従業員満足度 従業員満足度調査

社員の気持ちを丸裸にする従業員満足度調査の設計方法と項目作成手順

従業員満足度(ES)調査は、社員の不満や要望などの感想を聞くだけでなく、きちんと作りこめば、人事施策や現場マネジメントのPDCAサイクルを回すために活用することも出来る。

「不満を聞き出せば良いのでは?」や「テンプレートを流用したら駄目なの?」という声を多く頂くが、社員たちの声を集めるだけの目的であるのならそれでもOKだ。

しかし、従業員満足度に興味を持ったほとんどの人は、こういった意識を持って欲しい、こういった事が当たり前に出来て欲しい、などの社員の質を上げたり、生産性を高めるという目的があって、従業員満足度というキーワードに行き着いたはずだ。

そこで当記事では以下のことをお伝えすることにしたい。

  • 人材マネジメント施策としての従業員満足度調査の設計方法
  • 社員の本音を引き出す従業員満足度調査項目ライティング
  • 従業員満足度調査の集計結果を活用した人材マネジメント施

最後までじっくりと読んでいただければ、従業員満足度調査というツールがいかに自社で取り組んでいる、これから取り組みたい施策と連動させて戦略的に運用すべきなのかについてご理解いただけると思う。

では、従業員満足度調査について徹底的に一緒に見ていこう。

STEP1.従業員満足度調査の企画:全体像の設計

従業員満足度調査のファーストステップは「どういった項目を作成していくか」という目的の決定”リサーチ・クエッション”の定義だ。

従業員満足度調査で重要となる観点は以下の4つだ。

  1. 課題を解決、目標を達成するための心理を従業員満足度調査で数値化する
  2. 設定した課題や目標に関連する従業員満足度とは何かを定義する
  3. 課題や目標達成に必要な従業員満足度を向上するための要素を特定する
  4. 従業員満足度スコアを参考にして、数値に基づいて施策の成果を評価・運用する

それでは最初のステップから見ていこう。

STEP1-1 従業員満足度調査でリサーチ・クエッションが重要である理由

従業員満足度調査でよく検索されるのが「項目例」や「テンプレート」という言葉だ。

この記事もその例に漏れず、そういったキーワードから当記事にたどり着いていただくユーザーが非常に多い。

テンプレートというのは、悪く言えば、業種・規模・経営課題に関係なく、徹底的に簡素化・汎用化されたものだ。誤解してほしくないことが、テンプレート自体は決して悪いものではない。

従業員満足度を構成する要素(不満・満足)にはどういった種類があるのだとか、従業員満足度調査の用紙(印刷・WEMでの表示)レイアウトなどを知る上で参考になる。これから本格的に取り組む前に、ざくっとしたデータは、課題の目星をつけるためのサンプル資料となるし、ネットから無料でダウンロードでき、コストをかけずに実行できるので、一度体験してみることで学べることも多い。

しかし、マネジメント施策の実行や人材戦略を決める上でのデータとはならず、あくまで参考値としか使えない。

その理由を以下の2つの例を見比べるとお分かりになっていただけると思う。

改善したい業績目標を設定しないアンケート
あなたは、どれだけやりがいを感じていますか?

あなたの上司に対する満足度を教えてください。

あなたの職場の人間関係を教えてください。

あなたは給料が作業量・能力に見合うものだと感じますか?

あなたの担当している業務について教えてください。

感じていない 1-2-3-4 非常に感じる

不満 1-2-3-4 満足

仕事がやりづらい 1-2-3-4 仕事がやりやすい

割に合っていない 1-2-3-4 十分だと思う

単調な仕事 1-2-3-4 面白い仕事

改善した業績目標を設定したアンケート
あなたは、職場に仲の良いメンバーはいますか?

あなたは、職場メンバーの仕事ぶりをどう感じますか?

あなたの職場でのコミュニケーションについて教えてください。

あなたの職場では、フォローや相互連携はありますか?

あなたの職場では、休みたい時に休めますか?

仕事の話しかしない 1-2ー3ー4 何でも話せる人がいる

成果を出す意識がない 1-2ー3ー4 意欲や意識が高い

必要最低限 1-2ー3ー4 些細なことでも話し合う

問題が起きてから 1-2ー3ー4 指示がなくても当り前にできる

休みにくい空気 1-2ー3ー4 休まなければ逆に気を遣われる

前者のアンケートは、一般的よくあるテンプレートだ。見てわかるとおり従業員満足度に関する幅広い概念を網羅するために、一問ずつのテキストはざっくりしている。

逆に後者は、しっかりと課題を設定したものになる。

この会社では「自分の作業量から作業スピードを調整したり、自分の作業だけでなく、周囲の社員の作業を助けるという文化がなく、作業が遅い社員、早い社員の両極端化」が問題となっており、連携を強化し、生産性を高めたいという想いがあった。

