あなたに対して批判的な意見を言われた時、あなたのモチベーションはどのように変化するでしょうか?
この項目では、批判的な意見を言われた時に、どのようにモチベーションが変化するのか?その理由はなぜか?ということを解説していきます。
では、詳しく見ていきましょう。
ダメ出しをされることで低下するモチベーション
人は自分に対して否定的、対立する発言・態度・行動をされたとき、ネガティブな価値観を抱きがちです。
自分の行動や考え方の指摘を受けた時、自分の提案に反対された時、自分の考え方からすれば信じがたい発言や態度、行動を見かけた時、その人に対する不信感は強まっていき、最終的には以下のような先入観や思い込みというステレオタイプが形成されていきます。
- あの人は、私に対して良い感情を持っていない。
- あの人は、内容に関係なく、基本的に私の意見に対してダメ出しばかりしている。
- この職場は、保守的な態度・意見ばかりで新しい取り組みをしようとしない。
- この職場では、問題点や課題点を言うだけでどうすればできるかを考えない。
こういった先入観は次第に以下のような無気力感を高めていきます。
- 職場の課題点や改善案を出しても、真剣に聞いてもらえるわけがない。
- また自分に対してダメ出しをしてきた。本当にこの人は、あら探しが好きだな。
- この人たちはただ怒りたいだけなので、ただ「すいません」とだけ言っておこう。
- この人がよく私に対して怒鳴るのは私が嫌いだからだ。
こういった先入観は、様々なコミュニケーションの問題を引き起こし、課題発見・問題解決ができない組織風土につながっていきます。
ダメ出しをされた時の解釈能力
物事を客観的にとらえ、合理的な意思決定、行動をしていくためには【Critical thinking:批判的思考力】が必要です。
批判的というのは、否定的な意見を受け入れるということではありません。
自分に対する、良い情報・悪い情報のどちらに対しても、職場の状況や自分の立ち位置、チームでの役割、など様々な観点から中立的・客観的に捉えようとする力です。
<出来ていないことやダメ出しをされることが多い印象>
この項目に回答した人は、職場のメンバーに対して、常に自分の感情に支配されていて、冷静に意見を受け入れることができていない可能性があります。
どのような人でも、自分が全く悪くないというケースはほとんどありません。もちろん、全てを受け入れる必要があるという訳ではありませんので誤解されませんように。
自分が間違っていない、自分のせいでないと内心思っている時でも、「確かにこう考えれば、上手くできたかも」という成長のきっかけになったり、「この人には、自分がこうしていることがこんな風に見えるのか」などの他者への理解につながります。
しかし、実際は多くの人が、自分に対してネガティブな意見を言われた時【①攻撃的(感情に任せた反論、言い訳)】【②防御的(怒られないように無難な行動しかしない)】【③回避的(すいません、ごめんなさいと反射的に謝る)】といった行動をとることが非常に多いです。
このように、感情が先行すると、自身を正当化したり、その場を乗り切りたい気持ちが勝り、意思疎通が出来ないために、指導も上手くいきません。
内容が耳に入ってこなくなるからです。
重要なのは、どちらが正解・不正解という2次元の狭い世界で善悪を判断するのではなく、相手から見た自分、相手の要望や不満はどこにあるのか?という発見をお互いにすることが大切です。
<良い意見も悪い意見のどちらもあり、客観的・合理的な印象>
逆にこちらの回答、プラスの点数がついている人は、常に、感情に支配されることなく、話の内容に目を向けることができています。
具体的には、以下のことに注意できていればさらに良くなります。
- 状況から見て、自分の意見・発言・姿勢・行動は適切であったか?
- 意図に関係なく、自分の振る舞いは相手にどう受け止められているかを考慮できたか?
- 話の内容でなく、自分の話し方や会話の流れは適切であったか?
- 相手の気持ちや立場、状況に配慮して、指示や要望・指摘をできていたか?
- 状況やノウハウなど実現可能性、優先順位をしっかりと考えられていたか?
