離職損失コスト

人件費を削減しても人手不足は解消できる!成功企業の人件費削減の方法

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人件費削減は、売上が下がってきた会社に限った話ではない。「利益率をもっと増やしたい」、「無駄な業務時間を削りたい」という理由から、ほぼ全ての会社でやった方がいい経営施策だ。

その人件費削減に多くの企業が踏み込めないのは、「人件費のデメリット」を恐れるからだ。不用意なリストラによる人件費削減施策は、サービスの低下や現場の生産力を奪い、顧客離れを引き起こす原因となる。

そして、人員削減によるコスト効果よりも、売上の減少が上回り、更に業績が悪化してしまうかもしれない。

しかし、多くの方はご存じがないと思うが、どの会社でも削っても業績に影響しない無駄に使っている人件費というものが存在する。

元々無駄になっているのだから、削っても業績に影響しないのも当然だ。

当記事では、自社で現在無駄になっている人件費を計算する方法をお伝えする。最後までじっくりと読めば、人件費を削減しながら人手不足を解消することを両立する方法を理解できるようになっているはずだ。

業績が悪化し人件費が負担になっている方も、人件費を削減することで利益率をより高めたいと思っている方にも参考になる記事となっている。

1.人件費削減におけるメリットとデメリットの基本的な考え方

あなたは人件費に関する理解をどこまでしているだろうか?

そもそも人件費とは、原価計算(労務費)に基づいて計算すべきだ。

人員数を変えずに売上が増減した場合の人件費の変化


上記の表は、社員を辞めたり、増やしたりせずに、売上が増減した場合の人件費率の変化だ。現在は90万円分の人的投資で300万を稼いでおり、その場合の人件費率は30%となる。

マネジメントを工夫して売上500万を同じ人員でこなせるようになれば、人件費は18%になるし、売上が減少して200万になれば、人件費率は45%となり、経営を圧迫させる。

そういった意味から、人件費は単独の金額を見ることよりも売上に対する売上人件費率が重要視されている。

 1.1 ダメな経営者ほど人件費を削減すると言われてしまうケース

では次に売上の変動ではなく、リストラによる施策をした場合を考えてみよう。

現在は年商3億を社員30人で稼いでおり、1人当りの年間生産力はおよそ1000万だが、人員数を25人まで削減すると1人当りのノルマは1200万となる。

1人当り生産力1200万というノルマを達成できなくなると、納期遅れ・製品、サービスの質の低下、顧客ロスなどが発生し、会社全体の価値は低下する。

つまり、リストラをするのであれば、人員数を削っても現状のビジネスが継続できるように生産力を高めるための投資、仕組みを作らなければいけなくなる。

これがダメな経営者ほどリストラを行い失敗してしまう理由だ。

1.2 人件費と自社の生産能力はイコール関係にある

ここまでを踏まえればおのずと答えは見えてくる。それは「どうやって自社の生産性を高めるか?」だ。

社員を減らすにせよ、売上を増やすにしろ、売上に対する1人当りの生産力を高めさせすれば、人件費率と言うレートは低下する。

そういった意味で現状の自社の人件費率は、自社の生産力を表す指標と言える。その生産力を高めることができれば、人件費削減と人手不足の解消の両立を達成することが出来る。

なぜなら、今まで以上の効率を達成できているので、人員を削っても十分に達成できるからだ。では、これからその具体的な進め方を説明していこう。

2.どの会社も知らない内に多くの教育コストを支払っている

生産性が低下してしまう理由は新入社員への教育をしなければいけないからだ。当たり前だが、新入社員の入社直後は、仕事の仕方を知らないし、指示や教育を受けながらしか仕事ができない。

そうすると、支払っている給与に対する生産力は少ないし、周囲の先輩社員はフォローや指導にあたらなければいけなくなり、業務に充てる時間が減り、職場全体の生産性が低下してしまう。

これが新入社員を採用すれば、職場全体の生産性が低下する理由だ。

2.1 研修をしていない会社でも教育コストを知らない間に支払っている

上記の表を見て欲しい。上記の表は私たちが提供しているテンプレートで分析できる現場教育コストの概要だ。

私たちは新人社員教育への負担コストを以下の3つの期間に分けて算出している。

  • 付きっ切り指導期間

— 新入社員の横で教えなければ何も出来ない期間の育成コスト

  • 指示がないと動けない期間

— 新入社員に対して具体的な指示をしなければ動かせない期間

  • アドバイス・相談が必要な期間

— 仕事を任せるがアドバイスや相談に乗る時間が必要となる期間

では、より詳しく、どの指導期間には、どれくらいのコストを投資しているのか見ていこう。

2.1.1 付きっ切り教育期間への投資コストを計算しよう

新人の入社直後は、仕事の仕方もわからず、指導担当社員が付きっ切りで指導して貰わなければ業務が遂行できない。マニュアルを見て作業をする場合も、作業成果の確認や、フォローなどの指導・管理が必要になる。

