離職率

離職率の正しい計算方法|誰でも簡単にできるエクセル関数式の作り方

離職率は実は会社によって計算式が違う。様々なサイトでよく紹介される厚生労働省のデータの計算式を詳しく見てみれば、「正社員とアルバイト」を分けて計算しておらず、アルバイトの比率が多いサービス業のデータを見て「ブラックな業界」と判断してしまうのは危険だ。

離職が発生するシーンで言えば「新入社員の定着率」・「定着人材の離職率」の2つを分けて計算すべきだし、正社員とアルバイトの離職率を分けて計算しなければ正しい実情は見えてこない。正社員とアルバイトでは、学生の短期雇用が中心となるため、平均勤続年数がそもそも違うからだ。

また人事の方は、離職率を改善すれば、「どれほどの採用コストや人材コストを削減できるのか?」という目標数値を作りたいと思っているのではないだろうか?

そこで当記事では、離職率を正しく計算する方法と改善目標数値の作り方を解説することにしたい。

当記事概要

  1. 正しい離職率計算方法
  2. 自動で離職率グラフを作成するエクセル関数式の作り方
  3. 離職率改善効果を簡単にシミュレートする方法

1.離職率とは?

離職率の計算をする上でまずしなければいけないことが「言葉の定義」だ。

離職率に関する用語としては「離職率」・「退職率」・「定着率」・「人材流動率」という4つの単語がある。そして厄介なのは、サイトによって「離職率という使っている言葉は同じなのに、計算式を見てみれば違うことを計算していた。」という事が起きる。

そこでまずこの4つの言葉について、本来の意味とそれぞれの正しい計算式について説明することにしたい。

1-1.離職率の定義における”入職率”と”退職率”

以下の表を見てほしい。この表は厚生労働省が公表しているグラフになるが、離職率に関する記事の8割以上で下記の表を紹介、引用されている最もメジャーなグラフだ。

引用:平成 30 年雇用動向調査結果の概況

1.1.1 入職率と退職率の意味と計算方法

上記のグラフの入職率と退職率はそれぞれ以下の計算式が用いられている。

入職率:1年間に入社した社員数 ÷ 1年間に在籍していた社員数 × 100

退職率:1年間に発生した離職数 ÷ 1年間に在籍していた社員数 × 100

この数値は、退職率というよりも人材の移動を分析する時に用いられる。

  • 全社員の内、新入社員は何割程度か?
  • 全社員の内、離職した社員は何割程度か?

この計算式では、「新入社員が離職したのか、ある程度働いてくれていた社員が離職したのか?」という内訳は知る事が出来ない。

アルバイトを雇っていて、たまたま卒業がその年に集中すれば、退職率の数値は大きくなるが、実際の新入社員の退職数は少ないこともありうる。しかし、この計算式は、業界それぞれの人材の動きを見る上で有用なので、国が出す意義は十分にある。

問題なのは、このデータを用いて、人材の移動が多いからこの業界の離職率が高い!とミスリードさせるような記事が多いことだ。

1-2.離職率と退職率の違い

では上記の退職率と本題の離職率の違いについて解説しよう。

退職率はあくまで年内の離職数の比率を計算したものだが、離職率は、年度ではなく、「それぞれの社員が入社してから何日後に離職したのか?」という社員データに基づいて計算しなければならない。

離職率を正しく計算するためには、入社日と退職日の日付を引いた「離職した社員の勤続年数」が必要になる。

(E列はD列を計算するための関数式を紹介しており、D3に入力し、オートフィルをすれば勤続期間が計算される)

上記の表を見ると「スタッフ1は2年以内、2は1年以内、3は3年以内に離職している事」がわかる。

そして手計算であれば以下のような表を作り、例えば、1年以内離職率であれば「1÷4×100=25%」、2年以内離職率であれば「2÷4×100=50%」といったように、○がついた数が離職数となり、それを採用した社員数で割れば出てくる。

