離職率

【業界・規模別離職率平均データ】自社が目指すべき適正基準の決め方

離職対策や会社選びをする中で基準となる離職率。

  • うちの会社は、離職率は高いのかどうか。
  • 業界としては、どこからがホワイトでどこからがブラックなのか。
  • 自社規模で考えれば、離職率は何%を目指せばいいか。
  • 離職率の改善をするとすれば、目安はどの程度か。

そういった目安について丁寧に解説している記事は非常に少ない。

そこで当記事では離職率の基本的な考え方とその目安について解説していきたいと思う。

1.業界・規模別の離職率平均データ

1-1. 新卒の業界別3年以内離職率平均データ

ではまず業界別の離職率の平均からみていこう。

これから紹介するデータはH29年に入社した新卒かつ社会保険に加入した社員を対象に集計したものになる。業種や規模によって、高卒と大卒のどちらを主採用としているかは変化すると思うのでそれぞれ別に見ていこう。

1-1-1 高卒の業界別3年以内離職率平均データ

高卒新卒の3年以内離職率の平均は以下のようになっている。

高卒の3年以内離職率は、平均で40.6%と非常に高い数値となっていて、全体として50%近くになってしまっている業種も多い。つまり、10人採用しても、3年後にはその半分になり、離職率が高い業界では、10年後に残っている社員は1,2割程度になってしまっている会社も多い。

このような状況では、人材育成戦略は崩壊し、採用コストも2倍から5倍程度に膨れ上がってしまう会社が多いのも頷けるかと思う。

1-1-2 大卒の業界別3年以内離職率データ

次に大卒の平均データを見てみよう。

全体的に離職率は高卒と比べて10%ほど低下している。

一般的に大卒の3年以内離職率の目安としては、30%といわれているが、サービス業に属するほとんどの業界では、40%を越えている業種もあり、30%であれば御の字であるといえる。

1-2. 規模別の大卒離職率データ

業界データは、中小・中堅・大手がごちゃ混ぜにされたデータだ。

そこで規模別の離職率データに目を向けてみよう。はっきりとした傾向が見えてくる。

上記のグラフをみれば、「従業員人数が増えるほど、離職率は低下する」という負の比例式であることがわかる。更に1年、2年、3年それぞれの離職率データを掲載しておくので自社の離職率と比較して良いのか、悪いのかの参考としてほしい。

1-2-1. アルバイト・中途採用の離職率の目安はどのくらい?

中途採用・アルバイトの目安だが、中小企業庁が公表しているデータでは以下のようになっている。

中途採用者の3年以内離職率

  • 小規模事業者・・・31.0%
  • 中小企業・・・30.6%
  • 中規模企業・・・30.5%

アルバイトの1年以内離職率

アルバイトの離職率データは公表されてはいないが、以下は業界の1年間における離職率は25.0%となっている。

あくまで就労後365日を追跡調査したわけではなく、離職した数の総数なので目安に過ぎないが、現実とそこまで大きな差はないと思う。

1-3. 離職率が高い本当の原因はマネジメントの軽視にある

業界の影響はもちろんあるが、それ以上に従業員規模の方の影響の方が強い。

今あなたは以下のことを思ったのではないだろうか?

  • 離職率は、給与や待遇、福利厚生が重要で、大手じゃないと解決できない。
  • 離職率は、キャリアが重要で、小規模の会社では、魅力的な役職を提示できない。
  • 離職率は、重要だと思うが、コストをかけても成果が出すのが難しい課題だ。

しかし、それは間違いだ。

中小企業だから利益率が低い、品質が低いというわけでなく、中小企業のほとんどでマーケティングやセールス、品質、開発に力を入れていても、人材管理・マネジメントに力を入れている企業はほとんどないというのが一番の原因だ。

残念ながら、中小企業のほとんどで、人員数がいれば売上は伸びると考えているがそれは間違いだ。

売れる商品・サービスがあろうが、品質が高かろうが、ビジネスが上手く回らなければ、あなたの会社で立てた全ての計画・目標は絵に書いた餅で終わる。なぜなら、計画を形にするための人材の質が伴っていないからだ。原価を下げる活動と同じように、社員たちのモチベーション、経験、スキルを高めていくからこそ、労務費・人件費というコストが下がる。

離職すれば、採用でカバーできると考えるのは大きな間違いだ。

1-3-1. 離職率を課題だと考えている企業のほとんどが実は中小企業

以下のデータは、HR総研が、中小企業から大手まで人事担当者に聞いたアンケートの集計データだ。

約6割の企業では実は、離職対策に取り組んでいる。それは離職対策は取り組めば中小企業でも改善可能な課題であるからだ。以下のデータを見れば、リテンション施策(離職対策)に取り組んだ企業の7割弱が施策の継続を考えていることからも明らかだ。

参考

参考までに上記のアンケートの対象企業は以下のものとなっている。このデータを見れば、以下に離職対策が中小、中堅、大手問わず、業績を改善するために試行錯誤している企業で重要な課題であると認識されている事がお分かりになられると思う。

