リサーチベースドマネジメント

すぐに使える!3つの数値をメモするだけで簡単に生産管理ができる方法

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本日の記事は、製造業・生産部門を対象に具体的な数値を使ってマネジメントを行うノウハウについてご紹介する。製造業ではない方でも、異業種から学ぶことは非常に大切だ。なぜなら、自社ビジネスでは思いもよらない視点があるからだ。是非、最後まで読んでみてほしい。

これからご紹介するたった3つの数値を学ぶことで、あなたの会社では、どのような経営課題を抱えているのかが明確になり、その改善方法を発見することができるようになるはずだ。

当記事を読み進めながら、以下のことを考えてみてほしい。

  1. 人材が不足していると感じるのは、優秀な従業員への作業量負荷が発生していたり、1人1人の従業員の能力がバラバラで、少数の人材に依存しているからなのか?
  2. 人材が不足していると感じるのは、そこまで多くの作業を求めていないのに、従業員の能力や錬度が低く、不良品が頻発し、余計な工程が増えているからなのか?
  3. 人材が不足していると感じるのは、従業員を動かす仕組みが無いため、納期遅れが発生するので現場が心配で、いつまで経っても現場から離れられないからなのか?

当記事では、上記の3つの問いに対して、各作業者に簡単なメモを取らせることで、時間あたりの生産力を把握し、どの程度の生産量や生産クオリティを基準にすれば、効率の良い経営ができるのか?という数値による生産管理の方法をお伝えしている。

中小企業の皆様にも、すぐに実践して貰える内容となっているので、参考にしてもらえれば幸いだ。

1. 生産管理部門が目指すべき数値とは?

製造業を経営する中小企業では、売上は生産管理によって左右されると言っても過言ではない。なぜなら、現状の生産力以上の仕事は受けることが出来ないし、大手の様に工場の敷地面積を広げたり、新たな設備を購入することは容易なことではないからだ。

そのため、利益改善の現実的な手としては、今ある設備の稼働率を上げるか、人材1人当りの生産力を向上させることのどちらかに絞られることが多い。

また大手であったとしても、人件費の割合が高く、利益率が低くなっている場合は、絶対に取り組むべきテーマとなる。

そこで当記事では、新たな投資をすることなく、今あるリソースで改善できる内容に限定してお伝えしていくことにしたい。

1.1 生産方式には主に4つのものがある

具体的な話に入る前に、生産方式にはどのような種類のものがあるのか?まずそこから確認していこう。

1.1.1 ライン生産方式

最も有名な生産方式はトヨタも採用している、ベルトコンベアで移動させながら、組み立てや部品の取り付けなどの加工し、製品を完成させるライン生産方式だろう。ライン生産方式は、同じ形の製品を大量に生産するのに向いている。

1.1.2 ロット生産方式

ロット生産方式は、一度に決められた数量の製品を生産する方式だ。ロット生産方式では、一度にたくさん生産し、「つくり置き」をする。1つの作り置きが終われば、その間に別の製品の生産を行う。少ない従業員数や機械で、多くの製品をつくるのに向いている。

1.1.3 セル生産方式

セル生産方式は、1人または数人の人間で、一個の製品を完成させる生産方式だ。ライン式生産方式のように一部の作業を担当するのではなく、担当者が製品の完成まですべての作業をする。多くの製品を少しずつ生産するのに向いている一方で、この方式を採用するには、人材育成に非常に時間がかかるのがデメリットとなる。

1.1.4 個別式生産方式

個別生産方式は、オーダーに合わせて、一つ一つ作っていく生産方式だ。職人の手作り製品などはこの個別式生産方式となる。オリジナルな製品の製造に向いており、特殊な機械や特殊技術の習得が必要となるため、技術継承が課題となる。

1.2 最も生産効率が良いのは作業工程が細分化されたライン方式

上記で紹介した4つの生産方式は上から順に生産効率が良い順に並べている。生産効率を高める一番の秘訣は、作業工程を削る事だ。ライン方式であれば、勤務時間中、自分の持ち場をほとんど離れず同じ作業を繰り返すことになる。

逆にライン方式以外の生産方式の場合だと、設備の段替え(セットアップ)の時間、次の作業の確認時間、設備から設備への移動時間など、作業に入る前の様々な工程が入ることになる。

あなたの会社では、従業員に8時間働かせたとして、その内、何時間が実作業時間に充てられているだろうか?

