離職率の改善

離職データから逆算する最適な人員計画の立て方とそのための8手順

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会社の利益を最大化するためには、「必要な人数を採用すること」と「必要以上の人数を採用しないこと」のバランスを取ることが重要だ。人員が少なすぎれば、回転率・稼働率が低下し、売上をとりこぼしてしまうし、逆に多すぎれば人件費が悪化してしまう。

あなたの会社でも「人が少なくて事業が回らない」、「人が多すぎて人件費負担が大きい。」という問題が起きていないだろうか?

それは全て人員計画が上手くいっていないことに起因する。そして、それは多くの方が「結果論に過ぎず、予測することは困難だ。」と感じている事だろう。

そこで当記事では、離職データと平均勤続年数データから、売上を最大化し、最適な人件費率を保ち利益を最大化する為の採用人数の決定方法をお伝えする。

採用・人員計画をどう考えたらよいか悩んでいる方には必見の内容となっている。

1.採用人員計画を立てるための3手順

採用計画が多くの会社で想定外の結果が発生してしまうのは「離職」という問題を想定しきれていないからだ。

例えば、30人の人員を増やしたくて、30名の採用をしたとしよう。しかし、当然離職者はどの企業でも発生する。するとピッタリ30人の採用人数では、期末時になると離職した分の人員数が不足し、どこかの店舗・部署で人手不足が発生してしまう。

しかし、離職を見込んで必要数以上の採用をすることを多くの会社で避けてしまうのは、「予想以上に離職者が出なくて人件費が上がってしまう」ことを嫌がるからだ。そのため、定員以上の採用をすることに抵抗を感じるのも当たり前の話だ。

そういった問題に対し、私たちは、離職率から逆算して必要採用数を決定することを提案している。

1.1 求人広告を出す前に増やしたい社員数を決定しよう

ではまず、次年度の採用人数見込みの決定方法から見ていこう。採用人数を決定する上で重要なのが、「今年度にどれだけの人材の増減数があったのか?」というデータを見ることだ。以下のデータを見て欲しい。

上記のデータは、それぞれの採用形態別にどれだけの人員増減があったのか?を示すデータだ。上記の表を見てみると、管理職候補が不足しており、次年度に管理職候補を補充採用しなければいけない事が分かる。

採用人数計画は基本的に【減少した人員の補充+追加人員採用の合計数】によって算出できる。上記の表を参考にしながら、以下の2つの人員数を確定しよう。

  1. 補充しなければいけない人員数は何名か?
  2. 追加したい人員数は何名か?

1.2 離職人数を考慮した採用見込み数を決定しよう

しかし、先ほども説明した通り、上記の人数の見込みは、自社が必要としている社員の人数であり、実際の採用人数目標にはならない。

その理由は、「ぴったりの採用では離職が発生した瞬間に人員が不足してしまう。」からだ。そのため、離職を考慮した採用人数を決定しなければいけない。

そこで以下のデータを見てほしい。

上記のデータはそれぞれの集計期間での採用人数と離職人数を表したものだ。特に注目していただきたいのは、【人材ロス比率】の割合だ。

このデータを見れば、パートは10.53%、正社員は14.29%、店長候補は15.38%という結果になっているので、先ほど決定した必要人数よりも、この割合だけ多くの人数を採用しなければいけない事が分かる。

つまり、必要人員数は離職人数を考慮しないが、採用目標人数は離職人数を考慮しなければならないという事を理解しておくことが重要だ。

また私たちが提供しているテンプレートでは、年度によるばらつきを考慮する為、複数年の平均データや合計増減数を把握できるように以下の黄色のセルの年数を変更すれば、集計期間が変更できるようになっている。複数年度での人材ロス比率を見ることでより正確なデータで計画を練ることが出来る。

当エクセルの詳しい内容は、以下のページをご覧ください。

1.3 採用の周期を考慮した複数年度で計画を練ろう

大手企業であれば通年大量採用をするだろうが、ほとんどの会社では1年単位で採用計画を練ることはそうない。なぜなら、1年以内に全員が離職しない限り、次年度で本年度と同数の社員を採用する必要がないためだ。

