従業員満足度

従業員満足度調査の目的設定が重要!失敗事例とサンプル項目で解説

従業員満足度調査の目的を、従業員のやる気を高めて、売上を上げることや、離職率を改善しコスト削減することだと認識している方は多いだろう。

そこで、従業員満足度調査を実施することになり、「上司に対する満足度はどの程度ですか?」というような質問項目を作成して従業員満足度調査を行い、回答を集計しても、「...このような結果を知っても、売り上げを上げることも、離職率も改善できない。」という結果になっていないだろうか?

目的も理解しているはずなのに、何が原因でズレたのかわからない。とご相談いただくことも増えてきている。あなたも同じように悩んでいないだろうか?

そこで、当記事では、このような悩みを解消するためのコツやポイントを、具体的な従業員満足度項目のサンプル事例を交えて、できるだけ丁寧でわかりやすく解説しようと思う。

専門的な用語も少し出てくることがあるが、わかりやすく伝えるために、この1つの記事を読んでいただくだけでも十分に価値があると感じていただける内容としてご紹介していきたい。

当記事は、データの品質や運用そのものを左右する根幹部分であるので、最後まで読み進めてから具体的な項目作成や調査会社への依頼の際の参考にできるようになるだろう。

1.従業員満足度調査が研究され続ける理由

まずは、従業員満足度調査を多くの企業で実施している理由とは何なのか?

1.1 従業員満足度(ES)はマネジメントの研究が基礎にある

従業員満足度(Employee Satisfaction)とは、経営心理学・行動心理学・、組織行動学でベースとなる考え方だ。これらの学問では、人の行動は何らかの心理に基づいていて、心理を変えることによって行動を変える、つまりマネジメントできると考え、そのノウハウを研究してきたとうい経緯がある。

特に、従業員満足度はマネジメントの研究において、最も代表的なものであるといえる。

例えば、従業員満足度が不満状態になれば、「指示されたこと以外やらない」、「自分にできる最大限の努力をしない」ことからはじまり、「隠れてさぼる」・「上手に手を抜く」等の問題行動をし、最終的に離職してしまう。

逆に、従業員満足度が満足状態になれば「指示された以上の成果を目指す」。「こだわりを持って仕事をする」、「チームに貢献しようとする」など、期待以上の行動をとるようになる。

これを一般的に内発的動機付けと呼び、外発的動機付けで社員をコントロールしようとするのではなく、自ら興味や好奇心、やりがい、責任感を持って仕事をしてもらう事が成果をもっとも出しやすいということであり、これまでの研究でも明らかになっている事柄だ。

「好きこそ物の上手なれ。」ということわざがあるように、積極性や学習意欲、改善意欲、成果意識というものは、やる気というものに非常に依存する。

1.2 従業員満足度調査(ES)とはデータに基づくマネジメントの改善方法

続いて、従業員がどの程度満足しているのか?ということを知るための従業員満足度調査について、簡単に解説しておこう。

従業員満足度調査をする目的は、社員たちのどういった満足度を高めれば、行動の質や頻度を改善できるのかをリサーチすることによって、データに基づく改善をするための手法であるといえる。

多くの会社では、わが社の従業員は、〇〇という行動をすべきだ。という”べき論”がベースとなって、社内の規律を高めようと考えている傾向がある。

例えば、社会人として働く以上は、身だしなみは清潔にすべきだ。や、わが社の社員として働く以上は、SNSで会社の悪口を書くべきではない。など、暗黙の了解とも言える”べき論”が固定観念として根付いていることが多い。

しかし、あくまで従業員満足度は”べき論”で高めるものではなく、○○の行動をとらせたい、○○の行動の質を高めたい、○○をもっと意識するようにして欲しい、といったように、結果を改善するために会社側・マネジメント側が狙いを持って対処するものでなければいけない。

具体的には、社員たちの不満要素にはどういったものがあり、行動してくれないのだろう。と考えることや、社員たちは何に満足すれば、〇〇の行動を意識してくれるのだろう。と考えることにある。

それらを知ることから始まり、どのような行動を高めるために、どのような満足度を高めなければいけないのか?どのような不満を解消することで、意識を共有できるのだろうか?ということを考え、そのような改善を繰り返すことで人材の質を高め、社内文化を形成し、社員の行動や意識を変えることで、業績を改善するためのヒントを得ることこそが従業員満足度調査:ESを実施する目的となる。

次章ではなぜ多くの企業が実践している従業員満足度調査が現場の改善に活用できないでいる理由について解説しよう。

2.従業員満足度調査において最も重要なのは目的を設定すること!