1-3.定着率の計算方法

では定着率についても見てみよう。定着率は、ある期間後にどれだけの人材が残っているかという100%から出発して離職数を引いていくイメージの概念だ。

そのためには、まず離職数を出して、それぞれの離職数を足していく累計離職数を出して、累計離職数と採用人数で割った累計離職率を計算し、最終的に【1(100%)-累計離職率】という計算をすれば定着率を計算できる。

採用人数 3ヶ月以内 半年以内 1年以内 2年以内 3年以内
離職数 30 2 2 5 7 9
累計離職数 30 2 4 9 16 25
累計離職率 30 6.7% 13.3% 30.0% 53.3% 83.3%
定着率 30 93.3% 86.7% 70.0% 46.7% 16.7%

1-3-1.離職率を正しく計算するための期間設定

離職率を計算する上で大事なのは、社内平均ではなく細かく分けて計算することだ。例えば、新入社員の定着率であれば、アルバイトと正社員は分けて計算すべきだし、正社員でも、中途社員と新卒では違うかも知れないし、新卒をとっていなくても、業界経験者と未経験者で分けるというやり方もある。

半年以内 1年以内 1.5年以内 2年以内 2.5年以内 3年以内
アルバイト
新卒社員(未経験)
中途社員(経験)
社内平均

そしてそれらを平均したのが社内平均だ。ここまで説明で、社内平均や業界平均というデータが、意味がないとまでは言わないが、あくまで参考値としか呼べないことをご理解していただけたのではないだろうか。

またアルバイトも以下のように設定すれば、店長のマネジメント力向上のために役立つ。

3ヶ月以内 半年以内 1年以内 1.5年以内 2年以内 3年以内
学生アルバイト
その他アルバイト
A店舗
社内平均との差

「離職率を下げよう」といっても、「ウチは学生中心なので」といったり、採用広告でも「主婦層」や「フリーター」をターゲットにした方が費用対効果が高いのではないか?という話はどの会社でもあると思う。

そこで学生アルバイトの社内平均の離職率のデータを出していれば、「学生アルバイトだけで見た場合にも、特定の店舗の離職率は悪い」と納得させられるだけのデータができる。またアルバイトも更に「Wワーク」、「大学生」、「フリーター」、「主婦層」など細かく分ければ、その職場に合う層の発見に役立つし、離職率が低い層に特化した広告ライティングや特典設計などに役立つ。

また離職率は「定着人材」にも目をむけるべきだ。

5年以内 10年以内 15年以内 20年以内 25年以内 30年以内
役職なし社員
役職あり社員
中途社員

役職ありとなしでは違うのかどうか、生え抜きと転職組みでは違いがないか、部署別・事業別など、様々な視点の向け方が存在するので、切り取り方の工夫をしてみる事が大切だ。

2.離職率を簡単にエクセルで計算する方法

ではここからは簡単にエクセルで関数の作成をお伝えしていく。

エクセルが苦手でどうしても計算式を作れない方は、Rableが無料で提供している離職率自動計算エクセルテンプレートがあるので、2章を飛ばしてもらっても構わない。ダウンロードページは以下のリンクから飛べるようになっている。

2.1 離職率の経年変化をエクセルで計算するための準備

まずデータベースとして入社日・退社日・離職した社員の勤続期間の3つのセルを作成したものを用意しよう。

勤続期間は先ほど紹介した関数を使って作成して欲しい。

データ入力用のシートができれば、次に別のシートに集計期間を入力するセルを用意しよう。下記のような離職率の経年変化を出力するには複数年度が必要になるので、5ヵ年経過なら5行、10ヵ年なら10行作成しよう。

また退職日が入力されていなければエラーになるので、先ほど作成したD列の関数を以下のように書き換えよう。

勤続年数を計算する方法

IF(退職日のセル=””,””,DATEDIF(B3,C3,"d")/365

準備するものはこれだけだ。

2.2 エクセルで○年以内離職率の表の作成方法

ではこれらを使って○年以内離職率を計算していこう。

2.2.1 各年度の採用人数の作成式を作ろう

まずそれぞれの採用年度に採用した社員の紐づけるために以下の関数をD2に作成して、ドラッグしよう。

採用年度に採用した社員の紐づける計算方法

COUNTIFS(B:B,">="&各年度の期首日のセル,B:B,"<="&各年度の期末日のセル)

