離職率の改善

リテンションとは?|コストゼロで会社にもたらされる20のメリット

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近年、リテンションの注目度は上がっている。人手不足や人件費の高騰、採用求人コストの高騰から、離職・退職者を減らそうという動きが活発化している。

中小企業の多くが「このままでは人手不足によって事業の運営が難しくなるのではないか?」と言う悩みを持ち、大手においても「人件費があがってきており、利益率が下がり始めている」と言う危機感を持っている。

そういった危機感から、“リテンション“と言う言葉に貴方は行きついたはずだ。

一方、リテンションマネジメントの意味を深く理解し、その改善に即座に取り組んでいる企業では、人手不足の解消と言ったジリ貧の経営から脱却しただけでなく、生産性の改善、人件費率の改善による利益率の改善と言った初めの意図では想定していなかった以上の恩恵を受けている。

そこで当記事では、なぜ多くの企業がリテンションと言う活動に興味を示し始めているのか?それに取り組めば、自社にどのような変化をもたらせることができるのか?について解説していく。

それは主に以下の4つだ。

  1. 売上増加:優秀な社員が離職することなく、継続して働くことで売上を増加させる。
  2. コスト削減:採用人数が今までほど必要ではなくなるため求人広告コストを削減できる。
  3. ノウハウ構築:離職改善の具体的な方法を見出すことで部下マネジメントのノウハウが完成する。
  4. 組織文化:働きやすい職場になることで、良質な組織文化を作り上げることができる。

当記事をじっくり読めば、リテンションに関する正しい理解とそれを実行することでもたらされる恩恵を理解できるようになる。また、「他の会社がどれ程リテンションに興味を持ち、熱心に取り組んでいるのか?」に関しても詳しく解説していく。

じっくりと最後まで読んでみて欲しい。

1.リテンションとは?その意味と人事担当者が実行すべき施策

リテンションとは直訳すれば“保持・維持”と意味になる。簡単に言えば、社員が「辞めたい」と思わせないように従業員満足度を高める施策のことを意味する。

このままでは少しイメージしにくいので以下の表を見て欲しい。以下の表は、リテンションにおける動機づけ要因とそれに基づく社員心理に関するものだ。

施策内容 社員たちの心理の例
金銭的インセンティブ 給料が多いからこの会社が好き。
自己実現インセンティブ プロジェクトマネージャーや自分のやり方で進めていいなど、裁量権を貰えるから仕事が楽しい。
社会的インセンティブ この会社は、知名度が高く、自慢できるのでこの会社に入れた自分が誇らしい。
ライフ&ワークインセンティブ 休みたいときに休めるし、家庭(プライベート)を重視できるのでこの会社は働きやすい。
人間関係インセンティブ この会社は居心地がいい。同僚とは仲がいいし、上司も好きだ。
キャリアインセンティブ この会社では経験が詰めるし、夢につながる。此処でたくさんの経験・実績を積み上げていきたい。

リテンションとは、簡単に言えば、上記の要素のいずれかを満たすことだ。あなたの会社でもできること、できないことはあるかもしれないが、下から3つのことは規模に関係なく、業務のやり方や管理方法を工夫するだけで、どの会社でも実行できることだ。

1.1 リテンションにおいて他社の人事が実行している事を知っておこう

では上記の6つのリテンション施策について、他社はどのようなことをやっているのだろうか?リテンションマネジメントの状況についてみていこう。

下記のデータは、エン・ジャパンが人事担当221名に対して実施したアンケートの集計結果だ。

Q.リテンションに関して実施している施策は何ですか?

