働き方改革という言葉が使われることが多くなる現在、“働きやすさ“というのは経営学でも非常に重要なテーマとなってきている。
しかし、この働きやすさについての取り組みにおいて企画から運用までの確立したノウハウがないこともまた事実だ。
働きやすい職場作りを進めるうえで多くの人が疑問に思うことは以下の3つだ。
- 働きやすい職場に改革することで得られる経営視点でのメリットはあるのか?
- 働きやすい職場を継続するために必要なマネジメントはどのような要素か?
- 働きやすい職場を実現するための仕組みとそのための具体的な方法論は?
そのすべてを当記事ではわかりやすく解説していく。
当記事では、働きやすさ改革を通じて、自社のマネジメントに関するメリットや実行ノウハウといった管理者視点だけでなく、働き方改革を真に実現できている企業の条件も合わせて解説しているので、現在働いている社員の方も、これから就職活動・転職を考えている人にとっても面白い内容であると思う。
1.働きやすい職場の本質について考えてみよう
では、まず働きやすい職場とはいったいどのような状態であると思うだろうか?
1-1.働きにくい職場だな。と感じる瞬間
従業員が会社に求める働きやすさとは自分の都合だけで考えているわけではない。社員たちは以下のような瞬間に“働きにくさ“を強く感じる。
この中でよく経営者が思う「給与」・「休み」といった待遇面は、会社に対して感じる“働きやすさ”の一部分でしかない。
以下の調査では「最も会社に期待することは何ですか?」という質問をしたところ、福利厚生や待遇が充実しているという回答はたった17%しかない結果であった。
引用元:https://workit.vaio.com/i-factors-that-worked-well-3/
それを踏まえて、社員たちはどういった“働きやすさ“を求めているか考えてみよう。
1-2.働きやすい職場の特徴とは?
では逆に働きやすい職場とは、どのような職場だろうか?
多くのサイトや書籍では、“会社“の部分だけに目が行きがちだが、実際は、”働きやすさ”とは待遇という環境だけが生み出すものではなく、“心“で感じるものだ。上記のような職場であれば、みんな生き生きとした表情で働いているだろうという事が、想像できるのではないだろうか?
1.3 働きやすい職場を作ることと業績との関係
以下の画像は、厚生労働省が平成26年に発表した「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」では、働きやすいグループと働きやすくないという回答したグループの間では以下のような回答の差がみられた。
「働きやすい」と回答した人は72.2%、「働きがいがある」と回答した人は84.2%の割合の人が仕事に対する意欲が高いとう非常に強い関連性が見られた。また同時に「今の職場で働き続けたい」という長期勤続意慾も高くなり、そうした感覚を持っている社員の会社は業績が好調になりやすいという傾向がみられた。本調査は2808社の人事担当者、従業員10,000人に聞いたものであり、その信頼性は非常に高いといえる。
参照元データ:https://www.mhlw.go.jp/chushoukigyou_kaizen/investigation/report.pdf
働きやすい職場とは、単なる福利厚生や待遇面の充実でなく、気持ちよく仕事ができるか?自分のベストパフォーマンスを発揮できる環境であるか?という面も含み、人事施策を単に実行するだけでは達成できない。
2.働きやすい職場を作るために必要な3つの改革
ではここからは具体的にどのような職場・会社にすることが働きやすい職場につながるか?という事についてお伝えする。働きやすさとは以下の3つの要素で決定される。
- 職場環境や待遇などのハード面における環境(トップマネジメントの役割)
- 上司の管理手腕・人材育成などのマネジメント(ミドルマネジメントの役割)
- その職場で働く社員のモラルや協力関係(フォロワーの役割)
1つずつみていこう。
2-1.トップマネジメントが実行すべき働きやすい職場への取り組み22例
働きやすい職場環境という土台部分は経営陣、トップマネジメントの仕事となる。人事施策として代表的なものをまとめたものが以下のものになる。
1.安全環境の提供
完全矢絶対とは言わないが、現場の要望に耳を傾け、少しでも改善しようという姿勢を感じるか |
会社の安全対策への熱意度 |
休憩時間の遵守の徹底度 | |
安全に関する備品導入度 | |
