従業員満足度

社内アンケートの分析方法!簡単な集計でも効果抜群の4つのポイント

社内アンケートを活用できていない会社のほとんどは、分析のノウハウや運用がきちんとできていないことが問題と考えているが、実はそうではない。

実際は、アンケート項目そのものに問題があり、そしてその問題に気付いてすらいない。ということが大きな問題だ。アンケートの項目が低品質であれば、どれほど分析しても、的確な経営分析や課題発見をすることはできない。

アンケートの価値は全て項目の質で決まる。

RABLEでは、組織心理、行動心理、心理統計学を専門とし、クライアントによってさまざまな分析手法を使い分けているが、全てのクライアントに共通してお伝えするのが、項目に対するこだわっていただくように指導している。

そこで、本日の記事では、誰でも社員の本音を抜き出す社内アンケートが実施できるように、高品質な社内アンケートにおける質問文・選択肢作成において、もっとも重要なポイントだけに絞ってお伝えしていこうと思う。

この通りに実践していただければ、あなたは従業員のどのような気持ちもアンケートで数値として自在に抜き取れるようになっているはずだ。

1.アンケート内容で最も重要なポイント

あなたは、社内アンケートを作成する際に、どこが一番重要なポイントだと考えているだろうか。

RABLEでは、質問文よりも回答選択肢の作成を最も重要だと考え、選択肢作成のために多くの時間を割くようにしている。まずは、回答選択肢が最も重要な理由を今から簡単にご説明していこう。

1-1. アンケート内容で重要となる回答選択肢の失敗例

人は、誰でも質問をされると、無意識に正解を答えようとする生き物だ。

日常の会話でも、「今日の天気はどうなるんだろう?雨が降るのかな?」と、何気なく質問された時などは、私の場合は、すぐに天気アプリを開いて、今日の天気がどうなるのか?ということを調べてしまう。ということがある。

人は無意識に質問に対して、回答を考え、可能であれば間違った答えを避ける。という反応パターンが染みついていて、その正解バイアスをアンケートに当てはめた時、どうなってしまうのか?を考えてみよう。

Q1.あなたの上司は、明確な目標を持っており、発言や行動に一貫性があると感じますか?
かなり一貫性がある やや一貫性がある どちらでもない やや一貫性が無い かなり一貫性が無い

上記のアンケートを会社の上層部やあなたの上司が考えて作成してくれた内容だと仮定してみよう。

あなたの上司から求められている正解は、どの回答だと思っただろうか?

この場合、【かなり一貫性が無い】という回答を選ぶ者はいないだろう。なぜなら、上記の項目には不正解が明確であるからだ。

この状況では、「人事部や上司がこのデータをきっと見るはずだ。そしてその場合、自分はどの回答を選んでほしいか」と考えた時、最低でも「どちらでもない」以上の選択肢を9割以上の社員が選ぶはずだ。

そして最終的に「9割以上の社員が不満はありません」という集計が出来上がる。

果たして、そのデータを見て、正しい自社分析や課題発見、部下育成・管理に対する正しい評価をできるだろうか。

1-2. 選択肢の正解をわからなくするためのA/Bテキスト

RableのESリサーチサービスでは、リッカートスケールとA/Bテストのハイブリッド形式を採用している。

A/Bテストとは2つの選択肢を用意して選ばせるというものだ。

Q1.あなたの上司は、明確な目標を持っており、発言や行動に一貫性があると感じますか?
一貫性よりも、状況に併せて柔軟な指示をすることが多いと思う 上司の発言や行動はいつも一貫していて、明確な意図を感じる
L4 L3 L2 L1 R1 R2 R3 R4

上記のアンケート内容の場合、左側の回答選択肢は【一貫性よりも、状況に併せて柔軟な指示をすることが多いと思う】であり、右側の回答選択肢は【上司の発言や行動はいつも一貫していて、明確な意図を感じる】となっている。

