離職損失コスト

人件費の管理|無駄な人件費を発見するための3種類の潜在コスト

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人件費削減は、多くの人にとって不安と危険を感じさせる経営改善の手段だ。社員の気持ちを考えず、人件費削減に乗り出してしまうと大量の離職やモチベーションの低下から、コスト削減以上の利益を失ってしまう事もあるからだ。

実は9割以上の会社で、採用費を含む人材に関連するコストにおいて、給料やボーナス以外の潜在コストが存在している。

たとえば、採用しなかった人材にも面接時間が必要だ。さらに、新入社員が入ってくれば、あなたの仕事の手を止め質問してくるだろう。このような時間をボランティアで行っているわけではなく、指導業務や面接業務に対してコストが発生している。

そこで、私たちは人件費コスト削減予測ツールを使ったコンサルティングサービスを行っているが、ほぼすべてのクライアント企業様で、社員の待遇を悪くするどころか改善した上で、採用費・人件費の削減の成功に導けている。

そこで当記事では、人材管理に関連する3種類の潜在コストの計算方法と活用方法、そして、そのような潜在コストから無駄なコストを削減することで、どれだけの効果が見込めるのか?について、発見する方法についてお伝えする。

当記事に書いてあることを実践して貰えれば、社員の不満を高めることなく、コスト削減を両立できることをお約束する。是非、じっくりと読んでいってほしい。

1.人件費率の考え方|コスト削減に関する2つのアプローチ

ではまず本題に入る前に、コストを削減する上で人件費率の特徴からどのような改善方法が存在するのか?ということからお伝えしよう。

1.1 人件費率とは?一般的に教えられている人件費率

人件費とは、文字通り社員に対して、ボーナスや手当、月額に支払っている給与、健康保険などの福利厚生費、退職金の3つの合計のことを言う。

脚注:
当記事で紹介する人事の給与は中小企業の実態に合わせ、人件費に含めるようにしている。本来の意味では一般管理費に含めるべきであるが、大半の企業では、人事と現場業務・管理を兼任していることが多いからだ。
私たちが販売しているテンプレートでは、現場業務生産割当と言う処理を行い、管理者の生産活動に充てた人件費計算処理をきちんとしている。テンプレートでは、生産原価を正しく計算できるので安心してほしい。正しい意味での生産活動に充てた労務費・人件費を算出し、ビジネスモデルの生産原価を計算・評価する方法は、別の記事で解説する。

人件費の金額自体に注目する人もいるが、これは別に問題ではない。

例えば、月商300万のラーメン屋で100万円の人件費を払っているとしよう。そして同規模の2店舗目を開いて、人件費は200万円となった。この場合、人件費の総額が上がっていても、人件費比率は一定だ。

しかし、2号店の売上が200万円であるのに、人件費が100万であれば問題になる。なぜなら、人件費率が悪化しているからだ。

つまり、人件費はいつだって比率でみなければいけない。人件費率は、【生産に関わった社員の給与÷売上×100】で計算できる。

1.2 コスト負担を増やさずに人件費を大幅に削減するためには?

上記の計算から人件費の改善方法は2通りとなる。

人件費改善方法A.売上を上げて、人件費が占める割合を下げる。

人件費改善方法B.人件費の金額を下げて、売上に対する割合を下げる。

上記の理由から、多くの経営者が取る改善施策は2通りとなる。

改善施策A.広告や営業などのセールス・マーケティングをして売上を上げる

改善施策B.リストラや労働時間カットで人件費を減らす。

 しかし、これは現状の生産性で考えただけの短絡的な解決方法となる。なぜなら会社のマネジメントに無駄なコストが発生してないのか?」といった潜在コストの視点が抜けているからだ。

