離職率の改善

失敗しない自社に合った人材育成のプランニングをするための8手順

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人手不足の状況を改善するためには、何が問題になっているのか?という課題を明確にすることが必要不可欠だ。

上記のことはだれもが当たり前に思っていることだ。

しかし、人手不足を改善するためのマネジメントでは、セールスやマーケティングと違って、数値化することが難しい。

あなたの会社で実行している人手不足改善のための施策は、「給料などが問題のはずだ。」や「上司の指導が問題のはずだ。」などと、経験則や他社でうまくいった事例を取り入れてみるなど、感覚的な要素が強いのではないだろうか?

しかし、この記事でご紹介する手順に従えば、人手不足の課題を数値で客観的に確認できるため、課題の本質にたどり着けるため、一度この解決方法を手に入れれば、今後も継続して人手不足の課題から解放されるようになっていく。

では早速1つずつみていこう。

脚注1:これからご紹介する表やグラフは、全て私たちが現在無料で公開しているエクセルプレートから引用したものだ。そのため、誰でも簡単に実行できる内容となっている。また自作したいと考えている人も、ぜひ当記事を参考に取り組むようにしてみてほしい。

脚注2:私たちは成功するマネジメントの手順をCPDCAの順で行うことが大切だと考えている。今回の記事はPLANINGをテーマとしたものであり、Pに該当する。課題や施策の具体案を考える前提として、マネジメントを管理できる仕組みがなければうまく機能しない。マネジメントに取り掛かる前の準備として最初のCに関しては以下の記事で解説しているので、先にそちらの記事に目を通してから読むようにしてほしい。

1.自社の人的状況を数値で確認しよう

ではまず自社に現在している社員の勤続年数状況から確認してみよう。以下の表は、最低勤続年数と最高勤続年数の差を10分割したものだ。

上記の表をグラフ化すると以下のようなものになる。

 

この表を見れば、自社の勤続年数別の勤務状況が一目瞭然となる。

この表を用いて以下のことを再確認しよう。

  • 今後も事業を継続するために必要な若手の育成は進んでいるか?
  • どこか特定の年代に偏っているといういびつな状況になっていないか?
  • 社員の高年齢化は進んでいないか?
  • 若手ばかりで経験豊富な社員が不足しているという状況ではないか?

しっかりと数値で確認してみれば、「若手が少ないと思っていたけれど、思っているほどではなかった。」と自分の感覚のずれを修正することができる。

絶対に自分の感覚だけで「課題はこれだ。」という思い込みマネジメントをすることだけは避けよう。

また数値を使って上記のようなことを可視化することで、

  • 若手の頭数が不足していることが問題なのか?
  • 中間の社員がいないことが問題なのか?
  • ベテランの社員が不足していることが問題なのか?

どの課題解決に向けて取り組むか?が明確になり、社員間における認識のずれをなくすことができる。

2.自社の人的資源の戦略ガイドラインを作成しよう

そして私たちは、リテンション(離職率改善)という切り口から、その取り組みの成果が自社全体の改善につながるように数値を設計するようにしている。

その理由としては、リテンションマネジメントが以下の要素を含むからだ。

・評価機能…優秀な人材を増やすことができているか?

・生産性機能…生産性の低い社員を減らし、社内全体の社員の質は高まっているか?

・継続機能…未来のために人材に関する投資ができているか?

・動機付け機能…どういった能力の、どういった人材を増やしたいのか?

つまり、リテンションとは人的資源戦略の根幹を担うものであり、会社の人材育成システムそのものなのだ。

そこで私たちは、以下のように、人材育成の目安となる勤続年数を入力できるように設計している。

黄色のセルに目安期間を入力すれば、以下のような票が自動作成するようになっている。

表13.現在の社員構成(最新年度の期末社員数)

上記の言葉についての定義は以下の通り


2.1 それぞれの期間において身に着けてほしい能力やスキルを設定しよう

上記の黄色のセルに年数を入力するにあたり以下のことを話し合おう。

新人層 標準と作業員として動いてもらうまでに、どこまでの能力を身に着けてほしいのか?できるようにならない作業内容はどこまでの範囲のものか?そしてそれらを身に着けるには、どれくらいの教育期間を要するのか?
中堅層 職場を指揮したり、イレギュラーなトラブル処理・クレーム対応をできるようになるには、どのような経験・能力を必要とするのか?そして、それは入社後、何年働けばできるようになってもらいたいのか?
ベテラン層 事業の全体計画や職場の社員の監督・管理などを任せられる社員にするにはどれだけの期間が必要なのか?