作業から作業に移るまでのアイドリングタイム(準備・待ち時間)が、生産効率を低下させる一番の原因となっている。

1.3 生産管理で重要になるのは生産スケジュールの立案能力育成

とはいっても、かなりの大手か大量生産を行っている工場でしかライン生産方式は採ることができない。生産アイテム数が何種類にも渡る場合や小ロット生産の受注が多い場合には、どうしても、ロット生産方式かセル生産方式を採らざるを得ないところがほとんどだ。

そこで重要になってくるのが、生産スケジュールの立案・計画能力だ。中小企業の場合、作り置きをすればいいと言う問題でもない。なぜなら、相当な敷地面積がない限り、置き場所に困るし、倉庫をパンパンにしておくと、配送業務の邪魔になる。

そのため、1週間単位でスケジュールを立てるべきか、2週間単位でスケジュールを立てるべきか?といった最適バランスを考えないといけないし、効率を求めすぎて、当日に作成しておかなければいけない製品を製造することを忘れ、納期遅れが発生し、クレーム件数が増えないようにも注意を払わなければいけない。

そのいった事情からか、スケジュール管理は中小企業の場合、社長か経営幹部がしている所も多く、優秀な従業員だけにしかできない業務となっている。しかし、幹部層が現場で指揮をしていると、いつまでたっても人材が育たず、会社が一向に成長しないという課題も発生してしまう。

そこで生産スケジュール管理に関する数値を作成し、従業員に生産スケジュールを上手く管理させ、生産効率を高めるように動機付けるマネジメントを行っていくことが大切だ。

2.製造業での生産管理で作成すべき3つの数値

ではこれから生産管理を行うためのKGI数値の作り方についてお伝えする。

KGIとは、自社の経営状況を評価するための指標を意味する。KGIと言う言葉を初めてお聞きになった方はの記事で解説しているので、先に目を通すことをおすすめする。
[clink url=”https://researchbased.org/about-kgi/”]

2.1 作業時間の計算から1人あたり作業時間を出そう

作業時間を計る方法は簡単だ。以下の3つの質問に答えることで、1人あたりの作業時間や1個あたりの作業時間を数値化できる。

  1. 作業時間はどれくらいかかったか?
  2. 何人で1つの作業をしているのか?
  3. どのような商品がどれだけ生産されたのか?

またデータを取るのも難しくは無い。作業担当者にメモを渡し、作業に入る時刻と終了時刻、生産個数と作業した人員数を記入すればいいだけだ。誰もが同じフォーマットで記入できるような、作業報告書を会社から用意してやればいいだけだ。

上記のメモ帳をエクセルに転記すれば、以下のようなデータが出来上がる。

次に作業開始時刻と終了時間の差を出して、人員数で割れば、「1人あたり作業時間」を出すことが出来る。更に、製造個数で割れば、「1個あたりの作業時間」を出すことが可能だ。

ここで水色の部分を見て欲しい。じっくり見てみると、作業時間にバラつきがあるのがわかるだろう。その理由は現場状況をヒアリングしたり、視察したりして、確かめるべきだが、一例として製造準備にかかるセットアップのための時間が課題だったとしてみよう。

上記を見てみると、生産工程の差が一目瞭然となる。つまり、生産効率を高めるためには「納期の早い順番」に製造するのではなく、出来る限り、1週間・1か月単位といった「どれくらいの期間で生産スケジュールを計画できるか?」が鍵となるのだ。

この場合、「作業時間」を数値化し、現場の業績評価基準を設定することで、「効率よく生産計画を実行できる人が優秀な社員」という認識を浸透させると良い。

そうすれば、従業員の中に「効率的な生産計画ができる人材になろう」という意識を育てることが出来るようになる。

また、その他の例として、繁忙期や閑散期では、必ず従業員の作業スピードにバラつきが出る。「暇なときはだらけてしまう」という問題に関しても、数値で評価することで、ダラダラ作業を防ぐことが可能だし、周囲に流されず、黙々と作業してくれている従業員が報われる評価制度を作り上げることだって可能となるのだ。

2.2 不良品率との兼ね合いは必ずチェックしよう

作業時間の短縮化は非常に重要であるもののやり過ぎは禁物だ。スピードばかりに気を取られてしまうと、不良品発生比率が高くなりすぎてロスが発生したり、クレーム発生件数が増えることになってしまう。

そのため、必ず作業時間と不良品発生比率のバランスを考えるようにしてほしい。

作業時間がどの程度までなら、不良品率があまり発生しないラインなのか?

