離職率

【徹底解説】離職率とは?会社や社員に及ぼす心理影響とその見抜き方

離職率は、経営者や人事担当者だけでなく、就職活動をしている方にとっても重要な指標の1つだ。

しかしながら離職率は、面接では聞きにくいテーマであるし、公表している会社は少ない。それは会社サイドでもそうだ。離職率が問題であるのはわかっていてもそれを施策に落とし込むことは難しい。

なぜなら、離職の発生が仕方ない場合だってあるし、辞めた側の人間にも問題がある場合だってある。「離職が悪だ。」と考える人事はいないはずだ。

大事なのは、離職の内訳という質であって、ボリュームではないことは事実だ。

そこで当記事では、離職によって人手不足が発生してしまったり、自社の生産性や品質に問題を与えてしまっているケースとそういった事が起きている会社の見抜き方をお伝えする。

人事・就職活動をしている方のどちらにも有意義な内容となっていると思う。是非、一度目を通してみてほしい。

1.離職率とは?

では早速だが以下のグラフを見て欲しい。離職率と検索した人は、必ず見たことのあるものだと思う。

上記のグラフは、厚生労働省が公表している産業別の離職率データであり、業界平均の目安となっている。しかし、これだけを見てブラックな業界、そうではない業界を判断するのは早計だ。その理由をご説明する。

1.1 離職率の定義

離職率には大きく「退職率」・「○○以内離職率」という言葉の2つに大きく分けられる。

1.1.1 厚生労働省の雇用動向調査における離職率の意味とは?

上記のグラフでの離職率は、単純に【常用労働者の離職者数÷常用労働者数】で計算されたに過ぎず、実際の離職率を表しているとは実際いえない。なぜなら、この計算式で使われている常用労働者はアルバイトを含むからだ。

当たり前だが、サービス業では、アルバイトが主軸で正社員は少ない。そして卒業や就職によって、1年間で辞める人数は相対的にどうしても多くなってしまう。

この雇用動向調査でわかることは、1年以内に【何人の社員がいて】【その内の新入社員は何人で(入職率)】【全体の何割の社員が辞めたのか?(退職率)】だけだ。

でここで考えるべきは、卒業や就職、家庭の事情で辞めた人間を除いた真の離職率は何割なんだろうか?私たちのクライアントにはサービス業の方が非常に多いが、正社員に限ると飲食業でも離職率は2割をきるところだってある。

1.1.2 業界別離職率よりも規模別離職率の方が現実を反映している

上記の退職率は、あくまで「この業界は年間何人の正社員・アルバイトを雇用し、そのうち1年後に何人の社員が辞めるか?」、という”人材の流動性”を表しているだけに過ぎない。

これだけは断言できるが、業界平均は正直存在しない。

業界よりも規模の方が当てはまることは多い。中小規模の経営者はセールスやマーケティングに力を入れていても、マネジメントの重要性を正しく認識できている人はそう多くない。

社員の休みを増やしたり給与を増やした方が採用・教育コストが浮くという試算や研修やチームビルディングに投資することの人件費・生産性効果などの理解が不十分で目先の利益やオペレーションに気をとられている場合が多い。

厚生労働省のデータでも規模別離職率はある程度現実を反映していると思う。

1.2 みんなが本当に知りたい離職率

多くの方が実際に知りたい離職率は、もう1つの離職率の計算式である”○○年以内離職率”というものであると思う。

離職率(会社や仕事、職場が嫌いで辞めた人の比率)を正しく計算するのであれば、円満退社を除いた社員で集計し、それぞれの社員を採用した日時と紐付けて離職した日までの勤続期間を計算する必要がある。

そうすれば、実際知りたいところの採用のミスマッチや会社への待遇や仕事内容、人間関係に対する不満による離職率を計算できるが、それを正しくするには、円満退職かどうかのデータを記録していないといけないし、入社日・退職日から勤労期間データあって○○以内離職率が始めて計算できる。

自社の離職率(円満退職を除いた防げたはずの離職)を計算する方法に関しては以下の記事で詳しく解説しているので、人事担当者や中小企業の経営者は是非1度目を通してみて欲しい。RABLE独自のアプローチで離職率を切り取っているので、参考になるはずだ。

