人手不足 従業員満足度 離職率の改善

リテンションマネジメントの事例と実践|解消すべき76の不満リスト

優秀な社員の流出を防ぐことからはじまり、若手の定着率を高める、社員の向上心と成果意識を引き出す、コミュニケーションを活性化する、チームへの貢献意識・協力姿勢を高める。こういった人に関連する課題は、業種・規模に関係なくほとんどの会社が抱えている。

その証拠に、エンジャパン社が2016年度に実施した人事担当者243名に実施した調査によれば、"リテンションマネジメントに取り組んでいる・取り組みを検討している企業の比率は65%”にのぼり、実施した67%の企業が今後もリテンションマネジメントを継続すると回答し、その効果を実感している。

そこで当記事では、リテンションマネジメントを成功させるための事例紹介と具体的な施策だけでなく、成果が測りにくい人事マネジメント施策の効果測定方法までを丁寧に解説することにしたい。

人材関連施策で、上手くいってない大半の企業の共通する悩みとして、セールスやマーケティングと異なり、成果が数値で把握しにくく、どこを改善すればいいかわからず、やりっぱなしになってしまっていることがあげられる。

当記事を最後までじっくりと読んでいただくことで、リテンションマネジメントをやりっぱなしの施策にせず、自社の課題と問題点を特定し、成功するまで、課題発見→計画→施策改善実行といったPDCAサイクルを回し続ける事ができるようになるはずだ。

失敗は成功の母というように、どのような施策も改善し続ければ、いつか必ず改善する事ができる。

1.リテンションマネジメントとは?

ではまずリテンションマネジメントとは具体的にどのような施策を指すのか?からまず見ていこう。

以下のグラフは冒頭で紹介したエンジャパンの同調査における「リテンションマネジメントを実施している会社を対象として、具体的にどのような施策が効果手だと感じたか?」に関する回答結果だ。

参考元URL:https://partners.en-japan.com/enquetereport/old/110/

簡単に言えば、リテンションマネジメントとは、職場に愛着を持ってもらったり、仕事や会社を好きになってもらう、魅力的に感じてもらう一連の活動のことをいう。

リテンションマネジメントを聞いた時、多くの方が、給与や待遇面、労働環境の改善などをイメージするが、「コミュニケーションの活性」や「部下への現場指導の見直し」などであれば、規模の小さい企業でも十分実行可能で、それだけでも一定以上の成果は得られる。

補足:リテンションマネジメントのニーズが高まっている背景

リテンションマネジメントは、全体で6割以上の人事がその施策の実行を検討し、6割以上の会社でその施策の継続を行い、その効果の高さを実感している。その理由には、リテンションマネジメントは単なる人材流出防止、離職対策といった面でなく、自社の売上や品質、運営といった収益性にもプラスの影響を与える施策であるからだ。

以下のページでは、リテンションマネジメントに取り組むことで得られる20のメリットについて紹介しているので、リテンションマネジメントの実施を検討している人事担当者やマネージャー層、リテンションの基礎知識を知りたいという場合は、是非、目を通すようにしよう。

2. リテンションマネジメントの2つの実践事例

リテンションマネジメントに成功するカギを握っているのは、給料の高さでも大手などのブランド、社会的地位のどれでもない。一番大事なのは、「社員は何に対して不満に持っているか?」を知る事だ。2つの事例を今から見てみよう。

2-1. 事例1:リテンションマネジメントは業種・業界に関係しない事実。

引用:https://www.dodadsj.com/content/180222_cybozu/

離職率というとよく業界別離職率のデータをあげ、「ウチは業界的に難しい」といわれるかたがいらっしゃるが、飲食業であろうが、IT業界だろうが、離職率の改善は可能だ。

あくまで業界平均は平均にすぎず、そういった会社のほとんどは、リテンションマネジメントに取り組んでいないし、そういった会社ほど、悪い事実を環境のせいにし、働き方改革に取り組もうとすらしていない。

それはリテンションマネジメントに取り組む前のサイボウズも同じだった。この離職率28%という数値は業界的に考えると特別悪い数字でなく、同業他社と同じように、その人材の補填を人材紹介・派遣サービスで補うという考え方をしていた。しかし、その内に売上が頭打ちになった。ノウハウが蓄積されないからだ。そこで他の企業と違う点は、そういった現状から目をそらさず、真剣に解決に向けて取り組んだ点にある。

サイボウズでは、給与の見直しだけでなく、社内一丸となって、働く風土、従業員の考え方、制度の構築、オフィスやワーク環境の改善まで全てをトータル的に行った。その結果、離職率は4%まで劇的な改善を成し遂げることができ、離職率の改善に伴い売上が再上昇するという結果となった。

