離職率

【人事必見】自社の適性離職率の基準を決める方法

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自社の離職率が高いのか?それとも低いのか?業界平均と比べてどうなのか?といった自社の人材状況を判断する基準をはっきりと答えられる人はそう多くない。

離職率が高ければ、ブラック企業と考えられがちだが、かといって離職率が0%であれば優秀な企業だとも言いきれない。

社員の入れ替えが激しければ、採用費や教育費が高騰し、人件費が上がってしまう。社員の入れ替えが無さ過ぎても、やる気のない・仕事をしない、いわば「ぶら下がり社員」が増え、人件費が高騰してしまう。

離職率は実は高すぎても、低すぎてもどちらかに偏ってしまうとコストが増え、会社の利益を圧迫してしまう。

そこで当記事では、自社に合った離職率改善の目標と基準の決め方を解説していく。自社の状況に即した離職率基準の決定方法を知る事で、人材の全体の質を上げながら、人材流動に関する自由度を持つことができるようになる。

ではこれから一緒に人材のインとアウトのコントロールの仕方について丁寧にみていこう。

離職率は近年、大手・中小を問わず注目を集めてきています。なぜ、今更離職率なのか?多くの人事が実感している離職率が自社の利益改善に与える影響を以下の記事でわかりやすく解説しています。言葉を知っている人でも一度は目を通すべき必見の記事となっています。

1. 離職率が高い・低いとどのような問題が自社に発生するのか?

離職のインとアウトを考える前に、まずは、離職率が高い場合と低い場合のそれぞれのメリット・デメリットについて見てみよう。

人材流動性高:離職率が高い 人材流動性低:離職率が低い
メリット ・平均年間支払給与を安く抑えられる。
・人材の入れ替えを意図的に行うことが出来る。
・成果主義に基づくマネジメントを実行しやすい
・良質な社員を育成することが出来る
・社内ノウハウやスキルを蓄積・差別化を図ることが出来る。
・社内コミュニケーションが活発で、緊密な連携を取ることが出来る。
デメリット ・年間採用コスト負担が大きくなる。
・すぐに辞めてしまうので知識・経験がリセットされ、生産性が低下し、人件費率が増える事もある。
・社内スキル・ノウハウの蓄積、継承が出来ず、品質が低下し、競争力を失う。
・辞めさせたい人材を簡単に辞めさせることが出来ない。
・平均勤続年数が上がるので、社内平均給与が上がる。
・ぶら下がり社員が増え、向上心・仕事への意欲を持たせづらい。
実行時期 創業期・変革期 拡大期・安定期

1-1. 離職率が高い会社のメリットとデメリット

離職率が高い会社は人材流動性が高く、会社に合わなかったり、やる気のない社員の入れ替えを行うことが出来る。また成果主義に基づく人事評価もしやすく、成果の出ない社員は自然と会社を去り、新しい人材に入れ替える事も出来る。

しかし、離職率が激しいという事は毎年多くの採用コストを支払い、新人に経験と知識を与えなければいけなくなる。その結果、会社全体の生産性が低下し、相対的に人件費比率は上がってしまう。離職率が高い会社のほとんどが人件費率を下げられない。というのはそういった理由がほとんどだ。

1-2. 離職率が低い会社のメリットとデメリット

逆に離職率が低い会社では別の悩みが浮上する。それは【モチベーションが高く能力もある社員】と【能力が低く成果意識もない社員】の2分化してしまうことだ。人材の入れ替えが無さ過ぎると、そういった不満が職場に表れてくる。

多くの日本企業では、能力が低くても勤務歴が長い社員には、ある程度の肩書きと責任を与えざるを得ない。するとその職場では様々なトラブルや不満が発生する。そういった意味で、人材の入れ替えがなさすぎるのもまた問題となる。

2. 自社に最適な離職率を決定するための5手順

ここまでで離職率は低くても、高くてもダメであることがお分かり頂けたと思う。ではいったい何%に抑えればいいのか?といった自社に合った最適基準を決定するための具体的な方法についてお伝えしていこう。

離職率の計算方法とエクセル活用の具体的なノウハウは以下の記事で紹介しています。誰でもわかる内容となっていますので、自社の離職率を出したことがない・知らないという方はまず以下の記事に目を通すことをおススメしています。