そのためには、コミュニケーションやサポート、フォローを上司が指示せずとも、全社員が当たり前にし合える意識を作るために、人間関係が重要だと考えた。

人間関係といっても様々で「感情面」・「能力面」・「プライベート面」など様々な観点があり、社員1人1人が抱えている不満は違う。

そこでアンケートによる数値化をすることによって、職場で孤立している人には、人間関係を作るきっかけを与えたり、能力面や仕事に対する意識のギャップに不満を感じている社員には、業務の配置や上司による指導など、優秀な社員が納得できる話し合いの時間を持つなど、それぞれの社員にあわせたマネジメントに活用するためにESを実施した。

マネジメントがセンスや才能と言われる理由は”解釈能力”にある。

アンケートなんかしなくても、「一緒に仕事を見ていれば、部下が何を考えているかわかるし、それぞれの部下に対してどういう言葉を投げかけたり、どのような指示や役割を与えれば、やる気になってくるかなんとなくわかる」という優れたマネージャーはもちろんいる。

しかしそれは少数で、この記事をご覧になられている人はそうかもしれない。

だが同時に「自分はできるけれど、全管理職にさせるには?」、「アルバイトでも当たり前に出来ている会社もある」という悩み・思いをもっておられるはずだ。

社員たちの人間観察をするためのツールが、従業員満足度調査(ES)であり、抽象的な項目では、結局データを見た人の解釈能力に依存してしまい、アンケートをする意味がなくなってしまう。誰もがデータを見れば、同じ解釈をし、結論に至るためのレポート・資料を作り上げるには、限界まで細分化された項目が必要になる。

その解釈の違いを生まない良質な項目を作るためには、従業員満足度調査の全体像を描く事が重要だ。

STEP1-2 従業員満足度調査企画書例

従業員満足度調査の企画書は以下の3点を盛り込んで作成しよう。

  • 現在発生している課題は何で、社員たちはどのような気持ちになってしまっているのか?
  • どのような数字があれば、社員たちは問題解決へ前向きに取り組むようになると思うか?
  • 作成した数値を、どのシーンで、どのように活用していくのか?

実際にはもっと細かく章立てしたものを作成していくが、ここでは簡易的にわかりやすくしたものをサンプルとして掲載している。

【○○社(事業・部署)が抱える課題】

現在、離職率が悪化し、採用に必要なコストが増えてきています。離職はコスト的な影響だけでなく、新入社員の比率が高く、作業をやらせながらフォローをせざるを得ない状況を生み、そのことが労働品質・生産性共に減少し、業績に悪影響をもたらしています。また現場では「人の入れ替わりが激しいので、教えるより自分が手直ししたほうが早い」という意識が強くなっており、社員の定着率を高める取り組みが上手くいっていません。

【作成すべき項目概要】

そこで【意欲の高い新入社員を特定するための項目】と【意欲の高い社員に共通する満足項目】の2つを軸としてアンケート項目の作成を検討しています。その理由は、意欲が高くやる気のある新入社員を増やすということは、既存の現場社員にメリットがあることであり、「指導をしても辞められてしまう」という感情を抑えることを目的としています。そして、意欲のある社員に共通する要素をリサーチすることによって、定着率を向上させるためのキーファクターを明らかにします。

【数値の運用】

意欲の高い新入社員を特定する項目に関する集計結果をレポートにまとめ、会議や社員に配布する資料として活用し、意欲の高い社員を増やすための条件を全社員で共有します。その後で、新入社員個別の不満データを活用して、指導担当となる不満解消に取り組んでもらいます。このデータテンプレートに関しては3カ月おきに簡易版を使って満足度の比較を行い、指導やコミュニケーションの改善のために活用します。

特に【数値の運用】はイメージしづらいかもしれないが、先に出力されるレポート仕様や用件定義は必ずしておこう。

  • ○○を検討する際に使えるデータ
  • ○○が□□する際に参考となるデータ
  • ○○のオペレーション時に活用するデータ

収集したデータを、誰が、どのようなシーンで、どう活用し、どのような成果を目指すのか、全体像を先に決めておけば、「アンケートを集計し、報告書としてまとめるだけで、データを活用せず終わった。」という事態だけは避ける事が出来る。

STEP2.従業員満足度調査項目設計とサンプル例

ゴールが明確になれば、自社のESで作成すべき項目全体像の設計に入ろう。

2-1. 従業員満足度調査アンケートにおける3種類の項目

ESサーベイは、作成したい数値、運用目的によって作成すべき項目は変わる。従業員満足度調査で使われる項目を大きく分けると以下の3つだ。

解決指標:業績・課題を解決するためのオペレーション指標を作り上げたい

心理指標:社員のモチベーション・やる気の程度を数値化したい

原因指標:取り組み・指示・指導による社員の変化を可視化したい

人事評価・考課を設計したいのか、研修の効果を可視化したいのか、現場管理職のマネジメント力を高めたいのか、コミュニケーションやチームワークを高めるために利用したいのか、数値をどのシーンで、どう使うのかを先にイメージしておこう。