サイボウズは私たちのクライアント事例ではなく、自分たちでリテンションの改善を成し遂げた会社だ。つまり、しっかりとしたリテンションマネジメントのポイントさえ知っていれば、あなた自身で解決が出来るようになる。

2-2. 事例2:リテンションマネジメントは規模が小さくても成果を出せる事実。

引用:https://koyoukanri.mhlw.go.jp/example/pdf/file_139.pdf

では次にサイボウズの例を紹介すると出てくる次の疑問「一般的な中小企業では難しい」だ。その質問に対する反論の良例としてカネテツデリカフーズの事例をみてみよう。

この会社では入社3年以内の離職率が50%を越えており、多くの会社が抱えているように、「仕事は見て覚えろ」、「わからないことがあれば自分から積極的に質問するべき」といういわゆる「辞めた社員にやる気がない、根性がない」という考えが社員に蔓延していた。しかし、そこで終わるのではなく、発想を逆転させ「辞めているのではなく、辞めさせている」と結論を出し、新人に固定の先輩社員をつけるマンツーマン制度を導入した。

新人社員に固定の社員をつけることで、職場に馴染みやすくなる。なぜなら「わからないことがあるが、この質問をして怒られないか不安」という心理的抵抗を解消するだけでなく、休憩時間に話せる相手がいることで、その先輩をハブ役として、多くの社員と関係性を持ち、職場に馴染みやすくさせる。

きっかけというのは非常に重要で、きっかけがないから、休憩時間に話せる人がいない、質問するのが怖い、失敗して起こられるのがいやで自分から自発的に動けない。全ての原因であったりする。「あいつは積極性もなく、意欲もない」と前の会社でいわれていた人が、転職後「活き活きと人が変わったように職場をリードとしている」なんて話は別に稀なケースではない。

その結果、職場に馴染めない新人が減り、離職する新人は年間数%と40%以上の劇的な改善を達成した。サイボウズのようにおおがかりな改革でなくとも、職場の意識改革だけで上手くいく事だってある。まずできることから始めてみる事が大切だ。

2-3.リテンションマネジメントは中小・中堅企業にこそ早急に実施すべき施策

リテンションマネジメントはどちらかというと中小企業ほど取り組むべき施策だ。先ほど紹介した同調査の「リテンションマネジメントに取り組んだ理由」に関する結果を見てみよう。

「新規の人材採用が困難」であるという理由が33%に昇っている。つまり大手のように求人広告をバンバン打つことができず、期待する採用数を確保できていない企業であることがわかる。このことからリテンションマネジメントに取り組めば、中小企業や地方・郊外に立地する企業であっても十分に期待する成果を手にすることは十分に可能だ。

人手不足や人材育成に課題を感じているならば、手遅れになる前に、是非取り組みを検討することをおすすめしたい。

3.  リテンションマネジメントの施策の種類と解消すべき76の不満

ではここからは具体的にどのような施策を立案していけばいいのか?というリテンションの成果の指標としてどのようなものがあるかを見ていこう。きっと「ウチの課題はこれだ」や「この不満ならウチでも解消できるかもしれない」というものを見つけてもらえると思う。

これから紹介するものは、全て実際にRableがクライアント企業に対して提供している”従業員満足度調査(ES)”の概念マップだった。私たちは、まず施策を考える前に、社員たちのどのような不満・要望があるのかをクライアントに整理していただく事を大切にしている。

目的なく、「他社でもやっているから」、「上手く言ったという話を聞いた」という理由で、施策を自社に取り入れたが上手くいかなかったケースというのは非常に多い。そうならないためにも、まずは全体像をきちんと把握しよう。

3-1.リテンションマネジメント施策01:労働環境の改善

1.安全環境の提供・改善への取り組み姿勢

完全絶対とは言わないが、現場の要望に耳を傾け、少しでも改善しようという姿勢を感じるか。

会社の安全対策への熱意度
休憩時間の遵守の徹底度
安全に関する備品導入度
ストレス症状に対する会社の理解度
社員自ら相談の依頼を持ちかけることの気安さ
2.労働時間に対する改善へ意欲・現場の取り締まり

残業や労働時間に対して、守らせるために厳しく管理しようとしていると思うか

休憩をしっかり取ることの徹底
サービス残業の有無
繁忙期と残業時間に対する理解
残業時間削減対策への取り組み
3.作業の効率化・無駄の削減

不必要な手順やマニュアル、会議など、不必要・不適切・無駄のの削減・改善姿勢が見えるか

不必要な会議や打ち合わせの削減
打ち合わせの際の事前資料の義務付け
意味のない伝統的なルールの排除
社内人間関係による圧力構造の排除
4.多様な労働環境を実現するための取り組み