ストレス症状に対する会社の理解度 | |
社員自ら相談の依頼を持ちかけることの気安さ | |
2.時間管理の徹底
残業や労働時間に対して、守らせるために厳しく管理しようとしていると思うか |
休憩をしっかり取ることの徹底 |
サービス残業の有無 | |
繁忙期と残業時間に対する理解 | |
残業時間削減対策への取り組み | |
3.効率化への意識
不必要な手順やマニュアル、会議など、不必要・不適切・無駄のの削減・改善姿勢が見えるか |
不必要な会議や打ち合わせの削減 |
打ち合わせの際の事前資料の義務付け | |
意味のない伝統的なルールの排除 | |
社内人間関係による圧力構造の排除 | |
4.多様な労働環境の提供
リモートワーク化できる業務、SNSツールの利用など、様々な人材の雇用・柔軟な時間帯・場所をつくろうとはして欲しい |
正社員、業務委託、パートなど様々な採用形態運用 |
出来高、プロジェクト制度の運用 | |
フレックス・サマータイム制度運用 | |
リモートワーク化への意欲 | |
スカイプやSNSによる効率化 | |
5.快適な労働環境の提供
通勤や会社での生活など、会社の補助制度、あればあるほどありがたい、魅力的だと思う |
駐車場やアクセス性など通勤ストレス |
食費・生活費補助などの生活サポート | |
休憩時間のリラックス度 | |
休憩する空間の快適度 |
働きやすいと感じる職場の5つの特徴
危険な作業をさせない安全の提供は建築や製造業現場業務だけと思われがちだが、それは他の業種にも当てはまる。深夜業務による健康面の影響、人間関係による精神的なストレスなど、心身ともに健康でいられるために相談・面談環境、問題を起こした責任者への毅然とした対処、現場課題を報告してくれた社員の情報を絶対に漏らさないなど様々な労働環境に対する視点を持つ事が重要だ。
またそれは時間にも当てはまり、残業や休出の強要などによる私生活の時間を奪ったり、それが人員不足でできなくとも会社がそれを問題視し、全社をあげて取り組む姿勢を見せる事が重要だ。できている・できていないかではなく、会社がその課題を「仕方ない・同業他社でもそうだから」といった認識ではなく、変える姿勢があるかどうかが問題だ。
それは効率化に関する問題が特に顕著で、実際無駄の業務は何かなんて現場の社員たちがわかっている。しかし、それをなくすには、会議をとりまとめ、新しいガイドライン・マニュアルを作る担当者・責任者が必要で、誰もそれに触れようとしない。そういった改革に対する保守性、やる気のなさに社員たちは不満を持っている。
多様な労働環境を提供しようとすることにも同様で、高額な投資をせずとも無料のWEBアプリを活用したり、オペレーションの工夫をすれば、リモートワークは実現できるし、シフトやマネジメント次第で労働時間帯を自由にすることは可能だ。快適な労働環境も休憩時間をずらす、社員たちが喜ぶ備品・グッズを置く、など些細な工夫は中小企業でもできるし、いちいち会議に回したり、提案書を必要とせず、現場の裁量権で小さな改善をしやすい中小企業のほうが、働きやすい職場作りは成功しやすい。
働きやすい職場アンケート調査でのポイント
特に上記のような待遇面に関する要素は、大手でなければ改善が難しいように思われると思う。
しかしよくよく考えて欲しい。
中小企業から大手に就職したり、給与が劇的にアップする、なんてことは非常に稀で、営業やマーケティングなどでかなりの成果実績が伴わなければ難しく、大抵、転職は似たような給与・待遇の同規模程度の会社である事がほとんどで、あなたの会社の人材の競争相手は、同ランクの会社となる。つまり、”社員たちが感じる働きやすさ”とは、相対的な「この規模でこの待遇や取り組みなら、会社は頑張ってくれていると思う。」というものであり、中小企業で働いている社員が大手と同じような待遇でないから不満だとはならない。
「うちの職場ではこれならばできるはずなのに」、「できることをやろうとしない」、「社員の声を聞こうとすらしない」、「これくらいの備品やツールの投資はできるはずだろう」といったものが社員の感じる実質的な不満となる。
だからRableでは、絶対的な不満ではなく、相対的な不満を聞きだすアンケートライティングを大切にしている。大事なのは、大手や優良企業と比較することではなくて、「自社でもできることはないか?」、「自社なりに努力していると感じるか?」という相対満足・不満を聞きだすことが重要であるからだ。
2.2 上司や職場のリーダーが持つべき働きやすい職場への意識
