リテンションマネジメント

リテンションマネジメントの事例と実践|好業績組織の作り方

求人応募の反応率が悪くなってきた。即戦力社員を獲得する単価が上がってきている。人材育成に力を入れても退職されてしまう。新しい取り組みをしようとしても会社全体に普及しない。施策に反発される。

人に関わるマネジメントは、施策の運用・普及が非常に難しい。

リテンションマネジメントとは、採用・教育・管理の土台を作り上げ、無駄な人的損失をなくし、人的資源投資の効果を最大化することで、自社の利益率や生産性、人材に関わるコスト比率を下げるマネジメント手法だ。

具体的に言うと、「採用投資の効果を最大化し、人材育成の質と精度を高め、離職の無駄をなくすことで、社員全体のレベルをあげる一連の仕組み」であるといえる。人事や経営層が主体となって行うトップダウン式に会社を変革していくのではなく、社員全員が勝手に優秀な社員へと育ち、高モチベーション化する「社内文化・環境を作り上げる」事を目標としている。

規模が小さくても利益率が高く高待遇の企業は数多く存在するし、たった数人で何十億の売上を達成できている企業もある。大事なのは、モチベーションだ。ある小さな建設会社では、優秀なベトナム人労働者を獲得し、その外国人労働者は、新しい顧客を開拓する方法と品質向上を提案し、売上は数年で3倍になり、今では零細企業と呼べない規模へと毎年成長を続けている。

リテンションマネジメントを実践すると、ビジネスが飛躍的に成長する土台ができあがる。

究極的に言えば、自社の社員の全員が、課題意識を持って、日々試行錯誤をするのが社風になり、先月よりも良い成果を出すことにこだわるようになれば、あらゆる課題は勝手に解決される。

そうならないのは、以下のことを感じているからではないだろうか?

よくあるマネジメントへの先入観

  • いくら指導や研修をしても、人の意識や考え方は変えられない。
  • 課題や改善を指示・指摘すれば、反発されるか、ネガティブに捉えられてしまう。
  • 結局、モチベーションは給与や待遇で決まるのではないか?

断言するが、適切なやり方・手順で実践すれば、人の価値観や行動パターンというのは変化する。

この記事では、組織がリテンションマネジメントを導入し、効果的に運用していくための全ての知識、手順を紹介していく。断片的な理解で満足するのではなく、ここで紹介する全てをしっかり理解していただきたい。

記事概要

  • リテンションマネジメントの意味・概要
  • リテンションマネジメント成功事例とその効果
  • リテンション施策の内容
  • リテンション施策の進め方

1.リテンションマネジメントとは?

ではまずリテンションマネジメントとは具体的に一体何なのかから簡単に見ていこう。

1-1.人事分野におけるリテンションマネジメントの意味と定義

リテンション【Re-Tension】とは、”糸を張りなおす・テンションを保つ”ということを意味し、マーケティングと人事の2つの意味を持つ。

2種類のリテンション施策

  1. 顧客を維持するリピータ・常連顧客維持のためのマーケティング施策
  2. 社員の離職を防いだり、モチベーションアップなどの人事施策

1.1.1 人材マネジメント課題としてリテンションに注目している企業数

実は、リテンションに取り組んでいる企業は非常に多い。

以下のグラフはエンジャパンの同調査における「リテンションマネジメントを実施している会社を対象として、具体的にどのような施策が効果手だと感じたか?」に関する回答結果だ。

様々な業種・規模の人事担当者243人が回答し、その中の67%がリテンション施策に取り組むと考えている結果になっている。

参考元URL:https://partners.en-japan.com/enquetereport/old/110/

ではなぜ半数以上の経営者や人事がリテンションの重要性を感じているのか?