無駄なコストであれば削減してもデメリットが発生せず、社員にとってもメリットしかない。だからこそ、私たちは社員の不満を高めず、コスト削減を両立できている。

1.3 社員の不満を高めず、無駄を削減する人件費の考え方

では、どこに無駄があるのか?それは、求人広告費や面接の時間コストや、育成するために投資した時間コストも含めて、さまざまな投資をしているはずだ。

しかし、結局は社員が離職すれば、今までの投資の全てが無駄になる。社員が1人前に仕事ができるようになる前に、会社は以下のコストを負担し、それが人件費の増加と言う形で経費に表れる。

人材管理費として会社が潜在的に支払っている3種類のコスト

潜在コスト1.採用活動での獲得費用、採用活動に充てた人事担当の人件費

潜在コスト2.人材育成活動における、教育時間に充てた教育担当の人件費

潜在コスト3.新入社員が一人前に仕事ができるようになるまでに払い続けた人件費

上記は本来ならば、投資であり、将来の生産力を高めるために支払ったコストである。しかし、その投資が離職と言う形で無駄になればどうだろうか?また新たな人材を採用し、その高い教育コストを支払わなければいけない。

例えば、3名を採用し2名が離職するような職場では、残る1名を育てるために、合計3人分の教育コストを支払っていることになる。つまり、2人分の投資コストという無駄な人件費を会社が支払っている。

仮に離職が0人となり、離職により発生していた2人分の採用・教育時間を全て生産活動に充てたらどうなるだろうか?生産効率は上がるのは当然で、痛みを伴うことなく人件費率は削減できることがおわかりになるはずだ。

2.人件費削減-採用に関するコストを削減するポイント

求人広告費自体は人件費に含まれないが、人事の給料、採用に関する打ち合わせ・会議、資料作成時間などは人件費に含まれている。

つまり、【社員に何かの業務をさせる:社内の労働力を使う】これらの労働対価として支払うコストが人件費である。ということを理解していこう。

全体的なコスト削減という観点からは、労働力を獲得する最初のステップとなるので、この段階から丁寧に計算していこう。

2.1 採用に関する潜在無駄コストを発見する方法

下記の表は、1人の社員の採用単価を計算したものだ。計算に用いた採用人数は2つ目の表の通りだ。定着人数とは、その期間になっても、離職せず、働いてくれている人数を表している。

実質1人当り採用コストの推移

採用形態別採用人数と定着人数の推移グラフ

私たちは、1人当り採用活動コストは以下の様に定義している。

【1人当り採用獲得コスト=採用広告費÷1年後も定着した人数】

 その理由はいたって単純で、会社は生産力を求めて人材を採用するのであって、採用すること自体が目的ではないからだ。

しっかりと理解して欲しい重要なポイントなので、上記の表の1年後定着人数と採用人数の違いを見てみよう。

アルバイトを見てみると、その人数の差は上記のケースでは、採用人数38人中1年以内に離職したのは21人も存在し、1年後も残っていたのは19人であった。つまり、離職の発生によって24人分のコストが無駄な投資になっていることがわかるだろう。

つまり、離職人数で採用費用を割れば、どれだけのコストが無駄になっているか?1人の獲得コストを高めることになっているかがおわかりになるはずだ。

2.2 離職を削減すればどれだけの採用コストが削減できるかを計算しよう

離職による採用コストの削減額が計算できれば、離職率改善目標を設定することで、以下の様にコスト削減可能額を試算することが可能になる。

上記の表では、次年度も必要な社員数は同じと定義し、離職率が下がることで、今年と同じ人数を保ちつつ、必要な採用人数はどの程度で済むか?を試算している。

この表の作成意図は、社員数を減らさずに削減できるコストを計算している。社員数を減らしてしまえば、稼働率や製品・サービスの質が下がってしまうかもしれないからだ。

上記の表では、アルバイト採用にかける求人広告費用が300万前後の会社でも、55.3%の離職率を30%に抑えることが出来れば、コストを2分の1にする試算結果となっている。

採用により多くの投資をしている会社であれば、その金額効果はずっと大きなものになる。つまり、離職率は毎年大きく変動しないため、次年度以降も30%台が続くケースが多いので、その後もずっと投資コストを削減し続けることが出来るのだ。