どれだけ多くの施策を企画しても現場でそれが活用されない、あるいは活用できる状況整備ができなければ意味がない。
“変革型ミドル”という言葉があるように、中間管理職が上手く機能しなければ効果は生まれない。管理職は、会社の代弁者というべき存在であり、以下のようなマネジメント機能を担っている。ミドルマネージャーは、トップマネジメントが企画した施策の意図を理解し、実際にそれが現場で活用されるように調整することが仕事だ。
責任者が変われば成果が変わる。という事例がどこの会社でも見られる通り、組織の中核を担う中間管理職が機能しなければ、会社改革はうまく進まない。
1.経営方針・ビジョン・理念の共有
自社や経営陣に対する未来売上拡大に対する意欲、そのための具体的なビジョンが見えている、それが妥当であると思うか |
事業成長への熱意度 |
自社製品・サービスの品質に関する誇り | |
自社製品・サービスの差別化・希少性 | |
トップの描くビジョンの現実性 | |
提示したビジョンと意思決定の一貫性 | |
ビジョンを形にするための予算計画 | |
2.経営状況の共有
財務成績に対する説明とその改善ビジョンの説明責任を果たして欲しい |
自社の業績に対する報告の真摯さ |
業績に関する課題と対策の妥当性 | |
業績を伸ばすための行動とその実行程度 | |
3.人事制度への納得
人事考課の基準が明確で、公平に運用し、成果に忠実で平等に運用されているかと感じるか |
人事査定基準の妥当性 |
人事考課制度運用の適切性 | |
人事考課の結果の納得性 | |
人事考課と給与に関する魅力度 | |
人事考課とキャリアに関する魅力度 | |
4.人事制度の活用
評価内容が秘匿されず、次の行動に活かすために、知る事が出来ているか |
人事考課結果の開示の度合い |
人事考課結果を通じた自己の課題発見 | |
人事考課結果を良くする為のアドバイス | |
人事考課結果による自己の役割の認識 | |
5.設備の利用・実感
会社の競争資源や職場の効率化のために、会社が投資をどれだけしているかということに対する印象 |
他社にはない技術・設備の導入 |
業務以外の効率化ツールの導入 | |
無駄な業務手順削減への意欲 | |
マニュアルを現場に合わせた定期改訂 | |
新商品・サービスへの開発意欲 | |
6.その他福利厚生
業務内外に関わるその他、制度運用への満足度 |
交通費負担などの経費・手当ての充実度 |
会社主催のイベント参加への負担度 | |
割引券や保養に関する特典の魅力度 | |
利用者とそうでない人に関する補填 | |
各種祝い金、奨励制度などの特典 | |
表彰などの精神的充実 |
働きやすい職場のポイントである中間管理職
働きやすい職場の鍵は中間管理職が握っている。どのような制度を作ろうが、ツールを導入しようが、社員たちのことを大切に思おうが、それが伝わらない限り、それは価値とならないし、成果には結びつかないからだ。
自社の製品・サービスの魅力やコンセプトをしっかりと人材教育で教えていなければ、それは社員にはやりがいや誇りにはつながらないし、いくら会議で共有していても、現場管理職でその情報が止まっていれば、それは共有できているとはいえない。
人事制度も同様だ。その基準がどうで、それがどう運用され、どう評価と結びついているのか?、それを上手く活用し、部下の指導と成長に上手くつなげる事ができている一方で、それができず部下に不信感をもたれている管理職もいる。新しいツールや設備を導入しても上手く活用できない職場もあれば、福利厚生制度を企画しても、それが使いにくい部署(店舗)と積極的に活用するように推奨している職場では大きな違いが出る。
働きやすい職場を作り上げるには、まず中間管理職の意識改革、正しい知識、行動の監視を徹底的に行うことが重要だ。
働きやすい職場を作るために一番大切なこと
上記のことに対して、例えば、「女性の出産後の社会復帰」というテーマを例にアンケートを考えてみよう。
- あなたは、自社に産休後の復帰制度の内容について詳しく知っていましたか?
- あなたは、自社の産休復帰制度の内容を魅力的に感じましたか?
- あなたの職場では、産休復帰制度を活用できる雰囲気ですか、利用しずらい空気ではありませんか?
- あなたの上司は、産休復帰制度に対して、正しい理解と知識を持っていると思いますか?
- あなたの上司は、産休復帰制度を部下に利用することを推奨していますか?
- あなたの上司は、産休復帰制度が重要であることを職場の社員に指導していますか?