これで離職率を計算するための分母ができた。

2.2.2 ○年以内離職数のカウント式を作成しよう

次に、先ほど作成した関数を応用して、3年以内のセルに以下の関数を作成しよう。

3年以内リ勝率を計算する方法

COUNTIFS(B:B,">="&採用期首,B:B,"<="&採用期末,D:D,"<=3")

すると各年度に採用した社員のうち、3年以内に離職した人数がわかる。

あとは、[3年以内離職数 ÷ 採用人数]の計算式を3年以内離職率のセルに作成すれば、3年以内離職率が計算できる。

2.3 経年変化3年以内離職率推移グラフを作成しよう

上記の関数の"<=3”の部分を以下の表を参考にしながら、数値を変更するだけで好きな期間の離職率を計算する事ができる。

するとそれぞれの年度の累積離職人数の表が出来上がる。

後はそれぞれの期間をそれぞれの採用人数で割って以下のような表・グラフを作成しよう。

累積離職率の経年変化表

3.離職率の計算データの活用方法

離職率データが作成できれば、採用コストと連動させて改善目標を立ててみよう。

具体的な目標があった方が、離職対策に取り組むべきかどうか、費用対効果はあるのかどうかを検討できるし、実際に目標数値を現場に落としこむ事が出来なければ、社員の問題意識や改善行動を引き出すことは難しい。

部署や店舗間の差やマネジメントに対する努力に対する成果の差や貢献度を評価できないからだ。

そこで以下の手順に従って、離職率データを加工していこう。

STEP1:採用コストの概算を計算しよう

離職率が高くなれば当然採用しなければいけない人数は増える。採用コストと離職率の変動を見るためにはまず以下の表を作成しよう。

少し面倒だが、上記の表は、少なくとも5年間の平均をすることをおすすめする。単年度では、数値が安定しないからだ。上記のデータでは、マイナビが公表している採用単価を採用しているが、採用広告費や紹介費用などを単純に計算した概算で良いので、面倒でも採用コスト合計を出して、毎年の平均採用数で割って、採用単価を計算しよう。

STEP2:採用コストの概算を計算しよう

次に採用コスト削減金額を計算するために、定着人材の目標期間を設定しよう。

「何年を定着ラインとするのか?」これを設定することによって、「新入社員の早期離職」と「定着人材の離職」の2つを区分する事が出来る。それができれば、その期間における実際の定着率を計算し、目標とする定着(離職)率を設定しよう。

後は、採用人数をかけて、実際の離職率と目標率の差を出せば改善人数が計算でき、採用単価をかければ、目標離職率を達成した時の採用コストの削減見込み金額が試算できる。

STEP3:採用コストの概算を計算しよう

離職は、若手の早期離職だけではなく、定着している人材の離職についても考えないといけない。

そこで平均勤続年数を使って考えてみよう。

定着した社員の離職が多くなれば、社員の平均勤続年数は当然下がる。平均勤続年数の低下は、採用期間のサイクルが短くなることを意味している。例えば、正社員が100人在籍していて、平均勤続年数が10年であれば、確率的に考えれば、1年当り10人の離職が発生し、平均すると毎年10人の社員を補充している計算になる。

平均勤続年数が伸びれば伸びるほど、社員の離職の発生確率は小さくなり、毎年必要になる採用予定人数は少なくて済むようになる。その試算をしたものが以下の表だ。

採用コストは単年度で考えるべきでない理由

上記の経過年数に関してだが、平均勤続年数というのは採用効果の持続力を表している。だから採用の削減効果は単年度でなく、複数年度で考えてもらうと効果を実感しやすくなる。