リモートワーク化できる業務、SNSツールの利用など、様々な人材の雇用・柔軟な時間帯・場所をつくろうとはして欲しい

正社員、業務委託、パートなど様々な採用形態運用
出来高、プロジェクト制度の運用
フレックス・サマータイム制度運用
リモートワーク化への意欲
スカイプやSNSによる効率化
5.会社での生活に関する福利厚生サービス

通勤や会社での生活など、会社の補助制度、あればあるほどありがたい、魅力的だと思う

駐車場やアクセス性など通勤ストレス
食費・生活費補助などの生活サポート
休憩時間のリラックス度
休憩する空間の快適度

労働環境(時間・工程・制度)などはのハード面の改善はコストがかかると思われるかもしれない。しかし、熱中症対策や備品要求に対する迅速な対応、現場の残業・休出の強要に対する厳しい監視・見回りやマニュアルの無駄を削除するなど、できることは当然ある。大事なのは、こういった取り組みを真剣に経営層や人事部が主体となって行うことで、「会社は変わろうとしている」と社員たちが感じることにある。

リモートワークでも高額なツールを購入するのではなく、使い勝手ゆあセキュリティ性は多少落ちるかもしれないが、フリーツールで代用することも十分可能だし、社内の今あるリソースで実現することは十分に可能だ。

知識がない、ノウハウがないのであれば「お金がかかる」と思考を止めるのでなく、どうすれば実現できるか、わが社でもできる内容はないのか?と調べる姿勢が大切だ。お金がないからできないのではなく、世の中の便利なフリーソフトや低価格で導入できるサービスを知らないことの方が問題だ。

3-2.リテンション施策02:マネジメントに対する納得・賛同

1.ビジョンの明確性・具体性

自社や経営陣に対する未来売上拡大に対する意欲、そのための具体的なビジョンが見えている、それが妥当であると思うか

事業成長への熱意度
自社製品・サービスの品質に関する誇り
自社製品・サービスの差別化・希少性
トップの描くビジョンの現実性
提示したビジョンと意思決定の一貫性
ビジョンを形にするための予算計画
2.経営状況への真摯な姿勢

財務成績に対する説明とその改善ビジョンの説明責任を果たして欲しい

自社の業績に対する報告の真摯さ
業績に関する課題と対策の妥当性
業績を伸ばすための行動とその実行程度
3.人事考課制度の基準に対する納得

人事考課の基準が明確で、公平に運用し、成果に忠実で平等に運用されているかと感じるか

人事査定基準の妥当性
人事考課制度運用の適切性
人事考課の結果の納得性
人事考課と給与に関する魅力度
人事考課とキャリアに関する魅力度
4.人事考課内容の透明性・フィードバック

評価内容が秘匿されず、次の行動に活かすために、知る事が出来ているか

人事考課結果の開示の度合い
人事考課結果を通じた自己の課題発見
人事考課結果を良くする為のアドバイス
人事考課結果による自己の役割の認識
5.設備投資への積極性

会社の競争資源や職場の効率化のために、会社が投資をどれだけしているかということに対する印象

他社にはない技術・設備の導入
業務以外の効率化ツールの導入
無駄な業務手順削減への意欲
マニュアルを現場に合わせた定期改訂
新商品・サービスへの開発意欲
6.福利厚生への投資・開発度

業務内外に関わるその他、制度運用への満足度

交通費負担などの経費・手当ての充実度
会社主催のイベント参加への負担度
割引券や保養に関する特典の魅力度
利用者とそうでない人に関する補填
各種祝い金、奨励制度などの特典
表彰などの精神的充実

リテンションマネジメントにおいて、現状は関係ない。今給料が少なくても、今待遇が悪くても、将来性を感じるのであれば問題ない。ベンチャーの社員たちは、自社の売上を伸ばす!という使命感で働いているし、中小でもニッチな商品・サービスに特化している、現在一生懸命、働き方改革に全力で動いている社員たちに不満はない。

「これからよくなるだろう」という期待感があるからだ。

だからこそ、社員たちに真摯に伝え、課題を明確にし、どうすることでそれを達成するか?の説明責任を果たす透明性を持ったマネジメントをすることは非常に重要だ。そしてそのためには、曖昧な戦略、人事考課、マネジメントではなく、具体的なビジョン、一貫した理念を作り上げることが必要になる。