2.1.1 解決項目:人材育成や社員の意識を変える数値を作りたい

  • 給与や待遇がいいから自社を辞める気はない。
  • 職場の人間関係がよく居心地がいいので自社が好き。
  • 成果にこだわり、試行錯誤して仕事をしている

上記の要素は、どれも従業員満足度の高さを示している。

従業員満足度施策の目的は、従業員満足度を上げる目的だが、それは業績につながる意識や考えでないといけない。また成果を出すことに興味はあっても、課題が離職であれば、「それは辞める奴が悪い」と考えを持つ社員もいる。つまり、「○○の課題に対して、この社員は、□□の考えを持っている、あるいは行動が出来ているので、従業員満足度が高い」といったように、業績につながる意識をしっかりと定義する事が重要になる。

従業員満足度施策は、自社が改善したい課題や目標を達成するために、その意識や努力を引き出すには、どういった社員心理が関わっていて、それに関する満足度が向上すれば課題や目標は達成される、という流れを抑えなければ成果には結びつかない。

あなたは従業員満足度が高い社員、低い社員をどうやって普段判断しているだろうか?

あなたの期待に応えたい、あなたが求める成果を出したい、と心の底から思い、試行錯誤を熱心に行い、勉強する姿を見て「あの子は非常にやる気があるな」、「あの子のような部下を増やせれば」と思ったのではないだろうか?

つまり、従業員満足度とは「成果を出したい、会社に貢献したい」という職場や会社に対するロイヤリティや成果コミットメントの強さだといえる。

そして、そのロイヤリティ・コミットメントの高低を数値化するための項目が解決項目だ。

私たちのクライアントの例では、これらの項目だけのアンケートでも「職場の社員の考え方や行動パターンが一覧でわかるので、それぞれの社員に対する指導内容がわかります」や「これまでは部下の考えや行動が変わっていないのに、指示や指導をしたからやってくれるはずだ。と思い込んでいました。」などの声をいただけている。

解決項目で作成すべき項目のリストアップ方法

業績改善につながる従業員満足度を測るための項目案のリストアップ方法に関して、いきなり項目のライティングをするのではなく、まず簡単な言葉で箇条書きに思いつく限りリストアップしよう。

リストアップの方法はネガティブな思考でもポジティブな思考のどちらでもいい。

不満から入った方がアイデアを出しやすい人、要望からはいった方が思いつきやすい人など、アイデア出しには、個性があるのでやりやすい切り口から入ろう。後で、ライティングを施すので、どちらに偏っても問題はないので、難しいことは考えずにひたすらアイデアを出していこう。

A:「してほしい」事をイメージしてキーワードを抽出する方法

ポイントとしては「○○ではなく□□」、「○○なので、□□」といったパターンで書き出そう。

  • 時間や努力でなく、数量・金額など、時間効率で物事を考えられる
  • 何に困っているか他人からわからないので、自分から質問しようとしてほしい
  • 「私なりには」ではなく「あの人のように」など、客観的に考えられる
  • 自分の作業だけでなく、周囲の作業や進捗に注意を払える
  • 自分の作業を優先するのではなく、職場全体での作業を優先できる

B:「できない」事をイメージしてキーワードを抽出する方法

  • 目標を与える、指示、指導をすれば「反論」か「出来ない理由」ばかりを考える
  • 毎日同じ手順、段取り、スピードで、進歩がみられない、教えてもやり方を変えない
  • 間違っていることにそもそも気付かない、いくら伝えても自己判断を優先する
  • 自分が動くばかりで、相手を動かしたりなどの役割分担が出来ない
  • 自分が出来るからといって、相手にもできるはずだ、という押し付けをする

課題に応じた行動・考え方のサンプル例

以下のリンクからは、作業力・連携・マネジメント力という3つの観点で重要となる能力・考え方・姿勢を紹介している。是非参考にして欲しい。

従業員満足度調査における適正項目数はどれくらい?