引用:https://partners.en-japan.com/enquetereport/old/096/

上記の表を見てみると、給与改善は57%を占めているが、そのほかの施策を見てみると、お金をかけずとも出来ることがあることがわかるはずだ。

1.2 リテンションに取り組み始めている企業は6割以上

ここまででリテンションの意味やどのような施策を指しているのか?に関することはご理解できたはずだ。では、リテンションに対して、取り組み始めている企業はどれくらいいるのか?と言う状況についてもみていこう。

上記のデータを見て欲しい。同調査のデータだ。このデータでは、62%の企業がリテンション対策の必要性を感じ、30%の企業がすでにリテンション施策を実施していることがわかる。

そしてこの数値は、これからもどんどん増えていく傾向にある。続けて以下のデータも見てみよう。同調査のアンケート結果だ。

上記の数値を見れば、7割弱の企業がリテンションに積極的に取り組んでいく予定であるとい回答している。そして上記の結果は、特定の業界・業種に依存しない。つまり、離職率の業界平均が高い企業であっても、リテンションマネジメントに取り組めば、しっかり成果を出すことが出来ることは十分に可能だ。

ではなぜこれほどまでにリテンションが注目を浴び始めてきているのか?そのメリットをこれから解説していこう。

2.リテンションマネジメントがもたらす20のメリット

リテンションマネジメントが注目されていることを、ここまでで実感頂けたと思う。

そしてリテンションは離職数を削減するだけの効果ではなく、20種類もの経営課題を改善する恩恵を与えてくれる。では、リテンションマネジメントの20種類の効果をこれからお伝えしていこう。

2-1 リテンションが売上に与える5つの効果

ではまず、人材の流出を防ぐことでの売上増加への5つの効果について見て行こう。売上に対する効果は非常に直接的なものなので、「そのようなことはわかっている」と言う人もいるだろうが、一応確認していこう。

1.目標稼働(回転)率・目標件数の達成

どの会社でも月次で必ず目標売上を出しているはずだ。そして目標売上を達成するには、1日当り何%程度の稼働率・件数を達成する必要があるのかが決定される。

その目標稼働率・顧客獲得数を達成するために必要となる人材の生産力を用意できるようになることで、目標売上を達成できるようになる。

2.事業・店舗数の拡大

また売上やマーケティングが好調であっても、事業所・店舗の責任者となれる能力・経験を持つ人材がいなければ、新規出店・事業拡大が出来ない。優秀な人材の囲い込みができるようになれば、計画通りスムーズに事業の拡大が可能になる。

3.サービス・製品品質の向上

人材の流出を防ぐことが出来れば、高いスキル・長年の経験が蓄積された社員が増え、他社よりも高いレベルで製品・品質を提供できるようになる。逆に、新人の採用が多い企業では、サービス・品質のレベルがどんどん下がっていってしまう。

ライバル他社に顧客を流出させず、継続した売上を維持できるようになる。

4.製品・サービス開発活動への時間投資

人手不足の企業は、日常業務をこなすことにいっぱいで、新しい製品やサービスの開発、改良・改善を考える余地はない。

逆に作業人員をしっかりと確保できている企業の管理職は、日常業務にはほとんど関与せず、自社の製品力・品質を高める取り組みに多くの時間を割くことが出来ている。

5.売上を高めるための適性人件費比率基準の徹底

人手不足に悩まされている会社は、人件費比率が低いことが多い。なぜなら、適性よりもずっと少ない人数で業務を回しているからだ。しかし、その状況に慣れてくると、「人件費はこのぐらいで済むんじゃないか」と錯覚してしまう。

人件費率が安いからと安心していると、低品質のサービスを提供し、顧客離れを引き起こす。業績が好調な会社は、人件費率は高すぎず、低すぎない、適正な割合をキープすることを心がけている。

2-2 リテンションが与えるコスト削減への5つの効果

売上と同様にコストも多くの人事、特に採用担当者がすでに感じている事だと思う。では、その5つの効果を見ていこう。

6.求人広告費や採用コストの削減

ほとんどの会社では、実際に必要な採用人数よりも少し多めの人数を採用することが多い。

その理由は、離職する社員がいるため、その人数を見込んでいるためだ。しかし、離職者が少なくなれば、採用人数は少なくて済み、それと連動して必要な採用広告費を初めとした採用関連費が削減される。