2-1. 離職率業界平均から自社とのギャップを知る方法

一番簡単なのが、業界全体のデータと自社の比較をする方法だ。以下のデータは雇用動向調査の業界平均データを引用したものとなる。

人手不足の業界

上記のデータを見れば、業界によって離職率に大きな差があることがわかる。こういったデータから「ウチの業界はどこでもそうだから」といった外部環境を理由にあげる人事・マネージャーが非常に多い。しかし、どの業界であっても、離職率が10%で人材運用・人材育成に成功している企業は存在する。

そしてそれはたいてい優良中小とよばれ大手の利益率を大きく上回る高業績を叩き出している。では、その人材運用・育成のヒントはどこにあるのだろうか?

離職率の計算方法、エクセルでの関数作成手順は以下の記事にて紹介している。自社の離職率の出し方が分からない。計算が面倒で実施していない。という方は是非参考にしてほしい。

2-2. 自社の5カ年平均離職率データから現状を評価する方法

しかし、現実には、市場全体のようなマクロデータよりも、自社の状況は良くなっているのか?悪くなっていないか?といったミクロの視点で俯瞰していくことの方が重要だ。

経済動向を知る事ももちろん重要だが、それよりも自社データで人材状況を把握するように心がけよう。具体的には以下のようなデータを作成し、前年比、全前年比といったように比較しよう。

上記の表やグラフは、【年度期首人員数+採用人数-離職人数=期末人数=人員増減数】という流れをわかりやすくデザインしたものとなる。人員の流れが簡単にわかるはずだ。

すると本年度は「人員増減〇人ををめざし、採用人数が〇人、離職人数が〇人を目標とします。」と言った人員計画を練れるようになる。

また離職人数を採用人数で割れば、上記の様に比率を計算できる。つまり、人材投資効率が悪くなっていないか?を簡単に把握することが出来る。

上記を初めこれからご紹介していく表は、全ても私たちが無料で公開中のエクセルテンプレートに同梱されています。多くのベンチャー・中小企業に皆様にデータによる人材管理を実践して貰うために作ったものなので、是非ご利用して貰えれば嬉しく思います。以下からダウンロードすることが可能です。

2-3. 離職率3年以内データと採用コスト効率を関連させて評価する方法

では次の視点は、離職率とコストの関係から評価を行ってみよう。

採用人数自体は、増えようが減っていようが、契約件数や受注件数が大幅に低下(仕事がなく社員に振る仕事がない状況)していない限り、利益率にはあまり直結しない。採用した社員は会社の売上への貢献をするからだ。

しかし、採用が利益に直結しない場合がある。

それは、採用したのに離職してしまった場合だ。その場合、採用にかけた費用と職場で教えた業務訓練コストだけが無駄になってしまう。

定着率の推移を5カ年で詳しく見たものが上記のものとなる。定着率を何年で切るのか?どの期間まで計算しておくか?は部署や事業形態によって柔軟に決定してほしい。

定着率が低下すれば、それだけ「採用をしても多くのロスが発生し、多くのコストが無駄になり、利益率が圧迫している。」と判断でき、「定着率を何%をめざし、採用・教育ロスを何万円以内に抑える!!」という目標基準の決定をすることができるようになる。

2-4. 全体の離職データではなくその内訳を詳細に見る方法

どの様なデータもそうだが、平均とはあくまで平均でしかない。例えば、離職率が10%の会社であっても、創業期から支えてくれていた中核社員にごっそり独立されてしまえばかなりの痛手だし、離職率が30パーセントであっても、リストラを断行し、やる気がない・能力がない社員だけを辞めさせている場合は話が別だ。

離職率云々を語る前に、結局誰が辞めて、職場に大きなダメージが発生したのか?別に問題はないのか?という判断を下さなければならない。

2-4-1. 離職率を計算する前に自社の社員を区別する下準備

私たちであれば以下の5つのタイプに社員を分類するようにしている。


その上で5つのタイプは「辞めれば業務に支障が出る」・「辞めてもらっても支障が出ない」2つのグループに更に分割できる。

2-4-2. 良質な離職率データを作成する為の入力方法

上記の5つのタイプは、あなたの会社の人事考課データや上司による評価を参考にして、社員ラベルに1~5の数字をふり、以下の様に記録するようにしよう。そのデータがあれば、詳細に離職者の内訳をおっていくことができるようになる。