そこで私たちは【指導担当社員の業務時間減少量+新人社員の労働力見込みマイナス分】を教育コストとして計算している。上記の表における生産割当低下時間とは、新人社員教育のために、指導社員の業務時間をどれだけ費やしたか?という数値だ。

この時間が長ければ長いほど、指導担当社員の作業時間を削り、生産性が低下することになる。

このコストを改善する為には2通りの方法がある。

  1. 1人の指導者に多くの新人を同時に教えさせ、時間短縮を図る
  2. 新人教育にかかる期間を短縮することでコスト削減を図る

その計算をしたものが以下になる。

上記の表は新人社員を「何人の指導者に指導を担当させるのか?」「指導期間を何時間で終わらせるのか?」を入力できるようになっており、最終的に、どのくらいの職場の生産性を低下させるのか?がわかるようになっている。

2.1.2 部下が一人前になるまでの教育コストを計算しよう

ひと通りの指導を終えたら、後は、仕事に慣れさせながら、質・スピード・状況判断能力を高め、自社での一般的なレベルへと教育する段階になる。この段階を終えたら、人件費が安定するようになる。

各期間の定義は以下の通りだ。

  • 指示がないと動けない期間 — 新入社員に対して具体的な指示をしなければ動かせない期間
  • アドバイス・相談が必要な期間 — 仕事を任せるがアドバイスや相談に乗る時間が必要となる期間

新入社員が一人前になるまで、指導社員は、指導やアドバイス、フォローや手直し、確認作業など教育業務と並行して、自分の作業を進めている。その潜在コストを計算したものが上記の表だ。

そして3つの期間のコスト合計を計算すると現場が知らず知らずのうちに支払っている現場教育コストを計算できるようになる。

 あなたの会社でも、相当の金額がかかっているはずだ。だからこそ、多くの中小企業で新入社員を採用することに抵抗を感じる。なぜなら、人件費が高騰することが感覚的ににわかっているからだ。

 2.2 社員が職場に馴染むためのどの企業でも払っている社会的コスト

新人教育コストは、業務面に限らない。職場に上手く馴染めるように促進したり、良い関係性を構築し、モチベーションアップ、忠誠心を育むための投資も行っているはずだ。

そのような新人を自社に馴染まさせることを社会化(Socialization)と言う。

社会化の方法は大きく分けると3つだ。

  1. 全社単位での社内イベントやレクレーションコスト
  2. 部署・職場単位での懇親会などの交際費コスト
  3. 面談などのマネジメントコスト

特に日本企業では、懇親会や各種イベントに力を入れている所が多い。それは経験則からくる成功ノウハウと言える。

職場での関係性を出来る限り迅速に構築させることによって、「これからこの会社で頑張ろう。」と言う気持ちにさせる事が目的としている。

2.3 研修コストは内訳を細かく計上しよう

最後はOFF‐JTと呼ばれる研修コストだ。研修に投資をしている場合は、以下のような表を作成し、合計コストを算出しておこう。

2.4 人材1人を育て上げるためにかかっているトータルコストを計算しよう

ここまでで1人の人材を教育する為の全てのコストを計算できた。あとは、この数値に採用にかかった費用を足して、採用から教育までの合計コストを試算しよう。

※採用コストの正しい算出方法は以下の記事で詳しく計算していて、採用コストを削減する方法を丁寧に解説しているので、是非当記事と併せて読んでみてほしい。

この表は、領収書やPL表では把握できない潜在コストを計算することを目的としていており、この数値は全て自社の生産を向上させるために作成している。というのも、このコストを支払い終わらなければ、生産性は上がらず、人件費が安定しないからだ。

このように人材に関する投資は、かなりのコスト負担を会社に生じさせる。

多額の投資である人材の採用コストから教育コストまであるが、このコストは同時に無駄になってしまうことが多い。それが離職だ。どれだけコストをかけても離職されてしまえば、全てが無駄になってしまう。

逆に言えば、離職さえなければ、この人材に関するコストを決められた期間内に支払い終えることができる。すると、教育が完了した後は生産性が安定し、人件費を低いレベルでキープすることが出来るという事になる。