従業員満足度調査だけではなく、あらゆることに関して戦略(目的)を持って検討、実施する事は成功する上で最重要要素といっても過言ではない。

多くの人は、従業員満足度と聞くと「満足度にはどのような種類があるの?」や「不満に感じている社員を発見するためには?」ということを知りたがる事が多い。

結果的に、マズローやハーズバーグの理論など行き着き、それらの理論を検索した人も多いことだろう。

しかし、実務と理論は全く似て異なるため、納得したとしても、結局は机上の空論というか現実的ではない。と感じた人も多いのではないだろうか?

もちろん古典の本質を知り、先行研究を理解することは経営学を深く理解するうえで重要だが、施策を立案するデータを集める調査として適切ではない。全ての調査は、これからあなたの会社でする施策の成功のヒントを探るものでないといけないからだ。

では、ここからは、わかりやすい内容で従業員満足度の目的を設定することに関する解説をおこなっていこう。

2.1 よくある従業員満足度調査目的の間違い事例3選

では、従業員満足調査の目的をしっかりと定義せず、闇雲に実施したときに発生する3つの事例についてみていこう。

2.1.1 従業員満足度調査の項目を作成すればマネジメントの課題を発見できる

あなたは、そもそもどのような課題や問題意識を感じて、従業員満足度に興味を持ったのだろうか?

以下に、少し事例を出してみよう。思い当たる内容はあるだろうか。

  • 品質を意識して、怒られたり、監視されなくとも、こだわりをもって作業して欲しい。
  • 指示されなくとも、自分で考え、自主的に働けるようになって欲しい。
  • 指示したことは守り、報・連・相をしっかりと行ってほしい。
  • 不満に思うことがあれば、それを口に出して共有し、改善案を考えるようにして欲しい。
  • 自分がよければそれで良いということではなく、チームワークを意識するようにして欲しい。
  • 改良や改善など、会社を良くする提案やアイデアを発するようにして欲しい。

上記の他にも様々な事が考えられるが、あなたは職場の社員たちの考え方や行動を見て、「このままでは駄目だ。もっとこうなってもらえないだろうか」と思っていることがあるだろう。

もしも、あなたが上記の全てが課題であり、それらを従業員満足度調査で明らかにしたい。と考えるのであれば、ここから、何をテーマにするべきか?ということまで掘り下げて考えなければいけない。具体性が重要なポイントだ。

例えば、指示されなくとも、自分で考え自主的に働けるようになってほしい。という内容は、社員に自発性を求める。内容であるが、同時に、指示したことは守り、報・連・相をしっかりと行ってほしい。という内容は、社員の規律を求めている。

ここで、重要なポイントは、どのような事柄に関しては裁量で動いてほしいのか?どのような事柄に関しては指示に従ってほしいのか?というように、具体的な内容に落とし込まなければいけない。ということだ。

マネジメントで失敗している企業に多いのは、具体性に欠けることが多く、どのような業務については、裁量で動いてほしいのか?どのような場面では、規律を守らせたいのか?ということを明確にできていない。

結果的に、両方を求めれば従業員は業務で混乱してしまうために、上司のマネジメントに対して満足度は低下してしまう。

つまり、従業員満足度調査を行う際に目的を決定するということは、普段の業務で何を求めているのか?ということを具体的な言葉に置き換えることから始まるということがご理解いただけるだろう。

2.1.2 現場で運用できない施策は、従業員満足度が低下する

「以前、従業員から有給休暇を増やして欲しいという意見が多かったので、有給休暇を増やしたのですが...未だに有給休暇に対する不満が出ているんです。いったい、どうすれば満足してくれるのかわからない。」というような相談をしていただくクライアントが多い。

原因を探るために、RABLE式の従業員満足度調査を実施すると、実際にそのような有給休暇の制度を運用できる余裕がないのにも関わらず、有給休暇が欲しいのならば、そのような制度を作ろう。というように、深く考えずに制度だけを作ってしまった。というケースに出会うことがある。

では、なぜ、有給休暇の制度を作っても従業員から不満が発生するのか?ということについて考えてみよう。以下が、実際の現場から発生する不満の一部だ。

  • 休みはもらえても希望する日時・曜日に休めない。
  • 休みは取りなさいと言われるが、人員(シフト)を考えると休みたいと言えない状態だ。
  • 休みを取りたいが、そうすると、後任の社員を教えている余裕がなくなってしまう。
  • 休みを取れと言われるが、休み明けに出勤するとグチャグチャになっていたり、代わりに担当してくれた社員の働きぶりに関する愚痴を聞くことになり休もうとは思わない。
  • そもそも上司や同僚が休まないので、自分が休みたいと言える空気でない。