あくまで以下のものは私たちがしている例であり、ラベルの名前はあなたの会社で使っているものにすればいいし、ラベルをより詳細に分けてもいい。是非、参考にしてもらい、自社オリジナルのものを完成させてみてほしい。

上記のデータを使って具体的には以下のようなデータを作成し、それぞれの離職者内訳を決定してから、最終的な全体離職率は何%にするか?という事を決定できることを目指そう。

2-4-3. 離職者の内訳から離職状況を評価する方法

以下の表は、各年度ごとに上記の定義にしたがって、離職者を区別した表になる。下記の様に明確な戦略の元に区分された離職データであれば、「離職者が減った・増えた。」という単なる数値だけの改善に留まることはない。

具体的には以下の表を使って、人材管理の成果の判断を下そう。

  • 離職率・人数が前年比より増えていても、辞めて欲しくない社員がほとんどいなければ人材整理・質の改善は進んでいると評価できる。
  • 離職率・人数が減っていても、辞めて欲しくない社員の比率が増えている場合は、人材の質は低下、マネジメントに失敗していると判断できる。

2-4-4. 離職(率)改善が自社の生産性・人材の質向上につながっているか確認する方法

辞めて欲しくない社員が会社に残り、会社に不満・不利益を与える人材が会社を去るという人材の好循環ができていれば、最終的に会社全体の人材の質が向上していく。それを確認するためには、以下のようなグラフを作成する必要がある。

上記のグラフは、会社全体で算出しているが、より詳細に、事業所別・部署別・職種別・教育担当者(管理者)別にグラフを作成すれば、「現場で人材育成はできているのか?」、「職場に問題を起こす社員はどの程度いるのか?」、「人材育成の進捗はどうなっているのか?」という現場マネジメントの実態把握、人事考課への反映をすることも可能となる。

単なる離職率でなく、明確な戦略を持って離職率を運用すれば、自社の人事マネジメントの根幹部分を抜本的に改革につながっていく。

誰でも簡単に離職率と人材育成、マネジメント成果を可視化する為のエクセルテンプレートは以下から手に入れることが出来ます。是非、検討して頂ければ幸いです。

2-5. 全体の離職データではなくその内訳を詳細に見る方法

先ほども少しふれたが、先ほど作成した5つの社員区分を使って以下のグラフを合わせて作成するようにしている。

参考:私たちが勤続年数ごとに区分している4つのセグメント

  • 未成熟層…入社したての人材グループ
  • 新人層…ある程度の教育・経験を積み標準的な業務を出来る人材グループ
  • 中堅層…部下に仕事の指示や指導をすることのできる人材グループ
  • ベテラン層…会社で最古参となる人材グループ

※勤続年数によるセグメント方法は【企業ごとに人材育成の方法は変わる!優秀な社員を増やす人事データの作り方】の記事で詳しく解説しているので、まだご覧になられていない方は先に目を通すようにしてほしい。

2-5-1. 勤続年数データから人材育成の成果を確認する方法

勤続年数の違いによる上記の4つのセグメント別の社員構成比を見れば自社の人材育成の成果を評価することが可能だ。では、それぞれの勤続年数ごとの社員構成比率の見方について解説していこう。

2-5-2. 未成熟層の社員構成比は人材育成の基準値となる

未成熟層の段階では、現在の期待値にすぎない。具体的には「職場を取りまとめるコア人材になってくれるだろう。」や「業務をリードしてくれるエースとして活躍できる素質がある。」といった将来への見通しといえる。

しかし、それはあくまでも見通しで、現実問題として、全員がその通りに成長してくれるわけではない。つまり、人材育成の成果とは、「採用時や教育期間終了時の評価通りに社員を腐らせたりせずに運用し続けられるか?」と言える。

2-5-3. 未成熟層と新人層の違いは人材育成の評価値となる

では上記のグラフを参考に、自社の人材育成力の成果を測ろう。

  1. 未成熟層よりもコア社員比率が減っていれば、社員が責任を持ちたがらないような育成をしてしまっている。
  2. 未成熟層よりもエース社員比率が減っていれば、成果や成長意欲が低下するような管理をしてしまっている。
  3. 未成熟層よりも、わけあり社員や問題社員が増えていれば、人材育成は失敗しているといえる。

