リテンションマネジメント

【人事】リテンションマネジメントの事例と実践|施策内容と全体像

離職率が増えてきた。人手不足をリアルに感じている。社員の質が下がってきている。人材に対する不安を感じている程度は会社によって様々だが、リテンション施策の必要性を感じている企業は近年増えてきている。

それは、人手不足に困っている、困っていないに関係なくだ。

事実、エンジャパン社が2016年度に実施した人事担当者243名に実施した調査によれば、"リテンションマネジメントに取り組んでいる・取り組みを検討している企業の比率は65%”にのぼり、実施した67%の企業が今後もリテンションマネジメントを継続すると回答し、その効果を実感している。

また2020年現在、RABLEでは離職率を無料で計算するエクセルテンプレートを公開しているが、毎日ダウンロードされている。コロナの問題があっても、優秀な社員や戦力に数えられる社員の数が減り、以前と同じクオリティ、同じ生産性を維持する事が難しくなっている、あるいは、新しい価値を生み出せる人材の確保・維持にどこの企業も苦心していることを反映している。

この記事では、リテンションマネジメント、社員モチベーション、人材育成ということに興味を持っている方に対する導入記事となっている。

記事概要

  • リテンションマネジメントの意味・概要
  • リテンションマネジメント成功事例とその効果
  • リテンション施策の内容
  • リテンション施策の進め方

1.リテンションマネジメントとは?

ではまずリテンションマネジメントとは具体的に一体何なのかから簡単に見ていこう。

1-1.リテンションとは?意味と定義

リテンション【RE-Tension】とは、”糸を張りなおす”ということを意味し、”保持する・維持する”と訳される。経営学では、マーケティングと人事の2つの領域の専門用語となっている。

2種類のリテンション施策

  1. 顧客を維持するリピータ・常連顧客維持のためのマーケティング施策
  2. 社員の離職を防いだり、モチベーションアップのための人事施策

当記事では、人事のリテンション施策について解説していく。

1-2.人材マネジメントの課題としてリテンションの必要性を感じている割合

ではリテンション施策にどれくらいの数が注目しているか確認しよう。

以下のグラフは冒頭で紹介したエンジャパンの同調査における「リテンションマネジメントを実施している会社を対象として、具体的にどのような施策が効果手だと感じたか?」に関する回答結果だ。様々な業種・規模の人事担当者243人が回答し、その中の67%がリテンション施策に取り組むと考えている結果になっている。

参考元URL:https://partners.en-japan.com/enquetereport/old/110/

1-3.人事分野におけるリテンション施策の種類

では続けて以下のデータを見てみよう。同調査による「実施したリテンション施策内容」に関する集計結果だ。

簡単に言えば、リテンションマネジメントとは、職場に愛着を持ってもらったり、仕事や会社を好きになってもらう、魅力的に感じてもらう一連の活動のことをいう。

リテンションマネジメントを聞いた時、多くの方が、給与や待遇面、労働環境の改善などをイメージするが、「コミュニケーションの活性」や「部下への現場指導の見直し」などであれば、規模の小さい企業でも十分実行可能で、それだけでも一定以上の成果は得られる。

2. リテンションマネジメントの2つの実践事例とその効果

そしてリテンションは、業種・規模に関係なく、どの会社であっても出来る施策だ。離職率の改善、会社へのロイヤリティの高い社員やモチベーション向上は決して社員のせいでなく、マネジメントに対する努力が不足しているからに過ぎない。

それをこれから紹介する2つの事例を見れば実感できると思う。

2-1. 事例1:リテンションマネジメントは業種・業界に関係しない

引用:https://www.dodadsj.com/content/180222_cybozu/

離職率というとよく業界別離職率のデータをあげ、「ウチは業界的に難しい」といわれるかたがいらっしゃるが、飲食業であろうが、IT業界だろうが、離職率の改善は可能だ。

あくまで業界平均は平均にすぎず、そういった会社のほとんどは、リテンションマネジメントに取り組んでいないし、そういった会社ほど、悪い事実を環境のせいにし、働き方改革に取り組もうとすらしていない。