よく従業員満足度調査の項目は、「何項目ぐらいあれば十分ですか?」という質問をされる事が多いが、あれもこれもとよくばれば100個でも足りなくなる。目安としては、1つの経営課題やリサーチテーマであれば、30項目から50項目くらいがベストだと思う。

それ以上作ろうと思っても、似たような項目を複数作成し、重複が起きるし、逆に少なければ「向上心がある」などの抽象的な項目になりやすくなる。上記の行動項目では、具体的であればあるほど、数値を用いた改善がしやすくなる。

なぜなら「社員Aはこのスコアが低いので、○○の能力・考え方を身につけさせてください」といった指示ができるようになるからで、逆に具体的でなければ「向上心が低いみたいなので、向上心をもてるようにしてください」といった現場任せになってしまう。

これではESアンケート調査をする意義が全くなくなってしまうので、項目のリストアップは、「これ以上具体的にかけない!」と思えるまで徹底的に細かく丁寧に書き出そう。

2.1.2 心理項目:社員の現在の心身の状態を数値化する

人間である以上、業務には心身の健康状態の影響を強く受ける。

優秀な人、意欲の高い社員がいつでも最大パフォーマンスを発揮し続けられる訳ではない。上手くいかない日、モチベーションが上がらない月など、1年単位で見れば成果を出している人も、瞬間的に見ればモチベーションには高低が存在する。

その最たるものが厚生労働省が義務付けているストレスチェックで、あなたもストレスに関するアンケートを受けた事がるはずだ。ストレスチェックに関してこちらから厚生労働省のストレスチェックのページに飛べるので興味がある方は目を通しておこう。

マネジメントでの成果は「指示をした」・「指導をした」・「マニュアルを作った」ではなく、相手が自分の意図通りに動いたか?という行動成果だ。マネジメントでは、正論や論破というのは単なる自己満足に過ぎない。なぜなら、そう感じた相手が「あなたの言うとおりです」、「私の考えががらりと変わりました」ということを心の底から思うはずがないからだ。

だから、正論や論破というのは、ネットでの動画や国会や学会、エンターテイメントでのディスカッションでしか成り立たない。

もちろん厳しく接することは必要なことで、「相手が自分のために怒ってくれている」と感じればモチベーションにつながるし、人によっては優しい言葉しかかけない人を胡散臭いと感じる人だっている。厳しい指導をするにしても、その後のフォローや改善するためのアドバイス・手助けは怠ってはいけない。

心理項目:総合モチベーションの活用例

不満が蓄積し、日常的に固定されてしまった総合的モチベーションと呼べるこの項目の理由方法としては、行き過ぎた指導や指示がモチベーションを下げる結果となっていないかを判断することに役立つし、定期的に実施することで、部下が潰れてしまったり、辞めよう。という考えに至るまえの信号として役に立つ。

退職面談や引止めは、モチベーションが下がりきった状態では成功率は1割もあればいい方で、不満がたまりだした段階でいかに事前に察知し、それを吐き出させる早期対処ができるかどうか、が重要なポイントとなるが、定期的に全社員に面談をすればかなりの時間コストと労力が必要になる。

そこで定期的にESをすれば、面談の必要性があるかをスコアの社員一覧で知る事が出来るので、対象者を絞ってコンパクトに実行できる。また実績もあり、能力のある指導者や管理職に対して「あなたの言うことは正しいし、間違っていない。だが社員たちのモチベーションを下げる事は正しいといえるのだろうか?」と説得するツールとしても使える。

マネジメントで難しいのは、論理性や根拠としての正しさと人を動かすことの出来た結果はイコールにならない場合があるからだ。「私は間違っていますか?」と言う優秀な人は非常に多いが、「理屈としては間違っていないが、管理者(部下を動かす立場の人間)としては間違っている」という思考の変換を与えることは出来れば、元々優秀な分良いマネージャーになる人は多い。

総合モチベーションの項目例

具体的な項目例としては、ストレスがたまっている、自信を失っている、モチベーションを維持できない人に共通する要素とは何か?をリストアップしよう。注意点としては、給与に不満があるからと言って、モチベーションが低い、仕事に手を抜くようになるとは限らないので、部分的な不満ではなく、総合的なモチベーションを表す切り口を考えよう。

  • 自分の(学習)能力や知識は、周りのメンバーに劣っていると思う
  • 毎日、出勤時間が迫ってくるのが苦痛でたまらない
  • 上司は自分に期待をしてもいない、人間的に好かれていない
  • 職場のメンバーで自分に好意的に接してくれる人はいない
  • 自分に出来ないことを回りから求められる
総合的なモチベーションを測定する従業員満足度調査無料テンプレート

ストレスチェックなどをご覧になられた方は、これで本音で回答するのだろうか?と思われた方がおられるかもしれません。

そこで現在RABLEでは、業界・業種・採用形態を問わず、総合モチベーションを測定する簡易的な24問のテストを無料公開しています。本音を抜き出すためにライティング、測定概念を工夫したものになりますので、是非参考にしてみてください。回答フォームは以下から。

