっている。また、1人の新卒社員を採用するためのデータを見てみると、大企業よりも中小企業の方が高い採用コストを支払っている事がおわかりになるはずだ。

その理由として、中小企業では、例え内定を出しても辞退率が高く、採用活動が長引くことが考えられる。するとどうしても採用に関する投資効率が悪くなってしまうのだ。

しかし、このトータルの採用コストだけを見ても、多くの方が「多額の採用コストがかかっているのは実感しているけれど、実際に、なぜそれほど採用コストがかかっているのか具体的にわからない。」と悩んでしまうのではないだろうか?

そこで、本日の記事では、これから採用コストを13項目に分けて解説し、それぞれをさらに細かく分解していくことで、「どの採用コストが負担になっていて、どの採用コストであるならば、改善できるか?」という解決の切り口となるヒントを掴んで欲しい。

人材の採用にどうしてそれほどコストがかかるんだろう?と疑問に思った方は、以下の記事でも書いているので参考にして欲しい。以下の記事では、教育コストなども含めた人材投資コストの合計を説明している。

1. 採用コストを固定費と変動費にわけて考えよう

多くの方はご存じであるとは思うが、そもそもコストは固定費と変動費に分けられる。固定費とは求人動向に関係なく、採用力を高める為に確保しておくべきコストだ。一方、変動費は採用状況による増減するコストと言える。まずは固定費から見ていこう。

これから紹介する項目では、規模の小さい中小・零細企業でもご活用いただける内容と、大企業向けのものもある。
ブログの最後には、エクセルにデータをまとめる具体的な方法まで提示しているため、ぜひ、最後まで読んで欲しい。

1.1 採用広告費

広告費は説明するまでもなく、各採用集客媒体に関する費用だ。基本的には毎月一定額のコストを支払うことになる。

1ヶ月に仮に30万円で、採用期間を3ヵ月であれば、90万円のコストが発生し、採用期間が半年の6ヶ月になれば、180万円となる。

1.2 広告ライティング費用

また採用広告を作成する際に、業者との打ち合わせや場合によっては文章のライティング作業が発生する。また最近は、追加費用を払えば、コピーライターが最適な文章を作成してくれる。
大抵は自社の担当者が自作することが多いが、現状の集客実績と照らし合わせて、どちらの方が得になるかを考えよう。

自社で作成する場合:作成所要時間×担当者時給
業者にアウトソーシングした場合:依頼料

1.3 自社メディア運用コスト

自社サイトでリクルーティングを行っている場合には、その運用コストについても必ず計上しておくことが重要だ。特に気にしてない中小企業も多いが、自社の人事サイトにきちんとアクセスがあるのか?そして何件のエントリーがあるのか?をしっかり把握しておかないとコストを垂れ流す結果となってしまう。

・自社メディアのサイト製作コストやサーバー代金

1.4 採用業務管理費

また会社によっては、応募者のデータ管理やDM、採用状況管理などのデータを整理するための作業を必要とする場合もある。応募者の進捗管理やスケジュール調整、または面接担当者へのデータのフィードバックなど、意外に多くの時間を取られることが多い。しっかりとコストを出しておき、無駄なコストや効率の悪い状況になっていないかを把握できるようにしておきたい。コストによっては、外注化を視野に入れることを検討すべきだ。

・応募者のデータ管理コスト
・面接をするまでのマネジメントコスト

上記の採用コストもできる限りは削減すべきだ。どのようなコストを削減すべきか?気になった方は以下の記事を参考にして欲しい。具体的なコストの計算方法とコスト削減のアイデアを書いている。

1.5 自社紹介資料製作費用

HPでの資料請求や志願者の志望度を上げる為に、できるだけビジュアライズされた魅力的な会社説明資料を作成しておくことは重要だ。そのため、毎年、資料作成にどれほどの時間、人員を割いているかを評価しよう。逆にコストがゼロ円の場合は、採用活動に力を入れていないことが明らかとなる。

