離職マネジメント

数字によって証明された社員が会社を辞めたいと思う28の不満理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

離職・退職問題は企業にとって看過できない重要な問題だ。なぜなら、せっかく時間と金を割いて人材教育に投資しても、辞められてしまっては無駄になってしまうし、採用コストだってばかにならない。

そういった人材定着に関わる問題は、経営学の領域で「ターンオーバー(turnover rate)」「リテンション(retention management)」という専門用語が存在し、実は様々な研究がされている。

このため、経営心理学では会社に対する不満を数値化することが可能であるという認識のもとに、アメリカの企業では積極的に心理データを活用しマネジメントに活かしている。

今後、日本でも必ず話題となってくるので、ぜひ、今のうちから馴染んでおいていただきたい。

そこで当記事では、多くの研究論文から実務で使える項目に私たちが独自のリサーチを重ねて、信頼できる数字で効果を実証済みの28の不満項目をお伝えすることにする。

非常に精度の高い項目であるので、是非安心して参考にするようにしてほしい。

1.退職・離職動機を高める3要素

まず、退職や離職する社員の心理構造を全体像として確認してみよう。退職・離職動機が高くなる要素は、大きく3つに分けることが出来る。

退職につながる不満の3つの階層

  • 個人レベル:社員本人に関わる要素
  • 会社レベル:上司・会社との関係に関わる要素
  • 職場レベル:職場・同僚との関係に関わる要素

それぞれのレベルにおいてどのような要素が「もう辞めようかな…。」という「感情を持つきっかけになるのか?」をこれから1つずつ丁寧にみていこう。

2.社員本人に関わる12要素

社員本人に関わる要素には更に、以下の3つに分類できる。

  • 自己効力感を感じれているか?
  • 職務満足度が十分であるか?
  • 社内孤独感を感じていないか?

2-1 自己効力感を感じていない社員は退職動機が高まる

自己効力感(self-efficacyとは簡単に言えば、自分に対する自信をどれだけ持てているかだ。その自己効力感に関してRableでは以下の4要素を測定している。

自己効力感1.仕事を続けていて成長を実感したことがあると感じているか?

仕事を続けていく中で、上司や同僚から成長を実感できる言葉をかけてもらったことがあるかどうか?ということは非常に重要だ。例えば上司から「だいぶ仕事ができるようになったな。この1年で大きく変わったよ。」と言われると、仕事を頑張って続けていくうちに、「成長できたんだな。」と実感することが出来る。「これからも頑張るぞ」という気持ちを持てるように、前向きなフィードバックを定期的に与えることを心がけよう。

自己効力感2.受け身ではなく、自発的に現在課題にしている目標を持っているか?

自分が今意識している目標や課題があるか?というのも極めて重要だ。ぶら下がり社員の多くは「何か指示されたら仕事はするけれど、自分が取り組みたい目標は別にない」という事が多い。何か目標があるというのは、仕事を続ける上で大きなモチベーションの源泉となる。目標を与えるだけでなく、「お前が取りあえず目指したい直近の課題は何か?」という事を質問し、「私の課題は〇〇」という課題を部下自身が持てるようにしよう。

自己効力感3.顧客や同僚・部下から必要とされていると思えているか?

人間は責任感を持つ生き物だ。そのため、「周囲から必要とされているかどうか?」は非常に大きく離職に左右する。周囲から期待されたり、必要とされていれば、辞めたら周囲に迷惑がかかると思うし、誰からも必要とされていなければ、別に辞めても問題ないと思うはずだ。そのため、私は職場で必要とされていると感じさせることは効果的な手といえる。

自己効力感4.自分の部署の業務手順を知り尽くしていると思えているか?

自分が担当している部署の仕事をどれだけ知っているか?というのも非常に重要だ。勝手知ったる仕事は、周囲の人間からしても仕事を振りやすいし、頼りにしやすい。そういった面から、多くの仕事を知り尽くしていれば、「私は職場で必要とされている」と感じる傾向が高くなる。

2-2 職務満足度を感じていない社員は退職動機が高まる

職務満足度(job-satisfaction)は、文字通り仕事内容に関する満足度だ。私たちはこの職務満足度を以下の4項目を使って測定している。

職務満足度1.絶対に達成が不可能な目標を目指させていないか?

上司にとっては「これくらいの目標は達成できるだろう」という目標であっても、部下からしてみれば「上司はいつも現実的ではない目標を言い、出来なければ怒るだけで現場を見ていない。」と感じてしまっている場合は、不満を持つ原因となる。

あなたはしっかりと「自分が与える目標は達成できるものだ」という根拠の説明をしているだろうか?