この24項目に関する概念解説と項目ライティングノウハウについて以下のページで行っています。是非参考にしてください。

詳しくはコチラ

2.1.3 原因項目:モチベーションに影響する外部要素

自社で改善したい課題、達成したい目標につながる満足度に関する項目が出来れば、最後にその満足度に影響する要素について考えていこう。

上記で「やりがいを感じている」という満足度を高めたいと設定したのであればそれに紐づく要素は、業務の専門性や難易度、責任感といった要素になる。逆に「成果意識が高い社員」としたのであれば、上司の能力やチームワーク、裁量権などの要素になる。

つまり、引き出したい考えや行動が変われば、それに紐づく要素は当然変化する。

もちろん、給料や待遇など全テーマに共通する要素もあるが、基本的には課題にフォーカスした不満・満足度要素をピックアップするようにしよう。

  • 給与に対する不満
  • 待遇に対する不満
  • 職場環境整備に対する不満、
  • 福利厚生に対する不満
  • 上司に対する不満
  • 同僚に対する不満
  • 仕事内容に対する不満

2-2 . 従業員満足度調査アンケート項目を具体的にリストアップする方法

上記の不満・満足度要素について、「上司に対する満足度」を例に更に細分化して考えてみよう。

あなたは上司に対してどれだけ満足していますか?では、回答者は、上司の人柄をイメージしたかもしれないし、業務能力を重視するかもしれないし、人によっては、指導力を重視するかもしれない。

  • 評価に主観や好みが入っておらず、納得・妥当できると思えるものだ
  • 上司の指示は的確で信頼でき、指揮官として有能であると思う。
  • 上司の指導は秀逸で、コーチとしても優れていると思う。
  • 上司の人員配置は的確で、職場メンバーの能力が全て頭に入っている。
  • 上司が掲げる目標はいつも、今の職場でも努力次第で達成できる現実的なものばかりだ。

実際にはマネージャーに求められる役割・能力は30項目以上になる。満足・不満をより細かくリストアップするコツは、結果ではなく、過程をイメージすることだ。上司に対する満足度であれば、上司が果たす役割には、どういうアクションや業務、コミュニケーションがあるのかをまずイメージし、1つ1つの行動をイメージしてそれを箇条書きに書き出していこう。

2-3. 従業員満足度調査アンケート項目を具体的にリストアップする方法

またもう1つのコツとして、多角的な視点から物事を考えるというものがある。

人事考課を例として「人事考課が機能しない理由」を議題としよう。

  • 現場で重要な技能と能力が人事考課の査定基準となっていない。
  • 人事考課が比率ではなく、ボリュームによる評価で、店舗の立地条件が考慮されていない。
  • 現場管理職が人事考課を権力、部下を無理やり従わせる力として運用してしまっている。
  • 人事考課を正しく評価しようとしているが、そもそも適切に業務努力や採点をできる眼がない。

上記のように、なぜ?を考えると漏れなくリストアップしやすくなる。

経営学におけるノウハウの正体とその質について

まず具体的な項目のライティングの入る前に、上記のように必要な項目数を徹底的にリストアップしよう。ここまでご覧になられたように、突き詰めて考えれば、上司の満足度というテーマ1つでも、それを分解していけば数十項目になる。だからこそテーマを決定して、リサーチミッションを決めておかなければ、項目数はすぐに100以上を越える。

逆に、しっかりと分解されていなければ、集計した後に「So What(だから何?)」というデータになってしまう。

学者やリサーチャー、アナリストが専門家である理由は、分析テクニックではなく、複雑に絡み合っている結果をいかに最小単位の概念に分解できる能力にある。

より細かく出来ればできるほど「○○をしましょう。」と具体的な提案が出来る。それはセンスがあるからできるのではなく、最小単位のデータを作り上げれば誰でも出来ることであるからだ。逆にどれだけ実績があろうと自身の成功体験で突き進む人は打率は下がる。Aの会社で上手くいったことが、Bで上手くいく保証はないからだ。

数値化できないことは管理不可能といわれている。なぜなら、具体的な指示もできないし、成果の良し悪しも正しく判断できない。ES調査は、財務指標では可視化出来ない社員の心理や行動変化を数値に落としこむ手法であり、その質は、どれだけ数値を細かく分解できるかで決まる。

3 従業員満足度調査アンケート質問項目ライティング

作成すべきES項目をリストアップできたらいよいよ具体的なライティング作業に入ろう。。

3-1. 良いアンケートの集計結果とは?

アンケートで作成されるスコアは必ず作成者の意図通りに回答者が答えるわけではない。それは正解だと思われる選択肢を選ぼう、という意図もあれば、文章を間違って解釈してしまうライティングミスというケースも存在する。

  • 普段、思っていない、実際やっていないけれど、その選択肢を選ぼう。
  • 回答の強弱が難しい。適当に選択肢をバランスよく選んでおこう。
  • 上司が見るかもしれないから、この選択肢を選ぼう。

「こういったアンケートをしたので、社員たちの声はこうでした。なのでこういう施策をしましょう。」あるいは「○○部署(店)のマネジメントは上手くいっています」と判断するのは非常に危険だ。

ではどういった集計結果が理想だといえるのか?