同調査のリテンションに取り組む目的に関する結果を見てみよう。

1.1.2 経営者や人事の半数以上が抱えている人に対する悩み・課題

離職が発生したら、新たな採用をすれば補填できるわけではない。ヒト・モノ・金・情報といった4つの資源は相互に関わりあっている。

上記のリテンション施策に期待するのは、退職を抑制し、採用コストを削減するだけでなく、モチベーション低下を防いだり、品質や業務改善力・開発力がある人材を増やす、という人的資源の最効率化にある。

つまり、人件費比率を下げたり、生産性を高めたり、改善・改良を成し遂げるには、社員のレベルアップが必要で、離職の減少というのは、リテンションマネジメントを実践することによって起きる成果の一部分に過ぎない。

1-2.人事分野におけるリテンション施策の種類

採用改善や退職者防止だけではなく、モチベーションアップという側面までを考えると施策の幅はぐんと広がる。実際にどのような施策をとっているのだろうか?以下のデータは同調査による「実施したリテンション施策内容」に関する集計結果だ。

このことからもわかるように、リテンションマネジメントとは、職場に愛着を持ってもらったり、仕事や会社を好きになってもらう、魅力的に感じてもらう一連の活動のことをいう。

モチベーションと離職は表裏一体の関係だ。

モチベーションが最低になった時社員は辞め、モチベーションが最高であれば、評価されるために、成果にこだわり、試行錯誤して働いてくれるようになる。

つまり、退職者を防ぐには、モチベーションの低下を防げればいいとか、辞めずらい空気を作るとかでは解決できない。結局はモチベーションの程度の問題であるので、従業員満足度を高めた過程の結果の1つに過ぎない。

1-3.リテンションマネジメント施策と退職防止施策の違い

リテンションマネジメントと混同される言葉として、退職対策というものがある。両者の違いは、戦略か、戦術か、の違いにある。

人材戦略の根幹であるリテンションマネジメントは、「ロイヤリティの高い社員を増やすことで、離職したいとそもそも考えない組織を作り上げる」事であるのに対し、退職対策は、モチベーションが低下している社員を早期発見し、少しでも退職者を減らそうとするその場しのぎの戦術に過ぎない。

もちろん短期的な成果であれば退職対策は効果があるのかもしれないが、自社の人的資源を最大化するためには、社員の意識を変えることで、社員の誰もが当たり前に出来る社内文化が最終的には必要となる。

当記事でご紹介するリテンションマネジメントは、社員の誰もが自社の人的資源向上・確保のために貢献し、全員で働きたいと思える会社を作り上げる社風・会社変革を実現するための手法であると理解してもらえればOKだ。

2. リテンションマネジメントの実践事例と4手順

ではここからは、自社の人的資源の質を高め、効率よく運用し、業績向上につなげるためのリテンションマネジメントの実践手順を事例と共に解説することにしたい。

STEP1:離職率を計算しマネジメント成果を数値で管理する

経営学の金言に「数値化できないものは管理できない」というものがある。

多くの方が実感していることだろうことだが、経営に関わるあらゆる活動は売上やコストなど業績(財務指標)に反映されなければ、投資する価値はなくなるし、活動が継続されない。それよりも他に優先すべきことはあるからだ。

現場で働く社員たちも、それを評価する管理職も、利益責任を担う経営者も、成果が出ているかよくわからないものに「将来、必ず成果が劇的に変わるから力を入れてくれ」と確信を持つことはできない。

そこでまず行うべきことは離職率の計算だ。

離職率を計算することで作成できる4つの数値

  1. 離職率の比較:社内平均と職種別・部署(店舗)別の離職数の推移・比較
  2. 平均勤続年数変化の計算:平均勤続年数から採用投資の回転率を計算
  3. 目標離職数の設定:目標離職率を達成した時に削減できる採用人数
  4. 採用コスト削減金額の計算:最終的に削減できる採用コストの試算

離職率は、平均勤続年数と密接な関係にある。例えば、平均勤続年数が2年で、アルバイトを100人雇用していれば、5年で総入れ替えが起きることになる。つまり、平均でみれば、1年当り100÷2=50人を毎年採用していることになる。これが4年になれば、100÷4=25人で毎年の採用予算は半分で済むようになり、1人当り採用単価をかければ、採用コスト削減金額がでてくる。

