離職率の改善

リテンションとは?|人材管理の改善で会社にもたらされる20の恩恵

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リテンションとは、日本語にすれば維持や保持を意味するため、最近話題なっている【リテンションマネジメント】とは、「企業にとって必要な人材を維持する。」つまり、必要な人材を離職させない手法であり、マネジメントにおける1つの理論である。

これからの日本は、労働力が不足するのは明白だ。今後は、さらに状況は過酷になるため、給与や待遇面、更に採用広告費の増加という形で、人件費・管理費の負担が、ますます増えていくことになるだろう。

多くの企業が利益率を落とす中で、リテンションマネジメント施策に熱心に取り組んでいる企業の多くは、コストが悪化するどころか、逆に生産性の向上が起こり、利益率を増やすことに成功している。

それはなぜか?

リテンションマネジメントは、単に離職者を減らすだけのマネジメントではない。

  1. 売上増加:優秀な社員が離職することなく、継続して働くことで売上を増加させる。
  2. コスト削減:採用人数が今までほど必要ではなくなるため求人広告コストを削減できる。
  3. ノウハウ構築:離職改善の具体的な方法を見出すことで部下マネジメントのノウハウが完成する。
  4. 組織文化:働きやすい職場になることで、良質な組織文化を作り上げることができる。

という上記の4分野において、20もの幅広いテーマから経営課題の改善につながるものであるからだ。

これから私たちが考えている本当の意味でのリテンションとは一体何であるのか?をお伝えし、リテンションマネジメントに取り組むと、どのような課題を解決できるのか?をご紹介しよう。

是非、この記事を最後まで読んで頂き、あなたの会社で「リテンションマネジメントに取り組んでいくべきか?」という事に関する検討、あるいは「現在リテンションマネジメントを実践しているがそのような効果は表れているか?」を判断する材料に使ってほしい。

1.6割以上の人事がリテンションの必要性に気付き始めている

リテンションとは比較的最近に注目され始めてきている言葉で、言葉自体を聞いたことがある人でも、その本質を誤解して理解している人は実に多い。

まずは、そのリテンションが、「どれだけ多くの会社に認知され始めてきているのか?」と言う実態から確認していこう。

1-1 リテンション施策への取り組みの必要を感じている会社は6割以上

引用:https://partners.en-japan.com/enquetereport/old/096/

 

上記のデータを見て欲しい。上記のデータはエン・ジャパンが221名に実施したアンケートの集計結果だ。このデータを見てみると、62%の企業がリテンション対策の必要性を感じ、30%の企業がすでにリテンション施策を実施している。

そしてこの数値は、これからもどんどん増えていくはずだ。

続けて以下のデータも見て欲しい。同調査のアンケート結果だ。

上記の数値を見れば、7割弱の企業がリテンションに積極的に取り組んでいく予定だ。

そして上記の結果は、特定の業界・業種に依存しない。つまり、離職率の業界平均が高い企業であっても、リテンションマネジメントに取り組めば、しっかり成果を出すことが出来ることは十分に可能だ。

そう私たちが考える根拠をこれから解説する。

1.2 業界問わずリテンションマネジメントが可能である理由

離職率が、業界によって平均値が異なるというのは紛れもない事実だ。

確かに、ビジネスモデルによって、「休みを取りにくい」・「高い給料を払える余裕がない」という変えられない要素ももちろん存在する。

しかし、従業員数の離職を防ぐ方法は「休みを多くする」・「給料を高くする」だけが全てではない。同調査で得られた下記の表を見て欲しい。

 

上記の表で「給与を上げる」・「休みを増やす」に該当する「待遇改善」は最も多い42パーセントではあるが、施策の内容は決してそれだけではない事がみてわかるはずだ。

上記の内、あなたの会社で、できない施策が1つや2つあったとしても、その全てができないという会社は絶対に存在しない。

そのことは、ほとんどの会社で内容は変わっても、何らかのリテンションマネジメントが実施可能であることを意味している。

2.リテンションマネジメントがもたらす20の恩恵

リテンションマネジメントが注目されていることを、ここまでで実感頂けたと思う。

そしてリテンションは離職数を削減するだけの効果ではなく、20種類もの経営課題を改善する恩恵を与えてくれる。では、リテンションマネジメントの20種類の効果をこれからお伝えしていこう。

