離職率の改善

人材マネジメントで現場を思うとおりに動かす為に私がやっている9つのこと

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あなたの会社が離職率の改善を目指すために「新入社員の離職率を抑えよう。」と管理職に指導した時に、必ずぶつかる壁として、「では、新入社員に優しく接して、営業利益を高めるための厳しい指導は必要ないのですか?」と聞き返されることだ。

つまり、「新入社員に甘く接することで離職率を抑える。」という間違ったイメージが伝わり、最悪の場合、ぬるま湯のような職場になってしまうことにある。

それは全て間違った動機付けをしてしまっている所に原因がある。

社員たちは、必ず、以下の3つのどれかに基づいて行動している。

  • 口頭で伝えている場合は、あなたが与えた指示や目標
  • 数値管理をしているところは、会社で用いている数値
  • 会議を重視しているところは、会議で決まった内容や方針

特に離職率の改善というのは、1人の社員の成果を高めるのではなく、全員の意識を1つにまとめることの方が重要となるため、指示した内容や目標が裏目に出ないように、指示内容の逆機能を抑制する必要がある。

そこで当記事では、離職率を改善するための社内制度や今後実行するリテンション施策が裏目に出ないように、社員の間違った行動を抑制し、制度や施策の効果を最大限引き出す、マネジメントの手順について解説していく。

実際には、離職率の改善以外にも、様々なシーンで活用いただける考え方であるため、是非、最後まで読んでみて欲しい。

1.人材マネジメントにおける順機能と逆機能

社員を動かす上で大事になってくるのは、当然ながら「目標の離職率を達成してくれ」、「モチベーションを上げて自律的な部下を育成するように」と言った最終ゴールだ。ゴールが不明確と社員たちは「自分たちが何をこれからすべきか?」がわからない。

そのゴールを伝える方法は、上司が部下に口頭で伝えてもいいし、社員を集め会議で決定してもいいし、数値で伝えてもいい。

しかし私たちは、数値化できないものは管理できないという経営学の基本的な考え方に基づき、数値による成果管理を推奨している。

脚注1:私たちがリテンションレートを人材マネジメントの成果指標として用いている理由は、以下の記事で解説している

脚注2:なぜ数値を使わないと成果を出すことが出来ないのか?と言う人材マネジメントで成果を出す為に必要な準備作業については、以下の記事で丁寧に解説している

1.1 成果指標だけで社員をコントロールするのは危険だという事を理解しよう

以下の表は私たちがエクセルテンプレートのフルパッケージ版で提供している人材マネジメントにおける業績評価に関する表だ。

上記の表は、採用者3年以内の離職人数を出し、人材の定着率の推移をみたものだ。続けて以下の表を見て欲しい。

上記の表は、それぞれの管理職の管理している社員の内、どれだけの人数を離職させてしまったのか?に関する表だ。

上記の表があれば、誰がどれだけの部下を離職させ、部下管理に力を入れている度合い、そして誰が成果を出していて、誰が成果を出せていないか?が一目瞭然となる。

しかし、実際には、上記の様な業績評価の仕組みだけでは狙って成果は出すことは出来ない。なぜなら、上記の表は、結果を評価することは出来ても、実際の行動と言うプロセスを管理するものではないからだ。

1.2 人材マネジメントにおける順機能と逆機能

ではなぜ、結果評価だけでは、正しく成果を出すことが出来ないのか?

それは、どんなやり方であっても、評価対象となる数値がよくなりさえいいという考えた方になってしまう社員が存在するからだ。

あなたの会社では、数値や指示をした時、逆機能を持った社員がいないと断言できるだろうか?