そもそも知らなかった。ということから、上司がきちんと理解している、それを利用しやすいように職場にしようとしている、というところまでを網羅しようとすれば、上記のように1つの制度だけでも様々な観点からアンケートを作成しないといけない。抽象的な項目では、なぜその制度が上手く機能していないのか?という特定ができないからだ。
だからこそ、働きやすい職場を作るためにどのような不満をあるのか?という課題特定のための施策と制度を運用するための施策の中身は当然異なってくる。
自社は今どの段階で、何を目的とし、どのような施策をしなければいけないのか?を徹底的に考える事が重要だ。働きやすい職場作りのポイントは、会社によって詰まっている場所は違うし、適切な対処施策も違う。
2-3.フォロワー(一般社員・スタッフ)が一丸とならなければ働きやすい職場作りはできない
“働きやすさ改革“では、一般社員は要望や不満を伝える側であると思われがちだが、それは違う。自分の行動もまた、他の人の働きやすさを影響しうるからだ。
例えば、不適切な発言をする、指示を無視する、自分都合で作業する、失敗したり迷惑をかけても反省しない、こういった振る舞いは周囲の人を不快な気分にさせてしまう。働きやすい職場づくりは全社一丸となって行わなければいけないものであり、1人1人が相手を思いやり、配慮する気持ちを全社員に持ってもらう土台がなければ成し遂げられない。
1.労働時間の柔軟性
自分の希望する時間帯で働く事ができているか、そのための現場の実際の人員運用状況 |
残業のことわりやすさ |
希望シフトの柔軟・容認性 | |
早退や欠勤のしやすさ | |
有給消化に関する自由度 | |
2.相互理解・尊重文化
職場の社員全員が適切な姿勢・道徳を持って、業務できているかに関する印象 |
人格否定をされない職場 |
職場全員が交流できている職場 | |
互いに配慮した言動を徹底できている職場 | |
互いに理解しあおうとする事が出来ている職場 | |
3.安心・安全な職場作り
誰もが気持ちよく働けるように差別、逆差別をなくすことに関する社員目線での評価 |
パワハラやモラハラへの厳しい取締り |
過剰な叱咤や指導に対する厳しい監視 | |
問題行動・態度の社員に対する適切な処遇 | |
差別をすることなく、平等な勤務態度指導 | |
4.指導・サポート文化
業務遂行に関する自分が所属する職場の伝統や文化、多くの社員がとっている行動傾向 |
丁寧な指導、厚いフォローを徹底する職場文化 |
不満や要望があれば必ず話し合う職場文化 | |
悪いことはきちんと怒りあう職場文化 | |
お互いの作業のフォローをしあう職場文化 | |
互いの作業進捗や課題に対する理解文化 | |
5.建設的・生産的文化
現実を受け止め、悪いことであっても言い合えるような空気が職場に出来上がっているか |
立場に関係なく自分が間違えば謝る職場文化 |
悪い事実を知ること大事だと考えられる職場文化 | |
批判をするときは、対案を可能な限り出す職場文化 | |
相手の意見を引き出すことを徹底する職場文化 | |
6.成果・事実を重視する職場
誰もが成果を高めるために、共通の意識を持って取り組めているか |
成果志向にコミットしている職場文化 |
具体化志向にコミットしている職場文化 | |
挑戦志向にコミットしている職場文化 | |
時間ではなく効率を重視する職場文化 |
働きやすい職場を作るために自分は何をするか
働きやすい職場を作るためには、現場社員の1人1人の意識と協力が必要不可欠だ。
休みやすい状況を作るためには、自分の業務を同僚や部下でもできるように普段から作業や役割の共有、指導が必要不可欠だし、人員に余裕が出るように、離職率の低下への貢献が必要になる。また人間関係を良くする為に積極的な係わり合いや誰もが気持ちよく働けるように、相手を尊重した言動・態度を心がけなければいけない。また自分だけでなく、同僚や部下に対して、駄目なことはきちんとダメといいあえるような関係性を作ることも必要だ。
また特定のメンバーに作業が集中していたり、回っていなければ、サポートしたり、相談に乗る、全員が成果を出せるように助け合い、会議や話し合いにも積極的に参加する。それが仲良しで終わらないように誰もが成果にこだわり、職場全員が仕事に対して熱意を持っている職場にする意識を持つ事が重要だ。
「○○さんがこうだ。」といったように、不満は伝染する。「○○だから、自分はここまでしかしない。」そうやって、職場崩壊、底まで行かなくても意識の低下、不満が多くなる。働きやすい職場を作るためには、誰かの揚げ足をとったり、不満を上げるのではなく、まず自らが相手にとって好ましい、尊敬される行動をまず取る、という意識を持つ事が大切だ。