取り組み内容

リテンションマネジメントに取り組む前のサイボウズも同じだった。この離職率28%という数値は業界的に考えると特別悪い数字でなく、同業他社と同じように、その人材の補填を人材紹介・派遣サービスで補うという考え方をしていた。しかし、その内に売上が頭打ちになった。ノウハウが蓄積されないからだ。そこで他の企業と違う点は、そういった現状から目をそらさず、真剣に解決に向けて取り組んだ点にある。

サイボウズでは、給与の見直しだけでなく、社内一丸となって、働く風土、従業員の考え方、制度の構築、オフィスやワーク環境の改善まで全てをトータル的に行った。その結果、離職率は4%まで劇的な改善を成し遂げることができ、離職率の改善に伴い売上が再上昇するという結果となった。

どのようなマネジメントも正しい理解の下で、正しく実行すれば必ず成果は出る。業種や規模という先入観にとらわれず、まずは「自社でリテンション施策に真剣に取り組むべきかどうか」をまず話し合い、やるなら徹底的に成果にこだわりやり抜く意思をまず社内で共有することから始めよう。

2-2. 事例2:リテンションマネジメントは規模が小さくても成果を出せる

引用:https://koyoukanri.mhlw.go.jp/example/pdf/file_139.pdf

では次にサイボウズの例を紹介すると出てくる次の疑問「一般的な中小企業では難しい」だ。その質問に対する反論の良例としてカネテツデリカフーズの事例をみてみよう。

この会社では入社3年以内の離職率が50%を越えており、多くの会社が抱えているように、「仕事は見て覚えろ」、「わからないことがあれば自分から積極的に質問するべき」といういわゆる「辞めた社員にやる気がない、根性がない」という考えが社員に蔓延していた。

取り組み内容

そこでこの会社では、発想を逆転させ「辞めているのではなく、辞めさせている」と結論を出し、新人に固定の先輩社員をつけるマンツーマン制度を導入した。

新人社員に固定の社員をつけることで、職場に馴染みやすくなる。なぜなら「わからないことがあるが、この質問をして怒られないか不安」という心理的抵抗を解消するだけでなく、休憩時間に話せる相手がいることで、その先輩をハブ役として、多くの社員と関係性を持ち、職場に馴染みやすくさせる。

きっかけというのは非常に重要で、きっかけがないから、休憩時間に話せる人がいない、質問するのが怖い、失敗して起こられるのがいやで自分から自発的に動けない。全ての原因であったりする。「あいつは積極性もなく、意欲もない」と前の会社でいわれていた人が、転職後「活き活きと人が変わったように職場をリードとしている」なんて話は別に稀なケースではない。

その結果、職場に馴染めない新人が減り、離職する新人は年間数%と40%以上の劇的な改善を達成した。

このことは、サイボウズのようにおおがかりな改革でなくとも、職場の意識改革だけで上手くいく事だってある。まずできることから始めてみる事が大切だ。

2-3.リテンションマネジメントの効果

ではリテンションマネジメントは、単に離職率を減らし、採用コストや教育コストを減らすための施策なのだろうか?エンジャパンのほかの質問の集計結果をここで見てみよう。

離職が増えれば、「採用を増やせば解決するということはない」と多くの会社が実感しているように、代わりの人員がいなくなって外注せざるを得ない、労働力が足りず、案件数・顧客数を減らさざるを得ない、品質が低下し顧客を失う、生産性が低下し、人件費が上がる。など、様々な問題を生み出す。

これが人手不足に困っている、困っていないに関わらず全体の7割弱もの企業がリテンション施策に取り組んでいる目的であるといえる。

3.  リテンションマネジメント施策の進め方とその手順

では「リテンション施策を成功させるにはどのような手順で進めていけばいいのか?」に関する本題に入っていこう。

手順1:リテンションレート(離職率)を計算する

リテンションレートとは、マーケティングであれば顧客維持率になり、人事であれば離職率になる。

売上と同様にマネジメントでも数値が必要になる。なぜなら、努力に対してどれだけ成果が出たかを評価で着なければ、プロジェクトを継続することは難しいし、社員評価も出来ず、社員の改善に対するモチベーション維持も難しいからだ。