これが単価の高い中途採用ならもっと効果は高くなる。詳しくは別の記事で解説するが、しっかりと計算すれば、部署別・店舗別・担当者別に採用コストの貢献金額の差を業績として可視化できるし、平均勤続期間が長くなるということは、十分な人材育成期間を取っても、それを回収できる期間が長くなり、生産性が上がる。

すると人件費率は当然下がるし、品質も高くなる。離職率単体では「下げたほうがいいよね」という数値に過ぎないが、数値をしっかりと設計すれば、離職率を下げることによるコスト貢献、生産性貢献を評価できるようになる。

あなたも「社員の満足度が高い部署・職場は、人件費率に余裕があり、生産性も高く、自社の利益をリードしてくれる存在」ということをなんとなく理解されていることだと思うが、それをしっかりと数値で可視化する事が重要だ。

事例1:離職率は意識を現場まで浸透させればどの企業でも達成できる

 

 

 

 

 

 

引用:https://koyoukanri.mhlw.go.jp/example/pdf/file_139.pdf

離職率というと給与や待遇を変えなければ改善は難しいと考えがちだがそれは違う。カネテツデリカフーズの事例をみてみよう。

この会社では入社3年以内の離職率が50%を越えており、多くの会社が抱えているように、「仕事は見て覚えろ」、「わからないことがあれば自分から積極的に質問するべき」といういわゆる「辞めた社員にやる気がない、根性がない」という考えが社員に蔓延していた。

取り組み内容

そこでこの会社では、発想を逆転させ「辞めているのではなく、辞めさせている」と結論を出し、新人に固定の先輩社員をつけるマンツーマン制度を導入した。

新人社員に固定の社員をつけることで、職場に馴染みやすくなる。なぜなら「わからないことがあるが、この質問をして怒られないか不安」という心理的抵抗を解消するだけでなく、休憩時間に話せる相手がいることで、その先輩をハブ役として、多くの社員と関係性を持ち、職場に馴染みやすくさせる。

きっかけというのは非常に重要で、きっかけがないから、休憩時間に話せる人がいない、質問するのが怖い、失敗して起こられるのがいやで自分から自発的に動けない。全ての原因であったりする。「あいつは積極性もなく、意欲もない」と前の会社でいわれていた人が、転職後「活き活きと人が変わったように職場をリードとしている」なんて話は別に稀なケースではない。

その結果、職場に馴染めない新人が減り、離職する新人は年間数%と40%以上の劇的な改善を達成した。

重要なのは、人事部や経営者が考えるビジョンをどれだけ多くの社員に伝染させていけるか?だ。

人事部や経営陣がいくら重要だと考えていても、その熱が現場に伝わらなければ上手くいかない。上記の例のように、社長や管理職にカリスマ性や人望があればうまくいくかもしれないが、そのようなことは稀だし、どの会社でも実践できるとはいえない。

しかし、離職率を上手く財務指標に転化し、改善することによって得られる試算、貢献金額を可視化できれば、全社員の意識を意図的にコントロールする事が出来る。

STEP2:従業員満足度調査を実施する

従業員満足度といえば、会社に対する満足・不満を聞くだけというイメージを持っている方も多いかもしれないが、実際は違う。「自社が理想とする行動や考えを持てているかどうか」「その行動を引き出す要素」を項目に起こして数値化する。会社組織で好きか嫌いか、自分にとって都合が良い職場かどうかをスコア化しても意味がないからだ。

あくまで従業員満足度は、成果を出す、業績を高める行動をとれているかどうかをスコアとして出し、改善したい課題・目標に合わせて、それに関連する要素を綱目としてライティングしていく手法であり、適当に作って集計したアンケートは単なる感想を集めるものに過ぎない。