7.人材育成コストの削減・OJT教育時間の削減

人材育成費用も上記と同様に離職者が減れば、人材育成コスト・OJT教育時間の無駄を削減することにつながる。逆に言えば、離職者が多ければ、どれだけ人材育成に時間と金をかけてもそれが成果にはつながらない無駄な投資となってしまう。

8.生産効率の改善

離職者が減れば、社内にはより多くのスキル・経験を持った社員が増えることになる。多少の人件費は上がったとしても、同じ生産時間でより多くの製品・サービスを生産してくれるので、人件費投資に対する生産効率は逆に向上する。

9.人件費率の低下

生産効率と同じで、経験豊富な社員が増えれば、1人当たりの人件費の合計金額自体は上がるかもしれないが、同時に売上・生産効率もあがっている。そのため、比率として見れば、売上に対する全体の人件費率を下げることにつながる。

10.利益率の向上

人件費率が下がれば、当然、利益率も連動して改善される。つまり、1人当たりの人件費は上がっても、それ以上に、今よりも短い時間で生産、または、売上を上げれば、それ以上のおつりが帰ってくる。このような意味からヒトは経営における重要な資源と呼ばれているのだ。

2-3 リテンションが与える現場マネジメントへの5つの効果

ここからはリテンションの副次効果、間接的な影響となる。あなたの会社でも下記のようなことが起きていないか確認しながら読み進めて欲しい。

11.一方的な指導・指示・管理を上司がしなくなる

リテンション施策に取り組んでいる企業では、上司の部下への接し方が変わる。

部下に対して威圧的、頭ごなしに指導していた人が、部下に対して、説得・納得いくような接し方を心がけるようになる。なぜなら、部下に離職されてしまえば、自身の評価が悪くなるからだ。

12.適切な業務を与え、無理難題を部下に与えるパワハラ上司がいなくなる

リテンション施策に取り組み始めると、部下に無理な目標を与えることを止め、部下の能力・経験に見合った仕事を任せるようになる。自身の管理方法に不満を持たれる事を防ぐことが目標になるからだ。つまり、パワハラなどのトラブルが軽減される。

逆に、売上だけを重視する企業では、部下マネジメントを丁寧にするように伝えても、部下に対して、横暴・一方的な上司を0にすることはできない。

13.人材育成に熱心に取り組む上司が増える

リテンション率が下がれば下がるほど、部下との関係性は良好になる。なぜなら、離職する社員がほとんどいないからだ。すると、人材育成にかけた労力・時間が無駄にならない為、どの上司も自分の弟子となる部下を一生懸命育てようとしていく。

14.部下の不満は何か?を考え、成果を意識した行動をするようになる

部下との関係性が良好になっていくと、「自分の指導・説明はわかりやすいものか?」、「部下に不満はないのか?」という相手視点に立って考えるようになる。

それは経験則ではなくLMXと言う理論でも証明されているように「好かれている相手に対して、何かしてやりたい」という心理からだ。逆に、部下との関係性が悪い上司は、失敗・業績不振の原因を部下の能力の無さを理由にすることが多い。

15.日常業務から解放され改善・企画の考案に時間を割くようになる

十分な作業員がいる会社では、管理職は日常業務をこなすことに時間を使う事から解放される。管理職は、より効率的な業務フローを目指し、新商品やサービスを考案し、営業やマーケティング活動に時間を投資できるようになる。

すると、現場からどんどんアイデアが提案され、活気あふれる職場になっていく。

3.4 リテンションが与える組織文化への5つの影響

リテンションマネジメントが上手くいくと社内に伝染し、最終的に社風として定着する。その5つの効果をみていこう。

16.問題が起きた時は必ず指導による解決するという職場文化

良好な関係性の職場では、問題が起きることが問題ではないため、犯人のあら捜しをしない。「何が悪かったか?」、「どうすればよかったか?」を上司が丁寧に指導する。

逆に、関係性が悪い会社では「誰がやったのか?」の犯人探しに躍起になり、「なぜこのようなことをしたのか?」という失敗した社員の吊るし上げが当たり前の職場であることが多い。