もしも以下のような山なりの形”正規分布”とよばれる結果になっていれば、あなたの作成したアンケートは、高品質なライティングが出来ているといえる。回答が分散していればしているほど、誰もが自然に回答しているといえるからだ。

良質なアンケートの条件と定義

上記の表は、私たちが実際にクライアント企業で実施したものの例になるが、私たちのアンケートではどの項目でも1点を回答する社員がいる。それは悪いことではなく、そうなるようにライティングを工夫しているからだ。社員たちに上記で紹介した無料テンプレートを使ってみればお分かりいただけると思うが、「これまでにアンケートをしてきましたが、こんなに回答がバラけることはありませんでした」という声を多く頂ける事が出来ている。

良いテストとは、0点と100点がいないテストだ。

その理由は、高得点に偏りすぎたり、低得点に偏りすぎれば、差を出しにくく、同じ得点をとる人が続出し、実際には知識や能力の差が存在するのに、スコアが似たようになってしまう。

アンケートの目的は、高得点をとらせることではない。

業務態度や考え方、各種満足度という財務数値には表れない非財務指標と呼ばれる社員心理を数値化し、それをマネジメントすることであって、「社員の実際を正しく数値化できているか?」こそが従業員満足度項目の質を左右する。

3-2. 従業員満足度における3つのライティング

では具体的に上記のようなスコアが散らばる集計結果を出すことの出来る項目ライティングについてお伝えしよう。

アナウンスライティング

本音の声を集めるためには、「上司にデータを見られるかもしれない」という不安をなくそう。

そこでまずデータ運用と情報の秘匿を明記した【ES実施について】というアナウンス資料を作成しよう。そこに以下の要素を盛り込もう。

  • アンケート実施目的について
  • 回答方法と回収方法について
  • 回答データの是非について
  • 回答データ分析について
  • データの取り扱いについて
  • データの運用方法について

回答方法や回収方法

一番良いアンケートの回収方法はWEB媒体で携帯から回答できる形式だ。これが事務所のパソコンなら後ろに同僚や上司がいたりすれば、盗み見されているかもしれないという心理が働くからだ。紙媒体であれば回収ボックスを用意し、それを人事部や担当者が回収しに来るというオペレーションの工夫をしよう。

回答データの取り扱いについて

回答データや集計結果について、個人データは人事部や経営部だけが管理し、現場責任者に対する課題や人材育成目標の指示を与えますが、現場責任者が回答の特定が出来ないようになっています。回答者が不利益を受けないように細心の注意を払って運用します。などの社員たちが安心できるオペレーションを作り上げよう。

回答データの分析について

回答についてはスコアの高い、低いでは判断しませんが、明らかに高得点の選択肢ばかりを狙ったアンケート、一貫性のない回答をされていると思われる場合には、再検査になります。素直に感じた選択肢を選ぶようにしてください。など、本音で回答しても問題はないが、建前で回答すれば不利益をうける、というメッセージを伝えよう。

上記のようなライティングはその一部を紹介したもので、社員が素直に回答しようと思えるシチュエーションを作り上げる事が何より重要だ。アンケートをするとなった時に社員たちはどういう不安を感じるかを考え、それを解消するアイデアを考え、それをアナウンス文章としてライティングし、事前の周知をしよう。

選択肢ライティング

私たちRABLEでは、選択肢の両端にテキストをいれたABテスト形式をおすすめしている。

その理由は、質問文を読んだ時、人によって連想するものが違うからだ。それでは、回答が安定しない。以下のサンプルを見て欲しい。

    Q1.あなたの上司の指導・発言内容に対して、どう感じていますか?

    発言・指導内容に対して
    根性論や精神論だと感じる瞬間がある
    L4
    L3
    L2
    L1
    私が指導される内容は
    合理的で納得いくものだ
    R1
    R2
    R3
    R4

    上記のテキストがあれば、誰もが上司の【合理性・根拠性】に対する満足度を連想する。もしテキストがなければどうだろうか?

