リサーチベースドマネジメント

現場管理職を動かすKGIとは?5つの条件で設定する目標管理初級編

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「売上が上がらないのは環境のせいだ。」あなたはこういった感情を抱いたことはないだろうか?

しかし果たしてそうだろうか?

売上が上がるのは元々黒字の企業だけの話ではない。赤字からV字の軌道を描き黒字転換した会社だってこの世には山ほど存在する。

課題を克服した会社。壁を乗り越えられない会社。その違いはどこにあるのだろうか?

結論から述べさせてもらうと、その答えは「現場の目標管理力」にある。あなたの会社では「売上が伸びないのは現場管理職の力量不足のせいだ。」と言う風潮がないだろうか?

会議で「売上を上げろ!!努力が足りない!!」といった言葉が飛び交っているのなら、危険な状態と言える。なぜなら、現場が目指すべき具体的な目標を指示できていないからだ。

この、現場が目指すべき具体的な目標を管理する上で最も重要な指標がKGIだ。KGIという言葉については多くの記事で紹介されているが、当記事では、更に踏み込み、目標管理の重要性と、理想的なKGIを設定するための5つの条件をご紹介する。

当記事を熟読して頂ければ、「具体的な数値こそが、現場の課題改善を確実に成功させ、従業員を動かす」ということを体感してもらえるはずだ。非常に面白い内容となっているので、ゆっくりとご覧になってみて欲しい。

1. そもそもKGIとは一体何か?

ビジネスを進める上で目標管理は極めて重要だ。

どういった課題に注目し、どの方向性で改善を目指していくのか?ゴールが明確でなければ、A部長は「顧客満足を上げよう」と言う一方で、B部長は「質よりもまずは効率だ。コスト削減をウチの部では目指す。」など、会社全体がちぐはぐになってしまう。

これから我が社は何の改善に取り組むのか?

その最終目標を数値化するために考えられた指標がKGIだ。KGIは【Key Goal Indicator】の頭文字を取ったもので、重要目標達成指標と呼ばれる。

1.1 KGIを設定する目的は「数値は人を動かす」からだ。

従業員規模があまり大きくない企業ならば、数値なんかあまり重要でないと思われる方がいらっしゃるかもしれない。

しかし果たしてそうだろうか?

あなたは従業員をマネジメントするためにどのような言葉を発しているだろうか?

「売上が右肩上がりに伸びてきている。この調子で頑張ろう!!」

「売上が前月・前年割れを起こしている。何とか踏ん張ってくれ!!」

「新規獲得が良くない。新規獲得に力を入れてくれ!!」

といった「何らかの数的根拠」を持った指示を必ずしているはずだ。そうしなければ、従業員を強く動かすことはできないからだ。

つまり、中小企業であっても、「自分が期待する行動を部下にしてもらうためには、数字があった方が楽である。」という事は間違いない。

その人を動かす数値の第一歩が、売上をベースとしたKGIであるのだ。

1.2 従業員を2人以上雇った瞬間に何らかの評価が必要となる

あなたが従業員を2人以上雇っていれば、必ず評価は必要となる。なぜなら、従業員の努力や成果によって「給与の差別化」を図らなければいけないからだ。

A社員は、自分から積極的に提案を行い、目標を立てて行動し優秀な結果を出している。しかし、B社員は基本的に指示に従うだけで、成績は優秀と言えない。その状況下で、評価を行わず、給料が同じであれば、確実にA社員はあなたの会社を去ることになる。

なぜなら、努力をしても報われないからだ。評価を正しくしない会社は絶対に成長することはない。

2. 中小企業でよくみかけるKGIの運用シチュエーション

ではKGIは多くの企業でどのような運用方法をしているのだろうか?この段階では、具体的にKGIをイメージできている人はそう多くないはずだ。実際にケースを見て、イメージを膨らませていこう。

2.1 前年比売上による会議風景

飲食店などのサービス業で多いのは、前年同月比で比較した売上伸び率表を使った店長会議だ。

前年の同月と比べて、「どれだけ売上が上がったか?」に注目し、「達成できた店舗・出来なかった店舗」を評価する。

特に達成できなかった店舗の責任者は悲惨だ。「なぜ達成できなかったんだ。」という槍玉に挙げられることになる。

しかし、最終結果のダメ出しをしても、担当マネージャーから起死回生のアイデアが出る事はほとんどない。

2.2 目標売上達成率による会議風景

他の会社の例として、営業職であれば、左記の様な表を用いることが多い。

目標売上を先に設定しておき、担当者ごとの達成率を持って評価する手法だ。

しかし、これらの数値では、「売上を上げる」こと以外のマネジメントメッセージが何も見えてこない。

あなたの会社の会議で扱っている数値にはメッセージが存在しているか?