3-3.リテンションマネジメント施策03:施策やビジョンの現場への浸透

1.労働時間の柔軟性

自分の希望する時間帯で働く事ができているか、そのための現場の実際の人員運用状況

残業のことわりやすさ
希望シフトの柔軟・容認性
早退や欠勤のしやすさ
有給消化に関する自由度
2.相互理解・尊重

職場の社員全員が適切な姿勢・道徳を持って、業務できているかに関する印象

人格否定をされない職場
職場全員が交流できている職場
互いに配慮した言動を徹底できている職場
互いに理解しあおうとする事が出来ている職場
3.安全・安心環境の実現

誰もが気持ちよく働けるように差別、逆差別をなくすことに関する社員目線での評価

パワハラやモラハラへの厳しい取締り
過剰な叱咤や指導に対する厳しい監視
問題行動・態度の社員に対する適切な処遇
差別をすることなく、平等な勤務態度指導
4.業務姿勢に関する文化

業務遂行に関する自分が所属する職場の伝統や文化、多くの社員がとっている行動傾向

丁寧な指導、厚いフォローを徹底する職場文化
不満や要望があれば必ず話し合う職場文化
悪いことはきちんと怒りあう職場文化
お互いの作業のフォローをしあう職場文化
互いの作業進捗や課題に対する理解文化
5.課題解決・建設志向

現実を受け止め、悪いことであっても言い合えるような空気が職場に出来上がっているか

立場に関係なく自分が間違えば謝る職場文化
悪い事実を知ること大事だと考えられる職場文化
批判をするときは、対案を可能な限り出す職場文化
相手の意見を引き出すことを徹底する職場文化
6.成果志向

誰もが成果を高めるために、共通の意識を持って取り組めているか

成果志向にコミットしている職場文化
具体化志向にコミットしている職場文化
挑戦志向にコミットしている職場文化
時間ではなく効率を重視する職場文化

当たり前だが、施策を計画した段階や実行したてのときは、何の成果も生まない。それが現場に継続的に利用され続け、社員たちの考えや価値観が変わり、その施策がこれからの常識として浸透し、習慣化されてその施策の効果が生まれだす。

制度を作った。しかし、現場では守られない。事実とは違う報告書があがってくる。これははっきりいって日常茶飯事的におきている前提条件としてRableでは考えている。

制度を作る時、研修をする時、内容を練るのはもちろん重要だが、それ以上に「現場はどう反応するだろうか?」、「その抜け道は?」、「報告書に関して、どのような手順で作成すると思うか?」ということを徹底的に考え、本来の意図と反する行動を取れる抜け道をつぶし、視察の時だけいかにもやっています。的な行動を排除するために、現場での実行を監視するための方法をとことん考える。

そこまでやらなければ、人の考えや凝り固まった伝統という名の以前のマニュアルは、価値観という形で社員たちの思考を支配している。

新しいやり方を覚えるのが面倒、反対する人を説得できない、反発する社員にどう接すればいいのか、作業時間を削ってまでこんなことをする必要があるのか、など現場ではこういったオペレーション上の課題に直面する。これがリテンションマネジメントをはじめ、改革やプロジェクトが上手く事は稀の根本的な課題だ。

4.リテンションマネジメントで成果を出すために必要なこと

リテンションマネジメントを成功させるためには、まず施策内容から入るのではなく、まず上記の76の不満の内、どれを解消するのか?という課題を決定しよう。すると、そこからその課題・不満を解消するには、どういった施策が効果的だと思うか?というゴールから逆算して、施策を決定できるようになる。

また、最初から明確な成果を設定する事ができていれば、以下の従業員満足度調査の結果のように、施策の成果を可視化する事ができる。

上記の表は、それぞれの社員の不満を数値化したものだ。私たちが、使用している項目はいずれも事前に社内リサーチを行い、リテンションに強く関連しているものだけをピックアップしている。上記の表では、青色ならば満足度が高く、灰色ならば不満が多いというデータである。この表を見れば、「それぞれの社員はどのような不満を持っているのか?」という不満状態が一目瞭然となる。

施策を運用して、成果を可視化するだけでなく、どの部署(店舗・管理者)はできているなど、成果の比較をすることによって社員たちの行動を変えることにも効果的だし、何よりも目標が明確になる。

社員たちのどのような気持ちをもってもらうために、どのような施策を実施した結果、その課題に対する不満・満足は解消されたのか?そこまでを確認できる仕組みを作り上げることができれば必ず改革は実現する事ができる。

Rableでは、不満・満足度を単に計測するのではなく、自社の課題や達成したい目標、人材育成テーマにあわせて、現状を可視化したり、施策の進捗を可視化するための従業員満足度調査の方法とその手順をご紹介している。

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