・社内規定などについての資料作成コスト
・先輩社員のスタッフインタビューなどの採用後の活動を見せる資料など

1.6 採用に関する会議・打ち合わせコスト

多くの会社では、採用人材の質が下がってきているのにも関わらず、あまり会議や打ち合わせをしていないということがある。なぜなら、顧客対応でないために緊急性がなく、クレームにならないからだ。だからこそ、多くの会社で後回しにされ、問題が深刻化することが多い。そのため、必ず数値を出しておき、採用改善にコストを支払っているかどうかを把握しておくことが大切だ。

・採用状況についての会議時間
会議参加人数×平均時間×年間会議回数

1.7 高校や大学への採用営業費用

そこまで規模が大きくない中小企業の場合は、高校や大学とのパイプをつなぐための営業予算を持っておくことも重要だ。ある企業では、採用担当者が全国を飛び回っているケースなどもある。学校の就職担当者との関係性が構築できていれば、毎年安定した採用人数を確保することが出来る。規模の小さい会社にとっては、学校求人は見過ごせない要素の1つだ。費用としては、1ヶ月当りの旅費・交際費の予算を見込んでおこう。

・採用状況についての会議時間
会議参加人数×平均時間×年間会議回数

ここから下の内容は、採用のための合同セミナーなどに参加している企業に必要なコストとなっている。中小企業の場合には不要かもしれないが、合同セミナーには一定の効果があるので、参考までに読んで欲しい。

1.8 セミナー費用

特に優秀な新卒を採用したい場合であれば、合同説明会やセミナーの開催は必須となる。なぜなら、そうしなければ応募者の絶対人数がとれないからだ。相場としては、1会場当り大体2万円から10万円が相場となっている。もちろん、会場の大きさによってもまちまちであるが、自社の採用状況に応じて、開催回数の予算を予め組んでおこう。

セミナー開催予算の計算方法
セミナー受講目標人数÷セミナー1回当りの平均人数×セミナー1回当りの費用

1.9 セミナー資料作成費用

セミナーを開催するためには、応募者へ自社のPRをするための資料やパワーポイントを作らなければならない。口頭だけで話すだけでは不十分であるからだ。データとして蓄積し、どれだけの人員を資料作成に割いているかを把握できるようにしておこう。

資料作成費用の算出方法
作業人数の月間給与×実働月数

1.10 セミナー人件費

またセミナーを開く際には、プレゼンする社員の人件費の他にも、受付係やパンフレットを配布するアルバイト、社員交流会に参加する一般社員など、予想以上に多くの人員を必要とする。場合によっては、外注した方がずっと安くなることがあるので、実際に採用コストを出してみて、外注化するかを検討していくことが重要だ。

人件費予算見込みを予め立てることが大切
セミナー開催回数×セミナー1回当りの人件費×平均時給

ここまでの内容で、自社でセミナーは開催していない!という企業の方は従業員の教育コストは関係がないと思うかもしれない。しかし、いずれにしても新入社員は教育しなければいけないはずだ。では、どのような教育コストを支払っているのか?ということについて、下記の記事で詳しく説明している。例えば、いきなり現場に新人を放り込んで働かせている場合でも、教育コストがかかっていることを理解できるだろう。

2. 採用コストの変動費としてチェックしたい3種類の項目

上記のような採用活動に関するあらかたの固定費を出すことが出来れば、次は、採用の変動費についても出していこう。

2.1 御祝い金などのインセンティブ

会社によっては、中途採用者を採用しやすくするために、「御祝い金」として払うような場合も多い。美容業界などの専門職ではその傾向が多い。この部分のコストはIT業界をはじめとし、さまざまな業界で増えて行く可能性もある。

業界によっては、広告費以上にコストがかかっており、効率の悪い場合も多いので常に把握して置きたい数字だ。あまりにもコストが高すぎる場合は、自社サイトの改善に投資した方が安くつくこともある。

2.2 人材紹介成功報酬費用

また人材紹介会社に依頼している場合には、「紹介料」というものが発生する。大体の相場は採用者の年収の30%が相場だ。つまり、年収400万程度の人材を採用した場合、人材紹介会社への報酬は120万円程度となる。そのため、常に投資金額が適正なのか?もっと効率の良い投資先はないか?客観的に評価する為にも、常に数値を終えるようにしておこう。