  • 見込み顧客数を増やし、自社のパイを広げたいのか?
  • 顧客単価を上げ、利益体質を良くしたいのか?
  • 契約率を向上させ、営業コストを削減したいのか?

売上のみの評価では、上記のようなマネジメントメッセージが全く存在しないのだ。だから、「指示通りに動いてくれない」、「自分で考えて行動しない」などの悩みをマネージャー層が抱えることになる。

その問題でよくありがちなのが、「部下のスキルが低いから成果が出ない。」とマネージャー層が愚痴をこぼすことだ。あなたもそのようなことを考えたことがないだろうか?

現場マネージャーの力量どうこうよりも、まずマネージャー陣が、取り組むべき課題を具体的に指示したのか?何を改善したいのか?それが明確になっているだろうか?

「売上を改善しろ」なんて、将来の見通しから解決策の提案までを丸投げした現場任せのマネジメントでは上手くいくはずがない。

現場の改善が一向に進まないのは、具体的なKGIを設定できていないことにあるのだ。その理由を次章でご説明していく。

3. マネジメントツールとしてのKGI

この章では、現場を動かすためのKGIの目的とマネージャー層が行うべき仕事(役割)についてお伝えする。あなたの会社では、マネージャーがきちんと役割を果たしているか、自社の状態と照らし合わせて読むようにしてほしい。

3.1 現場マネージャーに課題を与えるのがマネージャーの役割

基本的に現場マネージャーの仕事とは、陣頭指揮にある。決して、ビジョンを策定したりすることではない。与えられたミッションに対して「どのように取り組むか?」、「どのような企画が良さそうか?」などの具体的なアイデアを出すことが仕事である。

だからこそ、中間管理職以上のマネージャーが明確なミッションを与えなければいけない。

例えば飲食店であれば…

経営課題 与えるKGI数値
大型の顧客を囲い込みたい 宴会の予約件数を上げろ!!
低価格戦略でも採算性を上げたい 顧客回転率を上げろ!!
顧客単価を上げたい 座席稼働率を上げろ!!
新規顧客を獲得したい 割引チラシ持参率を上げろ!!

などのKGIが考えられる。これならばどうだろうか?

現場マネージャーは、与えられたKGI数値を高める為に、様々なアイデアを出して、取り組むはずだ。それは与えられた課題・ミッションが明確であるからこそだ。

あなたの会社では、現場を動かす為に、課題に合った数値を用意することが出来ているだろうか?

脚注※
他のサイトでは、上記の項目はKPIとして紹介されているが、当サイトでは上記の要素をKGIとして設定し、KGIを更に分解したKPIはより詳細に分解した項目を設定している。KPIの記事に関しては、後日公開する予定をしている。当サイトでは、KGIは売上と言った曖昧な概念として扱っていない。

3.2 細かく設定されたKGIはあなたの代弁者となる

社会人であるならば、売上を気にしない人はいないだろう。それは偶然や当たり前のことでなく、多くの会社が業績を代弁する指標として、売上ベースで会議をしているからだ。

決して、従業員が勝手にそうなった訳ではない。なるべくしてそうなったのだ。そのことは当然、売上以外の指標にも当てはまる。

つまり、あなたが現場に取り組んでほしい行動に関する数値を作成し、毎月の会議で使うようにすれば、他の行動にも従業員の意識を引っ張ることが出来る事を意味する。

現場を変えたければ以下の順番でKGIを作成し利用すべきだ。

  1. 売上を上げる一番の要素は何かということをマネージャー層がまず決定しなければならない。
  2. その要素の改善に従業員の意識を向ける為に生産数などのKGI数値を作成する。
  3. そのKGI指標を毎月の会議で使用して、いかにKGIが大切かを伝え続ける。
  4. そのKGIを基にした業績評価を行い、従業員のモチベーションを高める。

そうすれば、確実にその数値をよくするために、日々の業務に取り組むようになっていく。細かく設定されたKGI指標こそが、あなたの指示以上に部下を動かす代弁者となるのだ。