「私は正論を言っている。」と言う人の多くは実は正論でないことのほうが多いです。もちろん、一般論や話の合理性としてはつじつまが合っているかもしれません。
ただし、こちらの回答を選んだ方にも注意が必要です。
現実には、自分の意見に周りが賛同し、実行に移せるように落とし込み、上手くいくまで修正し継続する。という活動が必要になります。
つまり、相手に響かなければ、それはただ理論や知識を振り回しているだけで議論には勝てても、会社・職場への改善、貢献という視点では無価値どころかマイナスです。
意見が「正論である、正論でない」、「可能だ、不可能だ」という2元論に陥らず、常に素直で優しい気持ちで「こういった捉え方もするんだなぁ」「こう思う人だっているんだ。」と相手を理解する気持ちを持つことも考えてみてください。
すると、あなたの主観や感情や思い込みで相手の言葉や態度を誤解してしまう。ということが、もっと少なくなっていくことでしょう。
ダメ出しをされても悲観的にならないためのアドバイス
「客観的・中立的な思考をしよう。」というのは、言葉でいうのは簡単ですが、実行に移すとなると簡単ではありません。それは人は自分が経験した範囲でしか物事を考えられないためです。
人の価値観は、家族・知人関係、学生生活、生まれ育った地域の慣習、職場経歴などが複雑に絡み合って形成されます。
そのため、「自分だったらこう思う。だから相手だってこう思っているはずだ。」と自分というものを相手に当て込みます。これが先入観や被害妄想の正体と言えます。
批判的思考を日本人が苦手としているものこのためです。
例えば、アメリカでは様々な人種が入り混じっているため、「価値観が同じなんてことはありえない。」という常識が前提としてあります。相手が否定的な意見を言ったとしても感情が動かされることなく、「なぜ?そう思うんだい」という素直な疑問・好奇心を前面に出します。
それは相手の言葉の意味を相手の想いを理解しなければ、どう返していいかわからないからです。
言葉尻をとって「攻撃された!ダメだしされた!不満を言われた」と認識するのではなく、まず相手の意図を理解することを大事にしましょう。
そしてほとんどの場合、それができれば、行動や発言の指摘は、「あなたがこう考えられるようになればいいな」や「こうした方がこのアイデアはもっとよくなるんじゃない?」とか「もう1度考え直せば、もっといいアイデアが出るかも」などの応援メッセージとしてとらえられるようになり、精神的なストレスもぐっと減るようになるでしょう。
敵は勝手にできるものでなく、自分から作っている場合のほうがずっと多いです。
この点数が低い人にあなたがしてあげられること
相手の感情が高ぶったり、思い込みや被害妄想をしてしまうのは、性格ももちろんありますが、「一方的に否定された。」「話を聞いてもらえなった」「他の人がやったことを自分のせいにされた」という過去のつらい経験が大きく影響することがあります。
だからこそ、「今回だってきっとそうだ。自分にとって嫌なことを言うつもりだ。」という感情に支配され、伝えている側の本意が伝わりません。
そこで、まずこの部分を解消する必要があります。
1.先に相手が思いそうなイメージを先回りして潰す
相手が思いそうなネガティブイメージを先回りして潰すことが有効です。
「こういうことをイメージしたり、こういう想像をしてない。そういうことではないからね?」という前置きが有効になります。
2.話の内容よりも自分の相手に対する気持ちを先にする
そして具体的な課題点や問題点、改善点を指摘する前に、自分の気持ちを先に伝えておきましょう。
いきなり本題に入っても、相手が感情的になれば内容が全く耳に入らないので、「今から私のいうことは、あなたにこうなって欲しいから言うだけで、あなたを批判するわけではないよ。」と敵対意識や被害妄想をされることを防ぎましょう。
3.本題と合わせて未来像を話す
また本題を伝えても、「私はダメだ」や「迷惑をかけている、足を引っ張っている」と自己嫌悪してしまう可能性があります。
そこで「これができるように協力するよ。それを目指してみよう」や「○○さんならば、3ヵ月ぐらいでできるようになるよ」という時間軸を意識した会話、「やる前に課題がわかってよかった。結果的に良い方向に向かったね」などのネガティブなフィードバックがプラスに転じるイメージを演出することも効果的です。
4.相手が安心するまで面倒がらずに繰り返す
たった1つのことを伝えるために「ここまでやらなきゃいけないのか」と思われるかもしれません。
しかし、それも大変なのは最初だけです。ネガティブなやりとりや会話に慣れてくれば、「わかりました。こうしたほうがいいですね。」という建設的・ディスカッションが当たり前になっていきます。その段階になれば、誰もが「ダメなことはダメ」、「こうしたほうが良い」、「ここが課題だ」、「こうすればどうか」などの改善思考が身に付き、良質なコミュニケーションがとれるようになっています。
働きやすい職場づくりへのヒント
こういったコミュニケーションを達成するには、受け取り手より、話し手のスキルのほうが重要になってきます。
「この話を相手はどう受け取るか。」「どのような話の展開で伝えれば自分の言いたいことが伝わるか。」といったプレゼン力や会話の誘導力が大切になります。
このような会話を全社員が当たり前にできるようになれば、会議で多くの驚くようなアイデアが出るだけではなく、改善のための行動までもがスムーズになります。
なぜなら、社内の利害関係や人間関係、派閥、上下関係という組織を硬直させ、改善力を低下させる要素がなくなるからです。
立場に関係なく、誰もが自分の感情よりも、合理性や客観性を重視するようになれば、どれほどスピーディに解決できるかご理解いただけるでしょう。
このような会議や改善行動は、驚異の利益率をたたき出している中小企業やベンチャー企業などに多く見られます。
Rableでは、この項目をさらに分解、拡張し、職場の中で、指導や管理、指示、連携時において、互いのことを思ってコミュニケーションできているかを数値化し、その改善に取り組んでいます。