離職率

離職率(リテンション)とは?|人件費を1%も増やさない人材管理手法

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離職率といえばこれまでは求職者が、自分がこれから応募しようと考えている会社を知るうえでの指標と考えられてきた。しかし、近年、従来の離職率対策をリテンションマネジメントと言葉を変え、多くの会社から多くの注目を集めるようになってきている。

それはなぜか?

その理由は単純で、離職率は自社の生産性や利益の改善につながるということがわかってきたからだ。逆に、離職率が高い会社は、人件費・生産性が悪化し、業績が低調となる原因となっている。

離職率は、単純の従業人数を増やすだけの経営指標ではない。

しかし、依然として多くの方が、離職率を下げることは人材の流動性を阻害し、固定人件費を高めるのでは?といったマイナスイメージを持っている。

そこで当記事では、離職率が低い会社では、どうやって人材の流動性を確保し、人件費を最適化しながら生産性を高めているのか?に関するからくりをお伝えすることにしたい。

最後までじっくりと読んで頂ければ、自社で離職率の改善を進めていく事が、単なる従業員満足度の向上や採用集客戦略のためだけではないことがお分かりになるはずだ。

1.離職率(リテンション)とは?

離職率は、ただ従業員満足度を高めたり、従業員数を増やしたりするためだけの数字ではない。本来は、れっきとした生産性を高め、コストを削減し、利益率を増やすための経営指標だ。

下図のグラフをみてほしい。

サイボウズでは、創業期は右肩上がりだった売上が、離職によって5カ年ほど売上が停滞していた。しかし、離職率の改善に真剣に取り組んだ結果、離職率改善の数年後には売上が2倍近くまで上昇した。

これは、自社で起きていた人的課題に丁寧に取り組みさえすれば、劇的な成果を挙げられることを示している。

1.1 離職率(リテンションレート)の定義

離職率の定義をざっくり言うと、【離職人数÷入社人数】という数式で表すことが出来る。

私たちはこの計算式を単純離職率と呼んでいる。もちろん、このままではマネジメントに利用できず、以下の事をあなたは思ってしまうかもしれない。

単純離職率に対する疑問

  1.  離職率が多くても入社人数を増やす方がずっと楽に解決できるのではないか?
  2.  仕事ができず、やる気のない人間を辞めさせることはダメということなのか?
  3.  終身雇用を促進するもので、固定人件費が高くなり、コスト悪化を招くものではないか?
  4.  家庭の事情などで離職した社員など仕方のないこともあるのではないか?

そういった理由から、「離職率が何%なら良くて、何%ならばダメだ。」と言う基準の線引きが難しいのも事実だ。

しかし、よくよく考えて見て欲しい。別に全社員を対象とした離職率で成果を測る必要はない。

  離職率が問題である場合:辞めて欲しくない社員が辞めた。

  離職率が問題にならない場合:辞めても問題のない社員が辞めた。

もし、前者の離職率が高くなっていればどうだろうか?誰の目にも職場マネジメントが上手くいっていない証拠になる。

離職率(退職率・定着率)の計算方法は以下の記事で詳しく説明している。エクセルでの作成方法や手順も併せて解説しているので、是非参考にして自社の離職率を計算してみてほしい。

2.リテンションへの注目が高まってきている4つの理由

離職率は、何十年も前から存在している考え方だが、近年、業績が好調な企業を中心にその効果が注目されるようになってきている。

それはなぜか?

それはこれまでは、固定人件費の増大や流動的な雇用システムに逆行すると思われていた離職率が、現在では真逆の利益改善の中核に位置するものであると再確認されるようになったからだ。その要因は4つある。

理由1 離職率が下がらなければ生産性を上げることが出来ない

たくさんの人材を採用し、研修期間を終え、現場で必要な知識と経験を身につけた。そうして初めて標準的な時間で業務をこなせるようになる。しかし、それが次から次へと離職されてしまえばどうだろうか?