2.離職率が高い職場・企業の特徴とその調べ方

上記の理由から離職率が高いかどうかを見抜くことは難しい。人事担当者の方もただ全体の離職率が高いからといって、それが問題であるかと思えない理由もそこにある。

そこで次のテーマとして、離職率が自社に悪影響を及ぼしている、離職率が高く職場環境が悪い会社の見抜き方についてお伝えする。

2.1 中小企業で問題になっている高い離職率

卒業や家庭の事情、問題のある社員の離職ではなく、会社や職場に対する不満によって離職が起きている場合、必ずそれは見える形で現れる。

2.1.1 売上が停滞ないしは減少している

少子高齢で労働人口が減少していると騒がれてはいるが、人手不足は2極化している。受験をした方はわかると思うが、人気校の倍率は変わっていないし、それは就活でも同じだ。

誰もが行きたいと思う会社には求人が殺到するし、口コミの質も多い。それはネットではなくてもだ。

中小企業であれば必要な求人数も少なくていいし、必要な応募は全て社員の良質な紹介で済んでいて、採用広告なんか払わずとも意欲があり、真面目な社員を採用できていると会社は存在している。離職率が高いといわれる介護職の会社だ。

逆に社員に利益を還元する気がない、あるいは離職率を解決しようとしない会社の多くが人手不足に悩まされている。

人手不足が起き人員が足りなくなると現場が回せなくなる。すると案件を断ったり、空いていても顧客を断らなくてはいけなくなり回転率は落ちる。また品質が低下することによってリピータが流出することもある。

売上の推移は、必ずしも当てはまるわけではないが、ある程度会社の状況を反映する。

2.1.2 離職率の高い職場がわかる採用状況

離職率が高い職場の共通点として、即戦力を求めている傾向が高い。その内心は「人材を育てる気がない」だ。

自社の職場環境に魅力がない、上司の横暴を放置している会社では、人材を資産ではなく投資だと捉えている。もし仮にあなたが新卒でも中途採用サイト見て欲しい。様々なサイトで上位表示されているならその会社は年間何千万円も採用広告に投資していることになる。

年収10億未満で採用コストに数千万円かけている会社は非常に多い。

そういった会社は仕事ができる社員がすぐに辞め、自社に育成するノウハウがなく、採用を金で解決しようとして、採用に金がかかるから既存の社員に十分な給与を払えない会社である危険性が非常に高い。

即戦力を求めるという裏側には、自社で育てるノウハウがない、即戦力に資金の大部分を使って社員の福利厚生に資金を回せる余力がないことを意味する。

2.1.3 離職率が低い中小企業の見極め方

離職率が高いかどうかを見極める質問として「人材育成」があげられる。優良中小、ベンチャーを見抜くためのテクニックとして使えると思う。離職率が低い中小企業では社員指導・コミュニケーションを熱心に行い、新人に専属の先輩指導社員をつけたりしている。

逆に離職率が高い職場では、新人であっても「給与を貰っている以上は、質問をしたり、勉強をするのは当たり前だ」と言うスタンスでやっている。

しかしここで考えて欲しい。右も左もわからない。その状況で質問が出来るだろうか?

「仕事をどうやって覚えましたか?」、「仕事ができるようになるコツはありますか?」などの質問をしてみるといい。

その質問の答え次第で会社の実態が見えてくる。

  • 完全放任主義で個人の勉強に依存しているのか?
  • 先輩がフォローしてくれるのか?

質問次第で離職率が高い会社であるかは見極めることは十分に可能だ。

2.2 離職率が高い職場の5つの特徴

なぜここまで私たちRABLEが離職率にこだわっているのか?それは以下の5つの理由に起因する。

2.2.1 採用・教育コストなどの財務指標に対する不理解

離職が発生すれば、採用をしなければいけなくなる。それに直結する指標が平均勤続年数と採用予定数だが、離職率が低下すれば、予定(目標)採用数は少なくて済む。そして平均勤続年数が上がれば、当然人材投資の回転率は下がる。離職の発生が減れば、補充しなければいけない社員数は減るからだ。

必要採用数が減れば、採用広告費も減り、平均勤続年数が増えることで人材の質が向上し、生産性は上がる。

当然のことだが、ベテラン社員ばかりの職場では生産性が高いのは当然だし、生産性を高める努力をあらゆる会社で目指さなければいけない。離職対策から目を逸らすということは人材問題を金で解決(中途採用で解決しようと思っても実際は出来ないが)と同義だ。

2.2.2 人事考課システム改善に対する意欲の低さ

給与が高い、低いかは確かに問題だが、生活できる以上の給与を貰っている以上はさほど問題にはならない。金額よりも納得できないことが、より大きな問題であると思う。

人間である以上、神の視点での完全なる客観的な評価に基づく人事評価はできない。しかし、成果に貢献している、労働負荷が高い、責任を負わされているにもかかわらず評価は一律で変わらない。それに納得できない人が多いことに真摯に向き合うべきだ。