つまり、上記のような不満を抱えているため、有給休暇の制度があるにも関わらず、有給休暇が欲しい。という意見が後を絶たないのだ。

実際には、有給休暇という制度が欲しい。という意味ではなく、有給休暇を安心して取れるような状況にして欲しい。というように、従業員の気持ちが反映されていることがわかるだろう。

従業員満足度調査とは従業員の気持ちを知るためのツールであるため、制度を作っただけでは見えない現場の状況を知る。ということが可能になる。これらの不満要因をもとに調査をすれば、実際に従業員が満足する有給休暇の制度を運用できるようになっていく。

2.1.3 従業員満足度調査の項目は100項目を軽く超える

しかしながら、有給休暇の制度について質問するだけでも、細かく細分化していけば、1つのテーマでも項目が増えてしまうことになりかねない。当記事の最後に紹介しているが、従業員の不満・満足度要素を細かく挙げだすとその数は100~200以上にもなる。

例えば、「上司に対して満足していますか?」というように、上司に対する満足度を知りたい場合を考えてみよう。

このままでは何の満足度かもわからないし、上記の質問を【部下が行う上司の評価】として評価制度に組み込めば問題が発生する。

例えば、部下に対して一生懸命接しているのに、ただ、厳しいというだけで低得点をつけられるかもしれない。そのような感情的なスコアになってしまえば、上司と部下のパワーバランスが崩れてしまう。

それを防ぐために、以下のように項目を細分化し、感情的な反応による回答をなくす工夫をしなければいけない。

  • 上司の行う指示はいつも適切で業務を円滑に進められるものだと思いますか?
  • 上司は常に状況に対して柔軟で迅速に対応する力があると思いますか?
  • 上司の指示や指導の説明はわかりやすく、意図を理解する事がしやすいですか?
  • 上司の指示や指導には根拠・合理性があり、納得・賛同できるものだと思いますか?
  • 上司は常に冷静であろうとし、感情的に部下に接しないように心がけていると思いますか?
  • 上司の評価は常に公平で、公私混同をせず、能力や成果に基づいたものだと思いますか?
  • 上司は、努力している、成果を出した社員を評価するように上に伝えてくれていると思いますか?

上記のように詳細にできればできるほど、従業員満足度調査の結果は、どのような問題がその上司にはあって、その上司はどのようなことを改善すべきか?がわかるものになる。

例えば、「上司の指示や指導の説明はわかりやすく、意図を理解する事がしやすいですか?」という質問には、すべての部下が「満足している。」を付けたとしよう。しかしながら、「上司は、努力している、成果を出した社員を評価するように上に伝えてくれていると思いますか?」という質問には「不満に感じている。」という回答が多かったとしよう。

すると、該当の上司は、指導はわかりやすくて良いが、部下の努力を見ていないし、部下の評価も適正ではない。ということが見えてくる。

このように、テーマを絞ることで、現実のマネジメントにおいて指導できるツールやデータが用意できることがイメージいただけるだろう。

そのためには、従業員満足度調査を実施する際に目的を明確にしなければいけない。

以下のPDFでは一般的に考えられている代表的な84の不満・満足度要素を紹介している。是非、参考にして欲しい。

PDFを見る

2.2 テーマを絞って目的のある従業員満足度調査を実施しよう

この章の最後に、もう一つ重要なポイントをお伝えしておこう。

従業員の満足度とはあくまでも結果にしか過ぎない。現実的に普段の生活などでも【満足・不満足】という言葉をあなたも使うことは少ないだろう。

どちらかといえば、誰かの行動を見たとき、発言を聞いたとき、普段の態度から、「イライラする」、「呆れた」、「自分1人こう考えているのが馬鹿らしい」、「頑張っても無駄だ]という感情を持ち、「自分はこの会社(職場)に不満・満足している。」という総合的な気持ちになるだけだ。

つまり、満足度というのはあくまでも結果である。という言葉の意味は、いろいろなシーンで感じた感情が積み重なって、総合的に満足・不満足に分かれるということだ。

だからこそ、従業員満足度調査で使用する項目は、「満足していますか?」や「不満ですか?」といった言葉で質問するのではなく、「Q:あなたは上司の指示に対して、信頼していますか?」という問いに関して「納得できない場合がある」・「上司の指示はいつも適切だと思う」などの答えでなければならない。

質問項目と選択肢が現実に近ければ近いほど、その集計結果は、改善施策や課題発見のヒントになる。

3.従業員満足度調査と業績を関連させるための設計手順

では最後に2つの具体的なテーマとそれに対応する質問項目のサンプルケースを見てみたいと思う。

3.1 従業員満足度調査の目的が離職率であるケース

1つ目のケースは、「離職率や平均勤続年数が悪化し、採用・教育コストが負担になっているだけでなく、社員の質も落ち、生産性が悪化し、人件費率が悪化している。」という悩みを持っていたとしよう。