教えても教えてもきりがない。新しい人に毎回同じ話をする一方で、現場社員は自分の業務をこなさなければならない。

つまり、人材育成や現場で丁寧な教育を行い、人材の質を高めるという施策は、教えた人材が長い間働いてくれるという前提でしか効果は発揮しない。人材の出口がしっかりと閉じられていなければ、人材育成が進まず、生産性を向上することはほぼ不可能になってしまう。

理由2 離職による採用コスト損失が人材の質を悪化させる

採用の運用は、実際は広告人数ではなく、定着人数で行われる。簡単に言えば、残ってくれる人数から逆算して大目に人を採用しなければいけない。

例として10人の労働力を確保する場合で考えて見よう。

離職率 5% 35%
離職数 0~1人 5~6人
必要採用数 10~11人 15~16人

すると上記の様になる。ここから更に採用率がかかってくるので、採用率が3人に1人ならば、

必要求人数 30~33人 45~48人

とたった10人の採用であっても大きな差が出てくる。ここで仮にアルバイトの例で考えて見よう。1万円の広告投資で1人の応募が来る計算をしてみよう。予算にかなりの金額の差が生じてくる。

広告必要予算 300~330万円 450~480万円

これが必要な人員数がもっと多かったり、面接で不採用になる確率が高ければより多くの金額が必要となる。その採用コストへの対策として、離職率が高い会社では、応募すれば全員が採用とか、品質は低いがより安い求人媒体に乗り越えたりすることで解決するようになる。

つまり、離職率が高くなればなるほど、採用コストを抑える為に採用の質を下げ、新入社員の質が下がり、更に離職率が増え、、、と言ったようなループに陥ってしまうのだ。特にこれは多くの採用人数を必要とするアルバイトメインの業態に顕著だ。

理由3 地域の労働市場を食い潰すことによる人員・人手不足が発生する

辞めても人材を採用すればいい。と言う考え方はいつまでも続かない。その理由は、マーケティングと同じで一度不快感を得た顧客は2度と戻ってくることはないからだ。

1度自社を辞めた社員の知人とその周辺の人材は、自社に応募してくることはなくなる。そしてその地域の労働人口は有限なのだから、どんどんと潜在応募人数が減っていき、最終的には全く応募がこなくなった。と言う事態にまで陥ってしまう。

あなたの会社でも年々応募が減ってきているという実感はないだろうか?

その対策として採用広告費を増やせばいいという考え方があるが、これから人手不足が増していく中でその料金は高騰していく事が考えられる。採用広告費の上昇幅に耐えられなくなる日がくるかもしれない。

理由4 離職率がなければマネジメント成果を評価できない

会社の生産性を上げるマネジメントを実施する為には、マネジメントの仕組みを深く理解できていなければいけない。

どんなマネジメントであってもその目的はたった1つで、それは目標達成に向けて努力し、成果を達成することだ。課題を解決し、目標を達成する為には、社員に目標が達成されるまで努力し続けさせなければいけない。その為の目標管理が一般的に言われるPDCAサイクルだ。

  • PLAN(計画)・・・社員に達成される目標を提示する。
  • DO(現場行動)・・・目標達成を意識した業務行動を実施させる。
  • Check(評価)・・・目標達成度を評価し、業務行動の質を評価する。
  • Action(改善行動)・・・評価に基づき、改善行動を実施する。

しかし、多くの会社ではマネジメント(内部管理)が上手くすることができていない。なぜなら、以下のような現場責任者の主観で行動の振り返りをしてしまっているためだ。

  • 私たちの職場での人材育成には問題がない。
  • 新入社員の離職は、職場の社員のせいではなく、辞めた本人の性格や考え方のせいだ。
  • 職場の人間関係は上手くいっており、不満を持っている社員は少ないと思う。
  • 職場の社員たちのやる気は高く、ずっと頑張ってくれると思う。