上記のようにそれぞれの層で必要になる能力とそれに必要な期間を設定することは、「いつまでにどこまでの能力を持った人材を育成しなければならない。」という現場での人材教育目標を設定することにつながる。

2.2 自社のノウハウや経験が蓄積されていっているか?を確認しよう

このような明確な基準ができていれば、「○○さんは、入社してから□□年目になるが、まだ△△の仕事を任せられないのか?」と数値を使って管理することが可能になる。

忙しくなると多くの会社で日常業務だけをさせるだけで、人材教育をおろそかになりがちだが、上記のような人材育成に関する締め切りをしっかりと設定することで、現場がスケジュールを意識した部下管理をするように動機づけることができる。

そしてこの設定をするためには、新人社員にどこまでの能力を求めて、中堅社員になるためにはどのような能力が必要なのか?そしてベテラン社員たらしめる能力とはいったい何であるのか?をしっかりと考える必要がある。

社員教育では、いつまでに、どこまでの能力を身に着けさせることを求めるのか?しっかりと具体的な目標を設定することが重要だ。

そして、その経験やノウハウを身に着けた社員の人数は増えているか?を最終的にチェックしよう。人数が増えていなければ、他社に優秀な人材が流出していることを示し、人材教育に無駄が生じている証拠だ。

このように私たちは、「基準となる数値を決めて、入力させる」という設計理念を大切にしている。なぜなら、その作業をすることを通じて、自社の人的マネジメント戦略が決まっていくからだ。

3.自社で定義した勤続期間別に社員の構成人数を確認しよう

では社員の勤続年数別の分布を自社の基準で定めた定義に基づいて計算しなおした表の中身をみていってみよう。

3.1 社員の能力とそれに見合った仕事の割り振りができているか確認しよう

以下の表とグラフは上記で設定した期間で再計算したものだ。

表13.現在の社員構成(最新年度の期末社員数)

勤続年数でカテゴライズした現在の社員構成比率

 

上記の表を見れば、自社の人的状況と人件費率の現状が見えてくる。

人手不足、あるいは、年齢層が高ければ、給与の高いベテラン社員に現場作業を任せ、人件費が高い原因になっているし、若手が多すぎれば、現場の指揮する人員がおらず、品質が低い・作業の無駄が多い人員状況が起きているということが危惧される。

未成熟・新人といった若手には現場業務を、中堅層・ベテラン層には管理業務といった適切な業務の割り振りができているかを確認しよう。

そのために、私たちは、人数ではなく、比率でも確認できるようにしている。

上記の表の比率の理想は、業種や職種によっても変わるが、未成熟・新人層という現場作業員が7割、現場管理職が2割、経営企画職が1割という構成を目指そう。

  • 経験豊富な社員に誰でもできる単純労働をさせていないか?
  • 経験が必要な仕事や状況判断が求められる仕事を若手社員に任せていないか?
  • 適切な職務内容の管理をするために、採用と退職の人数管理をどうしていくか?

上記のようなことを話し合い、人材のインとアウトの流動性のバランスをどうしていくか?その調整をするためには、どういった人員管理施策を取り入れればやりやすくなるのか?まで検討しよう。

年齢層が高すぎると人件費の負担になり、年齢層が低すぎると品質や生産性低下の問題が起きてしまうことにつながる。コスト増大、品質低下を起こさないためにも、最適な人員調整計画を練ることが大切だ。

3.2 平均勤続年数の計算結果を使って詳細な自社の採用人員計画を練ろう

上記の計算をしておけば、最終的に以下のような自社の平均勤続年数を出すことも可能だ。下記の表では、【平均値】が平均勤続年数の部分が該当する。

あなたの会社で理想となる平均勤続年数はどの程度だろうか?

