離職損失コスト

コスト削減の3手順|生産性を落とさず利益率の改善を達成する手法

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利益を増やす方法は、簡単にいえば、売上をあげるか、コストをさげるか、のどちらかしかない。

原材料が高騰して来たり、人件費が増えてしまえば、売上を維持できても利益は小さくなっていく。「出来るだけ少ないコストで、出来る限りの売上を獲得する。」といった投資効率の最適化はどの企業でも最重要のテーマだといえる。

たくさんの広告を打ち、多くの社員を雇い、売上が増えても、手元に残る利益率が少なければ、”コスト削減を実現し、利益率を向上させることにつながった”とは言えない。

更に、以下のリスクを伴うコスト削減をしてしまえば、失敗した時、自社の経営はより悪化する危険を伴う。

  1. 業務オペレーションの簡略化。過度なサービスの廃止・・・顧客離れを引き起こし売上減少
  2. 人員数・残業時間のカットによる人件費の削減・・・離職が増え、生産能力の低下による稼働率の減少
  3. 事務手続きや会議時間の削減・・・改善が出来ない組織になり、他社との差別化能力の欠落
  4. 節約(節電・節水)の徹底・・・職場の快適度が落ち、社員のモチベーション低下による生産性減少
  5. ITや制度導入による生産性改善・・・導入に失敗すればただの置物になり、コスト増加

上記のコスト削減施策はいずれもリスクを背負うものだ。なぜなら、これまでそのやり方でやってきた。あるいは、これからは違うやり方でするのだから、反発や予想もしなかったことが起きてしまうのは、当然起こりうることであるからだ。

しかし、削減するコストの内容が、”自社の業務や製品・サービスの創造に全くつながらない無駄なコスト”であったならばどうだろうか?

いくら削ってもそれを削減することで自社には何の影響も現れない。

そこで当記事では、コスト削減における3種類の潜在コストの計算方法と活用方法、そして、そのような潜在コストから、無駄なコストを削減することで、どれだけの効果が見込めるのか?について、発見する方法についてお伝えする。

当記事に書いてあることを実践して貰えれば、社員の不満を高めることなく、コスト削減を両立できることをお約束する。是非、じっくりと読んでいってほしい。

1.コスト削減の考え方|無駄なコストとそうではないコストを区別しよう

ではまず本題に入る前に、コストを削減を考える上で「削ってよいコスト」「削ってはいけないコスト」をどうやって見分けるのか?からお伝えしていこう。

1.1 コスト削減と経費削減は違う事を理解しておこう

経費削減とは、通信費や水道光熱費、印刷費など業務に関わるコストを改善し効率化する考え方だ。代表的な例でいえば、会議で資料を印刷せず、ノートパソコンやパッドで代用し、印刷コストを削減することや会議をスカイプで行い交通費・移動コストを節約するなどがある。

しかし、そういった経費削減はノウハウがない会社がやってしまえば、業務がやりにくくなり、業務効率が悪くなってしまう。一方、コスト削減とは「業務の遂行に関係がないのに、知らない内にコストを支払っている部分」を発見する活動であると私たちRableでは定義している。

このコスト削減だが、私たちの経験上、従業員が30人未満の中小企業でも数百万以上の無駄コストが存在している。

ではその方法をこれから一緒に見て行こう。

1.2 無駄コスト削減の切り口|売上と最も関係性がイコールにならないのが人件費

ではその無駄になっているコストだが、それは人件費に他ならない。

他のコストであれば、在庫や資料、成果物という有形資産であったり、ノウハウといった無形資産が自社に残るが離職して無駄になった人件費は会社に何の貢献ももたらさない。

離職によって自社が支払ったカネと時間の行き先

売上を維持したり、拡大するためには、それを支える生産力が必要であり、それを満たす為に、採用や育成をお行う。しかし、それが全て生産性には直結しない。なぜなら途中で離職が発生してしまうからだ。離職者に対して支払ったコストは、転職によって他社に流出するか、独立によって社会に還元される。

これが仮に離職がゼロに近ければどうなるだろうか?