従業員満足度調査は、自社の課題や状況に合わせて、ライティングの知識とノウハウを学ぶ必要があることを理解して欲しい。

「離職者を減らそう。」という考えを浸透できれば、「辞めた社員が悪い。」ではなく、「自分が正しいかどうか」でもなく、「相手の行動を変える」という意識を持つようになり、、相手の行動変化を成果の基準として考えるようになれば、社員たちの脳裏には以下の2つの事が浮かぶ。

  • 相手の行動は変化したのかどうか
  • 相手は何に対して不満あるいは要望を持っているのか

行動の変化という成果を可視化出来なければ、職場で取り組んでいることが上手くいっているかの判断がつかないし、指示や指導をする際にも、自身の行動や他の社員の指導や接し方に対する指示ができない。社員たちの気持ちを客観的に捉える事が出来なければ、結局、現場の判断や主観に依存するからだ。

マネジメント施策を立案する上で最も重要な情報は、具体性と客観性の2つだ。

情報に客観性がなければ間違った判断をしてしまうし、情報が抽象的であればあるほど、采配は社員個人のセンス・才能・経験に依存することになる。人的資源を効率的・適切に運用するには、社員の行動や心理変化を数値化するノウハウが必要になる。

事例2:社員に寄り添った改革は業種・業界に関係せず成果を残せる

引用:https://www.dodadsj.com/content/180222_cybozu/

飲食業であろうが、IT業界だろうが、成果を出すことは十分に出来る。

業界平均はあくまで平均にすぎず、そういった会社のほとんどは、リテンションマネジメントに取り組んでいないし、そういった会社ほど、悪い事実を環境のせいにし、働き方改革に取り組もうとすらしていない。

取り組み内容

リテンションマネジメントに取り組む前のサイボウズも同じだった。この離職率28%という数値は業界的に考えると特別悪い数字でなく、同業他社と同じように、その人材の補填を人材紹介・派遣サービスで補うという考え方をしていた。しかし、その内に売上が頭打ちになった。ノウハウが蓄積されないからだ。そこで他の企業と違う点は、そういった現状から目をそらさず、真剣に解決に向けて取り組んだ点にある。

サイボウズでは、給与の見直しだけでなく、社内一丸となって、働く風土、従業員の考え方、制度の構築、オフィスやワーク環境の改善まで全てをトータル的に行った。その結果、離職率は4%まで劇的な改善を成し遂げることができ、離職率の改善に伴い売上が再上昇するという結果となった。

業種や規模という先入観にとらわれず、成果は出たのかという数値化に真剣に取り組み、どうすれば社員のニーズを固定観念や思い込みを持たず客観的に出来るか?を考え続ける事が出来れば、必ず成果は出る。

STEP3:従業員満足度調査結果をフィードバックする

PDCAサイクルをご存知の方は非常に多いと思うが、PDCAサイクルを回す上で一番重要な要素は、Cの”Check”の部分だ

ビジネスでも、スポーツでも、人付き合いでも、行動成果は次の行動を決める。上手くいけばそれを繰り返そうとするだろうし、失敗すれば、行動に修正を加えるか、行動自体をとらないようになる。

そしてビジネスで大抵の会社では、数値は管理職と経営層でしか共有できておらず、現場の社員やアルバイトは成果がどうなっているか知らない場合が多い。知っていても、売上が増えた、減ったとか、クレーム共有など、朝礼や連絡事項としてのレベルでとどまっている事が実に多い。

それでは、人は動かない。

自分たちの努力によって、結果がどう変わったか知れなければ、興味を持続することは出来ないし、自分たちの行動をどう変えていけばいいかという考えすらもてない。だからこそ、施策を実行すれば、必ず取り組み前と後で成果変化をフィードバックすることを心がけよう。