「●●のポイントを抑え、□□のボリュームで仕事をすれば絶対に達成できる。なぜなら、△△という事実があるからだ。」といったように、部下が「達成できないのは自分の努力が足りないからだ。」と納得させる説明を丁寧に行うことを心がけるようにしよう。

職務満足度2.日常業務をする上で工夫を凝らす余地はあると感じているか?

人間はどうしても飽きる生き物だ。そのため、繰り返しをするだけの業務に対して不満を持つようになる。しかし、それを感じるのはあくまで人間だ。ライン工のような仕事であっても「今ちょっと失敗したかな。」や「このやり方を試してみよう」といった小さな工夫をする余地はどんな仕事にも存在する。そのため、「●●を考えて仕事をしてくれよ」とただ繰り返すだけでなく、「仕事で自分なりの工夫をする楽しさ」を教えることが重要だ。

職務満足度3.日常業務をする上で向上心を持って取り組んでいるか?

上記の項目と似ているが、次はスピードに注目しよう。作業内容が日々変わらないものであっても、手際の良さや、段取り、手を動かすスピード、は少しずつ上がっていく。「今日は昨日よりスムーズにできた。」、「どうすればもっと段取りよく仕事できるかな?」といった作業熟練度の上達を目指し、褒めてあげることで向上心を持たせることが出来る。
職務満足度4.余裕を持って仕事ができていると感じているかどうか?

当たり前だが、同じ仕事をしていても、疲れ方は、年齢や性別、経験によってもバラバラだ。他のメンバーについていくので一杯である新人などは、体力的にも、精神的にも余裕がない。すると「この仕事を続けられる自信がない・・」と感じてしまう。そこで最初は誰もがそうであること。●●ができるようになれば、□□の状態になれることを伝え、不安を取り除いてあげるマネジメントが必要になる。

2-3 社内孤独感を感じている社員は退職動機が高まる

不必要感(Unnecessary feelingは、社内における孤独感を測定する項目だ。「私は別に職場にいなくてもいいのではないか?」、「別にやめても代わりはいるのではないか?」そう言った心理を私たちは以下の4項目で測定している。

社内孤独感1.上司や同僚に私は期待されていないと感じているかどうか?

社員は上司や周囲の同僚の行動を知らず知らずのうちによく観察している。他の部下が上司に良く怒られるのに、「自分が失敗した時は、あまり怒られない。」と感じる時「自分は期待されていないのかもしれない」と感じるかもしれない。他にもなかなか。名前を覚えてもらえない。など、様々なことから、「私は別に必要とされていない」と部下は感じ、「もう辞めようかな」という気持ちが高まっていくことになる。
社内孤独感2.誰にでもできる仕事ばかり任されると感じていないか?

「自分には誰にでも出来る簡単な仕事しか振られない。」あるいは、「雑用ばかり任されている。」と部下が感じている場合でも、退職動機は高まってしまう。そこで、部下の能力や経験を踏まえて、「簡単な仕事しか今は振れない」という状況であっても、「今はこういう状況だから、今は○○の仕事を振るようにしている。」としっかり部下に説明をすることで、部下をないがしろにしているワケではないという意図をしっかり伝えることが重要だ。

社内孤独感3.伝えたいことや報告を誰にすればいいか迷っていないか?

また上司や同僚と言った職場の人間関係を上手く構築ができていなければ、確認や相談相手が存在せず、自分が誰かに伝えたいことがあっても、誰に報告すればわからないという状況になってしまう。「相談相手がいない」ということは、社内で孤立をしているという危険性が高くなる。

社内孤独感4.1日の内、仕事がなく何をすればいいかわからないことはないか?

また、指示待ちをしている時間や待機時間等、周囲の人間がバタバタしているのにも関わらず、「自分だけすることがない。」ということは、仕事を探す気がないか仕事を教えてもらえないか、のどちらかだ。特に新人の場合に多く、「自分で仕事を探せ」という割に「やり方を教えてくれない。」と感じている会社では、若手の定着率が低くなる主な原因だ。

3.上司や会社に関する8要素

次に会社レベルでの退職動機を高める原因要素をみていこう。このレベルでは以下の2つに要素が存在する。

  1. 上司に対して不満を持っていないか?
  2. 会社の中で良好なコミュニティを構築できているか?

3-1 上司の指導や指示にストレスを感じていれば退職動機が高まる

上司・部下関係では、有名なのがLMX(leader member-exchange)セオリーだ。この理論は、上司に対する信頼度が部下の離職率や成果が良くなる、という事が実証されている。この上司に対する信頼に関して、私たちは以下の4項目を用いて測定している。

上司への信頼感1:上司の指示や指導に対して説明が不十分だと感じていないか?