どちらの回答をすれば、上司が求めている回答なのか?ということを考えた場合、どちらも悪くない答えに感じられるだろう。

柔軟に指示を出してくれる上司と回答しても、一貫性があり明確な意図を感じる上司と回答しても、それが、上司の普段の印象として感じていることであれば、回答者からすれば、どちらの選択肢も簡単に回答できるだろう。

A/Bテストにおいて、回答の優劣は一見では存在せず、どちらを選んでも問題はないという内容にすることが大切であり、この長所をリッカートスケールにとりいれたものが、Rable式のA/Bリッカートスケールとなる。

このような設計にしているのは、選択肢の優劣を無くしてしまうことで正解バイアスをなくすことができるからだ。選択肢にそもそも不正解も正解もなければ、正解バイアスが働かないためだ。

しかし、経営では必ずそこに望ましい・業績に貢献する行動や考え方という正解が存在する。上記の質問で聞きたいのは、上司の言動に一貫性があるか。であり、現場にブレない指示を出せる上司がいる方が、従業員が働きやすくなると考えるためである。

柔軟な指示という言葉は、一貫性がない理由を良いように捉え、回答させやすくするために作成している。では上記のような項目のライティング手順を丁寧にお伝えしよう。

2. アンケートの回答選択肢を作成しよう

ここからは、RABLE式の回答選択肢の作成方法には具体的な手順があるので、その方法をご紹介していこう。

実際に、質問項目の作成セミナーも開催したことがあるが、この手順に沿ってライティングしていけば、参加者の全員が良質な質問項目を4つ作成することが出来た。

2-1.数値化したい項目のテーマに合わせて良い例と悪い例を設定しよう。

ここからは具体的な例がないとイメージできないので、項目サンプルを使って説明していこう。

まずは、どのような課題を感じている企業なのか?というペルソナをご紹介しよう。

【飲食店を経営しているケース】この会社では、店舗によって売上が変わると考えており、その差は人材の質であると考えていた。

優秀な店舗では、アルバイトでも接客やサービスに関する意識が高く、「こうすればどうか?」などの会話が日常的に行われており、赤字店舗では、店長の指示がない状況や、店長から見えない所では手を抜いたり、マニュアル工程の省略などが問題であるところまでを特定できた。

そこで、全ての店長に自分が指示や指導をして回すということよりも、店長が不在の状況や、店長が現場を見ていなくても、アルバイトが高いレベルで仕事をする状況を作り上げよう。という方針に切り替えた。

その目標を達成するために、アルバイトの意識をアンケートで可視化し、高い意識を持てる人材を育成することを目標とし、そのような指導が出来たかどうか?を店長の評価とするように伝えた。

つまり、全ての店長が熱心に人材育成に取り組む仕組み作りを目標に掲げた。

このようなケースでは、以下のことを数値化することが目的となっていく。

【リサーチクエスチョンのテーマ設定】

いちいち指示したり、指導しなくても自ら考え、改善する姿勢・向上心を持たせたい

その質問で数値化する概念
仕事を通じての向上心・やる気
悪い人材のイメージ 良い人材のイメージ
毎回、怒られたり、丁寧に言われなければ、わからない、1から10までを教えないと出来ない人 基本指導を受ければ、日々の業務を通じて、先輩や上司の動きを見たり、模倣したりして、向上心を持って取り組んでいる人

項目作成において、出来る人と出来ない人はどこが違うのか?具体的なイメージを作り上げよう。

以下の記事には、もっと具体的な方法が書いてあるので、ぜひ、そちらもご覧いただきたい。

2-2. 出来る人・出来ない人のそれぞれの心理に関する仮説を立てよう

作成したい項目(概念)に関して成功例・失敗例の具体的なペルソナができれば、続けて、そうしない人は「なぜそう考えてしまうのか」、出来る人は「どういった考えを持っているからその行動をしようと思えるのか」に関する仮説を作成しよう。