    話し方が柔らかい、親身になってくれることを連想するかもしれない。これが前章で項目を分解して考えることの重要性で、上司の発言内容1つとっても、そこには感情的要素と合理的要素に分かれる。テキストを配置することで、誰もが同じ事を連想させる事が重要だ。

    質問文ライティング

    2章で作成した項目案に基づいて、選択肢が出来れば最後に質問文を調整しよう。

    ABテストにありがちなのが、どちらの選択肢も正解だと思われる場合だ。そこで必ずこういった状況なら、こういった観点であれば、という前提条件を付与しよう。

    誰もが、そういった観点であれば、確かにそちらの選択肢が正解だと思えるようにテキストを工夫しよう。

    4.従業員満足度調査運用

    ここまで徹底して思い付きではなく、項目の細分化の重要性についてお伝えしてきた。それはESデータは作成するものではなく、運用するものであるからだ。最後に高品質な項目はいかに自社のマネジメントに貢献するか?をお伝えすることにしたい。

    4-1. 高品質なアンケートは見た人の心に訴えかける

    私たちRABLEでは匿名ではなく、必ず氏名を記入する形式でアンケートを行っている。だからこそ、本音で回答させるための工夫を凝らしている。その理由は、個人が特定できなければ、実際のマネジメントに活かせないからだ。

    4-1-1 社員のロイヤリティ・共感を引き出す個人レポート

    現場社員にとって、会社の代弁者は現場管理職だ。会社愛や忠誠心というのは、一般的に上司を通して生まれるものであり、中間管理職のマネジメント能力をいかに高めるかが重要であるが、直接、会社と社員(アルバイト)をつなげるものが資料だ。

    緻密に練られたアンケートは、データを見るだけで共感を得られるレポートを作り上げる。

    データからあなたはこういったスコアが低く、こういったことを感じていませんか?自社ではこういった職場作りを目指しており、○○さんが、こう感じられる事が出来る環境を作り上げたいと思っています。逆に、○○のスコアの得点がよく、○○さんが□□で活躍している姿がイメージでき、これからも一緒に○○を作り上げていきましょう。

    上記のものはあくまで簡易的な一例だが、数値を通して、社員が考えてそうに対する理解を会社が把握していることを伝える事は社員たちの心を動かすことにつながる。

    数値は作るだけでは意味がなく、その数値が意味することをメッセージと変換できて始めて相手を動かす。

    4-1-2 メンバーの思考を誘導し建設的な話し合いを生む職場レポート

    それは会議や職場での話し合いでも同じだ。

    「まずこの数値を見てみましょう。」それだけで思考を限定される。数値がなければ、「それも確かに一理ある」といったように全てが正論となってしまうが、「今はこの数値に関する話をしましょう」といったように論点が発散することを防ぐ。

    そして「次にこの数値を見てみましょう。これは全メンバーで協力しなければ実現できないことだと思いませんか?」と数値を見せれば「それは自分には関係ない」と逃げることはできなくなる。それは数値があるからだ。

    「では全メンバーでこういうことをルールにしよう。こういうことに取り組んでみよう。というアイデアだしをお願いします」

    上記のように、事前に数値があれば、会議は短時間で有意義なものになる。それは数値を事前に作り上げ、数値とメッセージを連動させ、会議のストーリーを作り上げているからだ。単に数値を羅列した物が会議資料とはならない。

    資料というのは、思考を誘導し、メンバーの意思を統一し、前提条件を共有した上でアイデアだしを行わせる政治ツールであるといってもいい。好き勝手に発言するのがいい会議ではなく、絞られたテーマに対して、建設的・協力的な意見をみんなで出し合えるのが良い会議の本質だ。

    そのためには数値と数値に紐づくストーリーが必要となる。

    4-1-3 客観的な事実に基づく会社レポート

    全体的な視点を持つには難しい。どうしても実績のある社員や声の大きいマイノリティに流されてしまうからだ。

    会社全体では、平均点よりも分散というものに注目し分析をする。分散というのは回答の偏りだ。

    • 平均点は高く、回答が偏っている
    • 平均点は高く、回答が散らばっている
    • 平均点は低く、回答が偏っている
    • 平均点が低く、回答が散らばっている

    基本的に改善対象となるのは、「平均点が低く、回答が偏っている」ものだ。これが意味することは全社員に共通する不満であるということだ。回答が散らばる要因というのは、ある役職のみ、特定の部署に共通する課題などがある。

    もちろん役職、部署、採用形態別など、そこから細分化し、レポートを作り上げていくが、回答傾向をしっかりと見ていくことで、単にスコアが高い、低いというものに惑わされず、共通課題の発見に役立つ。

    4-2. 高品質なアンケートはマネジメントを改善する

    では次にレポートではなく、成績表としてのESの活用例についてみてみよう。

    4-2-1 マネジメント課題を明確にする

    最小単位で分解された行動や考え方に対する数値は、マネジメント課題をそのまま抜き出してくれる。

    匿名でなく、社員1人1人に紐づいたデータは、職場での役割、役職、任せたい業務、キャリアに合わせて、今どのような能力や考え方が不足しているのかがわかるし、社員のデータに合わせて仕事の割り振りを変えることもできる。