4. 中間管理職を動かすためのKGIを設定しよう

ここまでKGIの目的について解説してきた。ここからはいよいよKGIの設定方法の手順についてお伝えしていく。是非、すぐにでもあなたの会社に取り入れて欲しい内容となっている。

4.1 KGIの設定原則は客観的な数値でなければならない

KGIは基本的な原則としては客観的な数値でないといけない。この説明では少し理解がしづらいので以下の表で見比べてみよう。

客観的な数値 主観的な数値
平均顧客単価 マネージャーからみた部下の勤続態度
テーブル回転率 顧客満足度アンケート結果
リピート率 ブランド意識調査結果

上記の表をご覧になられればお分かりになるかと思うが、客観的な数値とは、「感情」ではなく「事実」を抜き取らなければいけない。顧客満足度は顧客感情を抜き取った主観的な数値の代表例だ。つまり、顧客満足度はKGIには設定できない。

KGIの目的は、自社のビジネスが上手くいっているかを評価するものなので、利益に直結する項目を選ぶようにしよう。

4.2 KGIを作る際にはSMARTの法則に徹底して従うべきだ

KGIを設定する際によく言われるのが「SMART」の法則だ。

SMARTの法則とは

  • 明確性(Specific):感情で評価がブレない万国共通の数値であるか?
  • 計量性(Measurable):そのKGIは自社リソースで数値化することが可能なのか?
  • 同調性(Agreed upon):現場が同調・賛成できる数値であるかどうか?
  • 現実性(Realistic):現場レベルで対応可能な範囲の数値なのか?
  • 適宜性(Time-bound):期限が明確で、タイムリー性があるか?

上記のものを満たしたKGIを作成することを目指そう。

そもそも数値としてブレブレのものであれば、業績を評価する数値にはなりえないし、測定できないものであれば、数値化することは出来なくなる。また現場の課題を改善するようなものでなければ、ただ現場に負担をもたらすだけのお役所数値となってしまう。

また、「その数値の達成には多額の設備投資が必要です。」ともなれば、現場レベルで対応できるはずがない。また、3か月前の数字を見て会議をするなどの古いデータでは、タイムリーな対応はとてもじゃないができない。

つまり、理想のKGIとは、以下の5条件を満たしたものであると言える。

  • 誰もが納得するような計算方法でつくられる数値であること。
  • 現場に負担をかけることなく、比較的簡単に作れる数値であること。
  • 更にその数値は現場の改善に役立つものであること。
  • 現場マネージャーに与えた裁量権内で解決・企画が出来る範囲に限られること。
  • そして、常に1ヵ月以内の新鮮な情報を持って会議ができること。

4.3 KGIのための数値を作ることが管理職の仕事である

ここまでくれば、あとはいよいよKGIを計測する方法を考えるだけだ。例えば、テーブル稼働率であれば、どうすれば計算できるだろうか?

大手の会社やある程度の資金力がある会社ならば、レジシステムで簡単に数値を出すことが出来るだろう。しかし、そうではない企業の方がずっと多いはずだ。そういった場合にも工夫次第でアナログにはなるが、数値を作ることが出来る。
顧客の入店時と退転時の時間を予めメモしておき、その差分を引けば滞在時間を出すことが出来る。そしてそのテーブルに座った顧客の合計滞在時間を出して、営業時間で割れば、テーブル稼働率を出すことが可能となる。

工夫次第で、あなたの会社の規模や設備に関係なく、ほとんどの数値は作り出すことが可能だ。

是非とも、どのようにオペレーションを組めば、あなたが出したい数値を作成することが出来るのか?について徹底的に考えて欲しい。

数値を基にした経営は決して、大手企業だけの専売特許ではない。工夫次第で設備投資なんかしなくとも、ローコストで実行することが可能になる。

まとめ

数値による目標管理と聞くと、中堅規模以上の会社が実践すべき内容であると考えていた人が多かったのではないだろうか?

数値を基にした経営は、大手企業だけでなく中小企業であっても必要な考え方だ。なぜなら、従業員を上手く動かすには、数値の力を借りた方が上手くいくからだ。

特に多くの人材を採用できない、少数精鋭で経営をしている場合には、1人1人の従業員のスキルアップは売上を伸ばす上で必須要件となる。

だからこそ、従業員に課題とミッションを与えるKGI作成に是非とも取り組んでほしい。自社の課題を解決するKGIで会議を行えば、従業員の変化にきっと驚くはずだ。

それほど、数値の力という物は大きい。

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