経営幹部の意図;定着率を上げ、働きやすい職場を作り、会社を良くしよう。
順機能 逆機能
数値の捉え方 会社はこのようなことが課題だと認識しているから、業績評価に定着率をとりいれたのか 自身の人事評価を高めるためには、これからは定着率が大事なんだな。なんとしても、離職者を出してはいけない
解決方針 これからは部下の悩みを聞いてあげたり、仕事に関するアドバイス、失敗した時のフォローを大事にしよう。 あまり厳しいことは言わず、優しくしてあげよう。部下が仕事ができなくても、自分が手直ししたりすることで解決し、何があっても辞める人が出ないように徹底しよう。
成果の変化 社員の定着率の向上・離職者の減少

上記の内、例え、どちらの考えかたであっても、見かけ上の数値(定着率)を改善され、数値上では「成果は出た」と判断されてしまう状況が起きてしまう。

上記の逆機能のような思考に社員がなってしまうのは、決して悪い事ではなく、当たり前のことだ。常に社員たちの関心は、「人事考課で自分の評価が上がる事」に関心を持つからだ。

だからこそ、制度や施策の運用者が逆機能を持たせないように、数値を設計する必要がある。

2.マネジメントの逆機能を防ぎ、良質な行動をとらせるための9つの手順

ここからは具体的に、逆機能を防ぎ良質な成果を目指させるためのマネジメント手順についてお伝えしていく。是非、皆様もこの通りに実践するようにしてみて欲しい。

2.1 何の結果に対して責任を持たせるのか?と言う管理可能範囲を決定しよう

マネジメントにおいて真っ先に設計しないといけないのは、「その成果が管理可能であるかどうか」だ。

例えば、教育シーンを考えて見て欲しい。誰から見ても、性格的・勤務態度・能力の欠如に問題があり、誰が教えても、会社が求める水準で働けない社員の教育を任せられたとしよう。

この場合は、誰が指導しても、目標を達成できないはずだ。しかし、指導能力と言う業績評価をしている場合、指導担当の社員の評価が下がるという責任を指導者が担わなければならない。

成果だけの仕組みではこうした例外に対応することが出来ない。こういった理由から人的マネジメントでは以下のような逆機能が発生する。

人材マネジメントで発生する逆機能

  1. 部下からの評価・部下の離職によって上司の評価が下がるため、職場での力関係が、「上司が部下に気を遣う。」という逆転現象が起きる。
  2. 強く指導して、辞められたら困るという心理から、指導や教育がしにくくなり、職場で「ミスをしても大丈夫」と言う楽観意識が形成されてしまう。
  3. そういった職場風土に優秀な社員、やる気のある社員が不満を持つ。
  4. 優秀な社員は少数派であるので、生産性の低い社員の離職数は減り、生産性の高い離職数は上がっても、見た目上の合計離職数が減る。
  5. 最終的に、成果指標である定着率は上がったのに、会社の生産性は下がり、コストが増えるという反比例の結果が起きてしまう。

つまり、低品質な結果は、成果が管理不可能なものにまで責任を求めることで発生する。そこで私たちは、まず管理可能・改善が可能な人・モノをリストアップしている。

性格・考え方の矯正・指導が可能なもの・可能でないもののリストアップ

  • 〇〇と思って働いている人の思考は改善できる。
  • □□と思っている人は、誰が教えても強制することが出来ない。
  • △△と言う考え方は、仕事を通じて変わっていくことがある。
  • ☆☆の性格を持っている人は、〇〇のように動こうと思うことは決してない。

作業をする上で必要となる能力は身につけられるものかどうか?をリストアップ

  • 〇〇することのできる作業能力は、毎日、少しずつ伸びていく。
  • □□を考えて、動く判断能力は、できる人とできない人に分かれる。

2.2 定義に基づく成果基準の決定

上記の様に管理可能なもの・管理不可能なものにリストアップ出来たら、管理可能なものだけに絞って成果を評価するように、仕組みを調整しよう。

私たちの例であれば、社員を以下の5つに区分し、下記の内、コア社員・エース社員・標準社員の離職人数を最終的な業績評価の数値としている。

上記の定義に基づき、離職人数の内訳を見たのが以下のデータとなる。

そしてこのデータをよりわかりやすいように比率で加工したものが以下のデータだ。

上記のデータを見てみると、2013年は優秀な人材・作業員が大量に離職しているが、2014年度はわけあり社員・問題社員が多く離職している良い結果となっていることが分かる。2015年度にはまた数値が悪化し、このデータでは、人材マネジメントにとりくんでいるが、成果が安定していないことがおわかりになるはずだ。

