人材育成

人材育成計画の作成は難しくない!キャリアモデルに必要な4つ役割

人材育成計画

人材を育成したいが計画の立て方がわからない。あるいは、人材計画表を作成したものの抽象的で活用できるレベルのものではない。など、人材育成計画書をアップデートしたいがどこから手をつけていいかわからないという方は多いのではないだろうか?

クオリティの高い人材育成計画を練るというのは、一流のコンサルタントであっても難しい。もちろんそれっぽいものは作成することはできるが、会社の実態をきちんと反映していたり、その計画書を見ただけで、実際の現場での人材育成が見えてくるようなものを作ろうと思うと非常に難易度は高くなる。

そこで、人材育成計画を作成する際の明確な基準や、自社のキャリアモデルの作り込みなど、現状の人材育成計画の質を高めたいと考えておられるのであれば、当記事はあなたの助けになると思う。

ポイントさえ理解できれば、それほど難しいものではない。是非最後まで読み進めてみて欲しい。

1.人材育成計画書・人材育成計画表とは?

人事考課、採用計画(採用基準)、研修、現場OJTなど人材育成にあらゆる施策をする上で、人材育成に関するロードマップ”人材育成計画書”を作成しておくことで、ブレがなく、一貫した施策運用ができるようになる。

ではなぜ人材育成計画書を作成しなければいけないのか?

その理由についてみていこう。

1-1.人材計画書の作成目的とその目標となるゴール

人材計画書を作る主な目的は、人材育成のキャリア・パス、キャリア経路を明確にし、それぞれのキャリアで出来るようになって欲しい成果目標から逆算して、それぞれのキャリアで必要な能力・知識・思考を定義していくことにある。

つまり、漠然と「優秀な人材を増やそう」や「成果をリードできる人材を増やそう」などの抽象的なものではなくて、「○○の役職になるには○○の能力、□□の知識を身につけ、△△の判断が出来ないといけません」といった職務内容に能力を紐づけていくことにある。

なぜ業務内容と能力の紐付けをすることが重要なのか?

その理由をご説明しよう。

1-2. 人材計画書を作成しなければいけない理由

ほとんどの会社で昇進や昇格は、「今現在している業務成績」や「その業務の直属の上司」の評価を基準として行われる。

しかし、昇進や昇格すれば、責任や裁量権が変わり、仕事内容、職場で果たす役割もそれに合わせて変化する。一流のプレーヤーが、一流のマネージャーであるとは限らない。

プレーヤーであれば、自分の行動の質を高める事だけに専念できる。しかし、昇格して組織を動かす側になると以下のように様々なマネジメント能力を求められるようになる。

人材育成に必要な7つのマネジメント能力

  • まとめる力:意見を調整し、1つの方向に職場をまとめ上げる力
  • 動かす力:職場が目標を達成できるようチームメンバーの動きの管理・進捗把握
  • 見つける力:チームが抱える課題や成果を達成するためのキーポイントの発見
  • 育てる力:チームが目標を達成するために必要な人材を確保するための力
  • 引き出す力:現場から改善案や不満、要望などを拾い上げる力
  • 形作る力:出てきた要望や企画を現実的なものにブラッシュアップする力
  • 知る力:ライバル企業や市場ニーズの変化を察知し、対応する力

 

上記の他にも様々な力が存在するが、上記の能力は業務スキルとは全く別方向の能力であり、その能力は0ベースから習得していかないといけない。そのため、昇進・昇格した時、すぐにはその役割を果たすことが出来ないということになってしまう。

しかし、事前に役割と能力が紐づいていけばどうだろうか?

昇進・昇格させたい、見込んでいる人材に対して、「○○に君を推薦しようと考えている。しかし、そのためには□□ができるようになってもらわないといけない。□□ができるようになれば昇進が決まると思うから、これまでの業務と平行して、△△の役割をチームで果たせるようにこれからトレーニングして言って欲しい。」

その役割を果たすために必要な能力を身につかせてから、昇進させることができるようになる。

2.全体像を理解しよう|人材育成計画書(表)サンプルテンプレートの紹介

ではまず人材計画表とは一体どのようなものか?について見ていこう。この章でまず全体像をざっくりと理解し、3章で自社独自の人材育成計画書および能力評価シートの作成手順を解説していく。