そこで実践すべき従業員満足度調査は以下のような表のものとなる。以下の表は調査項目企画の一部を抜粋したものとなる。

従業員満足度調査は大きく3つのパーツに分けて作成しよう。

3.1.1 テーマにあわせてどのような満足度を提供するか考えよう

1つ目のパーツである”A項目群”は、従業員満足度を高めるための要素となる。満足・不満足のベクトルには、「会社に対して」、「上司に対して」、「職場(同僚)に対して」という3つのものがある。

経営陣(マネージャー)がすべきこと、上司(現場の責任者)がしなければいけないこと、職場の社員1人1人が実践しなければいけないことの3種類に分類することで、回答結果を集計をした時に非常に参考できるものとなる。

あなたの会社では、テーマにあわせてどのような項目が考えられるかを検討してみよう。

3.1.2 テーマに関連する従業員満足度とはいったい何かを定義しよう

2つ目のパーツである”B項目群”は、そのテーマのやる気の正体となる。1章でも説明したとおり、テーマが変わればもちろんやる気の中身も変わる。

解決したいテーマにあわせて最終的にどのような気持ちを持って欲しいのか?どのような気分になってもらえれば、成果は変わると思うのか?ということを考えてみよう。

上記の例ならば「職場で孤立せずに、良好な人間関係ができているという気持ちを持つ社員は、離職せずに働いてくれる社員に共通することだ。」といったように、従業員満足度調査における仮説を先に検討する事が重要だ。

3.1.3 最終的な成果を確認するための行動項目を作成しよう

最後のパーツである”C項目群”は、従業員満足度調査の結果を参考にして行う施策の成果を可視化するために必要なものとなる。

従業員満足度はあくまで満足度を高める事が目的でなく、社員たちの考え方を変え、自社が求める高いレベルでの行動をさせる事が本来の目的だ。

だからこそ、社員たちにどのような考え方をもってもらい、どのような行動をさせていくのか?そして最終的に最初に設定したKGI・KPIの改善を目指す。という業績と行動と心理(満足)という3つの要素をつなぎ合わせる事が重要だ。

これらの項目は、特に従業員満足度調査において目的を設定しなければいけない重要な項目となる。

3.2 従業員満足度調査の目的が生産性であるケース

では、次に「業務の質、スピード、正確性を高めるために、もっと自発的にこだわりを持って働いて欲しい」という目的で従業員満足度調査を行いたいとしよう。

すると項目は以下のようにがらりと変わる。

目的が変われば当然、それぞれが提供すべき満足度も変わるし、最終的にどのような心理状態(総合満足度)にすればいいのか?というものも当然変わる。

そして推奨すべき考え方や行動もそれに伴い変化する。

それぞれの目的に合わせて、会社としてどのような環境を整備し、上司はどのようなマネジメントを行い、現場の社員たちはどのような態度・行動を心がけるべきなのか?それを体現するような項目になるように、しっかりと設計をする事が大切だ。

3.3 福利厚生や職場環境、人事制度などの項目を追加しよう

上記の3つの基本パーツができあがったら、自社で検討している人事施策に関連する項目(待遇面や福利厚生制度)、あるいは特に力を入れていきたいというポイントを項目に取りいれよう。

注意していただきたいのは、単に「給料に満足していますか?」というものではなく、「成果が評価や給与に反映されていると思うか?」「頑張っている社員を上司は平等にしっかりと評価出来る観察眼があると思うか?」などこれまでに伝えてきたように現実を抜き取るような項目を心がけて欲しい。

まとめ:従業員満足度調査でマネジメント課題を解決しよう

従業員満足度調査は、マネジメントの課題がどこにあり、どのような結果に変えたい!という目的で調査しなければ意味がない。ということをご理解いただけただろうか?

自社で従業員満足度調査を実施したい場合には、すぐに質問項目の作成に取り掛かるのではなく、まずは、どのようなマネジメントの課題があり、目標を達成できていないのか?

目標を達成できない原因の一つとして、従業員の意識や行動の課題を発見することからはじめなければいけない。ということを理解してから作成するようにしよう。

また、従業員満足度調査を依頼する場合には、提示された質問項目が現実的なマネジメントの課題を抜き出す項目となっているのか?そして、そのデータを集計しただけでもマネジメントの課題を解決できるものであるのか?ということを厳しくチェックしよう。

従業員満足度調査を単純な社内アンケートと捉えていれば、いつまで経っても組織を拡大できずに苦しむことになってしまうだろう。

ぜひ、本日の記事を参考に、あなたの会社に必要な満足とは何か?どのような目的で従業員満足度調査を行うべきか?を改めて考えていただきたい。

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