リサーチ課題
向上心がある人とない人の差は何か
出来ない人の思考 出来る人の思考
もし自分に足りていない部分があれば、上司や周りから指導や注意されるし、言われなければ問題はないという考え 話を聞くだけでできるようにはならないし、自分で試したり、人の真似をしたり、自分で思考錯誤を繰り返すことが一番大事だという考え

上記の思考仮説を元にその思考に関する正当化理由をテキスト化し、出来ていない人が共感できるワード、出来ている人が感じる共感ワードを作成しよう。

質問文
あなたは、仕事ができるようになるためには、どちらの考えが大切だと思いますか?
出来ない人の共感ワード 出来る人が質問を見て感じる事
上司からの指導や指示を受けた際は、一生懸命しようとしている 指示や指導という受け身の姿勢よりも自ら進んでやることが大事

ここまでの作業が出来れば、リサーチクエスチョンが完成している状態と言える。最後に選択肢のテキストを考えていこう。

2-3. 質問項目に対する答えとなる選択肢のライティングを行おう

出来ない人が抱いている心理、出来ている人が身に着けている心理の仮説が立てれば、後は、それを基にして、質問文に合うテキストとなる様に最終ライティングを行おう。

質問文
Q1.あなたは、仕事ができるようになるためには、どちらの意識を大切だと思いますか?
選択肢A 選択肢B
指導で教わったこと、指示された事にきちんと従って仕事する意識 仕事のできる人と自分の仕事の手順・やり方の違いを見て取り入れる意識

この2つの選択肢には、どちらも正当性があるように見えるはずだ。

しかし、よくよく考えれば、選択肢Aには自発性がなく、「指示や指導をされなければ自分から改善や学びをしようとしないのか」という違いが明確に存在する。

あくまでこの2つの選択肢は、質問文に対する答えであるので、「質問文をじっくりと読めば、選択肢Bの方が正解だ。」というようになっていないといけない事に注意してほしい。

質問文を見て、「選択肢Aでも問題はない」というライティングにならないようにしよう。大事なのは、向上心がある人は、誰もが「選択肢Bが正解だ。」ということがわかるようになっていないといけない。

そして、このようなアンケートを作成できれば、定期的に社内アンケートを実施しよう。

アンケートの結果を振り返ることで、自発性のあるアルバイトや社員の数が増えているのか?どのように変化しているのか?ということをチェックしていこう。

すると、店長の指導方法に変化が生まれるだろう。

2-4. 選択肢の優劣をなくすためのリッカートスケール活用法

質問文、選択肢のライティングが出来れば、最後は選択肢の数的順序を無くす作業に移ろう。

例えば、以下のような選択肢の場合、右か左、どちらかが正解だな、と深読みする人がいるかもしれない。

リッカートスケールを使えば、どの程度意識しているのか?という程度をリサーチ可能となる。

Q1.あなたは、仕事ができるようになるためには、どちらの意識を大切だと思いますか?
指導で教わったこと、指示された事にきちんと従って仕事する意識 仕事のできる人と自分の仕事の手順・やり方の違いを見て取り入れる意識
1 2 3 4 5 6 7 8

上記は回答の選択肢を1~8で分岐している。そちらものため、回答の右にいくほどに番号が大きくなっている。

回答者としては、「右が正解じゃないかな。」というように予測されやすい要因となってしまう。

そこで以下の様に選択肢を左右対称となるように設計して、数値が持つ優劣をなくそう。

Q1.あなたは、仕事ができるようになるためには、どちらの意識を大切だと思いますか?
指導で教わったこと、指示された事にきちんと従って仕事する意識 仕事のできる人と自分の仕事の手順・やり方の違いを見て取り入れる意識
L4 L3 L2 L1 R1 R2 R3 R4

上記がRABLE式のリッカートスケールとA/Bテストのハイブリッド方式となる。

左側の選択肢は、L4が最も強く意識していることとなり、右側の選択肢はR4が最も強く意識している。という選択肢の設計方法だ。このような回答の方法については、事前の案内文で伝えておこう。