そういった意味から9割以上の会社では、離職した社員が発生し、その補充をする時や事業や店舗数を拡大する時にしか採用に力を入れないという事が大半だ。

しかし、そういった行き合ったりばったり採用では採用計画が練れず、人材育成計画が曖昧なまま場当たり的な対応をせざるを得なくなってしまう。

そこで以下の表を見て欲しい。

上記の表で注目してほしいのが【離職・新入社員を除く平均勤続年数】の部分だ。平均勤続年数は採用の投資効果の継続時間を表している。

例えば、パートであれば平均2年2カ月程度で全員が辞めるので、2年周期で採用が必要なことが分かる。つまり、この会社であれば、2年以内に採用・教育投資分を回収し、自社に利益が発生するように人員管理計画を立てていかなければいけない。

そのことから、このケースでのパートの例であれば以下の3つの視点で採用計画を検討できるようになる。

自社に合った適切な採用計画:パートの場合

  • 採用計画は何年で組むべきか?:2年周期で最適な採用計画を練る。
  • 採用効果の改善はすべきか?:パートの平均勤続年数を増やし、採用負担を減らす。
  • 採用の仕組みを改革すべきか?:正社員中心の組織形態に変更したほうがよいのか?

 

採用の問題と離職率を関連付けることで、現状の人員計画・採用戦略は、コスト的に適切なのか?を考えることが出来るようになる。特に、平均勤続年数は、採用の投資効果を左右する重要な要素なので、採用形態別の数値はしっかりと把握するようにしておこう。

脚注1:RABLEが提供している離職管理EXCELテンプレートをご利用いただいている方へこの章で紹介しているデータラベルは【採用者属性】です。この分析をする場合は、採用者属性を選択すれば同じデータが排出されます。

2.採用計画を最適化する集客媒体を選定しよう

誰をどれだけ採用するのか?といった人数の見込み計画を立てることが出来れば、次のステップでは、誰をどのようなツールで採用していくのか?という方法について検討していこう。

2.1 採用媒体別の集客ボリュームを確認しよう

採用集客で真っ先に考えなければいけないのが、人数というボリュームだ。なぜなら、採用人員目標数に満たさなければ事業が回らなくなるからだ。

そこで、次に、どの媒体がどれだけの人数の採用を確保しているのか?に関するデータを見ていこう。

ここでは採用人数だけに注目して見ていこう。上記の表をみると、それぞれの採用人数が簡単に一覧でわかる。

単純に、採用目標人数が達成されず、人手不足に悩まされているのであれば、最も人数が集まりやすい媒体に投資を集中させるという採用戦略が良いだろう。

しかし、それぞれの媒体チャネルは、投資額が変わるため、どのような媒体チャネルを強化していきたいのか?ということも、採用戦略にとっては重要だ。

勘のいい方ならもうお気づきだろうが、どれだけ多くの採用が出来ようが、離職が発生すればその分投資は無駄になる。そのため、人数が確保できれば、次は投資効率の最適化を図り、コストの削減を目指していかなければならない。

2.2 媒体別の得意としている集客対象を確認しよう

そこで、次にチェックすべき表は、採用媒体別の平均勤続年数データだ。

採用目標人数が達成できている段階になっていれば、求人広告費を削減するための採用戦略を、媒体チャネルごとの平均勤続年数データから読み取っていこう。

以下の表を見て欲しい。

離職社員の平均勤続年数データを比較してみよう。上記の表は、離職した社員の勤続年数別の比率を見たものだ。この表を見て、それぞれの媒体の特徴を捉えるようにしよう。

  • 採用・離職社員の平均勤続年数が高い媒体チャネルはどれか?
  • 採用・離職社員の平均勤続年数が短い媒体チャネルはどれか?

ここから、さらにデータ内訳を見て行く必要がある。

離職・新入社員を除く(現在働いている社員)平均勤続年数データを比較してみよう。

  • 現在、働いている社員は、どの媒体チャネルからの採用ならば、平均勤続年数数が長くなるのか?
  • 平均勤続年数の期間が短い媒体チャネルは、長く働いてもらうために、どのような求人広告戦略が必要となるのか?

