離職損失コスト

中小企業でも実践できる働き方改革|コスト増加ゼロでできる対応策

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

近年、残業規制や休日日数、有給消化数など労働環境に関する規制が厳しくなってきている。2019年度より施行される働き方改革関連法をはじめとして、人材管理が困難になってきている。

中小企業の7割ではどう対応していいかわからないのが現状だ。また大手であっても残業を減らすという事はより多くの人員を確保しなければいけない事につながり、大幅なコスト増からは避けられなくなる。

つまり、これまでの人材管理では、今までのような利益が出しにくくなっている。人件費の増加は中小企業であれば死活問題となる。

しかし、自社の人材管理をしてみると実は多くのコストが無駄になっていることが多い。そこで当記事では、人材管理において無駄になっているコストを削減することで、コストを増やすことなく、働き方改革を達成する方法をお伝えする。

中小企業だけでなく、中堅・大手企業の方でも参考となる内容になっているので、是非最後まで読んでみることをおススメする。

1.働き方改革の進め方|課題は4つのコストにあり

働き方改革と聞くと社員は喜ぶかもしれないが、管理側に立ってみるとげんなりする方の方が早いはずだ。そして、そのせいで会社が潰れてしまっては、元も子もなくなる。ではまず、働き方改革がなぜ難しいのか?からみていくことにしよう。

1.1 働き方改革を達成することは無理だと考える人が多い理由

以下の表は、プレジデントオンラインに掲載されているものを引用したものだ。

引用元URL:https://president.jp/articles/-/22248

上記の表からなぜ働き方改革が難しいかを考えて見よう。特に多いのが、「業務量が多い」、「人員が不足しているため」、「顧客からの要望により急な依頼が発生するため」といった内容だ。

つまり、現状では生産力がフル稼働であり、削れる箇所がない。という現場の悲鳴が聞こえてくる。そういった事情から「無駄な仕事を無くそう」や「効率アップを目指そう」といったスローガンの域を出ない対策では結果の改善なんてできない。

これが、余裕があればやりたいが、余裕がない為、働き方改革が無理と考える理由だ。しかし、そうはいっても年々法規制は厳しくなる。

何としても売上を落としたり、泣く泣く受注を断らなくて済むように対策を考えていかなければならない。

1.2 生産時間を確保するための4つの手段から解決策を模索しよう

ではどうすれば人件費というコストを増やすことなく、働き方改革を実現できるのか?そのヒントは「年間生産時間」にある。現状の売上を確保するためには、そのための労働時間を確保しなければいけない。

以下のデータは私たちが提供している人材管理コストEXCELで自動で排出されるグラフを引用したものだ。

この会社では約20億の売上をだすために、222人の現場作業員で年間50万程度の作業時間を必要としている。

その労働時間を確保する手段としては3つのものがある。

  1. 新入社員を採用することで作業時間を確保する
  2. 今いる社員に残業・休日出勤して貰うことで作業時間を確保する
  3. 離職する社員を減らすことにより、作業時間を確保する

この3つをどう組み合わせ、最適化すればコストを増やすことなく、労働環境を改善できることが出来るのか?を見て行こう。

2.追加コストゼロで働き方改革の3つの改善ステップ

ではこれからコストを増やすことなく働き方改革を実現する方法についてみていこう。

2.1 それぞれの社員の1人当り生産力を算出しよう

以下のデータは、4-3の記事から引用した各社員の年間生産(労働)力と生産高に関するものだ。詳しい計算方法を知りたい場合は、先にそちらの記事を読むようにしてほしい。

上記の表をみれば、どの社員が年間でどれだけの労働力を提供してくれているのが一目瞭然だ。

2.2 離職者を削減することで確保できる生産時間を算出しよう

1人当りの年間労働時間が算出出来れば、その社員が1人離職することでどれだけの労働力が失われるのか?が計算できるようになる。

上記の表はそれぞれの社員が離職した時の1人当たりの単価を示したものだ。この単価に目標離職率を入力することで、離職者を減らすことを達成できれば、どれだけ労働力を確保できるか?を試算することが出来る。