17.誰かが辞めれば全員が責任を感じるという職場文化

「辞めても採用すればいい」という考えが職場からなくなることで、社員が不満を感じて離職した場合に、「なぜ誰も不満に気づかなかったのか?」という責任を職場メンバーが感じるようになる。すると、社員同士で離職させないための職場改善がどんどん進んでいく。

18.社内コミュニケーションがしやすい職場文化

良好な関係性の職場では、どんな些細な問題でも気軽に相談しやすく、連絡・報告の徹底が進んでいく。逆に、関係性が悪い職場では、どれだけ報連相の重要性を説いても、「こんなことで一々報告するな」と言われるのを不安に感じることで、隠したり、言わないようになる。

報連相は良好な関係性ができれば、自発的に行うようになるものであり、強制してできるようになることではない。

19.不満を吸い取りやすい職場文化

また良好な関係性の職場であれば、不満を聞き出すことが簡単にできるようになる。なぜなら「それを言っても怒られない」という安心感を全社員が持っているからだ。

しかし、関係性が悪ければ、何回部下と面談を行っても「問題や不満はないです。」という回答しか返ってこない。

20.研修やマニュアルがなくとも人材育成が勝手に進む職場文化

研修や指導マニュアルが必要なそもそもの理由は、現場で適切な人材育成ができない。という理由からだ。

しかし、良質な社風の会社であれば、どの上司も部下に熱心に指導する為、教育システムを作る必要すらない。これが表面的な仕組だけを真似ても、人材育成力が向上しない理由だ。

3.リテンションレートは建前でなく自社の真実を表す事実データ

ここまででリテンションが会社にもたらす効果についてご理解頂けたものだと思う。不思議かもしれないが、従業員満足度が上昇すれば、生産性が上昇し、人件費率が下がり、利益が増える。それは事実だ。

だからこそ、多くの会社の成功談で「ヒトは財産だ。」と言う言葉が出てくる。

リテンションレート(離職率)と言う事実は、社員たちの本音を表している。

  • 会社に愛着を持つ社員は辞めない。
  • 上司や職場の同僚と上手くいっている社員は辞めない。
  • 仕事を楽しいと思っている社員は辞めない。

つまり、離職者がいるという事は、上記の逆の心理を持っている。離職率が高いという事は、以下の問題が自社に発生していることを意味する。

  • 仕事にやる気がないので職場の生産性が上がらない。
  • 部下に愛着がないので、人材育成が進まず、製品・サービスの質が落ちている
  • 新人社員を沢山採用しなければいけないので人件費が高騰する

4.リテンションレートをみれば、自社の人的資源管理分析が出来る

そういった事情から、リテンションレート(離職率)は、自社の人材育成・管理の課題はどこにあるのか?、その課題解決に必要な施策は何か?、その課題解決の進捗はどの程度か?という事を数値ベースで管理することを可能にする。

そのリテンションレートの数値化について、詳しくは他の記事で解説するが、RABLEでは、大きく分けて以下の3種類の数値を作成している。

  1. 離職率や離職人数と言うボリュームデータ(人数)
  2. 離職率を改善できることで会社が得られるコストデータ(金額)
  3. 離職率と強く関連する離職動機心理データ(原因)

この3つの数値を駆使することで、どれだけのコストが削減できるのか?という利益の見込みと言う計画、成果【コスト削減】はどの程度できているのか?と言う結果の振り返り、具体的にどのような施策をすれば成果は改善できるのか?と言う企画立案というマネジメントを具体的に立てることが出来るようになる。

リテンションマネジメントは、そういった数値に基づく管理を得意としている。数値に基づくからこそ、「成果は出ているのか?」、「何を改善するのか?」、「進捗はどうか?」という事を丁寧に正確にすることができる。

更に、リテンションは、今もあなたの会社で働いている社員を対象とするマネジメント手法だ。だからこそ、コストをかけずに実行することが出来る。

例え失敗しても、今以上に状況が悪くなることはないし、何か新しいことに投資するわけではない。

だからこそ、是非、どの会社にも実行してみて欲しい施策だ。

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