例えば、離職率が20%の会社であれば、現在かけている採用・育成コストの総額の内、20%が節約できることになる。それほど人件費はその多くが無駄になっており、投資金額とその見返りがイコールにならない指標といえる。

事例では「未来工業」の話が有名だが、この会社では残業ゼロ・年間休日140日、全員正社員という高待遇ぶりだ。

多くの方はこんなことして人件費がすごいことにならないか?利益が残るのか?と思うはずだ。それほど、多くの会社が支払っている採用・教育費の投資に無駄が発生しているのだ。この会社までとはいかなくとも、相当の利益改善をできる余地は、どんな会社にでも存在する。

1.3 人件費に関するコスト削減における3つの戦略

無駄の多い人件費だがそのコスト削減は3つのステージに分けられる。

人材管理費として会社が潜在的に支払っている3種類のコスト

潜在コスト1.採用活動での獲得費用、採用活動に充てた人事担当の人件費

潜在コスト2.人材育成活動における、教育時間に充てた教育担当の人件費

潜在コスト3.新入社員が一人前に仕事ができるようになるまでに払い続けた人件費

これから上記の3つの段階におけるコスト削減の手順について具体的に掘り下げていこう。

2.コスト削減対策のファーストステップは採用活動から

求人広告費自体は人件費に含まれないが、人事担当者に支払っている給与、採用に関する打ち合わせ・会議、資料作成時間などにはコストがかかっている。そしてそれは製造やサービスの創出にはかかわっていない。

それが効果的に機能していれば問題ないが、離職者が発生し、人件費に無駄が生じていれば、その活動は無駄であり、成果が上がっていない。と判断しなければいけない。そういった意味で私たちRableでは、採用費用も人件費に含むようにしている。

最後までじっくりと読めばわかるようにはなっているが、【離職率を改善すれば、1年当りの必要採用人数は減り、採用に関わる投資金額が少なくて済む。】という効率化がなされるからだ。

逆に考えれば、離職率が減れば、それに伴って採用に必要なコストも削減されることを意味している。

2.1 コスト削減における効率化とは定着人数を増やすこと

下記の表は、1人の社員の採用単価を計算したものだ。計算に用いた採用人数は2つ目の表の通りだ。定着人数とは、その期間になっても、離職せず、働いてくれている人数を表している。

実質1人当り採用コストの推移

採用形態別採用人数と定着人数の推移グラフ

私たちは、1人当り採用活動コストは以下の様に定義している。

【1人当り採用獲得コスト=採用広告費÷1年後も定着した人数】

 その理由はいたって単純で、会社は生産力を求めて人材を採用するのであって、採用すること自体が目的ではないからだ。

しっかりと理解して欲しい重要なポイントなので、上記の表の1年後定着人数と採用人数の違いを見てみよう。

アルバイトを見てみると、その人数の差は上記のケースでは、採用人数38人中1年以内に離職したのは21人も存在し、1年後も残っていたのは19人であった。つまり、離職の発生によって24人分のコストが無駄な投資になっていることがわかるだろう。

つまり、最終的な人数は17人で割った金額が、1人当りの獲得コストになり、実質ベースでは1人のアルバイトを獲得するために¥169,728のコストがかかっており、実に63%の採用に投じたコストが1年後には無駄になっていることを表している。この数値を見れば、どれだけ採用してもすぐに辞め、無駄が多いことを実感できるだろう。

逆に離職さえなければ、どれだけ採用にかけるコストが削減できるか?という効果の大きさもご理解して貰えたと思う。

正確な採用コストを計算する為の項目に関しては以下の記事で詳しく解説している。

2.2 コスト削減目標を離職数に設定すれば具体的な削減金額を設定できる

離職による採用コストの削減額が計算できれば、離職率改善目標を設定すれば、以下の様にコスト削減可能額を試算することが可能になり、社員に対して具体的な目標を提示することができる。

上記の表では、次年度も必要な社員数は同じと定義し、離職率が下がることで、今年と同じ人数を保ちつつ、必要な採用人数はどの程度で済むか?を試算している。

この表の作成意図は、社員数を減らさずに削減できるコストを計算している。社員数を減らしてしまえば、稼働率や製品・サービスの質が下がってしまうかもしれないからだ。

上記の表では、アルバイト採用にかける求人広告費用が300万前後の会社でも、55.3%の離職率を30%に抑えることが出来れば、コストを2分の1にする試算結果となっている。

採用により多くの投資をしている会社であれば、その金額効果はずっと大きなものになる。つまり、離職率は毎年大きく変動せず、次年度以降も30%台が続くケースが多いので、その後もずっと投資コストを削減し続けることが出来るのだ。

この章でご紹介した表やグラフは以下の記事から引用している。詳しい解説やこの記事ではご紹介しきれない表やグラフ、計算に必要な表など、具体的に理解を進めていきたい方は、是非じっくりと読んでみて欲しい。

3.コスト削減意識の徹底|社内全体で取り組まなければ達成できない理由

採用活動における無駄コストの計算が終われば、次は研修や現場での教育に関わる人件費を管理し、教育コストを計算していこう。入社前に研修や教育を意識して行っていない企業でも、実は知らず知らずのうちに多くの教育コストを払っている。