2.3 人材マネジメントの目的・対象を現場に伝えよう

こういった理由から私たちは、制度や施策を実行する前に以下のデータを現場社員にみてもらい、以下のことを理解するようにしてもらっている。

上記のデータは、各年度のラベル別在籍社員人数を集計したものだ。このデータを比率で表すと以下のようになる。

このデータを使って以下のことを伝えていこう。

1.What:人材マネジメントを実施する目的
自社の人材の質を高め、生産性を高め、利益率を増やす。
2.Why:成果指標の位置づけ
優秀な社員の囲い込み、人手不足の解消を目指すため定着率で評価する。
3.Range:評価範囲の伝達
しかし、どうしても改善が難しい社員は、職場や会社に悪影響を及ぼすので問題社員・わけあり社員の離職は多くても良い。あるいは、退職してもらえたことを評価する。
4.How:数値を出すための方法の提示
上記の比率を高めるには質の高い社員を増やさなければ変わらないので、しっかりと丁寧な指導や教育を行いつつ、対象社員の離職数を減らさなければ数値は変動しない事を伝える。

上記のデータを使って、評価の範囲はどこなのか?そして上記の数値を良くするには、どの様な行動をとらないといけないのか?をしっかりと明示することが出来れば、社員はその他の行動(社員を甘やかして見た目上の離職者を減らす)という行動をとることを防ぐことが出来る。

事前に「この行動をとってほしくない」という行動を予測し、それを防ぐように数値を設計することが重要だ。

2.4 現場にしてほしい2つの行動指針を提示しよう

マネジメントにおけるアプローチは基本的にはたった2つしかない。「達成できればいいこと」と「やってはいけない」という奨励と禁止の2つを提示することだ。

「能力が高く可能であるならばやってほしい優秀な人材のみに与えるミッション」と「能力に関係なく、誰であっても達成しなければならない全社員を対象とするミッション」という2つの管理方法を使い分けることが成果を出す上で効果的となる。

その理由は、下に合わせると優秀な社員が能力を余らせてしまうし、上に合わせると下の社員がついていけなくなる。だからこそ、上限を設定しないマネジメントと下限を設定するマネジメントの2つを併用していこう。

2.4.1 達成できれば良いマネジメント

私たちが公開しているテンプレートの入力ページでは以下のような構造になっている。

上記の入力データはいつでも変更が可能であり、ラベルを変えればこれまでに紹介してきたグラフが全て自動で変化していく。

しっかりとした指導・教育、面談をしていけば、人事評価に基づき黄色のセルのラベルを変更しよう。そうすれば、社員の構成比率は変化し、どれだけ自社の人材の質を高められたのか?を評価することが可能となる。

私たちが定義している5つの社員ラベルについては以下の記事で詳しく説明している。社員のラベルを割り振る時に、是非参考にしてほしい。

2.4.2 やってはいけないマネジメント

以下の表は、業績評価機能を追加したフルパッケージ版のデータだ。

上記の表の内、黄色のセルで示したところが評価対象となる部分だ。

上記の表では、加藤部長が比較的マシだが、どの管理職も会社に貢献してくれている社員を辞めさせ、ダラダラと働いたり、職場に悪影響を与える社員が会社に残るという結果になってしまっている。

この成果は誰が見ても、良い結果とは言えないはずだ。ここまで、全体的な離職人数、そして内訳を組み合わせることで、現場に良質な行動を促す目的を持った数値を作り上げることが出来る。

2.5 人材マネジメントで成果が出始めているかをチェックしよう

また私たちは、最終的な成果だけでなく、人材育成の過程もしっかりと見れるようにデータを設計するようにしている。以下のデータを見てみよう。

上記のラベルに関する詳しい解説は下記の記事でしているので、当記事と併せて是非読んでみて欲しい。

上記のラベルに関する詳しい解説は下記の記事でしているので、当記事と併せて是非読んでみて欲しい。

2.5.1 未成熟層と新人層の乖離をみて採用面接の有効度を評価しよう

上記の表は、勤続年数別のラベルで社員属性の比率をみたものだ。未成熟層の段階では、採用面接時の評価が反映されているが、しばらく働き新人層で初めて現場評価が加味されたデータとなる。