2.1 リテンションが売上に与える5つの効果

ではまず、人材の流出を防ぐことでの売上増加への5つの効果について見て行こう。売上に対する効果は非常に直接的なものなので、「そのようなことはわかっている」と言う人もいるだろうが、一応確認していこう。

1.目標稼働(回転)率・目標件数の達成

どの会社でも月次で必ず目標売上を出しているはずだ。そして目標売上を達成するには、1日当り何%程度の稼働率・件数を達成する必要があるのかが決定される。

その目標稼働率・顧客獲得数を達成するために必要となる人材の生産力を用意できるようになることで、目標売上を達成できるようになる。

2.事業・店舗数の拡大

また売上やマーケティングが好調であっても、事業所・店舗の責任者となれる能力・経験を持つ人材がいなければ、新規出店・事業拡大が出来ない。優秀な人材の囲い込みができるようになれば、計画通りスムーズに事業の拡大が可能になる。

3.サービス・製品品質の向上

人材の流出を防ぐことが出来れば、高いスキル・長年の経験が蓄積された社員が増え、他社よりも高いレベルで製品・品質を提供できるようになる。逆に、新人の採用が多い企業では、サービス・品質のレベルがどんどん下がっていってしまう。

ライバル他社に顧客を流出させず、継続した売上を維持できるようになる。

4.製品・サービス開発活動への時間投資

人手不足の企業は、日常業務をこなすことにいっぱいで、新しい製品やサービスの開発、改良・改善を考える余地はない。

逆に作業人員をしっかりと確保できている企業の管理職は、日常業務にはほとんど関与せず、自社の製品力・品質を高める取り組みに多くの時間を割くことが出来ている。

5.売上を高めるための適性人件費比率基準の徹底

人手不足に悩まされている会社は、人件費比率が低いことが多い。なぜなら、適性よりもずっと少ない人数で業務を回しているからだ。しかし、その状況に慣れてくると、「人件費はこのぐらいで済むんじゃないか」と錯覚してしまう。

人件費率が安いからと安心していると、低品質のサービスを提供し、顧客離れを引き起こす。業績が好調な会社は、人件費率は高すぎず、低すぎない、適正な割合をキープすることを心がけている。

3.2 リテンションが与えるコスト削減への5つの効果

売上と同様にコストも多くの人事、特に採用担当者がすでに感じている事だと思う。では、その5つの効果を見ていこう。

6.求人広告費や採用コストの削減

ほとんどの会社では、実際に必要な採用人数よりも少し多めの人数を採用することが多い。

その理由は、離職する社員がいるため、その人数を見込んでいるためだ。しかし、離職者が少なくなれば、採用人数は少なくて済み、それと連動して必要な採用広告費を初めとした採用関連費が削減される。

7.人材育成コストの削減・OJT教育時間の削減

人材育成費用も上記と同様に離職者が減れば、人材育成コスト・OJT教育時間の無駄を削減することにつながる。逆に言えば、離職者が多ければ、どれだけ人材育成に時間と金をかけてもそれが成果にはつながらない無駄な投資となってしまう。

8.生産効率の改善

離職者が減れば、社内にはより多くのスキル・経験を持った社員が増えることになる。多少の人件費は上がったとしても、同じ生産時間でより多くの製品・サービスを生産してくれるので、人件費投資に対する生産効率は逆に向上する。

9.人件費率の低下

生産効率と同じで、経験豊富な社員が増えれば、1人当たりの人件費の合計金額自体は上がるかもしれないが、同時に売上・生産効率もあがっている。そのため、比率として見れば、売上に対する全体の人件費率を下げることにつながる。

10.利益率の向上

人件費率が下がれば、当然、利益率も連動して改善される。つまり、1人当たりの人件費は上がっても、それ以上に、今よりも短い時間で生産、または、売上を上げれば、それ以上のおつりが帰ってくる。このような意味からヒトは経営における重要な資源と呼ばれているのだ。