上記のような、思い込みの成果の振り返りでは、改善がされることはない。

しかし、他の管理者と比較して自分の部署・職場の離職率が高ければどうだろうか?いくら管理者が、部下育成や部下管理をしっかりしているといっても、離職者が多いという事は、マネジメント成果が出ていない。という事実を変えることが出来ない。

そういったマネジメント成果を可視化するという観点においても、離職率の価値が再確認されてきている。

離職率を数値管理に取り入れる入門編として以下の記事でその手順を詳しく解説している。

3.人件費率を高めずに離職マネジメントを成功させるためのカギ

上記でも少しふれたが離職率対策と聞くと、「社員を辞めさせることが出来ない。」と言った人材の良し悪しに関わらず囲い込まなければいけないというイメージになりがちだ。そしてそこから固定人件費が増えて負担になるのでは?という拡大された解釈に至る。

しかし、あくまでも私たちが推奨しているのは離職率を活用したマネジメントであり、社内全体の単純離職率を改善しようということでは決してない。

3.1 リテンションマネジメントは誰の何を改善するかという対象からきめる

離職対策の本来の目的は、会社に貢献してくれる社員を増やし、人材の量・質の双方を高める事で、生産性を高めることで、利益率・人件費率の改善を同時に進めていく事を目的としている。

以下の表を見て欲しい。

  低品質なマネジメント成果  良質なマネジメント成果
辞めても構わない社員の離職率        10%       40%
辞めて欲しくない社員の離職率        40%       10%
社内平均(単純)離職率        25%       25%
生産性・人件費        悪化       改善

上記のどちらも全体的な離職率は25%となっている。しかし、両者の違いは誰の目にも明らかだ。このような離職率の改善であれば、成果につながることが想像できるはずだ。

辞めても構わない社員と辞めて欲しくない社員を区別し、それぞれの離職率を計算する方法は以下の記事で解説している。是非、参考にしてほしい。

3.2 人件費率を高めることなく人材育成を推し進めるための離職マネジメントを目指す

誰に対してマネジメントを実施し、誰に対してマネジメントを実施しないか?の区別が出来れば、以下の手順で人材管理を推し進める事が出来るようになる。

  • 辞めても構わない人材に対しては、マネジメントを実施せず、自然離職を発生させることによって、人材の入れ替えが出来る。
  • 辞めて欲しくない人材に対しては、マネジメントを実施し、離職率を下げることが出来たか?を追求する。

このように離職マネジメントに慣れてくれば、離職率を下げたいときに、必要な処置を行い、人材の入れ替えをしたいときはマネジメントを実施しないというマネジメントのON・OFFをすることが可能になる。

そうすれば、優秀な人材や中核人材を失わずに人材育成をしながら、人件費を抑える事が達成できるようになる。

離職率が高くなると人材育成が難しくなり、人材育成を全社員にしてしまうと人件費が上がり過ぎてしまう。その中間を行くためには、「辞めさせないマネジメント」と「マネジメントをしない。」という2つの選択を使い分けることが重要だ。

4.離職(リテンション)マネジメントで目指す理想の組織状態とは?

では最後に私たちRableで目指している離職マネジメントの理想的な状態を定義していく。是非あなたの会社でも下記の状態を達成することを目指してほしい。

会社レベルで目指す事:採用の質を下げずに1人1人に多くのコストをかける

採用の質を高めるためには、高単価であっても優秀な人材のリストを持っている業者に依頼したり、ワークショップやインターンを通じた時間がかかる採用プロセスを経ることが重要だ。

しかし、そのような採用を行うためには、離職率と年間の必要採用人数を減らし、1人1人に多くの予算を割く事を必要不可欠とする。

あるいは、応募者の減少に困っているのであれば、離職者が減り、その浮いた予算分を給与や時給の増加に充ててもいい。給与がライバル業者よりも高ければ簡単に人材は集客できる。

  • 離職者を減らすことにより、年間の必要採用人数を減らす。
  • 必要採用人数を減らせば、必要な応募人数を減らす。
  • 応募人数が減れば予算を1人1当りにかけられる予算が増える。