2.1 人材育成計画書の全体像|キャリアマップの設計サンプル事例

人材計画書が一体どのようなものか?に関しては非常に良い教材がある。以下の図を見て欲しい。以下の図は、厚生労働省HPからダウンロードできる業種別”キャリアマップ”の飲食店の例をダウンロードしたものになる。

参考URL

ダウンロードはこちらからのページから出来る。このページでは飲食業のほかに、14業種が用意されているので、自社に最もフィットするものをダウンロードしよう。

厚生労働省|キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード

キャリアマップとは、会社の役職や権限構造を表すもので、いわゆる”組織図”と呼ばれるものだ。あなたの会社でも、「主任→係長→課長→次長→部長→経営幹部」、あるいは「リーダー→チーフ→マネージャー→シニアマネージャー」といったように呼び方は会社それぞれだが、役職区分をされていることだと思う。

詳しいことは3章で説明するが、ここでは自社の階層構造を整理してみて、その構造が本当に適切なのか?上手く機能しているか?など振り返ってみよう。

2-2. 職業能力評価基準のフォーマットサンプル・テンプレート

権限関係を整理できれば、それぞれの役職の人間が果たすべき役割が見えてくる。

肩書きだけでは意味がない。それぞれの役職とその役割・業務の達成に必要な能力を定義したものが、”職業能力評価基準”だ。それぞれの役職に任せたい役割は何で、その役割を果たすために必要とされる知識・技能・経験・考え方は何か?

昇給・昇格の選定基準、管理職を増やすための人材育成課題、要綱をまとめたものが、”職業能力評価シート”であり、これについても厚生労働省が事務系9職種・56業種に渡る非常に有用なサンプルテンプレート集を提供してくれている。

その一部を抜粋したものを使って説明しよう。以下の3つの表を見比べて欲しい。

以下の3つの表は、営業職における「新入社員」・「中堅社員」・「現場管理職」それぞれの役割とその役割を果たすための能力基準を見比べたものだ。

2-2-1. 新入社員に求められる役割・能力

まず新入(若手)社員の表を見てみよう。新入社員に求められるのは、とにかく売上であり、セールス力を磨き、それを高める積極性や学習意欲があるか?また上司や先輩に対して忠実で真面目に業務に取り組んでいるか?ということが中心になっている。

新入社員に求められる役割・能力

2-2-2. 中堅社員(管理職候補)に求められる役割

ある程度経験を積み、中堅社員となれば、求められるのは職場・会社への貢献だ。売上を高め、品質、顧客価値、効率化など直接的な利益貢献や担当している業務の改善提案力、現場発信のアイデアなど、業務を実行するだけでなく、チームレベルへの貢献を求めよう。

あなたの会社でも、職場で一目置かれる人というのは、目をつけるポイントが違ったり、業務を通じての発見・気づきがあり、課題を克服する斬新なアイデアや正しい進め方を指導できるため、周囲が頼りにする人というイメージが強いのではないだろうか?

中堅社員(管理職候補)に求められる役割

2-2-3. 管理職(ベテラン社員)に求められる役割

経験の豊富なベテラン社員は、成果への執念などのフレッシュさよりも、アイデアをまとめる能力が求められる。例えば、現場の取りまとめや若手が発信する要望や課題に対する解決案を洗練させ、現場で活用できるフローに落とし込むことが求められるようになるだろう。

新入社員から出てくるアイデアは、多くの意見は粗く、未熟で突発的なものが多く、突き詰めて考えられたものではないため、それらをサポートする役割を大切にできる人材に育てよう。

マネジメントの業務を任せられる人材に育成するためには、粗くも見所のあるアイデアを、現場で実行が可能な内容に修正し、社内の人間に「それはいいね!!」と魅力的なものに見えるように取りまとめる能力を養えるような指導内容を考えよう。

管理職(ベテラン社員)に求められる役割

参考URL

下記のものは厚生労働省のエクセルテンプレートの一部を抜粋したものであり、実際はもっと様々な能力を定義されている。またエクセル形式のファイルになっているので、このテンプレートをたたき台として自社に合うようにカスタマイズできるので、是非以下のサイトから1度ダウンロードしてみて欲しい。