    チームビルディング、人員配置、人材育成のためのデータとして役立てる事が出来る。

    4-2-2 マネジメントの優先度を明確にする

    またスコアを見る上で以下のような使い分けをすることも可能だ。

    • 現在の役割から考えて未熟な社員の育成をする。
    • チーム状況から機能していない役割に適正のある社員を集中して育成する
    • 期待している社員を次のキャリアステージに上げるための指導をする

    人材育成は同時には出来ないし、まず誰から指導するのかの優先順位をつけないといけない。それらチーム単位の育成戦術をスコアがあることで、報告書として残す事が出来る。チーム状況として、パフォーマンスが低いのであれば、まず上手くいっていない部分を強化する事が優先すべきことだし、チームに余裕が出てくれば、チームの層を厚くしていく事が重要になる。

    4-1-3 マネジメント力を高める

    社員の質を高める上で経営者が判断しなければいけないことは以下のものだ。

    • マネージャーに適切なマネジメント力がない。
    • 業務におわれマネジメントをしている余裕がない。

    多くの会社は、現場の業務をこなしながら指導をしないから社員の質が上がらないと思い立ちだが、社員たちはやる気があり、改善意欲があるにもかかわらず、現場の声を上に上げない、自分の意見を押し通す管理職は非常に多い。管理職のマネジメント力は十分なのか?をESによって数値化し、評価ツールとすることでマネジメント力を高めることから始める事が重要だ。

    裁量権を持つのはあくまで上司だ。現場社員がいくら優秀で、意欲的でも現場を変えることはできない。マネージャーの資質をESを通じて、数値化することはESのメリットの1つといえる。

    4-3. 高品質なアンケートはマネジメントは戦略を決める

    最後に施策や制度運用についての運用をみよう。

    4-1-1 定量分析のメリット

    これをするには分析ノウハウを必要とするが、業績に与える影響というのは、当然、偏りが出る。業績に直結する要素もあれば、業績にはつながるものの効果が弱い満足度だって存在する。全ての満足度が等しく業績に影響を与えるということはありえない。

    業績を上げる上で重要なのは、以下の3点だ。

    • コストがかかる満足度、コストが余りかからない満足度に区別する
    • コストが余りかからず、業績への貢献度が強い満足度を選定する
    • 選定した満足度を高める施策内容を計画する

    もちろん最終的には、様々な福利厚生やキャリアを用意していくが、業績を上げるにも順番がある。生産性が上がり、コストが下がり、利益率が上がれば、黒字体質になり、資金も潤沢になる。そうして利益を出しやすい体質に変えていく投資効率が成功の鍵を握っている。これらを分析するためにもESを企画する段階で業績指標を選んでおくというのは非常に重要な工程だといえる。

    4-1-2 実行する前の事前調査

    ESの項目作りにおいて、自社で検討している課題や実行しても良いなと思われる制度に関するニーズを項目に入れておくことで社内ニーズを知ることも出来る。

    本当にそれは臨まれていることなのか?実行するにしても、その制度や案の中で重要な要素とは一体何であるのかに関する仮説項目を混ぜ込みんでおけば、施策内容を決定する際の強いデータとなる。

    まとめ

    従業員満足度について皆様が知りたいのは、項目の具体例だと思う。

    • 多くの会社で使っているテキストを見て参考にしたい。
    • 従業員満足度の代表的な不満・満足って何?
    • サンプルテンプレートは入手できないだろうか?

    そういったニーズがあることは当然知っている。

    私たちに依頼してきたクライアントの実に9割が、以前自社、あるいは業者で従業員満足度調査をしたことがある会社ばかりだ。だからこそ、目的や課題が変われば、適切な項目や出力するレポート、報告書、成績表、会議資料というものは変わる。

    • あなたの会社で解決したい課題は何だろうか?
    • その課題を改善するための行動は何で、どのような考え方なのだろうか?
    • その行動や考え方には、どういった社員心理が紐づいているのだろうか?
    • 社員心理のマネジメントするには、データをどう加工するのが適切だろうか?
    • 加工した資料を社員に読み聞かせるにはどういった演出が適切だろうか?

    上記のようなことをRABLEでは全て考えた上で、必要な項目を選定し、ライティングし、分析して、デザインに落とし、それにテキストをつけて、具体的な施策オペレーションを考え、クライアント企業で運用してもらい、その進捗を定期的にESを反復して成果を可視化して、改善できるまで継続してもらっている。

    ESはあくまで数値化ツールに過ぎないし、ESを実施するという行為そのものが目的とならないようにしよう。

    あなたたちを何を知りたいのか?何を知る事が出来れば業績は向上すると思うのか?

    それを丁寧に1つずつ紐解いていけば、どのようなES項目を作ればいいのかは自然に見えてくる。

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