それは完全でなくていいし、十分でなくていい。しかし、人事部・会社として、問題であると認識し、努力・成果と非均衡状態であることを認識し、改善努力をしようとしている姿勢を見せようとするべきだ。

2.2.3 現場マネジメントに対するコントロールシステムがない

これは中小企業ではなく大手の企業にも見られる。

現場に対する裁量権や権限が大きすぎてコントロールしきれていない。成果(売上・受注など)を出している。これまでの実績がある(数値からそう見えるだけかもしれない)。からマネージャーとしてふさわしいかどうか疑問だ。

達成した売上以上に、採用や教育コストを加味すれば赤字かもしれない。

なぜなら、業績目標と人事目標が別であるからだ。

  • 沢山採用して、売上を上げた店舗
  • 採用人数は少ないながら、着実に売上を上げた店舗

金額としては前者の方が良く見えるかもしれない。しかし、管理職としてスキルがあるのはどちらだろうか?前者はただ採用者に恵まれただけかもしれない。沢山採用して、出来る社員を残して。それなら誰だって結果を出せたはずだ。

そういった視点で管理職を選んでいたら、いつか大きな間違いをしてしまう。

仕事は出来るかもしれないが、人格的に問題があるかもしれない。倫理的、道徳意識が低く、スーパープレイヤーでは在るが、管理職には向かない。しかし、結果をこれまでに実績を出してきたから会社からとやかく言いにくい。これが特に中小企業で多く見られる倫理意識が低い上司が多い理由だ。

2.2.4 離職率が高い職場の多くで人間関係が希薄にある

離職率の高さは現場意識に現れる。一生懸命教えても「○月で辞めます」と部下や後輩を沢山経験すればどう思うだろうか?

離職率の増加に伴い、現場の多くの社員は「教えても無駄だ。」と感じ、新人に最低限の指導を施し、マニュアルを渡すだけで「わからないことがあったら聞いて」という指導に自然となっていく。しかし、そういわれても最初は何がわからないのさえわからない。

それは先輩社員のほとんどがそう感じているが「それでも聞いてきた社員」に教えたいと思っている。なぜなら「自発的に質問をしたり、コミュニケーションを取れる意欲的な人」は辞めにくいからだ。また人手が圧倒的に足りていなくて新人に教える余裕が全くないという場合も当然ある。

「新人に対する扱い」・「新人指導への姿勢」は、会社の実態を反映している。

2.2.5 離職率の改善意欲のない会社のほとんどがマネジメントに無関心

離職率の問題は平均勤続年数とあわせて考える事が重要だ。

離職が増えれば平均勤続年数は当然落ちる。すると採用の回転率が増え、毎年の採用予定者は増えるし、年内の補充採用も多くなる。離職率が高い会社では、規模の割りに新卒予定者の数が多い、中途採用広告を毎月出しているという形で表れる。

中途採用の費用は高額だ。看護師や管理職候補、エンジニアなどでは年収の3割ほどが紹介料となり、中小企業でも年間採用コストに数千万円かけている。にもかかわらず、「離職は仕方ない。採用コストを増やそう」という思考に陥っている。

離職率が減り、平均勤続年数が上がれば、採用予定・必要な補充採用が減れば、広告コスト・紹介コストが下がる、そうすれば社員の給与に削減金額が回せるし、そうなれば離職率と平均勤続年数は更に改善され、人材の質が上がることで生産性が増えることによる人件費率の削減効果、利益改善が見込める。

離職率の対象は社員であり、新規の顧客を獲得したり、新商品をヒットさせるより成果は出やすいのにかかわらずだ。

その根本は、顧客に対する興味はあれど、社員に対してはこれまでの価値観で採用という金で解決しようとしている姿勢が透けて見える。面接や説明会、資料でマーケティングやセールスの話ばかりで、キャリアや人事の話を全くしない会社は注意したほうがいい。

3.離職率が低い会社で業績が上がりやすい理由

RABLEでは人手不足、採用難の企業に関わらず離職率の改善、リテンションマネジメントに取り組むべきだと考えている。それは以下の3つの理由からだ。

3.1 離職率が低い会社ではマネジメントノウハウを獲得しようとしている

離職率に興味がある会社は、人材のマネジメントに対してノウハウを獲得しようとしている。

人を動かすためには、成果の可視化が必要で、どれだけコスト効果があったのか、生産性があったのかなどの財務数値と関連化させている。そうしなければ、プロジェクトが継続できないからだ。