そういった気持ちを持つ社員が増えれば、それが伝染していき、最終的に職場文化となり、社風となる。
働きやすい職場作りに必要な意識改革
Rableでは、そうした意識を持ってもらうために、必ずアルバイトであっても、「職場のみんなはこういった印象を持っています。」といった項目の結果をわかりやすくデザインしたものをポスター化したり、総括PDFとして全員に見ていただいている。
そして、自分はそう思われるような行動・考え・言動をしていたかもしれない。という気付きをしてもらうようにしている。
働きやすい職場作りにおいて、会社の制度やツール導入や上司や先輩の指導のあり方、業務の見直しは重要だ。しかし、それ以上に、お互いに仕事をしやすいように助け合う、尊重しあう、意見を交し合うという雰囲気ができなければ、結局形にはならないからだ。
働きやすい職場とは、普段の職場で、日常業務で無意識に感じるものだ。
困ったら誰かが助けてくれる。自分が課題に感じたことや要望を素直に言える。上司や先輩の自分の味方で、努力をしたり、成果を出せば会社が評価してくれる。その思いやりは一方通行では駄目で、双方向でないといけない。
3.働きやすい職場の作り方
3-1.働きやすい職場に関する課題を明確にする
働きやすい職場を作るためには、他社の成功事例を見ることも重要だが、まずどのような要素があり、その中でも自社でもできそうなものはないか絞り込む事が重用だ。ここまでお伝えしてきたように、全ての不満を調べようとしてしまえば、抽象的になりやすいし、間違った理解をしてしまうことにもつながる。
自社の課題は何で、特にどのようなことを社員たちが思っていそうか具体的なテーマ選びをするようにしよう。
以下のPDFは、ここまでの要素を簡単な言葉で84の要素にまとめたものになる。是非参考にしてみてほしい。
3-2. 働きやすい職場を作るための施策の実行および効果測定
取り組むテーマを明確にできれば、そもそも仕組みや制度、ツール、マニュアル、手順のてこ入れが必要なのか、管理職の不理解、指導、マネジメントが不十分なのか、現場の協力が足りないことなのかが問題であるのかを明確にしよう。
私たちはアンケートを実施し、数値ベースでそれを分析しているが、それは現場へのヒアリングでもいいし、会議で議論して決めてもいい。大事なのは、原因を可能な限り具体的に箇条書きに書き出していくことだ。
- どういった制度があるのか?それは自社の課題を解決するものか?
- ツールを導入すべきか?ツールを導入しなくても実現できるか?
- オペレーションや仕組みに不備はないか?使いにくさ・問題はないか?
- 管理職の正しい理解、知識教育はできているか?
- 管理職の指導、指示に問題はないか?
- 社員たちの意識は低くないか?きちんと浸透しているか?
- それを実践できる社員を適切に評価しているか?
- できていない社員に指摘する、良い方向にしようとする行動が生まれているか?
- 職場でその意識がどの程度浸透しているか?その割合は?
上記のように、それぞれの段階に関して議論しよう。また実行した後も、それぞれの振り返りを行おう。
関連
以下の記事では、上記の様々な要素に関してテキストとしてライティングし、それを数値化する方法についてお伝えしている。是非、一度見てみてほしい。
まとめ:働きやすい職場を作るために自分は何をするか
働きやすい職場とは、誰かが作るものでなく、全員で作る意識も持たないと実現できない。
- 会社が一生懸命でも管理職が現場で運用してくれないと実現できない。
- 管理職が一生懸命でも社員同士の仲が悪く、協力的ではない職場ならば実現できない。
- 現場で社員たちがチームワークを発揮しても会社の理解とサポートがなければ実現できない。
全員の意識をまとめることは非常に難しいと考える方も多いかもしれない。
しかし、従業員満足度調査を行って得た確信たる情報があればどうだろうか?
従業員満足度調査のデータ結果を見れば、全員の意識をまとめることも可能となり、目指すゴールが、全員が働きやすい職場となれば、団結力を高めることができるようになる。
なぜなら、○○をすれば□□になるという成功の方程式がわかっているからだ。
良い会社は全てがWIN-WINになっている。
会社(経営層は)社員のことを思い、管理職は会社の方針を深く理解しようとし、部下たちが働きやすい職場にしようとし、部下たちは職場全員が働きやすいように協力する。
この意識ができているからこそ、会社は改善された利益を還元できるので福利厚生や待遇を良くし、管理職は成果を出せ、更に部下に丁寧に接することができ、部下たちは会社や周囲の社員に感謝しより一層努力するようになる。
ぜひ、あなたの会社でも効果的な従業員満足度調査を実施してみてはいかがだろうか?