フィードバックデータ(成績表や会議資料・報告書)を作成する上で以下のことを意識しよう。

  • 経営陣・管理職・課題の中心となる担当社員・現場社員・アルバイトそれぞれに用意する
  • 数値の羅列ではなく、伝えたいメッセージから逆算して構成を考える
  • 課題を多方面の数値から包括的に捉えたデータであること

組織を変えるためには、全社員の意識を変え、新しい行動を習慣化させ、社風化していなければならない。そのためには、アルバイトに対してもフィードバックするべきだし、そうしなければ真の意味での変化は生まれない。

例えば、接客で売上よりも顧客満足度を重視するようにしたとしよう。その重要性を社員まで共有できても、現場で働くアルバイトができなければ、顧客に対する意識や行動は変わらず、成果として、顧客満足度・接客品質・セールストークの内容は変わらない。

しかし、それが社風として常識化されていればどうだろうか?

その職場では、9割以上の社員がそうした意識で働いている。指導するとか以前に、そうした考えで働くのが普通で、そうした文化は新入社員を染めていく。そうしたマジョリティ化が組織慣性であり、新しい考え方や会社改革をしようとすると働く一番の障害でもあるといえる。

社員たちに指導すれば、指示をすれば、目標を与えれば、必ずフィードバックをする。

それは数値でなくとも、行動や態度に対するコメントであっても構わないが、それを継続し続けるには、テンプレートがあったほうがやりやすいし、予めスケジュール化しておいたほうが、職場状況や管理職の能力に依存せず、安定性が増す。

相手を動かす資料、相手の心に響く資料、ストーリー性のある資料・報告書テンプレートは1つのノウハウであり、数値の羅列でなく、目的を持って使用する表、グラフを選別し、それを目的に合わせてビジュアル化し、テキストも1文字1文字丁寧にライティング、キャッチコピー化する。そうした資料作りによる振り返りを徹底すれば、あなたの会社のPDCAは驚くほど回りだす。

リテンションマネジメントにおけるおすすめ研修

研修は専門知識よりも、意識を変えたり、気付きを与える内容であったほうがいい。専門知識を詰め込んでも忘れるし、数日程度で学べることに重要性はないからだ。

研修という”非日常空間”、”業務を離れた場所”で伝えるべきこととは何か?逆に考えれば、業務の延長ではなく、研修でしか伝えられない、あるいは業務中では教えにくい、わかってもらえないこととは何か?

あなたも考えてみて欲しい。

全社員共通

業務中では、立場もあり、経験も、技能も、責任も違うというイニシアチブが働く。だから自由な発言には、どうしても制約が尽くし、自分の考えを表現する、議論するというのは難しい。

しかし、研修には、社内で直接的には業務に関係がない別部署のメンバーや、同経験の社員、職種が違うメンバーなどで構成することができる。そして、リテンションに関する課題と数値から、どういった解釈ができるかを話し合うという内容がおすすめだ。

  • 数値から社内のどういった不満や状況が起きていると読み取れるか?
  • その中でも優先順位をつけるとすれば、どの順番でするか?
  • 解決したい課題を、自社でも出来る施策にはどのようなものがあると思うか?

研修で知識を教えるのではなく、ディスカッション形式が今の主流になりつつある。なぜなら、知識は教えてもすぐに身につくものではないが、人の考えはきっかけ次第で大きく変化するものであるからだ。

  • 自分の考えは客観的に見て正しいか?それは主観ではなく、数値から読み取れるものか?
  • 様々な数値が存在するが、それは自社に存在する根本的なものか?枝葉ではないか?
  • 理想論を掲げていないか?リソース面から考えて、現実に出来るものであるか?