1-3-2. 離職率は中小企業でも一桁台にできる理由

離職率は中小企業でもコストをかけずに一桁台にできた理由はいくらでもある。以下のデータを見て欲しい。

上記は、具体的な施策に関する集計データだが、コストをかけなくても出来る施策が多い。

その理由は簡単で、相当にスキルや経験、専門知識、バイタリティがなければ、転職で給与がアップすることは稀であるからだ。基本的に転職とは、全企業がライバルになるわけではなく、自社と同ランク、ライバル企業との比較で起こる。特に地方ではその傾向が強い。

一般的に離職率が高いといわれている介護業界だが、採用広告を一切打つことなく、社員紹介だけで人材が集まってくるという会社も存在する。

業界や規模という経済全体の話ではなく、自社ではどの程度の離職率に改善できれば、業績やコストが改善されるのか?という経営学視点で離職率の目安を考えてみよう。

2.自社の適正離職率基準・目安の設定方法

悪い言葉で言うと、ヒトは商品・サービスを提供するための必要な資源だ。

しかし、他の資源と異なり、仕入れた段階では資源として成り立たないのがヒトだ。

必要な経験、考え方、技能、知識を最低水準以上のレベルで身に付けさせてはじめて、あなたの描いたストーリー通りになる。

わかりやすく説明しよう。

2.1 人材戦略はオペレーションとリンクさせて考える

当たり前だが、個人事業主やフリーランサーでは、従業員を必要としない。

自分1人では処理しきれない業務量になった時に始めて部下を必要とし、自分が安心して自分の仕事の一部を任せられると確信したとき、始めて自分の仕事の一部が自分の手から離れる。

これが社員を雇うことの本質だ。

それを誰もがイメージしやすい飲食店のアルバイトの例でご説明する。

2-1-1. 業績・人件費率・原価目標を達成するための人員構成

入社初日の社員にマニュアルやオペレーション手順を教えたところで、自分が満足するレベルで働くことは出来ないし、チームの一員としての役割を果たすことは難しい。

すると、作業を指示しても、そのやり方や仕事ぶりを確認しなければいけないし、指導担当の作業時間は当然減る。他のメンバーは自分の作業をしつつ、新人の面倒を見るという仕事量は逆に増える一方で、人員は増えるので人件費というコストは増える。

つまり、採用とは、仕事量は増えるのに、コストだけが上がるという短期的に見れば損だが、将来の労働力のために今の利益を削るということを意味する。だからこそ、バランスをとる事が重要で、利益を落とさずに、将来の利益を増やすための投資を行わなければいけない。

それらを考慮して、以下のような適正人員構成を考える事が重要だ。

キッチンスタッフ 必要人員数 4名 ホールスタッフ 10名
3ヶ月未満のスタッフ 1名 3ヶ月未満のスタッフ 2名
3ヶ月以上1年未満のスタッフ 2名 3ヶ月以上1年未満のスタッフ 5名
1年以上のスタッフ 1名 1年以上のスタッフ 3名

採用はすればいいという話ではなく限度がある。

新人が多すぎれば、オペレーションをこなすために面倒を見切れないし、新人の待機、放置時間が増えるか、仕事を無理やり押し付ければ、クレームやトラブル、品質低下、サポートやフォローによる作業の2度手間、3度手間が発生する。

だから、マネージャーは理想のチーム構成というのを具体的にイメージできていないといけない。

2-1-2. 業績・人件費率・原価目標を達成できていない店舗の人員構成例

しかし、離職が増えれば、チーム構成という人材育成の段取りが崩れる。労働力が足りずに、仕方なしにスタッフの頭数を増やす事で対処しようとする。

キッチンスタッフ 必要人員数 6名 ホールスタッフ 14名
3ヶ月未満のスタッフ 3名 3ヶ月未満のスタッフ 5名
3ヶ月以上1年未満のスタッフ 2名 3ヶ月以上1年未満のスタッフ 6名
1年以上のスタッフ 1名 1年以上のスタッフ 3名

しかし、教える余裕はないし、教えるだけのノウハウを持ったスタッフは当然減っている。生産力が中々伸びず、人件費だけが上がる。しかし、削れば作業が処理できない。上記の例であれば6名の増加となり、人件費は1.4倍になり、上記のままでは、人件費率が30%前後から50%近くまで上がってしまう。

そこで相当忙しい日以外は人員を削るか、十分な指導をしないまま新人を1人の作業員とカウントしたオペレーションを組まざるを得なくなる。しかし人件費は下がっても、次はテーブル回転率が落ち、品質が落ち、売上の低下に悩まされることになる。

また新人が多い職場では、他の店舗と比べて社員の質が低く、モラルも低下するため、指導すら出来ずにスタッフを一新しなければ解決が難しいという状況になってしまう事だってある。