3.3 リテンションが与える現場マネジメントへの5つの効果

ここからはリテンションの副次効果、間接的な影響となる。あなたの会社でも下記のようなことが起きていないか確認しながら読み進めて欲しい。

11.一方的な指導・指示・管理を上司がしなくなる

リテンション施策に取り組んでいる企業では、上司の部下への接し方が変わる。

部下に対して威圧的、頭ごなしに指導していた人が、部下に対して、説得・納得いくような接し方を心がけるようになる。なぜなら、部下に離職されてしまえば、自身の評価が悪くなるからだ。

12.適切な業務を与え、無理難題を部下に与えるパワハラ上司がいなくなる

リテンション施策に取り組み始めると、部下に無理な目標を与えることを止め、部下の能力・経験に見合った仕事を任せるようになる。自身の管理方法に不満を持たれる事を防ぐことが目標になるからだ。つまり、パワハラなどのトラブルが軽減される。

逆に、売上だけを重視する企業では、部下マネジメントを丁寧にするように伝えても、部下に対して、横暴・一方的な上司を0にすることはできない。

13.人材育成に熱心に取り組む上司が増える

リテンション率が下がれば下がるほど、部下との関係性は良好になる。なぜなら、離職する社員がほとんどいないからだ。すると、人材育成にかけた労力・時間が無駄にならない為、どの上司も自分の弟子となる部下を一生懸命育てようとしていく。

14.部下の不満は何か?を考え、成果を意識した行動をするようになる

部下との関係性が良好になっていくと、「自分の指導・説明はわかりやすいものか?」、「部下に不満はないのか?」という相手視点に立って考えるようになる。

それは経験則ではなくLMXと言う理論でも証明されているように「好かれている相手に対して、何かしてやりたい」という心理からだ。逆に、部下との関係性が悪い上司は、失敗・業績不振の原因を部下の能力の無さを理由にすることが多い。

15.日常業務から解放され改善・企画の考案に時間を割くようになる

十分な作業員がいる会社では、管理職は日常業務をこなすことに時間を使う事から解放される。管理職は、より効率的な業務フローを目指し、新商品やサービスを考案し、営業やマーケティング活動に時間を投資できるようになる。

すると、現場からどんどんアイデアが提案され、活気あふれる職場になっていく。

3.4 リテンションが与える組織文化への5つの影響

リテンションマネジメントが上手くいくと社内に伝染し、最終的に社風として定着する。その5つの効果をみていこう。

16.問題が起きた時は必ず指導による解決するという職場文化

良好な関係性の職場では、問題が起きることが問題ではないため、犯人のあら捜しをしない。「何が悪かったか?」、「どうすればよかったか?」を上司が丁寧に指導する。

逆に、関係性が悪い会社では「誰がやったのか?」の犯人探しに躍起になり、「なぜこのようなことをしたのか?」という失敗した社員の吊るし上げが当たり前の職場であることが多い。

17.誰かが辞めれば全員が責任を感じるという職場文化

「辞めても採用すればいい」という考えが職場からなくなることで、社員が不満を感じて離職した場合に、「なぜ誰も不満に気づかなかったのか?」という責任を職場メンバーが感じるようになる。すると、社員同士で離職させないための職場改善がどんどん進んでいく。

18.社内コミュニケーションがしやすい職場文化

良好な関係性の職場では、どんな些細な問題でも気軽に相談しやすく、連絡・報告の徹底が進んでいく。逆に、関係性が悪い職場では、どれだけ報連相の重要性を説いても、「こんなことで一々報告するな」と言われるのを不安に感じることで、隠したり、言わないようになる。

報連相は良好な関係性ができれば、自発的に行うようになるものであり、強制してできるようになることではない。

19.不満を吸い取りやすい職場文化

また良好な関係性の職場であれば、不満を聞き出すことが簡単にできるようになる。なぜなら「それを言っても怒られない」という安心感を全社員が持っているからだ。

しかし、関係性が悪ければ、何回部下と面談を行っても「問題や不満はないです。」という回答しか返ってこない。

20.研修やマニュアルがなくとも人材育成が勝手に進む職場文化

研修や指導マニュアルが必要なそもそもの理由は、現場で適切な人材育成ができない。という理由からだ。

しかし、良質な社風の会社であれば、どの上司も部下に熱心に指導する為、教育システムを作る必要すらない。これが表面的な仕組だけを真似ても、人材育成力が向上しない理由だ。