上記のことを話し合うことで、他人の話に耳を傾ける。多方面から物事を考える。思い込みで判断しない。など、様々な視点が身につく。そうした体験は大きな財産になるし、きっかけになる。きっかけは小さなものに過ぎないかもしれないが、現場に帰ってからこれからの行動を少しずつ変えていく火種になる。その火種をうむことこそが、非日常空間、研修でしか出来ないことといえる。

経営陣・マネージャー

経営陣やマネージャーは、いかに自社の状況を適切に理解し、客観的に捉えられるか?が重要で、知識や能力を高めるというよりも、自社の分析をいかに丁寧に、的確にしてくれる業者を選べるかが重要となる。

これは単発でいいし、別に顧問契約でなく、お試しキャンペーンを試してみる。というレベルで十分だ。

そしてここで重視するポイントは具体性だ。コメンテーターや政治家などでもそうだが、課題や駄目だしは誰でも出来る。具体的にどこが駄目で、どこならば改善できて、どういった改善なら自社でも実現可能なのか?

「実現性・具体性・コスト性」この3つがイメージできなければ、改善は出来ない。

実は、大手企業であるほど、様々なコンサルタントの売り込みや研修営業を楽しんでいる。営業での話を聞くことで、「自社にはなかった視点」を知ることも出来るし、知識も増える。営業を拒否するより逆に沢山の営業を受け入れた方が、騙されにくくなる。「契約する気はないけれど、話だけを聞いてみる。」ということ自体が経営者やマネージャーにとっての一番の研修になる。

現場責任者・管理職におすすめロープレ・ブレスト

現場責任者と管理職に対しては、出来れば定期的に実施して欲しい。もしも月次報告会を毎月しているなら、売上などの財務データ共有はデータで済ましたり、リモートで対処するなりして、ロープレに時間を割いたほうがよっぽど建設的で効果は出ると思う。

内容としておすすめなのが以下のものだ。

  • 成績や行動・意識などの社員データを下に行うロープレ
  • 数値を見ながら、その解釈と対策に関するブレスト

業種にもよるが大抵の場合、部下に対してどういった指導や指示をしているかを監視することは難しいし、管理職のモラルにしか任せるしかない。しかし、社員シートを与え、誰かにその社員になりきってもらい、「その社員に対して普段通りに指導してみてください」とすれば、普段どのような指導をしているかが見えてくる。

それはブレストでも同様だ。数値を見て、どういった解釈をするのか?そこからどういった対処を考えるのか?を見れば、普段の姿は見えてくる。

それを定期的に実施すれば、管理職は代わらざるを得ないし、それを繰り返していく内に、自然とその考えに染まっていく。ブレストやロープレは、そういった普段のマネジメント風景を擬似的にテストできる手法の1つだ。

新人社員・現場社員におすすめ研修

モチベーションアップやリテンションというと、新人社員や現場社員には関係ないと思うわれがちだが、それは違う。

  • あなたは、どういう人柄であれば、助けてあげたい、フォローしたいと思いますか?
  • あなたは、どういった人は、積極性がない、向上心がないと思いますか?
  • あなたは、何も質問しない、相談してこない人に上手く教える事が出来ますか?

上記のように、主体性がない人に教えることは不可能だし、教えられる側の責任とは何か?を自覚させることは大切だ。

  • あなたは、どういった人ならば、話しかけやすいですか?
  • あなたは、どういった瞬間に声をかけられたらうれしいですか?
  • あなたは、どういった瞬間に孤独を感じますか?

それは人間関係もそうで、やはり年齢が近い方が気楽にコミュニケーションできる。先輩社員が浮いている新人に声をかけることも重要だが、同じレベルでの人間関係を作らせた方が効果は高い。リテンションには新人だからとか勤続年数は関係なく、働きやすい職場作りには、全社員の思いやりが生まれなければ上手くいかない。

マナー研修やビジネス研修など、基本的な知識も与えることも重要だが、実際それは先輩について実務を経験した方が効果は高い。内容が具体的だし、講師でなくとも教えられることであるからだ。

知識を与えられるのでなく、自分にもできることを自覚し、「○○だから自分には関係がない」という他人事をどうしても新入社員や一般社員は思いがちだが、全員が当事者で、全員が主体的に動かなければ、社風とはならない。そういったきっかけを作る研修であればコストをかける価値は十分にあると思う、。