上司の指示に対して、ストレスを感じる部下は非常に多い。特に質問や疑問をしても「いいからやれ」と言われた場合、その指示内容が正しい、正しくないに関わらず、部下は不満を持ってしまう。だからこそ、常に仕事は人間相手であること、部下のやる気をもコントロールできなければ、「それは正しい指示とは言えない。」という事を肝に命じよう。

上司への信頼感2:指示や指導に一貫性がないと感じてしまっていないか?

常にビジネスは流動的で、自社の置かれた状況に合わせて最適化を図らねばならない。そのため、指示内容が以前の内容と矛盾することだって時にはある。しかし、その説明がなければ、部下は「前と言っていたことと違う」と不信感を感じるかもしれない。だからこそ、「そんなこと考えたらわかるだろう。」と部下の理解能力に頼ることなく、丁寧に説明する癖づけをマネージャー側がすることが大切だ。

上司への信頼感3:上司へ報告をすることに抵抗感を感じていないか?

会議での報告や問題が発生した際、部下が報告することを嫌に思っていないか?という事も重要だ。もちろん、仕事である以上、「怒る」ということを避けることは出来ない。しかし、それが人格否定であったり、過度な恐怖を与えている場合には、部下はストレスを感じ、退職を決意するか、鬱になるか、失敗を隠す。といった行動に走ることになる。

怒るという行動が問題ではなく、失敗経験からどう対処・改善していくかのアドバイスを与える。後のフォローがないことが問題なのだ。ネガティブなことでも報告・相談できる上司として部下から信頼を勝ち取ろう。

上司への信頼感4:評価にひいきや主観が入り込んでいると思われていないか?

評価が中立であるか?ということも部下はしっかりと見ている。上司が、自分に対して、イエスマンな部下やプライベートでも仲の良い部下だけをひいきして、評価していると部下は感じた場合、「頑張っても自分はどうせ評価して貰えない」と考えるようになってしまう。

3-2 会社というコミュニティの参加感を感じていなければ退職動機は高まる

「自社が好きだ」という組織コミットメント(organizational commitment)を高めるためには、自社が、ただお金を稼ぐ場ではなく、人生の大半を過ごす生活の場として認識されていないといけない。その集団生活の場としての参加感の程度を4項目で測定している。

組織参加感1:会社のことを知人や家族に良く話すかどうか?

働く時間というのは人生において約3割を占めていると言われている。つまり、働く会社の選定というのは、自分の生活の場を決める事とも言える。だからこそ、自分の人生の一部として、会社や仕事の話題をするか?というのも重要な要素だ。今まで、仕事の愚痴や相談をしていた人が、ぱったり話題にしなくなった場合、それは退職のサインとなる。

組織参加感2:社内の中で人脈を増やせていると感じているか?

生活をする上で、人脈は非常に重要だ。それだけで自分が困った時やお願い、相談をしたい時の助けになるからだ。逆に関係性のない人が多いというのは居心地の悪い空間となる。

だからこそ、社内での人脈を増やす事が出来ているか?会社というコミュニティの中に上手く溶け込めているか?を感じているかどうかは、重要な要素といえるだろう。

組織参加感3:会議や雑談の際に意見や話を振られることがあるか?

また職場や会社に参加していると感じるためには、会議や話し合いの時、上司から意見を求められる、同僚から愚痴を聞く、部下から相談を受ける、といった話し合いへの参加感を感じさせることが重要だ。ただ指示したことをやらせるだけでは、会社というコミュニティに参加している感覚を持たせることは出来ない。

組織参加感4:懇親会や勉強会、飲み会に参加したいと感じているか?

「会社や職場というコミュニティに深く参加したい」と感じている社員は、同僚や上司と良い関係性を構築する為、会社のイベントや親睦会へ積極的に参加する。しかし、近年、会社と社員の距離が空き、会社のイベントに参加したくないと思う若者が増えている。かといって、強制参加をさせては、面倒なグループだなと嫌悪感を抱かれるだけなので、少しずつ、部下が魅力的に感じる工夫をすることが大切だ。

4.職場の人間関係に関する8要素

では最後となる職場レベルにおける退職動機を高める原因要素を見て行こう。このレベルでは以下の2つに要素が存在する。

  1. 職場のメンバーに自分は必要とされていると感じているか?
  2. 職場のメンバーとこれからも一緒に仕事をしたいと感じているか?

4-1 職場のメンバーに必要とされていないと感じれば退職動機は高まる

3章でも登場した自己効力感は、自分の仕事能力に対してであったが、ここで紹介するのは職場に対する効力感だ。職場のメンバーから必要とされているか?を感じている度合いについて、私たちは以下の4項目を使って測定している。

職場効力感1:上司や同僚に対してどれだけ気を遣っていると感じているか?