求人広告に掲載するキャッチコピーや文言で、どれほどの差が出てくるのか?ということを検討する際に活用いただけるだろう。

下記の表とグラフは、それぞれの媒体別の定着率だ。

上記の例では、自社HPやSNSなどのコンテンツマーケティング、紹介などのリファレンス採用などに力を入れても、それほど、質の高い応募者を囲い込めていない?という現実を確認できるようになる。上記の表を合わせて見ることで、「どの様な層の集客が得意なのか?」を考えよう。そして最終的に、採用に必要人数を確保しながら、できるだけ、長期的に働いてくれる社員を集めることを得意としている媒体にシフトしていけるようにしていこう。

ここまでのデータを見れば、今後、投資対象として強化していくべき媒体チャネルの決定と、改善すべきポイントが明確になっていくだろう。

平均勤続年数や定着率などから、外部集客に頼らず、自社で集客したほうが良いかどうか?採用応募の内製化をすべきかどうか?などの判断をしていこう。

2.3 媒体チャネル別の採用の質を確認しよう

また採用者の質は、「どれだけ長く働いてくれているか?」という時間とは別に、「能力が高いかどうか?」という事を見ることも重要だ。以下のデータを見て欲しい。

私たちは以下の定義で社員を区別している。


そこから以下のことを検討するようにしてほしい。上記の表を見れば、「それぞれの集客媒体別にどういった人材を獲得することに向いているか?」を知る事が出来る。

  1. 単純に作業員を確保したいのであれば、ボリュームが取れる媒体を選択する。
  2. 社員の質を求めるのであれば、単価が高くても、採用広告・認知に力を入れる。
  3. 長く働いてくれる社員が欲しいのであれば、熱意の高い応募者を用意してくれる業者を選択する。

あなたの会社で重視するのはどの指標だろうか?

  1. 投資効率を評価する : 採用した社員が離職していないか?
  2. 人員数の確保を評価する : どれだけ多くの人数を採用できたか?
  3. 採用の質を評価する : 採用した社員の能力は自社が求める水準か?

その目標が変われば、採用担当の行動や指針は当然変わる。

そして、過去の実績を基に様々な媒体チャネルを組み合わせて最適化を図ろう。

  1. 作業員を確保するために、安い求人媒体で募集は何人を目標とするか?
  2. 能力の高い基幹社員は何人必要で、その為の集客媒体は何が向いているか?
  3. 平均勤続年数からみて、コスト効率が高いのはどの媒体か?

上記の3つをデータから読み解くことができれば、人数と質の両方を満たす為に、それぞれの媒体を組み合わせた採用計画はどのように運用するのが最適か?ということを決定できるようになっているだろう。

脚注2:RABLEの無料EXCELテンプレートをご利用いただいている方へ

この章で紹介しているデータラベルは【媒体チャネル】です。

この分析をする場合は、媒体チャネルを選択すれば同じデータが排出されます。

3.要員計画:採用人員の内訳を検討する2つの手順

採用の全体計画を設計出来たら、具体的な詳細を詰めていこう。ここからは、現在、どこの部署で何人の人員が不足していて、どれだけの補充が必要なのか?を見ていく事にしたい。

これから紹介する分析ラベル(部署ごとデータ・店舗ごとデータ)からは、離職原因が社内コミュニケーションに関係している可能性も考えられる。離職原因を特定したい場合は、以下の記事も読んでみよう。