採用して教育しても離職され、また、新しく採用して教育しても離職され…という無限ループが人材への投資を無駄にさせてしまう。そのような離職人数の多い企業では無駄が多く発生する。その結果、職場の生産性を低下させ、人件費率を高める一番の原因となってしまうのだ。

3.人件費を抑える方法とは離職による損失コストをゼロにすること

ここまでで採用・教育コストに自社がどれ程多くのコストを支払っていて、それが生産性低下、人件費率の高騰と言う形で返ってきていることがお分かり頂けたはずだ。最後はそのコストを削減する方法についてみていこう。

3.1 コスト金額よりも人材投資が無駄になっていることが問題

採用・教育コストは金額だけを見ても意味がない。なぜなら、生産やサービスの提供をするためには必要な活動であり、それを削ってしまえば、企業価値が低下してしまうからだ。

そこで投資した採用・教育コストを、1年後の定着人材数で割った1人当り人材育成単価を算出したものが、以下の表だ。

この表を見れば、現状の離職人数から、1人当りの戦力化できた社員を獲得するための単価が知る事が出来る。この数値は、当然、離職人数が多くなればなるほど、無駄な投資が増え、単価は高くなる。

3.2 離職率を改善することでの人件費削減効果をシミュレーションしよう

そこで、その単価に対し、私たちのテンプレートでは、黄色のセルに目標離職率を設定し、それが達成されれば、1人当りの育成単価をシミュレーションできるようにしている。

そうすることで、人件費を圧迫する育成コストの削減がどれだけできるかの見込みを知る事が重要だと考えているからだ。

上記の表と先ほどの単価の比較を見てみるとその効果が分かる。その単価に実際の育成人数をかけあわせると、人件費合計削減金額がみえてくる。

このモデルケースは、アルバイトを含んだ社員が100人程度の会社でシミュレーションしたものだ。それでも約500万のコストの削減を見込める結果となっている。

まとめ.人件費削減はまず無駄になっているコストからテコ入れしよう

人件費の削減は、結局は【売上÷給与】という割り算で成り立っているトータルの数値でしかない。当然、採用をして生産性が低い社員が増えれば、現場の作業の時間が少なくなり、売上に占める人件費の比率は高くなる。

だからこそ、以下の2つを考えることが先決だ。

  • どこに投資の無駄が発生しているか?
  • どうすれば、その無駄をなくせるか?

無駄な事を改善すれば、メリットは発生することはあっても、デメリットは発生しない。それをする前に、リストラや給与カット、労働時間の短縮など、現場状況を考慮しない施策を短絡的にとるからこそ、失敗してしまうのだ。

あなたの会社では、人件費の内、どの程度の割合が無駄になっているだろうか?具体的には、何人の社員が離職をし、その離職した社員に対して支払ってきた採用・教育コストが、どれだけ無駄になっているのか確認してみよう。

まずそのコストを把握し、目標となる離職率を設定し、その目標を達成することを現場に指示する。そして、その成果として、どれだけの採用・教育コストを削減できたか?の振り返りをしよう。

具体的な数値は、具体的なPDCAを現場が回すことを強くサポートする。是非、あなたも数値を作り、現実的な人件費削減に向けて、リテンションマネジメントを実践するようにしてみて欲しい。

リテンションマネジメントは、ただ離職者を減らしたり、社員満足度を高めるだけの施策ではなく、人件費を削減にもつながる非常に重要な経営施策であるのだから。

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離職率の改善で、どれだけ利益が出るのか?
人材管理コストEXCELテンプレート

あなたが、「離職率を改善したい!」と思う理由は、以下の3つの中のどれでしょうか?

  1. 採用しても離職されれば、投資した求人広告費が無駄になる。

  2. 育成しても離職されれば、教えてきた時間が無駄になる。

  3. 長く働いた社員が離職すれば、顧客や社内の人間関係が無駄になる。


あなたが離職率を改善したいと思う理由が、上記の3つの中にありましたか?

もしも、上記のことで悩んでいるならば、これらの3つをコスト化するためのEXCELテンプレートがあります。

  1. 無駄な投資コストは、そのまま、金額をベースに計算できます。

  2. 無駄な時間コストは、指導時間や面接時間×時間給で計算できます。

  3. 最後の優秀な人材の流出による損失コストは、時間あたりの生産力から計算できます。


当テンプレートでは、指導時間や指導回数など、行動をベースとしてコスト化できるEXCELツールです。

そして、離職率を5%低下させれば・・・など、改善効果のためのシュミレーションまで行えます。

是非、貴社の人材マネジメントにご活用下さい。

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