このように設計しておけば、右側と左側を入れ替えるだけで、どちらが正解の回答なのかわからなくなっていく。

以下の記事では、アンケートの目的やアンケート冒頭部に設置するリード文章に関するノウハウをお伝えしている。ぜひ、当記事と合わせて読み進めていただき、良質なアンケート用紙全体像を完成させてほしい。

3.アンケート用紙全体の構成に関するテクニック

ここまでくれば後は簡単だ。アンケート用紙全体の流れを考えたデザインを施そう。

3-1. アンケート項目は並び替えをしよう

例えば、以下のような構成でアンケートを実施したとしよう。

すると回答していくうちに誰もが、ここは接客に関する項目で、次がコミュニケーションに関する項目だな。とわかってしまうようになってしまう。

特にやってはいけないのが、「〇〇に関してお伺いします。」というフレーズだ。

このフレーズを使った瞬間に、ここまで読まれた皆様は、「これが正解だな」という印象を与えてしまうことにつながるということが想像できたはずだ。

似たような質問は連続で出さず、質問順をバラバラに並びかえるようにしよう。

3-2. 選択肢の左と右をランダムに入れ替えよう

選択肢も出題順と同じで、全ての項目で正解が左などと配置してしまうと、勘の鋭い従業員であれば、正解がどちらなのか、選択肢を理解していなくともわかってしまう。仕事は出来ないが、ペーパーテストにはやたら強い人がいるのはこのためだ。

小手先のテクニックは通用しないようにするためにも、選択肢は左右を入れ替え、わからないようにしておこう。

ここまでの手順を踏めば以下のような印刷レイアウトが完成する。

4.アンケート分析よりも項目作成が重要な理由

ここからの内容は、他の記事で詳しく説明するが、簡単に触れておくだけにする。

徹底的に練られた項目は、従業員の考え方や行動の段階を数値で順序づけることができる。単純集計をするだけでも、どの店舗にどの課題があるのかわかるようになる。

先ほどのアンケートの回答結果を、店舗別に見てみよう。

 

店舗Aは、L4やL3の回答結果が多い。

つまり、指示がなければ動かないアルバイトが多く、店長が現場での作業負担が多くなるばかりではなく、人材が育っていないためトラブルの多い店舗となっている。

徹底的に選択肢を作りこむことで、単純集計を見ただけでも、実際の店舗でどのような課題が発生しているか。ということが、離れていても理解できるようになる。

反対に、上記の店舗Bの結果をご覧いただければR3やR4の回答結果が多いため、人材育成が上手くいっていることが単純集計データを見ただけでもご理解いただけるだろう。

このアンケートでは、上司の指示が適切で、わかりやすく、一貫性がある店舗の方が、現場での向上心が高まることがデータからわかるようになった。

つまり、わかりやすい指示を適切に行うことと、その指示に一貫性があれば、従業員やアルバイトのやる気が高まることがデータから理解できたということになる。

まとめ:アンケート分析よりも選択肢の作成が重要

あなたが、社内アンケートの作成を担当されているようならば、ぜひ、本日の方法でアンケートを実施していただきたい。

難しく感じる方もおられるかもしれないが、現場をしっかりと視察できていれば、どのような考えの従業員が問題をおこしていたり、どのような考えの従業員が優秀か。ということについて仮説を立てることはそれほど難しくないだろう。

現場をしっかりと視察して作成するからこそ、真に価値がある社内アンケートを実施できるのであり、現場で発生している問題が何か?という事を考えずにテンプレート項目を使ってしまえば、低品質な集計結果となってしまう。

重要なポイントは、選択肢に書く内容が、実際に存在する従業員を具体的にイメージできるところまでテキストとして落とし込まれていることだ。

時間がかかるかもしれないが、手間を惜しまずに徹底的に具体的な項目を作成することに妥協せずに取り組んでいただければ、必ず高品質な社内アンケートを実施することができるようになっているだろう。

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