離職者が1人減ることでどれだけのコストが改善されるか?に関する見込みの計算に関しては、以下の記事で解説している。是非、あなたの給与管理や予算管理の参考にしてみて欲しい。

職場レベルで目指す事:人材育成を全社員が重要視する社風を作り上げよう

離職率をしっかりと数値で管理し、目標達成の進捗が管理できるようになっていれば、職場単位で振り返りが出来るようになる。

  • 辞めてしまった社員はどんな不満で辞めたのだろうか?
  • 自分たちがもっとフォローや話しかけていれば辞めなかったのではないか?
  • 仕事のやり方や指導をもっと丁寧にしなければいけなかったのではないか?

上記の様な反省を社員がするようになる。それは決して社員が自発的にする性善説によるものでは決してない。数値で管理しているからこそ、数値目標を達成するために考え、行動していくようになる。

もちろん、数値で管理していなくても、あなたの会社でも部下教育やフォローを熱心にしてくれる人もいるだろうが、きっと少数派のはずだ。人間はやって欲しいだけという「お願い」レベルでは中々動かない。

どの社員であっても人材育成に熱心に取り組まなければいけない状態を作り出すことが重要だ。

管理者レベルで目指す事:自身のマネジメント成果を事実として受け入れられるようにする

職場単位で誰もが熱心に部下管理や育成に取り組んでいても、最も影響力を持つのは、現場の最高責任者だ。現場の上司が部下たちの意見や提案を無視した行動をしていればよい成果は得られない。

現場の最終意思決定や裁量権を持つ現場の責任者に対して、自身の判断や考え方は正しいのか?間違っているのか?を正しく判断できるストッパー機能をつけておかなければいけない。

  • 自分の考えは正しいと思って指導してきたが辞めた社員がいる。
  • 自分は一生懸命部下に親身になって接してきたつもりだが辞めた社員がいる。

上記のことは別に数値が無くてもわかることだ。しかし、人間は別の原因を探し、自分の非を受け入れがたくなりがちだ。それは優秀であったり、実績のある管理職に見られる傾向だ。

だからこそ、きちんと数値で記録することによって、「他の部署・管理職と比べて、辞めさせてはいけない社員の離職が多い。」という事実を会社データとして記録していく事が大切になる。

そうすれば、自分の判断だけで済む問題ではなくなるからだ。それが私たちがデータを最重要視している理由でもある。

どれだけ知識を身につけようと経験を身につけようと、正しいと思って行動してきたことが間違いだなんてことはよくあることだ。事実が最も重要で、自分の考えはその次、という成果判断を客観的にできるようになれば、改善は指示しなくても現場で勝手に進むようになる。

まとめ:生産性と人件費コストを両立するリテンションマネジメントを行おう

人材の質を高め、生産性を高めていくためには、自然離職が発生する一方で、会社に貢献してくれる社員だけは辞めさせないようにしないといけないという矛盾する成果を達成しなければいけない。

その2つのことが起きて初めて社内全体の社員の質が向上する。

つまり、固定人件費が上がり過ぎても困るし、優秀な人材の離職が発生しても困ってしまう。

だからこそ、離職の内訳を知る事が重要だ。そしてその成果は「離職させてはいけない社員の離職率で測る。」という離職率の加工が非常に重要になる。

もちろん第3の手として、やる気の低い社員に対して熱心に指導して、最低基準を満たす社員にするという手もあるが、その場合においても離職率が下がっていなければ、人材育成に投じた手間とコストが無駄になってしまう。

どちらにせよ「自社に社員を管理するマネジメントノウハウを身につける。」以外に道はないように思える。人材にかけるコストは設備投資とは違って減価償却がきかず、改善されなければずっと垂れ流され続けてしまうコストだ。

出来るだけ早い対処をおすすめしたい。以下のバナーからは、離職マネジメントにおける基本的な機能を完備した無料のエクセルテンプレートを手に入れることが出来る。是非、活用して頂ければ幸いだ。

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