厚生労働省|職業能力評価シート(事務系職種)のダウンロード

3.継続して運用できる人材育成計画書の作り方

ここまでで人材育成計画書とはどのようなもので、どのようなものを作ればいいか?というイメージを持ってもらえただろう。

しかし、人材育成というのは、ある程度の長期的に取り組む必要があるため、計画書が良くても運用が出来なければ価値は無くなってしまう。

そこで、RABLEでは運用して効果の出る人材育成の計画書の作成をサポートしているので、その内容について簡単にご紹介しておこう。

3-1. 人材育成計画書に取り入れたい4つのキャリア

自社独自の人材育成計画書のカスタマイズにおいてまずキャリアの設計から入ろう。

そのキャリアをRABLEでは大きく3つに分け、厚生労働省や一般的な経営コンサルタントとは違い、”ワークキャリア”と”アウトソーシング・キャリア”を追加している。

 

人材育成計画書|4種類のキャリア

  1. 自社の組織運用の中核となるマネジメント・キャリア
  2. 自社の品質・技術・ノウハウの要となるプロフェッショナル・キャリア
  3. 現場での品質・業務管理の中心となるワーク・キャリア
  4. アルバイト(派遣・個人事業主・専属フリーランス)のアウト・ソーシングキャリア

 

その理由は、全員が必ず成長できる(昇進のための能力を身につける)保証がないし、また昇進を望まない人いるためだ。

そもそも全員がキャリアアップを求めるだろう。という前提で人事モデルや評価、組織構造を組んでいるために、肩書きを量産したり、能力がないものを昇進(温情人事)をせざるを得ない状況になってしまうケースが多い。

もちろん、社員たちのやる気や会社に対する信頼・忠誠心を維持し、内部崩壊を防ぐために仕方なくやっている場合も多いことだろう。

また、RABLEでは働き方改革を推奨している現状においてアウトソーシングが増えると予想している。そこで、そのようなアウトソーシングに対しても、キャリアを用意することも重要だと考えるため、アウトソーシングキャリアも人材育成の計画書に入れることをお勧めしている。

上記の内容を視覚的に表すと以下のようになる。

人材育成の計画

3-2. 人材育成の計画を立てる前にアウトソーシング計画を立てる

その中でまずは「アウトソーシング・キャリア」の設計から入ろう。あらゆる視点から漏れなく、重複なく設計することは非常に難しい。

そこでまずは「自社では力を入れない、あるいは、ノウハウを獲得するのは自社人材では難しい、そのノウハウが自社のビジネスの中核ではない」のいずれかに該当する要素を探していこう。

具体的には以下のようなものがある。

アウトソーシングの業務内容サンプル

  • HPやSNS、販促物などのIT・デザイン・ライティングスキルが求められる業務
  • 広告運用・営業代行・販売代理店などマーケティングノウハウが必要な業務
  • 税金・法律などレギュレーションに関する専門知識を必要とする業務
  • コールセンターや受付、アルバイト採用など安定して大量な人材獲得が求められる業務
  • 人事・組織開発、経営分析など高度なマネジメント知識が求められる業務

先ほどの厚生労働省の例を見てもらえればお分かりだと思うが、あれはメガ企業の最終形態であり、中堅企業で、マネジメントも製品開発力も人材育成力も全て同時に人材育成計画書を作成し、ノウハウを内製化しようとしても現実的に難しい。

まずこの段階では、自社の課題を箇条書きで書き出し、その中から、「自社運用の困難さ」・「自社価値への影響の低さ」・「コストパフォーマンス」の3つの観点から総合的に判断し、どの業務はアウトソーシングするのか決定しよう。

3-3. アルバイト・派遣のキャリアを計画する

次に比較的短期間で習得可能な業務、役割を明確にしよう。

自社の生産性を高めるには、短期間で習得可能な業務は、アルバイトや派遣社員に任せよう。例えば、経理などの部門では、入力業務、印刷・資料整理、配送手続きなどがある。

また、まったく新しく始める挑戦的な業務でも、アルバイトや派遣社員に任せることが可能だ。

例えば、自社の価値分析などといった経営分析や、実務を伴わない自社・競合分析、財務分析、トレンドリサーチといった知識さえあればできるものであれば、大学院生を活用したり、流行廃りが重要なビジネスでは女子高生に会議をさせるなどのアウトソーシングの例もある。