4.リテンションとはMANAGEMENT OF MANAGEMENT

ここまででリテンションマネジメントが売上の増加・コスト削減・マネジメントノウハウの構築・組織文化と言う広範囲にわたる経営テーマに影響を与えるものであるのかをご理解頂けたと思う。

最後に、Rableではなぜ、リテンションをマネジメントの最重要課題として位置付けているかの理由をご説明することにしたい。

4-1. リテンションレート定着率)は、モチベーションの代替指標

経営(マネジメント)分析の基本は、成果が観測可能かどうか?というのは非常に重要な要素だ。なぜなら、評価が出来ないものは、社員にその行動をするように強く動機づけることが難しいからだ。

観測できない事はマネジメントできないという格言は経営学では当たり前に言われている。

例えば、モチベーションと言う概念は経営学では、非常に弱い概念だ。なぜなら、「モチベーションは高いですか?」と言う質問に対して、社長や人事、上司が見るデータかもしれないのに、誰もが「低いです。」と答えることはないからだ。

しかし、リテンションレート(定着率)ならば、リテンションレートが高い(定着している社員数が多い)ということは、「仕事に対するモチベーションが高い」と判断することが出来る。

こういった理由から、経営心理学の分野では、モチベーションを測定する時に、必ずと言っていいほど社員定着率と関連付けて分析することが当たり前となっている。

言い換えれば、リテンションレートが下がれば、社員のやる気・モチベーションが低くなっていると判断することが出来るだろう。

4-2. 観測できるものであれば改善することは可能

そして観測・数値化できるものは業績評価に利用することが可能になる。

  1. 部下に対して丁寧な指導・教育を熱心にしているというが、定着率が低くないか?
  2. 定着率が低いということは、部下へ不適切なマネジメントをしているのではないか?

このような上司のマネジメントに関して数値を取り入れることで、

  1. 自分の接し方は正しいと思っていたが、変えなければいけないのではないか?
  2. この部下を変えていくためには、どういう接し方がいいだろうか?

と言うマネジメントの試行錯誤につながっていく。

こういった観測のしやすさという点が、私たちがリテンションレートをマネジメントの最重要成果指標としてみなしている理由だ。

4-3 リテンションマネジメントで数値化している3つの数値

リテンションレートの数値化について、詳しくは他の記事で解説するが、RABLEでは、大きく分けて以下の3種類の数値を作成している。

  1. 離職率や離職人数と言うボリュームデータ(人数)
  2. 離職率を改善できることで会社が得られるコストデータ(金額)
  3. 離職率と強く関連する離職動機心理データ(原因)

上記の3つのデータを作ることで以下の3つの判断を下すことが可能になるためだ。

  1. リテンションが自社で問題となっているのか?と言う現状分析
  2. リテンションに取り組むことでどれだけのリターンが得られるのか?という利益試算
  3. リテンションを改善する上で何に取り組めばいいか?という具体的な課題の特定

上記の3つの判断をするための情報を数値化できているからこそ、私たちはクライアント企業に対して最適な提案、改善の実行を進めることが出来ている。

リテンションマネジメントは、MANAGEMENT OF MANAGEMENTである。

まとめ

リテンションマネジメントは、日本全体で今後も課題となっていく人手不足の問題に対して、小手先の改善ではなく、本質的な改善を実践ための経営理論であり、働きやすい職場環境を構築するという、働き方改革にも貢献するマネジメント手法だ。

これまでのマネジメントに対する考え方は、モチベーション向上や企業理念の浸透であり、これらは、数値化が難しい方法であり、一歩間違えればパワハラ問題に発展する可能性も秘めている。

リテンションマネジメントがマネジメント・オブ・マネジメントである理由は、離職人数や社員定着率という誰の目から見ても判断できる数値目標を掲げ、採用に対する求人広告コストなど、大幅な人材管理コスト削減を実現し、現場マネジメントの方法を改善する。

もちろん、あなたの会社で導入している人物評価や業績評価の手法を否定するつもりはない。それと並行して、是非、リテンションレートを取り入れるようにしてほしい。

リテンションレートと関連付けて評価することで、その成果の正当性を強め、運用しやすくすることができるようになるはずだ。

リテンションマネジメントは、短期的な改善ではない長期的な経営戦略をベースにしているため、まずは、どのような企業でも簡単に作成できる離職率データを作成することからはじめてみよう。

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