補足:リサーチャー・コンサルタントの仕事は数値を作ることではなく解決すること

あなたの会社でも様々なコンサルタントやアプリ、仕組みを導入していることだろう。そして、多くの数値に埋もれているかもしれない。数値は作る事が目的はなく、活用する事が目的で、たくさん在ればいいという訳ではない。

従業員満足度調査は、アンケートを作って、集計すれば数値はできる。しかし、質が伴わなければそれは数値を羅列しただけに過ぎない。

どういったライティングで、どういった状況・心理を切り抜き、それをどうデザインし、誰に対して、どのようなメッセージを最終的に与えたいのか?活用から逆算して緻密に設計して、ライティングをしなければ、結局報告書を作って終わり。になってしまう。

「報告書を見て、○○は良かった。悪かった。」報告書を見て、感想レベルで終わった経験は、多くの方が体験したことだと思う。

あくまであらゆる数値は、人を納得させ、社員の思考を誘導するために作るものであって、「これも記録したほうが良いから作っておこう」というスタンスでは、結局どの数値を見て、どの判断をすればいいかわからないし、無計画に作られた膨大な種類のデータは、目を通すだけで多くの業務時間を奪うだけになってしまう。

数値はあくまでノウハウの1つであり、必ずゴールを設定してから作るようにして欲しい。大事なのは、最終的に「こういった研修をしたい」・「こういった指導をしたい」・「この考えを共有したい」・「こういった仕組みを作りたい」という目的を定め、そのためにはどういった数値が紐づき、それをどうすれば作成できるか?と逆算的に考えること。それが当ブログでお伝えしたい私たちのノウハウである。

STEP4:データに基づき施策を立案・運用する

緻密に作られたデータがあれば、それは人を動かすだけでなく、自社が選択すべき方向を教えてくれる。

RABLE式リテンション施策①:施策立案・制度設計はをデータに基づき行う

あなたも様々なサイトや書籍を読んでいることだろうが、会社に対する不満要素には様々なものがある。そしてそれはどれも正解だが、会社によって数値の強弱は存在する。

  • 効果は高いが、コストも高い要素
  • 効果は高くて、コストをかけずに実践できる要素
  • 効果は低くて、コストも高い要素
  • 効果は低いが、コストをかけずに実践できる要素

総合的なモチベーション・退職動機と各要素の関係性を見れば、上記のことは分析可能で、自社のリソースに合わせて優先順位を決める事が重要だ。またデータを見るときに必ず以下のことを意識するようにしよう。

  • スコアは低いが、特定の回答者に集中している ・・・・ 特定の部署や店舗・役職が感じている課題
  • スコアは低いが、全社員共通した回答である  ・・・・ 全社員共通して感じている課題
  • スコアは高いが、特定の回答者に集中している ・・・・ 特定の部署や店舗・役職での上手くいっていること
  • スコアが高く、全社員共通した回答である   ・・・・ 社風化できている自社の強み

全体の傾向を見る上で、大事なのは”共通性”だ。数値を使う利点の1つに、声の大きい少数派の意見に左右されないことだ。主観というのは、権力のある社員や有能な社員の仮説に流されやすい。特にマネジメント側と現場側では認識も違うし、必ず理解のズレがある。

しかし、上記のように、”費用対効果”と”全社での共通度”をわかっているのであれば、全体的な視点から施策の重要度と優先順位を決める事が出来る。

RABLE式リテンション施策②:採用面談基準・採用PR戦略の改良

採用基準というのは、優秀な社員の定義が出来ていないといけない。成果だけで見てしまうとどうしても人材の取り合いになるし、最高条件でオファーできなければ採用をもぎとることはできない。採用効率で考えると、突出した成果を出していないが、潜在能力をいかにして見抜くか?だ。

しかし、組織サーベイで予め、優秀な社員に共通する価値観や行動の優先順位がデータとしてわかっていればどうだろう?