標準社員の比率はあまり意識しなくていい。優秀な社員・会社に貢献しない社員の比率を引いた残りであるからだ。あまり例は見かけられないが、未成熟層よりも、優秀な社員が増えているということもありえる。そうした場合は、人材育成は大成功と言える。しかし、多くの場合は、人材育成に失敗(優秀な社員の比率が低下)割合をどれだけ減らせるか?が焦点としよう。

2-5-4. 中堅層の社員構成比からは管理者不足に陥っていないか?を確認しよう

人手不足と管理者不足は同じではない。「作業員はいるが、管理職を任せられる社員がいない。」というのが管理者不足問題だ。

勤続年数的に、「役職や肩書きを与えたが、実際、そのポジションに見合う能力や実績を持っていない管理職がほとんどである。」という悩みは多くの経営者やマネージャーが抱えている。

そういった会社では「エース社員」の比率が高い(業務スピードが速いなど業務スキルは高い社員が多い)が、職場を上手く回したり、責任を持って成果改善に取り組む「コア社員」の比率は非常に低い。

あなたの会社でも「仕事は出来る社員だが、リーダーになった途端、自分の仕事能力を基準にして、部下たちに無理難題をいったり、感情的に叱ったりして、職場全体の仕事意欲を大きく低下させる厄介な管理職になってしまった。」ということはないだろうか?

作業員として求められる能力と管理職として求められる能力は全く違う。業務スキルとマネジメントスキルは別系統の力だ。必要な能力のシフトに貴方の会社の人材は上手く対応できているだろうか?

2-5-5. ベテラン層の目標コア社員比率から逆算して人材育成計画の頭数を設定する

「業務能力だけ、業務知識だけ、経験だけは高い」という能力1点主義問題はベテラン層になれば、なお一層加速する。昔の成功体験に縛られ、「こうあるべきだ、こうしなければいけない」といった自分の考えの部下への押し付ける「わけあり社員」が増えることにつながる。

それは「全社員を管理職にする。」という人事運用方法が間違っているだけに過ぎない。エース社員は業務のプロフッショナルとして運用し、マネージャーとすべきでないだけだ。部下をもたせず、業務のプロとして人事考課を歩めるように再設計すればいいだけだ。

またそれと並行して、自社に必要な中間管理職は何人か?それを満たすためには、新人・中堅段階でのコア社員比率を何%にするか?という目標を決める必要がある。

そして最終的に、コア社員の離職率を何%に落とす必要があるのか?という離職目標設定に返ってくる。ここまでやりとげることができれば、この離職率はだめだ。離職率改善は上手く進んでいる。と自分の判断に自信を持って人材育成状況を客観的に評価できるようになっているはずだ。

具体的には、「人材育成が目標通りに進んでいない。〇〇人材の比率が何%足らないから、〇〇人材を〇人増やすようにしてほしい。」といった具体的な要望が現場に伝わり、全社員が団結して人材育成シーンでも成果を出すことにこだわるようになっていく。

まとめ

ここまでみてきたように単純な離職率を出すだけでは意味がない。高ければダメだとか低ければ良いというものではなく、内訳の質に大きく依存する。離職率が30パーセントであっても、会社に不利益をもたらす問題社員やわけあり社員が離職しているだけなら、逆に社内の働きやすさや生産性、人件費率は大きく改善される。

逆に、離職率が減っていても、優秀な管理職や成果を出せるエース社員が離職していれば、人員は増えているはずなのに、生産性が上がらず人件費だけが上がって、会社運営が難しくなった」という逆機能がでてしまう。

手放したくない部下は、どの社員なのか?実際に、今は何人がそのような手放したくない部下の対象なのか?反対に、出来ない部下を辞めさせるためには、何人がその対象なのか?ということを具体的にデータで確認することが重要だ。

それさえできれば、「人材育成の進捗を客観的に捉え、現場に〇〇を改善するように」という指示が与えられるようになる。的を得た指示さえ出せていれば、その過程で少々の失敗が起きるかもしれないが、最終的にはその数値が改善されるまで自社マネジメント改善の努力が継続される。

努力が正しい方向に向いてさえいれば、必ず最後は良い成果を手に入れることが出来る。

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