離職動機を測定する上で「あなたは人間関係が上手く作れていますか?」と直接的に聞いても「出来ている」と答えることが多い。しかし、「どれだけ人間関係に気を使っているか?」という項目であれば、「気を遣うこと自体は悪い事ではない。」と思う人が多く、職場の人間関係をどれだけストレスに感じているか?という要素を抜き取ることができる。

職場効力感2:職場での何気ない雑談に参加することが出来ているか?

また休憩時間や昼休みなど、「雑談をする相手がいるかどうか?」も重要な要素だ。雑談をする相手がいないという事は、社内で孤立しているということであり、職場に居心地の良さを感じているとは言えない。抜き取ることが難しい人間関係も項目に工夫をすれば、数値化することが可能だ。

職場効力感3:職場で「ありのままの自分でいれている」と感じているか?

人間関係を作れている場合であっても、「キャラ」を演じている場合であれば、それは大きなストレスとなる。「あるがままの自分で居れる職場かどうか?」は仕事を続けていく上で重要な要素だ。特に日本人の離職理由1位は人間関係だ。表面上は上手くいっているように見えても、精神的なストレスを溜め込んでいないか?ということには注意を払おう。

職場効力感4:職場で対立や批判を受けてもあまりストレスを感じていないか?

自分に対して喜ばしくないことや批判を受けた時、AさんとBさんが、自分に対して同じ内容を言っていても、「Aさんならば受け入れられるが、Bさんの場合は受け入れられない。」ということが発生する。

もちろん、仕事である以上、感情的に反論せず「わかりました。」と言うべきだと誰もが思っている。しかし、頭ではそう思っていても、心は無意識下に納得していないのが人間の厄介な所だ。だからこそ、相性の悪い場合、理想論を掲げず、素直にメンバーを変えた方が上手くいくことが多い。

4-2 職場のメンバーに信頼感を持てなければ退職動機は高まる

3章で説明した職務満足度と同様に、職場に対する満足度も退職動機に強く影響する要素だ。この要素に対して、私たちは以下の4項目で測定している。

職場満足度1:職場の同僚に自分の想いを正直にぶつけることが出来る関係か?

職場の人間関係を考える上で、仕事への熱に関して、周囲との温度差が大きい場合には注意が必要だ。なぜなら、会社や職場を思って発言しても、煙たがられたりしてしまうからだ。そういった理由から、ダラダラした職場に優秀な社員が入ってもすぐに辞めてしまう。

職場満足度2:職場にこれからも一緒に仕事をしたいと思えるメンバーがいるか?

職場に戦友とも呼べる信頼できる仲間がいるという事は勤務意欲を高める大きな理由になる。それはライバル関係、パートナー関係、師弟関係のどれであってもよい。いずれにせよ、心から互いを高められる存在がいるか?ということにも注意を払い、チームビルディングを進めていくことが重要だ。

職場満足度3:職場に居心地や愛着の良さを感じているか?

人間は合理的な思考をしようとする一方で、非合理な感情に左右される生き物だ。そのため、感情的な要素も上手にマネジメントしなければいけない。あなたの意見が正論であろうがなかろうが、相手がその意見を受け入れ、実際に行動に移ってくれなければ、それは正論とは言えない。面倒で非効率的だと思う事も、動かしたい相手がそれを大切に思っているのであれば、その非効率な方法が正論となるのだ。

職場満足度4:職場のメンバーが一丸となってチームとして仕事ができていると思うか?

また個人単位で仕事をするような職場であれば要注意だ。それは職場で仕事をしているというより、職場という場所を借りて、仕事をする個人事業主のような関係になってしまう。この職場、チームで協力して仕事を進めることが出来ている、という感覚を感じさせることが、職場への愛着を深めさせる近道だ。

まとめ:

ここまで退職動機につながる会社・自信の能力への不満・自信といった28の項目を解説してきた。

あなたの部下・同僚にはいくつの項目が当てはまるだろうか?

当記事を読まれたことで、どのような種類の不満が原因で離職する社員が多いのか、と悩むことはなくなったのではないだろうか?

これらの全ての離職項目を測定することで、1人1人の社員が、どのような不満を持っているために、離職してしまうのか?ということを特定することができるようになるだろう。

私たちRableの場合であれば、社員アンケートを使って、各項目を数値化している。

今後、当ブログでは、社員アンケートの作り方、そしてその分析方法を惜しみなく公開していくので、是非参考にして頂き、あなたの会社でも実践して貰えれば幸いだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

コメントを残す

*