  • ○○に関して、あなたはどういう認識をしていますか?
  • ○○の状況の時、あなたはどう考え、行動しますか?

上記のような、具体的なシチュエーション化、テーマでの振舞いに関するヒアリングができる。そして、そういった考えを持った社員は「短期間で成長し、頭角を現す確率が高い。」ということがわかってさえいれば、就職市場・転職市場で埋もれている人材を確保する事が出来る。

また採用集客・PR戦略では、多くの人にリーチする情報よりも、特定の人材に深く刺さるものにした方が結果として集客できる人数は増える。給与や待遇面だけをPRしても、どれだけ広告を出したか?好条件を提示できたか?で決まってしまうし、価格戦略では中小企業は勝てない。

価格戦略に巻き込まれず、自社で長く続けてくれている社員はどういったことに満足してくれていて、その魅力を伝わるようにライティングできるか?が重要だ。そうすれば自然と文章にオリジナル性がでてくるし、似たような文章には絶対にならない。

RABLE式リテンション施策③:面談の内容とタイミング

面談というのは、どのタイミングで実施すべきか判断が難しく、全員に実施しようとすればかなりの時間コストが必要になってしまう。

そこで、モチベーションの強さを従業員満足度によって数値化できていれば、スコアの低い社員に対象とすることで、必要なマンパワーを極力減らすことも出来る。

また面談の内容の質も変わる。

多くの会社の面談では「何か不満に思っていることはありますか?」など、質問が非常に抽象的で、面談で上手く悩みや要望を引き出せるか、話し合いによる納得、理解を得るには、面談者のスキルに多く依存してしまっている。

しかし、従業員満足度データをかつようすることで「Aさんにはこの質問をしてください」、「○○と■■に対する不満、あるいは悩みを中心にヒアリングしてください」といった社員個別資料を事前に作成することで、面談の質を高めることにも活用できる。

RABLE式リテンション施策④:能力・態度育成

人事考課をしている本来の目的は、その能力や考え方を持っていれば、高い業績を残せる事が傾向としてわかっており、その能力や考え方を身につけるように目指させる仕組みを作り上げることにある。

そして人材育成はそのキャリアと紐付けていく事が重要だ。

各自の向上心や学習能力に依存して目標だけを与えるのではなく、個人の行動傾向や考え方のデータを使って、「Aさんは、この考え方が身についていないので指導してください」や「○○の能力をみにつけさせてください」という成果を出した社員を評価するのではなく、指導ミッションを与え、それに従って成果や能力アップすれば昇進できる。という指導主導のキャリアアップを実現できる。

そうすれば、上司の指示や指導に対する信頼度も向上するし、上司は自分に駄目だしをする評価者ではなく、自分のコーチであり、教師になる。もちろん、成果を出せなければ、高い評価をつけることはできないが、出来るだけ成果を残せるように上司は、能力指導をする。そういった関係性を作り上げることを私たちは目指している。

まとめ

リテンションマネジメントを突き詰めて考えていくとシンプルな答えにたどり着く。

退職やモチベーション問題を考えている人たちはみんな、「どうすれば部下たちの気持ちを変えられるか?」だ。

しかし、経営は伝言ゲームであり、あなたが直接全ての社員と話すことは出来ないし、不満となっている社員をすぐにでも辞めさせることはできない。誰か1人が出来るようになれば解決するわけでもないし、結局、人に関わる問題は、全体の底上げがされない限りは解決できない。

リテンションマネジメントに求められるノウハウは、正しいやり方・知識・手順ではなく、人の自発性の引き出し方だ。

こうすれば誰もがこう思うようになる。この考え方さえあれば、その行動にたどり着く。

そして上記の心理は、性善説に基づいたものでもないし、社員の能力やモラルに依存したものではない。しっかりと因果関係を明らかにして、データに基づいて実践すれば、どの会社であっても仕組み化できるマネジメントノウハウだ。

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