3.1 コスト削減への取り組みに会社全体でしなければいけない理由

Rableでは教育コストとして以下の3つを計算に含むようにしている。

  1. 入社前に研修や教育担当による業務外教育コスト
  2. 現場での先輩社員による教育コスト
  3. 仕事に慣れるまでの非効率な仕事の生産ロスコスト

以下の3つの要素の計算結果を見れば、現場の社員が新人社員への指導・管理にどれほど多くの業務時間がとられているのか?現場で離職率の改善に成功すれば、現場がどれだけ時間的に余裕が持てるようになるのか?について可視化できるようになる。

業務外のOFF-JT教育コスト

このコストは、外部企業に研修を依頼した場合ならば当然研修費用として発生してくる。または、社内で研修を行っている場合には、研修担当者の時間×労働給与が該当する。宿泊交通費が発生する場合には、そのコストも併せて計上しておこう。

現場でのOJT教育コスト

中小企業の大半の教育方法はこのパターンであり、教育コストとして認識していないかもしれない。しかし、新人への指導時間、フォロー、仕事の確認など、多くの時間を奪われている。本来その時間は、生産活動に充てられたものだ。その時間ロスが生産率低下につながるため、その時間を私たちはOJT教育コストとして計算するようにしている。

生産効率低下コスト

あなたの会社でも1人の現場社員に対し、1日の作業量の目安がある程度あるはずだ。しかし、新人は仕事に慣れていないため、その平均生産量を出すことが出来ない。しかし会社側はある程度の給与を払わなくてはいけない。その仕事に慣れるまで、払い続けた投資としての給与も私たちはOJT教育コストとして含めるようにしている。

上記の様な数値があれば、現場も育成にどれだけコストがかかっていて、その無駄をなくせば、どれだけ現場での業務時間が確保でき、生産性が向上するか?を理解できるようになるはずだ。そして、現場で離職率の減少に真剣に取り組ませることで、「〇〇円の削減を目指す!!」という共通目標を掲げよう。

上記の潜在的な育成コスト項目に関する詳しい解説は以下の記事でしているので、是非、そちらも併せて読むようにしてほしい。

3.2 コスト削減目標金額の見える化を行い現場が一丸となって取り組むようにしよう

現場が掲げる具体的な削減金額目標だが、これも先ほどと同じように離職率目標を入力し、具体的な数値を出していく。

そして注意してほしいのが、現場にこの目標を伝える時、人材教育コストの削減とは、人材教育の時間を減らし、教育の質を下げることではない。採用と同じで離職人数の削減によってコスト削減を目指すことを意味している。

離職率と無駄になっているコストの関係を伝え、無駄になっているコストを削減するだけで多くの効果をもたらしてくれることを伝えよう。その点でも離職率目標は良い方向に働く。人材教育の質を下げれば離職率は増加し、コストの無駄はさらに増える。離職率による目標管理は、管理職の間違った行動を抑制する上でも機能する。

計算自体は採用と同じだ。このケースも例にもれず、かなりの削減効果が期待できることが見て取れるはずだ。

育成コストの削減シミュレーションに関しては以下の記事で詳細に説明しているのでそちらを参照してほしい。

4.人材の流出に関するコスト削減効果を計算しよう

ここまでで新入社員にかけたコストの削減効果を知る事が出来た。最後は、新入社員ではなく、戦力として働いてくれている既存社員の離職による損失を計算してみよう。

RABLEでは既存社員に関して、投資していることではなく、離職によって失われることで発生するコスト単価を計算している。

4-1 既存社員の離職コストを計算する方法

既存社員は新入社員とは異なり投資しているコストを削減するという考え方ではなく、生産力やノウハウを持った社員が離職することで発生する損失コストを計算している。

そこで私たちは、貢献利益という概念を用いてその離職効果を試算している。

1人当り貢献利益=その社員の生産力―その社員に支払っている給与

貢献利益に関する表が上記のものだ。

多くのクライアントから「優秀な社員と標準的な社員の貢献利益の差を出して欲しい。」という要望があったため、標準社員とエース社員と言う言葉で区別するようにしている。

アルバイト 離職 損失

上記の表を作成することで、以下の表を作成することが可能になる。

優秀な社員が1名離職すると、その生産力を補うためには、どれだけの新入社員を採用しなければならないのか?ということがわかるようになっている。

逆に言えば、エース社員が離職しなければ、その労働力を補うために新しい社員を採用しなくても済むわけである。あなたの会社でも、生産力の高い社員がいるだろうが、離職すると大きな損失が発生することが想像できるだろう。

4-2 人材流出による人件費率削減効果を試算しよう

1人当りの離職効果を試算することが出来れば、それぞれの削減離職人数を入力するだけで以下のような人材流出コスト効果を試算することが出来る。

 