自社の経営コンセプトとマッチする最適ポイントを決定し、製品ごとの作業時間の目安を決定するようにすることが重要だ。

2.3 納期遅れの発生率もチェックしよう

また作業時間だけで従業員を評価すると「納期遅れの件数」が増加する要因にもなる。目先のことばかり考えてもダメだが、長期的な思考だけでももちろんダメだ。長期的な視点ばかりに支配されると、今度は足元が見えなくなってしまう。

そのようなデメリットが発生しないように「納期遅れの発生件数」も併せて作成しておくことが重要だ。短期的な視点を持たせるための数値と長期的な視点を持たせる数値。その2つをバランスよく運用することを心がけよう。

どれか1つの数値だけで上手くいくことはほとんどない。複数の数値を上手く組み合わせて、自社オリジナルのKGIを作成することが何よりも重要だ。

3. 生産管理効率化の罠。絶対に部分最適には陥ってはいけない

ここまで「いかに生産工程スケジュールを最適化し、生産性・生産効率を上げるか?」について、お伝えしてきた。しかし、それはあくまで部分的な改善であり、1つの作業工程だけの改善に過ぎない。この章では、いかに会社全体を見ることが重要であるのかについてお伝えする。

3.11つの部署の最適化が他の部署の非効率を生み出すこともある

生産工程は多くの場合、複数の工程に分かれ、前工程と後工程で連携を取らなければいけない。1部署だけがあまりにも多くの作り置きをしてしまうと、置き場所に困ったり、他の工程の邪魔になったりすることもある。

上記の表では、工程A・Bの作業時間は短縮化されているが、後工程のC・Dでは、逆に作業時間が余計にかかってしまっている。そして、全体の平均を取ってみれば、+2.75という「今まで以上に非効率になってしまった。」という結果になることだってある。

それが俗にいう“部分最適“による非効率化だ。自分の部署だけが良くなればいいという考えでは、時に会社にマイナスを与えることだってある。

必ず全体の視点を全従業員で共有し、他の工程のことを考えた改善を実践する社風を作り上げることが重要だ。全体最適を目指して改善を進めて欲しい。

3.2 自社の状況にあった数値を集計する最適期間を設定しよう

上記に挙げた例は、もちろん極論だ。改善を試みることは会社にとって必要だ。しかし、何事も限度がある。課題の解決に成功している会社はいずれも、その限界ライン、つまり、自社の成功法則を発見することに成功している。

それは数値でなくとも、「大体これくらいのボリュームで作っておけば、上手くいくことが多い。」などの経験則であったりもする。

しかし、そういった感覚がピタッと当てはまることは、めったにある事ではない。だからこそ、数値による管理が必要になる。

自社の設備・倉庫・人員・敷地状況では、何週間単位でスケジュールすることが最も最適なのか?

数値を取り続ければ、必ず数値がその最適期間を教えてくれるはずだ。

3.3 基準値を超えた場合のための特別な行動マニュアルを作成しよう

また目標生産ラインを数値化できれば、従業員への行動マニュアルを具体的に作成することが出来るようにもなる。

今まではマネージャーが「ここはもういいから、あそこの部署に回ってくれ。」という指示がなければ動けなかった会社でも、基準値を明確にしておくことで、指示がなくとも、全従業員がマニュアルに従って動くようになる。

そうすれば、マネージャーがいない時でも、現場を回すこともできるし、指示を待っている間の待機時間、マネージャー不足といった悩みを解決することにもつながる。自社の利益を拡大したいと考えているならば、「〇〇さんがいないと回らない。」という状況を無くすことを目指すことが大切だ。

私たちが理想としている会社は、マネージャーが居なくとも、生産性が落ちない組織だ。現実的に考えて、従業員をずっと監視している事なんてできない。それよりも、どうすれば従業員が自分から動いてくれるようになるのか?

従業員心理を深く理解し、それをくすぐるシステム、数値を作ることを目指すようにしてほしい。

【獺祭(だっさい)】で有名な旭酒造

参考事例として、日経新聞に記載されている【獺祭(だっさい)】で有名な旭酒造は、データ管理を行うことで、杜氏を必要としない経営を実現できている。

まとめ

私たちのクライアントのほとんどが、人材育成に悩まれている場合が多い。特に社長の話を聞くと「大体売上の上げ方はわかっている。でも、それを中々教えられないんだ。」という声を頂く。

私たちはそういった課題に関して、1度きりの研修では解決できないと考えている。なぜなら、そういったイベントのような研修は一過性のものであるからだ。どうしても、日が経つにつれて、その時に感じた気持ちは薄れていく。

だからこそ、日々の業務で使う数値に「その想い」を込めることを大切にしている。

つまり、どういった数値を作成すれば、従業員にその数値目標を達成したい!と思わせることが出来るのか?を考えるということが重要だ。

あなたも是非「この数値を見れば、こうしようと思うよね。」という物を考えてみてほしい。

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