2.3 その他の費用

他にもDMの印刷費や発送費、資料の用意に必要な雑務など細かく見ていくと様々な費用が発生している。また、中小企業では、面接の場所が毎回変わることもあるのではないだろうか?そのような場合には、面接場所に向かうための移動交通費なども変動費用として含めれば良いだろう。

ここまでの内容を見てきたが、あなたの会社ではきちんと明確に把握できているだろうか?
実際にRABLEの場合は、中小企業のクライアントが多いのだが、それでも、このような項目を20項目から50項目ほど担当者に質問して数値を出している。

つまり、重要なことは、妥協なく徹底的に数値を出してみることだ。徹底して採用コストを出してみれば、予想もしていない金額がかかっていることが多いだろう。もし想像以上に多くのコストがかかっていた場合、その削減をするだけでかなりのコストダウンを実現することが予測できる。

3.採用コストをエクセルの表にしてまとめてみよう

ここまで数値を出すことが出来れば、以下の様にエクセルの表にまとめてみよう。すると、どれだけのコストが発生しているか金額ベースで把握できるようになる。

上記の図は、今までの内容のサンプルとして入力をしたものだが、中小企業の場合では、ここまで採用コストがかかっていないはずだ。そこで、中小企業を例にした表が以下のものだ。

私たちのクライアントである中小企業の皆様の採用コストの実態は上記のようなものであることが多い。上記の表で特に注意して貰いたいのが黄色でマークした部分だ。

黄色の部分を見るだけで、実際の現場を見ていなくとも以下のようなことを把握できる。

数値から読み取れること。

  • 採用広告の集客効果が薄れていると危機感を募らせているが、キャッチフレーズを変えたり、文章の修正など、具体的な対策の時間を取れていない。
  • 採用業務は現場マネージャーが兼任でしているため、どうしても片手間で採用に関して、真剣に取り組もうとコストを掛けている訳ではない。
  • 会社のパンフレットが、制作会社にまかせっきりで、こういう内容にしてほしいなどの綿密な打ち合わせをしているとは言えない。デザインは綺麗であるが、内容はあまり良い物とは言えない。
  • 採用の方針や課題点など会社全体で共有したり、改善するための時間を全く取れず、全社を挙げて改善しようと言う意思や意欲があるとは言えない。

黄色の部分は、中小企業でも是非取り組んでほしい内容だ。つまり、数値を出せば、きちんと採用コストを出している(改善行動をしている)のか?危機感を持っているだけで実際に行動は出来ていないのか?ということを明らかにすることもできる。

「指示をしているのに、全く成果が変わらない。」ともしあなたが感じているのであれば、是非数値を出してみる事を強くお勧めする。今回のように具体的に細かく採用コストの内訳を出すことは、経理上の問題だけではなく、「実際に改善業務を行っているかどうか?」のチェックツールにもなる。

さて、ここで重要なポイントであるが、採用コストを削減する目的は間違えてはいけない。「単純にお金をかけるのがもったいない!」という、安直な考えではなく、人材に対する投資である!ということを考えなければいけない。あなたの会社では1人を採用し教育することで、どれだけの投資効果を期待しているだろうか?こちらの記事を読めば、人材への投資効果を測定できるようになるだろう。

まとめ.データを蓄積することで、予算管理が可能となる。

実際には、ご紹介したエクセルの表を作るだけでは改善されることはない。

しかしながら、これらのエクセル表から、「どこに投資すべきか?」という改善目標を立てることは可能となるだろう。

そうすることで、無駄なコストと投資すべき対象を明確にし、より投資効率の良い採用が実現できるようになっていくだろう。新人の採用というのは、顧客対応ではないためにないがしろにされがちだが、徹底したデータを出すことで、予想以上の採用コストが絶対にかかっていることを体感できるはずだ。

改善が上手くいかない理由の1つに、採用コストの内訳を細かく分解出来ない点があげられる。
採用コストを細かく分解すれば、「どこにどれだけ無駄なコストがかかっているか?」という分析が可能となり、現状の課題が把握できるだろう。

是非とも皆様には、自社の採用コストを細かく定義し、それぞれの最適金額を出すようにしてもらいたい。そうすれば、「どこの採用コストならば削減できそうか?」といった数値ベースによる改善を実行できるようになるはずだ。

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