また全社員データだけでなく、アルバイトだけの平均勤続年数や職種別の平均勤続年数を出してみるのもいいだろう。

以下のデータはフルパッケージ版のテンプレートで提供している内容になるが、以下のようなデータがあれば、採用形態ごとの採用人数計画をより具体的に考えることができるようになる。

どこの会社でも、採用形態別に任せている職務内容は異なるはずだ。そのため、採用形態別の人数目標を設計しよう。

また採用形態別に人材資源の管理をするためには私たちは以下のデータを合わせて作成している。以下のデータは、期首と期末の平均勤続年数をみたものだ。

採用形態によって理想となる平均勤続年数は異なる。任せたい仕事内容が異なるからだ。そのため、上記の表から以下のことを検討していこう。

  • 採用形態別に実現が可能、目標としたい平均勤続年数はどの程度か?
  • 期首と比較して、社員の経験値やノウハウが減少していっていないか?
  • 回転周期は伸ばし、採用コストの負担を減らす施策が必要か?
  • 回転周期を短くし、人件費が増えるリスクを減らす施策が必要か?

上記のことが決まれば、その目標を達成するために、現場は以下のように動いていく。

  • 平均勤続年数からどのような意慾・考え方の社員を採用すればいいかが決まる。
  • 平均勤続年数目標が決まれば、どれだけの採用人数が必要なのか?が決まる。
  • 目標勤続年数を達成するために、現場にどのような人員管理をさせるかが決まる
  • 最終的に目標勤続年数の達成を目指して、現場の部下管理を実行するようになる。

4.自社の人材管理状況の課題の発見をしよう

ここまでで自社の現在の勤務状況から、どのような人材戦略・目標を目指すのか?が決定できたはずだ。目標が設定できれば、それを達成するためにどのような課題を解決しなければいけないのか?という自社がやるべきことを特定していこう。

以下の表は、これまでに設定した勤続年数に基づき、それぞれの離職人数を算出したものだ。

表16.各層の離職人数グラフ

上記の表を見れば、どの層の従業員がどれだけ離職しているのかを簡単に把握できるようになる。この表から以下のことを決定しよう。また、離職人数に左右されないようにこの表においても、比率も合わせて出すようにしている。

表17.属性別構成比

 

 

上記の表は以下の課題を話し合うための資料として作成している。この数値を用いて、以下のことを話し合うようにしよう。

1. 課題の対象(Who)の決定離職者が多いのはどの層か?

問題は採用で解決できるものか?人数が増えない理由は、採用人数が減っていることよりも、離職者の数が多いことが問題ではないか?

2. 不満原因(What)の想定

その層が離職している原因はどのようなものが想像できるか?

他の層は離職してない場合は、給与以外の要素が考えられる。特に特定の層だけが離職している場合には、なぜその層だけ離職しているのか?という事に関して、思いつく限り箇条書きでリストアップする。

それぞれのアイデアに関して、意見を出し合い、自社の状況と照らし合わせて、適切だと思う仮説(不満理由候補)だけに絞り込む

3. 解決方法(How)のアイデア出し

絞り込んだ不満理由候補それぞれに対応する対処法を考え、具体的な制度や施策に関する意見を出す。

話し合いで出てきた施策案に対して、時間的コスト・金銭的コスト・心理的コスト、の3つの観点から、その施策の難易度を記入していく。

4.実行する制度・施策(How)の決定

上記の中でも、最も実行がしやすいものを選び、詳細な企画案を作成する。

5.現場での具体的な行動リスト(Action)への落とし込み

作成した施策案が会議上や机上の空論で終わらないように、「実行した際、現場でどのような課題が起こるか?」、「その時の対処はどうするか?」、という実行予測、企画案を現場に見せて、できること・できないことリストを作成し、現場負担を最小限に抑えつつ、現在の業務と並行して、実行できるように企画内容を修正する。