正社員の平均勤続年数はグレー企業で10年程度、優良とは行かないまでも一般的な会社で20年が目安といわれている。

つまり、離職に悩んでいる会社がもしも一般的なレベルまで改善できれば、アルバイト200人、正社員150人程度の会社であれば、1年で500万、5年であれば2500万の差が出てくることになる。

実際には、教育コストやスキルといった面で生産性も変わるので実際には利益の差は更に広がる。

STEP4:採用コストの試算ができれば現場での目標の落とし込みができる

上記のような計算が出来れば、後は部署別や店舗別、責任者別にそれぞれ試算しよう。

  • 目標離職率と実測から目標削減人数を出す
  • 離職率と平均勤続年数から目標削減金額を出す
  • 社内平均と比較して採用コストのプラス・マイナスを出す

管理職の業績評価に使いたいのであれば、社内平均と比較して、どれだけ多くの採用をしているのか?あるいは少なく済んでいるのかの人数を計測して、金額として出してもいいし、目標離職率から逆算して、本年度の目標離職人数、削減人数を出してもいい。また採用コストの貢献金額を可視化することで現場の意識改革にも活用できる。

上記の計算は、会社の雇用スタイルや人材構造によって変わるので、自社にあったラベルの仕方を工夫するようにしましょう。中小企業向けにエクセルテンプレートのカスタマイズは簡単なものから5000円から、高くても数万円程度の格安で行っているので、もし自作できないのであれば気軽にお問い合わせいただければ対応いたします。

RABLEでは離職率の改善を通じて、利益率・生産性を上げることをテーマとしており、その取り組みの土台となる人材マネジメントの成果で高額な料金を頂こうとは考えておりません。そのため、中小企業でも加工しやすいエクセルでテンプレートを提供しており、また会社にあわせたカスタムも簡単に出来るからです。

会議でマネジメント進捗や課題を客観的で視点で話し合い、人材に関する課題に危機意識を持って取り組む企業が少しでも増えることに貢献できれば幸いです。

まとめ

離職率といっても定義は、計算する人(会社や組織)によってバラバラで、実態を正しく知るためには、年度ではなく、1人の1人の勤続年数を出して、その勤続年数を基準にして、対象期間を超えているかどうかを判定する事が大切だ。

少し面倒かもしれないが、特に中途採用やアルバイトは入社時期がバラバラなので、計算結果にどうしてもバラつきが出てしまうし、何よりも平均勤続年数は自社の採用の投資効率に直結する数字である。

離職は、「採用した人材がすぐに辞めてしまうことによる損失」と「自社の人材のサイクルが短いことによる損失」の2つを分けて考える事が大切だ。若手人材が定着しない会社では、大抵平均勤続年数も低い。当記事でご紹介した計算式に業界平均を調べて入力してみれば、自社がどれだけ無駄な採用コストを支払っている事がわかるはずだ。

また具体的な計算が出来れば、それぞれの部署、店舗、管理職の貢献度を可視化出来、具体的な削減人数も与える事が出来る。

逆に離職率だけでは、会議や報告資料として掲載しても、どうしても「減らしたほうが良いけど」というレベルで終わってしまう事が多い。しかし、突き詰めて考えていくと良い職場を作り上げている部署・店舗・責任者の組織への貢献度を評価してあげる事が出来るようになる。

そうすれば、自社の人材育成や組織運営に力を入れようと思う人は増える。

離職率を改善するためには、いきなり施策や研修にコストを出すのではなく、まずしっかりと人数・金額で離職率の差を出すことから始めよう。

どのようなテーマでも努力した人がきちんと評価され、真剣に取り組んでいなければ数値に表れるという土台を作り上げる事が大切だ。そうでなければ、誰も改善しようとは思わないし、真剣に取り組んでいるにもかかわらず評価されないという状況を絶対に作ってはいけない。

この記事が離職率を改善しようと会議や研修をしてみたけれど上手くいかなかった。マネージャーたちがなんとしても解決しようと思ってくれない。と感じていた人たちにとって、解決の糸口になれば幸いだ。

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