とはいっても離職率の出し方は様々だ。3年以内離職率や人材流動率意外にも様々な計算方法がある。

参考

  • 担当者・店舗・部署別の離職率を計算し、社内平均と比較する。
  • 人事考課の点数や勤務態度が良好な社員の離職だけに絞った離職率を出す。
  • 目標離職率から計算して、各部署に許容離職人数(A部署では○○人に抑えろなどの目標数値)を出す。

離職率の計算に関しては以下の記事で詳しくしているのでそちらを参照して欲しい。

手順2:従業員満足度向上を社員全体が目指す目標として共有する

離職率と対なる概念は、ロイヤリティ・コミットメントとなる。会社に満足していたり、この会社でキャリアを歩みたい社員ばかりになれば離職率は当然減るからだ。

リテンションマネジメントの質は以下の3STEPで進んでいく。

step
1
離職者の削減・人手不足の解消

step
2
質の高い人材を増やす。人材育成強化

step
3
組織貢献・会社改革の視点で動ける社員を増やす

離職率を下げる施策とは、従業員満足度は高める施策に他ならない。

もちろん、「従業員満足度を高めよう」と朝礼や会議で議題にあげたり、スローガンを抱げた、制度を作った、などの施策をした会社が大半だと思う。しかし「社員全員で従業員満足度を上げる!」と共有し、成果にこだわり徹底的にやりぬけた会社はほんの一握りに過ぎない。

セールスやマーケティングと違って、明確な数値がなき心理的な課題に取り組み、成果を出すのは簡単なことではないからだ。

そのモチベーションの強弱、モチベーションが低い・モチベーションが高いを判断するための64の要素と離職予備軍となる退職兆候は、以下の記事で詳しく解説している。あわせて呼んでいただければ従業員満足度の強さについて、具体的にイメージしてもらえると思う。

また以下から現在無料で実施しているモチベーション無料診断を受けることができる。10分程度で回答でき、回答後2日以内程度で、PDFファイルで診断結果を送付させていただいているので是非ご活用してもらえればうれしい。

手順3:どのような従業員を増やしたいかを決める

そこでまず従業員満足度の定義を行う事から始める事が大切だ。従業員満足度を上げる目的は、社員の福利厚生のためが第一には来ない。第一に来るのは、やはり生産性や利益、売上であって、そうした利益に貢献してくれる成果・人事評価の高い社員たちは「どういったことに満足しているからモチベーションが高いのか」に紐づける事が本来の目的となる。

自社ではどういった意識がない社員が多く、どういった考えや行動が出来る社員を増やしたいのか?

成果評価や人事評価をそのまま使ってもいいが、以下の記事を参考にして定義してみて欲しい。以下のバナーは別ウィンドウで開くので是非等記事とあわせて読みすすめることをおすすめする。

  • 向上心や改善意欲・成果意識を持った社員を増やしたい【仕事ができる人の共通行動】
  • コミュニケーションや連携・協力意識の高い社員を増やしたい【社交性のある人の共通行動】
  • 会社や職場全体視点を持った社員を増やしたい【職場に貢献できる人の共通行動】

手順4:従業員満足度調査を実施する

リテンションマネジメントのミッション、離職率を減らし、人手不足を解消して、最終的にどのような人材を増やしたいのか?というミッションが明確になれば、実際に従業員満足度を実施しよう。

従業員満足度調査がなぜ重要なのかは以下の手順5を読んでもらえれば納得してもらえると思う。

従業員満足度は単に集計するだけでなく、上記の行動が出来ている社員とそうでない社員にわけ、その違いはどこにあるのか?まで分析するようにしたい。もちろん、個別に集計するだけでも効果はある。

従業員満足度調査の項目作りやその手順に関しては以下の記事で解説しているので、そちらを参照して欲しい。

従業員満足度調査アンケートの全体像|良質な項目例文と作成のコツ

手順5:従業員満足度調査データを施策に活かす

従業員満足度データは以下の手順で活用することで、質の高いリテンションマネジメントを運用しやすくなる。

活用事例1:面談に活用する

面談というのは、どのタイミングで実施すべきか判断が難しく、全員に実施しようとすればかなりの時間コストが必要になってしまう。そこで、モチベーションの強さを従業員満足度によって数値化できていれば、スコアの低い社員に対象とすることで、必要なマンパワーを極力減らすことも出来る。