このデータをみても、採用面接の有効性を知る事が出来、どれだけ面接時の評価と現場の評価の乖離があるかを判断する事にも役立つ。未成熟層と新人層の比率が大きく変わる場合は、採用面接での採点基準・選考方法を見直すことも検討しよう。

2.5.2 新人層と中堅層の乖離をみて人材育成の成果を評価しよう

新人層から中堅層の差では、若手の内はバリバリ働いていた社員が、やる気をなくし問題社員となっていないか?、期待した社員が成長せず標準社員となっていないか?、勤続年数を経て職場を我が物顔で私有化するわけあり社員になっていないか?を比率から確認しよう。

新人層の比率と比べて、コア社員・エース社員の比率が減っていれば、人材育成が失敗している証拠であるし、比率がそのままか増加していれば、育成に成功していることをあらわしている。

2.5.3 中堅層とベテラン層の乖離から管理職候補が増えているかを確認しよう

最後のベテラン層では、自分1人の話ではなく、職場の管理や各プロジェクトの責任者を担ってもらうコア社員の比率が最も多くないといけない。

しかし、近年、責任を持ちたくなかったり、指導や指示をするよりも自分でやった方が早いというスタンドプレーをする人が増える傾向にある。

しっかりと会社の中核を担えるようなコア社員の比率が高まっているかを確認しよう。

2.6 しっかりと数値が成果につながっているか確認する機会を定期的にもとう

私たちにも当てはまる事だが、プロジェクトが始まったり、数値の運用に慣れてくると、本来の目的を忘れ、スケジュールは滞りなく進んでいるか?数値は改善されているか?ばかり話してしまうようになってしまう。

しかし、数値やプロジェクトの実行が成果にしっかりつながっているか?という成果指標との連動を確認しなければ、会社状況をより悪くするような結果になってしまうことだってある。

そのため、私たちは、これまでに紹介してきたように、複数の表やグラフを活用し、多元的な視点から成果を見ることを徹底している。

あくまでも、何のために、会社にどのような結果をもたらせるための数値なのか?施策なのか?制度なのか?を定期的に確認し、その成果は自社に起こり始めているか?という成果の反映に対する実感を話し合うようにするようにしよう。

まとめ.数値は評価のために使うものではなく、管理をするためのもの

ここ迄に説明してきたように数値は最終成果を評価するだけのものでは決してない。

何か業務をして、制度をとりいれてみたり、何か施策を実行した後に、副次的にでてくるものではない。必ず実行まえに、

  1. 社員にどのような行動をとってほしいのか?と言うゴールの明示化
  2. それを刺激するにはどのような数値が効果的か?という数値の動機づけ効果
  3. その数値にはどのような逆機能があるか?と言う数値のデメリットの検討
  4. その逆機能を防ぐにはどのような数値が必要か?という評価範囲の検討
  5. 数値から始まるマネジメントの実行という数値に基づくマネジメントの実施

と言う段階を踏んでいく事が重要だ。実行前までに、社員の行動予測、そして、自分たちが望む方向に社員を誘導する数値設計をするからこそ、期待通りの行動をとらせることを実現できるようになる。

ここまでは難しいかもしれないが、数値の運用関係なく、制度や施策を考える際に、この制度や施策は現場でどのように運用されるのか?このように運用してしまうのではないか?そのように運用されないようにはどのような条件・指示を付け加えた方が良いか?という事を事前に話し合うようにしてほしい。

そこまで社員の行動を予測できていれば、狙って社員の行動をコントロールできる制度や施策を作り上げることが出来ることを約束する。

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  1. 1.離職人数と採用人数を出して社員数の増減を確認する方法

  2. 2.新入社員の1年以内・2年以内・3年以内の離職率を確認する方法

  3. 3.勤続年数10年以上の社員が何人離職しているのか確認する方法

  4. 4.営業成績の良い社員が、どれだけ離職しているのか確認する方法

  5. 5.どの管理職の元で働くと離職する社員が多いのか確認する方法


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