この章でご紹介した表やグラフは以下の記事から引用している。詳しい解説やこの記事ではご紹介しきれない表やグラフ、計算に必要な表など、具体的に理解を進めていきたい方は、是非じっくりと読んでみて欲しい。

3.人件費削減-教育・育成に関するコストを削減するポイント

採用が終われば、次は研修や現場での教育に関わる人件費を管理し、教育コストを計算していこう。入社前に研修や教育を意識して行っていない企業でも、実は知らず知らずのうちに多くの教育コストを払っている。

3.1 OJT教育コストはどの企業に例外なく発生している

 私たちは教育コストとして以下の3つを計算に含むようにしている。

1.入社前に研修や教育担当による業務外教育コスト
2.現場での先輩社員による教育コスト
3.仕事に慣れるまでの非効率な仕事の生産ロスコスト

業務外のOFF-JT教育コスト

このコストは、外部企業に研修を依頼した場合ならば当然研修費用として発生してくる。または、社内で研修を行っている場合には、研修担当者の時間×労働給与が該当する。

現場でのOJT教育コスト

中小企業の大半の教育方法はこのパターンであり、教育コストとして認識していないかもしれない。

しかし、新人への指導時間、フォロー、仕事の確認など、多くの時間を奪われている。本来その時間は、生産活動に充てられたものだ。その時間ロスが生産率低下につながるため、その時間を私たちはOJT教育コストとして計算するようにしている。

生産効率低下コスト

あなたの会社でも1人の現場社員に対し、1日の作業量の目安がある程度あるはずだ。しかし、新人は仕事に慣れていないため、その平均生産量を出すことが出来ない。

しかし会社側はある程度の給与を払わなくてはいけない。その仕事に慣れるまで、払い続けた投資としての給与も私たちはOJT教育コストとして含めるようにしている。


3.2 人材教育コストの削減可能額を試算しよう

このような表を毎回見る度、クライアントのほとんどが離職によってかなりの金額が無駄になっている事実を知り、人件費圧迫の正体にびっくりされることが非常に多い。

この場合の人材教育コスト削減とは、人材教育の時間を減らし、教育の質を下げることではない。採用と同じで離職人数の削減によってコスト削減を目指すことを意味している。

計算自体は採用と同じだ。このケースも例にもれず、かなりの削減効果が期待できることが見て取れるはずだ。

4.人件費削減-人材の流出を防ぐコスト削減効果

ここまでで新入社員にかけたコストの削減効果を知る事が出来た。最後は、新入社員ではなく、戦力として働いてくれている既存社員の離職による損失を計算してみよう。

RABLEでは既存社員に関して、投資していることではなく、失われることで発生するコストを計算している。

4-1 既存社員の離職コストを計算する方法

既存社員は新入社員とは異なり投資しているコストを削減するという考え方ではなく、生産力やノウハウを持った社員が離職することで発生する損失コストを計算している。

そこで私たちは、貢献利益と言う概念を用いてその離職効果を試算している。

1人当り貢献利益=その社員の生産力―その社員に支払っている給与

貢献利益に関する表が上記のものだ。

多くのクライアントから「優秀な社員と標準的な社員の貢献利益の差を出して欲しい。」という要望があったため、標準社員とエース社員と言う言葉で区別するようにしている。

アルバイト 離職 損失

上記の表を作成することで、以下の表を作成することが可能になる。

優秀な社員が1名離職すると、その生産力を補うためには、どれだけの新入社員を採用しなければならないのか?ということがわかるようになっている。

逆に言えば、エース社員が離職しなければ、その労働力を補うために新しい社員を採用しなくても済むわけである。あなたの会社でも、生産力の高い社員がいるだろうが、離職すると大きな損失が発生することが想像できるだろう。

4-2 人材流出による人件費比率削減効果を試算しよう

1人当りの離職効果を試算することが出来れば、それぞれの削減離職人数を入力するだけで以下のような人材流出コスト効果を試算することが出来る。

 