詳しくは先ほどご紹介した記事を参考にしてほしい。

2.3 採用コストを踏まえた採用計画を練ろう

離職者を減らすだけでは、自社が必要とする生産力を確保することは難しい。そこで採用があるのだが、新入社員の採用を増やしすぎると、採用コストがかさみ、また新人を教育しなければいけないため、人件費があがりすぎるというデメリットが生じてしまう。

そこで私たちは前年と比較した採用計画を練れるように、以下の表を作成するようにしている。

上記の例では、本年度よりも次年度の採用人数が増えている。そのため、コスト増減見込みはマイナスでコストが増えることを意味している。

採用を増やす時は、どれだけコストが増えるのか?を考えるようにしなければいけない。私たちは求人採用コストだけでなく、現場での指導コストを含めたトータルコストでそのコストを計算するようにしている。

この計算の仕方は、以下の記事で紹介しているので、そちらを参考するようにしてほしい。

そしてその採用人数から算出した労働力の増加分が下記の表となる。上記の表と下記の表を組み合わせることにより、過剰採用とならないようにすることが大切だ。

2.4 残業・休日出勤による生産力の計算をしよう

離職効果、採用効果を計算出来たら、最後に残業・休日出勤による労働力確保の計算に移ろう。私たちが提供しているテンプレートでは、以下の様に基本的な労務データに加えて、繁忙期の労務状況を入力できるようになっている。

基本的な労務状況入力フォーマット

繁忙期における労務状況入力フォーマット

上記の表を作成することで、以下の様に自社の限界の生産性を推定することが出来る。

 

 

そして上記のことを考慮した生産性の効果を示したものが以下の表となる。

 

2.5 人事(採用・育成)戦略を決定していくための3ステップ

ではこれまでのおさらいをしよう。以下のデータはこれまでの説明をまとめたものになる。

STEP1:次年度に確保しなければ労働力の確保

上記の表は本年度の離職数値から、次年度に不足する生産力をまとめたものだ。1人当りの労働力単価はこれまでの計算で算出しているので、事業拡大や店舗数増加による追加人員を必要とする場合は、その人数を加味したものが、【労働時間不足】の合計時間となる。

基本的にこの労働時間を満たす為に、人事は動いていく。上記の様な数値があれば、中小企業であってもしっかりとした計画を基に経営が出来るようになる。

STEP2:既存社員で補填できる金額の算出

不足を埋める為に、中小企業の多くは、残業などで解決しようとまず考えるはずだ。それが上記の金額となる。そして、それで埋めきれなかった金額が採用で解決しなければいけない最低金額となる。

上記の赤で示している数値分だけ採用できなければ、生産力が不足し、人手不足状況に陥り、売上低下の見込みを予測できる。

STEP3:残業では補填しきれなった労働時間を目標とした採用計画を練る

採用人数目標は私たちの場合であれば、上記の【不足している売上低下額】を満たすように採用計画を練る。

上記の【年間1人当り生産高】を見れば、新入社員の年間単価を見て必要な採用人数目標を立てよう。

このように採用人数は【生産力を確保する。】という目標から逆算し、目標を立てて行うことが重要だ。

3.働き方改革の見込みを計算しよう

ここまでで離職削減による効果、新入社員採用による効果、残業をさせる事による効果の3つの分析を行ってきた。そこには多くの削減できる無駄コストが潜在的に存在していることがご理解頂けたはずだ。

そして、私たちは、採用人数・残業計画だけでなく、労働環境を考慮した人事戦略を練ることを大切にしている。ここから本題のコスト負担を高めることなく、働き方改革を達成する方法をお伝えする。

3.1 離職削減効果の差額を労働環境に還元しよう

下記の表は、離職による生産低下金額から離職改善効果の差額をだしたものとなる。下記の数値は、新人の採用費・育成費用を考慮した数値を使っているので、実質のコスト削減効果と思ってもらってOKだ。