人は成果の振り返りなしに努力することは出来ない。意味のないことをするくらいなら1分でも作業に時間を割きたいからだ。

人材マネジメントに力を入れていない会社ももちろん朝礼や会議で「離職者を減らそう」とは言っている。しかしそれはスローガンレベルで数値管理をしていなければ、研修もしないし、管理職マニュアルにも取り入れない。

マネジメントもセールスと同じようにPDCAが必要だ。

会社のコスト削減や生産性に貢献した管理職は誰か?店舗はどこか?それをどのように演出すれば、全社員で共有し、意識改革、行動変化を実現できるのか?そしてそれを仮説を基に行い、数値で振り返らなければいけない。

現場に口で伝えただけでは上手くいくはずがないにもかかわらず、現場任せ、責任者任せにしている中小企業が多いのが残念でならない。

3.2 離職率が低い会社の現場責任者は共通した課題意識・危機意識を持てている

マネジメントがうまく言っている会社では、全管理職が同じ課題意識を持って努力する事が出来ている。

なぜなら、そうなるように、数値と研修を使って教育したからだ。もちろん、人手不足であれば、中には経験や知識が不十分な管理職だっている。しかし、日々、正しい会議と月次報告書による振り返りをしていれば次第に経営者が求める管理職になっていく。

すると上司・先輩に恵まれる、恵まれない、この店舗・部署は良い・悪いという運に左右されなくなる。

中小企業では人材への依存度が非常に高い。だから、改革しようとしても反対されればすぐに諦める。管理職のパワーが強いからだ。会社がどれほど危機意識を持っていたとしても肝心の現場責任者が「自分は悪くない。仕事ができないのは部下の能力や意欲が低いせいだ。」、「職場の人間関係や指導の在り方に問題はない。変わる必要はない。」と思っていれば絶対に上手くいかない。

3.3 離職率が低い会社の社員たちは全員思いやりが無意識にできている

マネジメントの究極系は社風化である。社風というのは無意識化で起きるものだ。

あなたにもいつのまにか使っている自社言葉があるはずだ。それは使おうと思うものではなく、知らない内にいつの間にか使っている。それが本当の意味での教育であり、当たり前であるからこそ結果が変わる。

それは離職率でも同じだ。社員は不満を感じる側であるのと同時に不満を与えている側になりうる。

  • 後輩が困っていれば、担当でなくともアドバイスしたり、フォローするのが当たり前
  • 「なぜできないの?」ではなく、どうすれば「できるようにさせられるか」を考えるべき
  • 自分に不満があるのと同じように、相手が感じそうな不満を考えて発言すべき

こういった意識がなければどのような制度を作っても効果は出ないし、いくら指導しても意識や態度は変わらない。「問題となる社員が悪い。それは上司や会社の仕事。自分は関係ない」と思っているからだ。

まとめ.離職率の改善が会社に及ぼす影響

私たちRABLEでは、離職率を改善させることで採用・教育コストだけを目標としていないし、人事コンサルティングを行っている意識はない。それよりもどういった数値をつくり、どういった資料に落とし込み、どういった演出をして、どういった面談をすれば管理職・社員たちの意識を狙った方向に持っていけるかという社員心理のスペシャリストでありたいと思っている。

離職率はそのスタートラインだ。

離職は、モチベーションが低下していることを表す指標で、その内訳やそれが発生しているにもかかわらず、経営者・管理職・社員それぞれが「辞めたのは本人のせい、上司のせい、会社のせい」としてしまうのであれば、他のどんなマネジメントもうまくいかない。

なぜなら、誰もが自分の行動を省みない、反省しないからだ。

業績が好調、人材に満足している会社の社員たちは、自分の業績が良くても、人事考課が高くても「こうすればよかった」、「自分はあの時、○○することができたのではないだろうか」と考える。

周囲の人間が「○○さんは関係ないですよ。むしろ、○○さんは誰よりもフォローしてくれているじゃないですか」と言ってもだ。

だから成長するし、行動する。それが出来る社員が増えれば業績が変わるのは必然のことであるといえる。まずは離職率というテーマで社員たちのマネジメントに対する意識を育てることに挑戦してみよう。

マネジメントは全社員の協力が必要で1人1人の行動が大切だ。私たちRABLEでは、そういった社員の意識を変えるためのお手伝いをさせていただいている。

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