上記の表は、離職人数を抑えることが出来れば…という仮説を立てることを目的としたシュミレーションとなっている。このような表を作成すれば、次年度の目標を具体的に設定できるようになるだろう。

人件費が高い理由は、給与が高いということよりも、社員の定着率が悪く、職場の生産効率が悪いという理由である事が多い。スキルや業務スピードが低い社員ばかりでは、より多くの人員を雇わなくてはいけなくなるためだ。

新入社員ばかりの職場では、生産効率が悪くなることは当たり前に想像できるだろう。

5.働き方改革:離職改善で残業0時間を目指そう

人件費の削減がそれほど深刻ではない企業でも、ここまでに紹介した試算をすることはきっとあなたの会社を助けることになる

なぜなら、離職による削減金額を残業時間の削減という形で還元できるからだ。私たちが提供しているエクセルでは、コスト削減だけでなく、それを労働時間の削減に充てた時、労働環境の改善がどこまで出来るかを試算できる機能をつけている。

5-1. コスト負担をすることなく働き方改革を実現しよう

以下の表は、金額と言う単位ではなく、それぞれの生産力を労働時間と単位に変化したものだ。

上記の表を見れば、それぞれの社員がどれだけの生産時間を年間創出してくれるからがわかる。

私たちは、上記の数値と離職を掛けあわせることで、どれだけの労働時間が失われるのかを試算している。それを試算したものが以下の表だ。

上記の損失効果は金額がすごく高くなってしまうが、次年度の採用人数調整と残業などによって補填される。詳しくは上記でご紹介した記事で解説するので、ここでは割愛するが、離職人数を減らせば、その分の労働時間の減少を減らすことは明らかだ。

では本題の離職の改善によって、どれだけの待遇改善が出来るかを試算しよう。以下の表は、離職率の改善に乗り出す前の労務環境を示した表だ。

この表に、来年に目指す目標離職率を入力して、算出されたのが以下の表だ。

このケースでは離職率を改善することによって、残業0で、現在よりも高い売上に耐えうる生産力を維持することができるようになったことがわかるはずだ。

余裕がある会社であれば、その浮いた金を給与のベースアップと言う形で還元してもいいし、その運用方法は様々だ。

無駄になっていたコストを社員に回すだけで、実際に会社が負担するコストは、その給与アップを今年よりも低い人件費で達成することが出来る。

まとめ

人件費削減の本質は、利益の健全化であり、コスト削減の為に売上や稼働率を落とすことがあってはならない。

なぜなら、コスト削減が達成されても、その結果、利益が減少することになれば、本末転倒の結果になるからだ。

私たちは、人件費の削減とは、ビジネスモデルの最適化であり、その本質は無駄になっているコストを減らすことだと考えている。

だからこそ、人に関するコストのどこに無駄があり、その無駄を減らすことにどれだけの人件費が見込めるのか?を計算する方法をクライアントに提供している。

そうすることで、会社・社員の双方に痛みを伴うことなく、WIN-WINの関係が生み出せるからだ。そうした誰もがハッピーになれる削減施策だからこそ、高い成果を生み出せるようになる。

利益が低い会社の根本的な原因は、どこかに潜在的なコストが眠っていて、それを発見できないでいることになる。そして、それは大抵高い離職率にある。

どこまでITが進化しようと自動化システムに多額の投資をしようとそれを使うのは人だ。

その人が定着しないのであれば、採用・人材教育・離職・採用というサイクルが短期間で回ってしまい、人件費率がいつまで経っても下がらない。という状況に陥ってしまう。

だからこそ、Rableでは離職率の改善、リテンションマネジメントが、最も重要な施策であると考えている。

人員のカット、労働時間のカットという決断をする前に、是非とも離職によってどれだけのコストが無駄になっているのか?その改善効果を試算して、WIN-WIN関係となる会社改革計画を立ててみる事をおすすめする。

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