もちろん、正社員であれば、そこに昇進・昇給、マネジメント、企画など、様々な技能を修得したり、課題発見や改善もすすめていかなければならないので更に複雑になる。

参考

HR総研の同調査による集計データをここでみてみよう。

採用だけの問題ではなく、離職率は生産性や品質にもかかわってくる。人材育成と離職は切り離すことは出来ない。

2.2 自社・職場に最適な離職率基準の決め方

では、自社が目指すべき離職率の基準を設定していこう。

まず以下のように、職場の人員構成適正比を考えよう。

ラベル 社員属性 適正比
1 1人では自律的に作業が出来ない人材 10%
2 作業確認や指導、フォローが必要な人員 10%
3 指示がなくても動ける人員 40%
4 状況に合わせて動ける人員 30%
5 指示や指導が出来る人員 10%
合計 100%

上記の人員構成比を勤続年数と掛け合わせると以下の表が出来る。

平均勤続年数 勤続年数合計
1 3ヶ月未満 1.25
2 3ヶ月以上半年未満 3.75
3 半年以上1年未満 30
4 1年以上2年未満 45
5 2年以上 20
最低勤続年数 1.00

上記の表は、100人のスタッフがいて、それぞれの適正比と平均勤続年数を掛け合わせた式【スタッフ数100人×階級値(1.5/12)×比率20%】の合計を100人で割れば最低勤続年数が出る。

つまり、この店舗では平均勤続年数が1年が目標である事がわかる。

人材の適正比を表に表すと以下のようになる。

3ヶ月未満 3ヶ月以上半年未満 半年以上1年未満 1年以上2年未満 2年以上
適正比 10% 10% 40% 30% 10%
定着率 90% 80% 40% 10%
離職率 10% 20% 60% 90%

適正比を保つために、定着率を考えると、まず2年以上の人材は10%残っていないといけない。そこから、適正比を積み上げ式に足していくと、それぞれ40、80、90といったように、定着率目標が見えてくる。

離職率+定着率=100%なので、100%から定着率をひけば、目標離職率基準が最終的に計算できる。

3.離職率目標と運用手順

自社の人材戦略となる離職率の目安・目標を設定したら以下の手順でマネジメントを実施しよう。

STEP1:平均勤続年数と人事考課・能力評価をリンクさせる

平均勤続年数のグループ分けができたら、それぞれのグループで習得しておかなければいけない能力や動作・知識、判断などのスキルと紐付けをしよう。アルバイトであってもだ。

飲食店であれば、「任せられるポジションの数」でもいいし、「業務能力チェックの数」でもいい、また「業務態度テストのスコア」でもいいし、勤務年数半年でここまで教える、1年ではここまでできていないといけない、という育成計画とリンクさせる事が出来れば、人材育成管理にもつながる。

STEP2:平均勤続年数と人事考課・能力評価をリンクさせる

次に部署ごと、店舗ごとに、以下のような勤続年数の構成表を作成すれば、職場の人員構成がどうなっているかが一目瞭然となる。

新人の比率が高すぎたり、中間層が不足しているなど、職場の課題が見えてくる。

「頭数はいるのに業績がよくない」、「人件費が高い」という場合には、構成比をみて、業績が良い店舗と比較してみるとその差がわかりやすいと思う。また現場管理職の離職防止やチーム全体で離職を減らそうという意識改革にもつながる。

STEP3:人員構成比を設定し、離職率目標を与える

自社の部署ごとに目標人員構成比を設定し、それを達成するための各期間の離職率目標を指示しよう。

新人の定着率だけでなく、中堅、ベテランの比率にも注意し、積み上げ式に離職率、離職許容人数を設定する事を心がけよう。

離職率目標と現在の人数を比較すれば、それぞれのグループで何人増やさないといけないのか、何人までの離職なら許容できるのかという具体的な人数を試算できるので、現場のマネジメントがしやすくなる。

まとめ

人員配置、人材育成、離職対策は1セットで成り立っている。

私たちは、無料公開しているエクセルテンプレートのカスタマイズを様々なクライアントからご依頼いただいているが、それは単なる離職対策ではなく、人材戦略の土台作りをお手伝いさせていただいている。

オペレーション、パフォーマンスを最大化するためのチームの理想構成はどのようなもので、そのために必要な経験値(平均勤続年数)はそれぞれ何年で、チーム人材育成プランはどうなっているのか。それが決まれば、現場では設定した平均勤続年数になるまでのその教育を終わらせないといけないというガイドになるし、チームを維持するために離職率は何%を維持しなければいけないのか。

そしてそれは会社全体だけでなく、各部署、各店舗、各事業所に具体的な人数まで決定し、それをどういう資料に落とし、どのような報告をさせるかまでをトータルに設計させていただいている。

目標離職率は自社のビジネスモデルから逆算して最低値・基準を設定する事が重要だ。

それを下回っては、現場は成り立たない。

売上、原価、品質、ブランドの改善戦略・課題を話し合うよりも、まず現場のクオリティを落とさないチーム作りが出来なければ、いくらアイデアがあってもそれは実現できない。

そしてそれを実現するためには、それぞれの人材グループを何人増やして、逆に何人までなら許容できるのか?までを決定しよう。

そうすれば、自社に貢献しない、やる気のない社員を除きつつ、自社の質を高める仕組みが出来上がる。

「あなたの会社、職場、部署の離職率は最低何%を維持しなければいけないのか」を考えてみてはいかがだろうか?

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