上記の場合、青色で示した数値が実質に削減できる金額となる。つまり、マイナスであればあるほど、生産力が余っている状況と言える。それをまとめたものが以下の表だ。

3.2 余剰分の生産力を働き方改革に使おう

ではその分、「人件費が削減できるのではないか」と考える人もいるだろうが、当記事ではその浮いたコストを労働環境の改善に振り分ける方法を見て行く。

まずは、離職率を改善する前の本年度のデータを見てみよう。

上記のデータに目標離職率を達成した時の生産力余剰分を労働環境の改善に振り分けた時の試算となる。

上記の場合は、残業がゼロで休日出勤もゼロとなっている場合だ。その場合は、余った生産力を売り上げ目標に還元するようになっている。

この金額があまりに大きい場合は、採用人数を減らしてもいいし、営業やマーケティングに力を入れ、事業拡大を狙ってみるのもいいだろう。

まとめ:一番の無駄は離職による人材の流出

会社にとって一番の損失は人と言っても過言ではない。機械やアプリは一度投資すれば必ず会社に残り無駄とはならないが、ヒトは投資しても離職されてしまえば、投資した採用・教育費が無駄になるし、育つまでに多くの時間と人的資源を必要とするため、職場の生産性が下がってしまう。

そこに多くの無駄が発生している。

その無駄となっているコストをゼロに近づけることができれば、中小企業でもコストを削減しながら、働き方改革に対応できるようになる。

大事なのは、生産時間を確保しながら、どうすればコスト削減、労務状況が改善できるか?という3つを両立させるかを考えることだ。

その起点となっているのが離職だ。

1人の社員が離職されれば年間で考えれば、かなりの労働時間が不足する。しかし、新人社員の採用しようとしても生産効率は等価交換にならず、生産性は低下する。すると人件費が上がり、採用を減らし、残業で対処しようとする。

すると、更に離職率が上がり、生産効率は低下し、その結果、人件費がさらに負担になる、という悪循環に陥ってしまう。

では、その起点となっている。離職率を改善できればどうなるか?

  1. 離職率が低下することで、人材の質が上がり、生産性が向上する。
  2. 1人当たりの生産性が向上し、事業運営に必要な社員の頭数が減る。
  3. その分コストが削減し、社員の労働環境の改善に還元できる余裕が出来る。
  4. 更に離職率が減り、生産性が向上し、人件費率が下がる。

上記の様なプラスのスパイラルにかわっていく。これがコストゼロで働き方改革を達成する為の全体像だ。そのためには、しっかりと数値を持って、計画を練り、行動していく事が大切だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

離職率の改善で、どれだけ利益が出るのか?
人材管理コストEXCELテンプレート

あなたが、「離職率を改善したい!」と思う理由は、以下の3つの中のどれでしょうか?

  1. 採用しても離職されれば、投資した求人広告費が無駄になる。

  2. 育成しても離職されれば、教えてきた時間が無駄になる。

  3. 長く働いた社員が離職すれば、顧客や社内の人間関係が無駄になる。


あなたが離職率を改善したいと思う理由が、上記の3つの中にありましたか?

もしも、上記のことで悩んでいるならば、これらの3つをコスト化するためのEXCELテンプレートがあります。

  1. 無駄な投資コストは、そのまま、金額をベースに計算できます。

  2. 無駄な時間コストは、指導時間や面接時間×時間給で計算できます。

  3. 最後の優秀な人材の流出による損失コストは、時間あたりの生産力から計算できます。


当テンプレートでは、指導時間や指導回数など、行動をベースとしてコスト化できるEXCELツールです。

そして、離職率を5%低下させれば・・・など、改善効果のためのシュミレーションまで行えます。

是非、貴社の人材マネジメントにご活用下さい。

詳しい内容を見る

コメントを残す

*