上記の表は、離職人数を抑えることが出来れば…という仮説を立てることを目的としたシュミレーションとなっている。このような表を作成すれば、次年度の目標を具体的に設定できるようになるだろう。

人件費が高い理由は、給与が高いということよりも、社員の定着率が悪く、職場の生産効率が悪いという理由である事が多い。スキルや業務スピードが低い社員ばかりでは、より多くの人員を雇わなくてはいけなくなるためだ。

新入社員ばかりの職場では、生産効率が悪くなることは当たり前に想像できるだろう。

このシミュレーションに関する詳しい手順・やり方は以下の記事で解説している。

5.働き方改革:離職改善で残業0時間を目指そう

人件費の削減がそれほど深刻ではない企業でも、ここまでに紹介した試算をすることはきっとあなたの会社を助けることになる。

なぜなら、離職による削減金額を残業時間の削減という形で還元できるからだ。私たちが提供しているエクセルでは、コスト削減だけでなく、それを労働時間の削減に充てた時、労働環境の改善がどこまで出来るかを試算できる機能をつけている。

5-1. コスト負担をすることなく働き方改革を実現しよう

以下の表は、金額と言う単位ではなく、それぞれの生産力を労働時間と単位に変化したものだ。

上記の表を見れば、それぞれの社員がどれだけの生産時間を年間創出してくれるか、がわかる。

私たちは、上記の数値と離職を掛けあわせることで、どれだけの労働時間が失われるのかを試算している。それを試算したものが以下の表だ。

上記の損失効果は金額がすごく高くなってしまうが、次年度の採用人数調整と残業などによって補填される。詳しくは下記でご紹介した記事で解説するので、ここでは割愛するが、離職人数を減らせば、その分の労働時間の減少を減らすことは明らかだ。

では本題の離職の改善によって、どれだけの待遇改善が出来るかを試算しよう。以下の表は、離職率の改善に乗り出す前の労務環境を示した表だ。

この表に、来年に目指す目標離職率を入力して、算出されたのが以下の表だ。

このケースでは離職率を改善することによって、残業0で、現在よりも高い売上に耐えうる生産力を維持することができるようになったことがわかるはずだ。

余裕がある会社であれば、その浮いた金を給与のベースアップと言う形で還元してもいいし、その運用方法は様々だ。

無駄になっていたコストを社員に回すだけで、実際に会社が負担するコストは、その給与アップを今年よりも低い人件費で達成することが出来る。

人件費の最適化と働き方改革への還元のバランスに関しては以下の記事でそのやり方を解説している。

まとめ

人件費削減の本質は、利益の健全化であり、コスト削減の為に売上や稼働率を落とすことがあってはならない。

なぜなら、コスト削減が達成されても、その結果、利益が減少することになれば、本末転倒の結果になるからだ。

私たちは、人件費の削減とは、ビジネスモデルの最適化であり、その本質は無駄になっているコストを減らすことだと考えている。

だからこそ、人に関するコストのどこに無駄があり、その無駄を減らすことにどれだけの人件費が見込めるのか?を計算する方法をクライアントに提供している。

そうすることで、会社・社員の双方に痛みを伴うことなく、WIN-WINの関係が生み出せるからだ。そうした誰もがハッピーになれる削減施策だからこそ、高い成果を生み出せるようになる。

利益が低い会社の根本的な原因は、どこかに潜在的なコストが眠っていて、それを発見できないでいることになる。そして、それは大抵高い離職率にある。

どこまでITが進化しようと自動化システムに多額の投資をしようとそれを使うのは人だ。

その人が定着しないのであれば、採用・人材教育・離職・採用というサイクルが短期間で回ってしまい、人件費率がいつまで経っても下がらない。という状況に陥ってしまう。

だからこそ、Rableでは離職率の改善、リテンションマネジメントが、最も重要な施策であると考えている。

人員のカット、労働時間のカットという決断をする前に、是非とも離職によってどれだけのコストが無駄になっているのか?その改善効果を試算して、WIN-WIN関係となる会社改革計画を立ててみる事をおすすめする。

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離職率の改善で、どれだけ利益が出るのか?
人材管理コストEXCELテンプレート

あなたが、「離職率を改善したい!」と思う理由は、以下の3つの中のどれでしょうか?

  1. 採用しても離職されれば、投資した求人広告費が無駄になる。

  2. 育成しても離職されれば、教えてきた時間が無駄になる。

  3. 長く働いた社員が離職すれば、顧客や社内の人間関係が無駄になる。


あなたが離職率を改善したいと思う理由が、上記の3つの中にありましたか?

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  1. 無駄な投資コストは、そのまま、金額をベースに計算できます。

  2. 無駄な時間コストは、指導時間や面接時間×時間給で計算できます。

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