3.1 職種・部署ごとの不足人員数を確認する

採用における必要数を決める為に必要な情報の1つ目は、職種・部署毎の不足人員数を確認することだ。

この場合も例にもれず、以下のデータを確認しよう。

上記のデータを見れば、どこの部署でどれだけの人員が増減していて、どれだけの補充が必要なのか?あるいは人員数が足りているのか?を確認することが出来る。

また職種(仕事内容)が変われば、当然、文化も必要な能力が変わる。すると平均勤続年数も変化する。そのため、部署別に必要な採用計画を個別に考える必要が出てくる。

そこで以下の様に、それぞれの平均勤続年数を出して採用の周期を把握して、複数年での採用計画を立てておこう。

職種・部署が変われば、仕事内容に応じて求められる能力・知識も変化する。専門知識・ノウハウ・経験が必要な職種もあれば、そうでもない職種もある。

そのため、2章で紹介した採用人数の内訳とは異なり、離職社員の内訳をみるようにしよう。

なぜなら、職種によっては、ある程度の勤続期間・経験を必要とするからだ。採用した社員をすぐにその部署に配属することは難しいことを想定して、採用計画を練らなければいけない。

採用計画の内訳をしっかりと検討すれば、採用媒体の組み合わせを詳細に決定できる

  1. 高い能力を持った人員が何人必要なのか?
  2. 質を求めない頭数だけの採用人数は何人程度か?

上記のことをしっかりと考えていれば、集客媒体の最適な組み合わせが見えてくるはずだ。そして、最終的に、部署ごとに不足人員数を合計して必要な採用人数を確定しよう。

3.2 店舗ごとの不足人員数を確認しよう

また採用必要人数の決定方法にはもう1つのやり方がある。特にサービス業、店舗運営をやっている会社に向いている。

店舗型の場合であれば、店舗ごとにデータを作成しよう。その手順は今までに紹介したやり方と同じだ。

これまでと同様にそれぞれの店舗での人員数の増減をまずは確認し、新規出店がある場合はその人数を足した合計が採用必要人数となる。

また店舗型の場合、立地によって、学生・主婦・フリーターの集客状況が変化する。住宅街なら主婦が多く、学生街なら学生が集まりやすいなどだ。そのような特性から、店舗によって平均勤続年数は変化する。それを考慮した採用計画を練らなければいけない。

集客対象が変われば、当然ながら最適な集客媒体も変化する。主婦層が好む求人媒体と学生が好む求人媒体は異なるからだ。

そこで上記の様に店長の感覚ではなく、しっかりと数値をとって、勤続期間の内訳からどの層の社員が多くなるのか?を把握し、それぞれの層に強い集客媒体を決定しよう。

  1. A店舗の立地からA店舗に向いている集客媒体は何か?
  2. B店舗の立地からB店舗に向いている集客媒体は何か?

立地条件によって、活用する採用媒体を変えるというのも重要な視点となる。

まとめ:採用計画を考える上で大事なのはインとアウトの調整を図る事

離職者が0の会社でない限り、採用計画と現実はイコール関係にならない。採用計画で10名を目標としたとしても、離職人数が5名も発生するならば、15名が必要となるからだ。

その部分を考慮せずに、採用計画を立てていると、人手が足りていない店舗(部署)とそうでない所が分かれてしまう。

しかし、データがあれば、予測することは出来るし、過去の離職データから逆算して最適な計画を練ることが出来る。

また人数の問題だけでなく、作業員を確保したいのか?質の高い人員を確保したいのか?という、採用の質によっても最適な媒体チャネルは変化する。

そのため精度の高い採用計画を練るためには以下のことを決定しなければいけない。

  1. 作業員は何人必要なのか?
  2. 基幹人員(能力の高い応募者)は何人必要なのか?
  3. 平均勤続年数という投資の継続性を考慮すればどの媒体が最高率と言えるのか?
  4. 目的別にそれぞれの採用媒体をどう組み合わせるか?
  5. 離職の発生を見込んだ最終採用人数はそれぞれ何人にするか?

上記のことを考えるためには、離職データが必要不可欠になる。良い人材を採用できた。目標人数を採用できた。という短期的なゴールに満足せず、必要な人員数は確保できたのか?それぞれの業務の遂行を満たした社員を採用できているか?

という採用計画の質について、徹底的にこだわるというリテンションマネジメントを実践してほしい。ここまでで紹介したように、人員計画を数値で考えられるようになれば、あなたの会社は人で悩むことはなくなる。

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