また店舗運営では、発注・入金業務、棚卸し、業務指導までアルバイトに任せている企業もある。そういった企業では、店長がいない店舗もあり、正社員は一定期間ある店舗で人材育成に専念し、それが終われば、他の店舗に行く、という管理体制になっている。

アルバイトを使うのであればどこまで業務を任せさせるのか?アルバイトを使わないのであればいかにツールで雑務の負担を減らし、本業の業務に専念させ、品質を上げるのか?ということを考え、正社員に頼らない業務内容を明確にしてみよう。

3-4. 誰でも頑張れば到達できる人材育成計画を立てよう

次は一般社員のキャリアゴールを設計しよう。

2章でも伝えたが、誰もがキャリアを最後まで歩めるわけではない。しかし、組織として運営している以上、昇進したくない社員も「最低ここまでは出来てもらえないと困る」とイナフ・ポイントを設計しよう。

繰り上がり人事で昇進させないためにも、最初から最低ラインを決めておくことで、「ここまで出来る人材を確保しよう」や「人材育成で成果が出なかったとしても」というように、前提の上限を下げ、必ず達成できる人材育成の計画を作成し運用を考えていこう。

具体的には、人員配置、仕事の割り振り、現場状況の報告、業務指導(操作説明・業務内容の説明)などから、ルーティンワークとして運用できる業務内容を中心に洗い出しを行えば、どのような業務が対象となるのかわかるだろう。

重要なポイントは、どこまでの業務レベルならば社員の8割以上を育成できるのか?そのイナフ・ポイントを決めることで、現実的な人材育成の計画を作ることが可能となる。

3-5. 優秀な人材を育成する計画を作成しよう

では次に優秀な社員に歩ませるキャリアだが、これには「プロフェッショナル」と「マネジメント」の2つの道に分けられる。

なぜなら、「自分の視野や知識、経験を高め、エースとしてパフォーマンスリーダーとして自分が活躍する能力」と「相手の感情を揺さぶり、味方に引き込み、チームをまとめ、施策実行や改善・改革を成し遂げる能力」は別物であるからだ。

優秀な人だからといって、相手を動かすことも得意だとは限らないし、逆に、ワーカーとしてはパッとしなかった人が管理職になって職場が激変する事だってよくあることだ。

だからこそ「自社の価値や技術・ノウハウ獲得、コスト削減などの専門家として道を究めさせるのか」、「人材育成やチームビルディングが得意な優秀な指揮官として育てるのか」というキャリアの方向性を分けて人材育成の計画を立ててみよう。

3-6. 職業能力評価シートを作成しよう

ここまで全体に関する設計が出来れば、後は2章で説明した職業評価シートという具体的に習得して欲しい業務内容、果たして欲しい役割、身につけて欲しい考え方を記載しよう。

評価シートとあわせて以下のような部署、役職(ポストの数)を明確にしよう。

役職、ポストの数

 

またプロフェッショナル・キャリアでは、部門ごとにステップアップする形式ではなく、中小・中堅企業では、担当者として個人単位で別々のキャリアを歩むので、以下のように用意したい担当者を決めておこう。

キャリアの役割

 

あとは、それぞれの役職名毎に職業評価シートを作成しよう。

新入社員に求められる役割・能力

まとめ.人材育成の計画は、役割を分けることから始めよう。

人材育成の計画を立てても上手く運用できなかったり、そもそも、どのような人材育成の計画を立てれば良いのか?という課題を解決できる方法が見えただろうか?

このように全体的な視点で全てを考えると、少し遠回りになると感じる方もいるかもしれないが、小手先の人材育成計画では、結局は成果を出せないものになってしまうケースが多い。

そこで、職業能力評価シートを参考にし、現場での人材育成を進める方法を以下の記事で紹介しているので当期時とあわせて読むようにして欲しい。

人材育成の計画を作成する真の目的は、どういった能力を、何人に身につけさせるためにどのように指導、経験を積ませるべきか?といった計画的な人材育成戦略が立てられるところにある。

役職に人を追いつかせるのではなく、ポストの数にあわせて必要な人材数の事前育成が終わっている。そうした計画的・組織的な人材育成ができるノウハウを身につけられることができれば、描いた目標を絵に描いた餅におわらせず、現実のものとして実現できる高い達成力を身につけることができるようになるだろう。

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