また面談の内容の質も変わる。

多くの会社の面談では「何か不満に思っていることはありますか?」など、質問が非常に抽象的で、面談で上手く悩みや要望を引き出せるか、話し合いによる納得、理解を得るには、面談者のスキルに多く依存してしまっている。

しかし、従業員満足度データをかつようすることで「Aさんにはこの質問をしてください」、「○○と■■に対する不満、あるいは悩みを中心にヒアリングしてください」といった社員個別資料を事前に作成することで、面談の質を高めることにも活用できる。

活用事例2:チームでの共有に活用する

従業員満足度調査の部署別・店舗別・職種別といったデータと社内全体平均との差を比較すれば、社員たちの当事者意識を刺激する事が出来る。従業員満足度は、上司(責任者)や人事部、経営層にやる気があるだけ、制度を作るだけでは上手くいかない。

普段の業務でのやり取り、人間関係、仕事への熱心さ、努力の正当な評価など、”現場での実際”が変化してはじめて起こる。

だからこそ、現場の社員たちは”不満を感じる側である”のと同時に”他のメンバーに対して不満を与えてしまう側”にもなる。だからこそ、職場全体のメンバーの不満要素やスコアの差を見ることで、「自分たちに思い当たることはないか?」、「自分たちがこうすべきではないのか?」ということを話し合うための有効な資料となる。

活用事例3:採用面談基準・採用PR戦略に反映する

また業種・職種によって自社努力でできること、できないことは当然存在するし、社員によって求めることは当然違う。

自社の職種別の満足度スコアを見れば、「自社での魅力(○○満足度が高い)」・「必要な耐性(○○満足が低い)」ということがわかってくる。すると、面接では「こういったことに対して耐性がありますか?」や「あなたの○○の優先度はどのくらいですか?」という採用基準が出来上がる。

簡単に言えば、「自社はこういった満足度が高いのでそれをあなたは魅力的に感じますか?」ということと「自社ではどうしてもこのような満足度は低くなってしまいますが、あなたはそのことに対してはあまり重要視しないですか?」ということだ。

これは実際の社内の声を反映したものであり、建前の志望動機を聞くよりもよっぽど採用後のマッチングミスを減らせる。

なぜなら、すでに満足している社員と同じような考え方・思考傾向を採点基準にするからだ。また、ESサーベイによって、どういった思考を持った社員であれば活躍しやすいか?という基準作成も同時にRABLEでは行っている。

活用事例4:人材育成支援ツールとして活用する

私たちRABLEでは、上記で説明したとおり、まず会社が奨励する行動と従業員満足度の2つを取り入れた組織サーベイESを提供している。

そのデータを基にすれば、それぞれの社員に対して「どういった能力・行動・考え方が不足しているか」がデータで出てくる。データに基づいた人材育成をすることは、人材育成の客観化・数値化、進捗管理を容易にする。

「○○を教えました。」という指導実績管理ではなく、「○○を教えて、その能力が育ったのか?考え方は変わったのか?行動は変化したか?」という変化管理を私たちは重要視している。これが繰り返しお伝えしているマネジメントでも徹底的に成果にこだわりやりぬくということだ。

勤務年数○年だから、これくらいは当たり前にできるはずだ、という人材管理をしていてはいつまで経っても上手くいかない。

手順6:従業員満足度調査データを参考に新しい施策を練る

1章では、一般的にどのような人材育成施策があるかをお伝えしてきたが、その中身や運用方法は、会社によって全く違う。

そのため表面上だけ真似ても意味がなくて、重要なのは「社員たちが不満に感じていることを解消する。」というニーズを知る事が大切だ。従業員満足度調査をすることでどのような不満があるかわかれば、どのような施策がふさわしいかはデータが教えてくれる。

それには、抽象的な項目では駄目で項目の作りこみが必要になるし、また社員全体に共通する項目なのか、特定の社員だけが感じている項目なのか、管理職だけに共通する不満、部署ごとの不満傾向など、データの詳細な分析をしなければ、的外れな施策になってしまう。

どのグループの生産性を上げるために、どのような項目を作り、どのようなデータ解析をすればそれが数値として上がってくるのか?

そこまでを徹底的に考え作りこまれたESデータは、自社が必要とする施策を教えてくれる。

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