5.設定した目標が現実的になるように数値の調整を行おう

ここまでで、①採用形態別の人員計画、②それを達成するためのインとアウトに関する施策案という採用と離職をコントロールするためのマネジメントに関して決定できた。しかし、立てた目標が事実に合わないことだって当然起こりうる。

5.1 数値と現実の間にどれだけのギャップがあるか確認しよう

そこで定期的に行う会議や話し合いで以下の数値を使おう。

表14.従業員構成人数

上記の表とグラフは、それぞれの層の人員の増減をみるために作成している。人員計画通りに進んでいるか?途中で離脱が発生していないか?を定期的に堪忍するようにしてほしい。

またその内訳をみることも大切だ。それぞれの比率で表したものが以下のものだ。

表15.従業員構成比率

上記の表とグラフを使って以下のことを話し合ってほしい。

未成熟層の推移だが2015年までは80%も存在していたが、2016年からは未成熟層の代わりに新人層が増えたが原因は何か?
新人層は2016年から増えてきているが、今後、未成熟層と新人層ならば、どちらを増やしていくべきか?
中堅層は、2016年から増えてきているが、まだまだ少数だ。この人数で充分に現場の成果をリード出来ているのか?
ベテラン層が少なくても仕事が回っているならば、ベテラン層に求める業務は、今後、どのようなことがあるのか?

つまり、上記の表やグラフを活用して、どの層には、どのような能力を求めるのか?

そして、勤続年数が長くなるほどに、定めた能力を身につけられているのか?というこを確認していこう。

5.2 入力と修正を繰り返し、自社に合った人材育成の仕組みを作り上げよう

現実と目標のギャップを話し合うことができれば、最初に設定した黄色のセルの目標期間の再入力を行おう。

上記の黄色の数値が変われば、その定義に基づいて勤続年数の集計期間が変わるので、当然以下の表も形が変化する。

この繰り返しによって、現実と数値の乖離が限りなく小さくなり、真の自社の人材育成状況を知ることができるようになる。

私たちは、黄色のセルに入力するだけで、誰でも数値に基づくPDCAを回せるように、設定と修正を簡単に繰り返して行えるように、自動化エクセルを設計している。その理由は、実行と修正の繰り返しでしか、自社に合ったマネジメント・コントロール・システム(MCS)は構築できないと考えているからだ。

正しい数値は、自社の根本的な課題・自社の本当の意味での成果は出ているのか?という事を教えてくれる。それに基づいて、改善や施策を実行していけば、必ず最終的に大きな成果を出すことを達成できるようになる。

ぜひ、エクセルテンプレートを活用して、PDCAサイクルを止めることなく回し続け、自社に最適な仕組みを作り上げることに挑戦してみてほしい。

まとめ

多くの会社で失敗する原因は、現実を正しく評価できていない、課題でないことを課題だと思ってしまう、その課題とは全く関係性の薄い施策を実行してしまうことにある。

そのすべてはそのテーマで議論を進めるための数値が手元にないことが根本的な原因だ。

私たちは、会議や話し合いに臨む前に必ず数値資料を作成するようにしている。そうすれば、課題を正しく認識し、正しい答えへと専門知識や多くの経験を持っていない場合でも達成できると信じているからだ。

その事実として、私たちは業種・規模を問わず改善を達成することができている。

当記事のテーマは、課題発見・および改善案を考えるために必要な資料として数値を作成している。数値の使い方は、社員に理念や方向性を伝えるための数値、業績評価に用いて、実行シーンで活用するための数値など、様々だ。

だからこそ、何をするために、社員をどう動機づけるために、といった目的から、適切な数値・計算式を作ることを私たちは心掛けている。

ぜひ皆様も、○○を考えるとき、実行する際には、「こういった数値があればいいな」と考える癖をつけてみてはどうだろうか?

そうすれば、どのようなものが必要で、どうしていけばそれが手に入るか?がわかるようになる。明確な目標をもって作られた数値は、的確に課題発見をしてくれ、どういった解決法を私たちがとるべきなのか?を数値をみるだけでわかるようになる。

そういったぶれない思考、パターン化された問題解決プロセスをしないことには、狙って成果を出すことはできない。

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